医学生は毎朝、5時に出勤。
出産を終えた妊婦さんの体調をチェックし、状況と今後のプランを電子カルテに記入します。
忙しいと20人ぐらいの産後の妊婦さんが病棟にいますが、医学生一人につき4~5人ぐらいの妊婦さんを担当するのが平均的なようです。8時ごろに回診が始まるので、それまでに妊婦さんを診てカルテを書き終えなくてはなりません。
Nurse Stationにて。手前に座ってカルテ書いているのが医学生のT君
でも産科は内科に比べて、問診する事項もきまっているし、カルテも簡素にできる感じです。
みんな7時前には余裕で仕事を終えるようです。
さて、電子カルテに書いた事項は指導医またはレジデントに "Co-sign"といってチェックをされないと正式なカルテとみなされません。ふつうは学生が書いたカルテの下に、指導医が足りないところを付け足したり、間違いを訂正したりします。そして基本的に「上のカルテ内容に同意する」といったことを書いてくれます。
さて、8時からは回診が始まります。
産科病棟にいる全ての患者さんについての報告会です。
患者さんの状況と今後のプランを口頭で話していくのですが、指導員のインプットがここで入ります。また指導員が症例に即した質問事項をしたり、知識を「教授」してくれるのもこの回診のです。レジデントに混じって医学生も、自分が朝診てカルテを書いた患者さんの報告を口頭で行います。
回診が終わると、お産に立ち会う機会があります。
まずは病棟にいる妊婦さんのリストで、出産が近い人を医学生同士で「分け合って」担当をきめます。そして担当になった妊婦さんの部屋にいき、挨拶をします。
基本的に担当でない妊婦さんの部屋には、プライバシーを尊重して全く入らないようにと言われます。
帝王切開では医師と一緒にオペ室に入ります。
普通アテンディングとレジデントの2人がかかわりますが、実際の帝王切開をするのはレジデントです。アテンディングはSupervisorとして指導を行います。
医学生はアテンディングのすぐ横に立たされます。
手術の様子はこれでばっちり見れます。それからクランプを渡され、術野が見えるように皮膚と脂肪をクランプで抑えておくのが私らの仕事です。それから縫合の際には、ハサミを渡され、支持にしたがって糸をきったりします。
経膣分娩はふつうレジデントの1-2年が担当します。
赤ちゃんが出る間際になると、アテンディングや小児科のチームが到着します。
医学生がどれだけ出産に加担できるかは、担当のレジデントによりきりです。
妊婦さんの足を押さえさせてくれるだけのレジデントもいれば、赤ちゃんを取り出すのをバッチリ体験させてくれるレジデントもいます。
私はラッキーなほうで、赤ちゃんの頭がでてきたときの鼻口の吸引、肩のDeliveryも体験させてもらえました。生まれたてホヤホヤの赤ちゃんを、持ち上げさせてもらうのは、本当に光栄な体験でした。あとはへその緒からの採血、胎盤のDeliveryもやらせてもらいました。
産科病棟は、しばらく暇だったり、急に忙しくなったりと予測ができません。
出産がない場合は、トリアージといって入院させるかどうか患者さんを診て評価するのも医学生の仕事です。トリアージでは基本的に詳しい問診を行い、触診までします。またマネジメントプランを考えます。その後レジデントのところに行って、症例報告を口頭で行います。その後はH&Pといわれる詳しいカルテを記入するまで医学生の仕事です。
トリアージに診る患者さんがいない場合は、朝にみた患者さんのチェックや、マグネシウムを投与されている患者さんのチェックを毎2-4時間に行い、カルテ記入をします。それでも仕事がない場合は基本的に病棟でスタンバイなので、クラスメートとくっちゃべったり、自習をしたりして時間をつぶします。
産科病棟の廊下。突き当たりが手術室です。