■ゴキブリを奴隷にする、エメラルドゴキブリバチ■
■Voodoo wasp (Ampulex compressa) & zombie roach■
~ グロ注意 ~
ブードゥー・ワスプのPart2ですが、こちらはゴキブリが出演しておりますので、苦手な方は読まない方が良いです。動画も見ないことをお勧めします。
平気な方だけ読んでください。
~ 玉虫色の綺麗なハチ ~
「宝石バチ」ことエメラルドゴキブリバチ
東南アジアやアフリカなど、熱帯地域に生息するジガバチ (セナガアナバチの一種) の仲間に、エメラルド・コックローチ・ワスプ (emerald cockroach wasp, Ampulex compressa) という凄い名前のハチがいます。
標準和名が分からないのですが、英名をそのまま直訳してエメラルドゴキブリバチで通っているようですから、ここでもそう呼ぶことにします。
名前の通り、体全体はメタリックでとても光沢のあるエメラルド色 (いわゆる玉虫色) をしており、足はオレンジ色、とても綺麗な配色のハチです。
タマムシのことを英語圏ではジュエル・ビートル (宝石甲虫, Jewel beetle) ともいいますが、エメラルドゴキブリバチも単純に「ジュエル・ワスプ」(宝石バチ, Jewel wasp) と呼ばれたりします。
~ ゴキブリを狩る ~
さて、「宝石バチ」という呼び名は良いとして、「エメラルド・ゴキブリ・バチ」という呼び名が気になります。
「エメラルドゴキブリバチ」が狩りをするジガバチの仲間ですから、この名前はもちろん、その狩りの対象が「ゴキブリ」であることを意味します。
狩りバチはイモムシなどを捕まえ地中などの巣に運び込み、卵を産み付けます。卵から孵った幼虫は母親が残してくれたイモムシをムシャムシャ食べて大きくなるというわけです。
しかし、このエメラルドゴキブリバチ、狙っている獲物がゴキブリの中でも大型になるワモンゴキブリ (Periplaneta americana)、 ハチの体に比べ少しばかり大きすぎるようです。
こんなでっかいものを巣に運びこむのはちょっと大変そうです。というわけで、考え出したのが「ゴキブリの脳外科手術」です。
~ 脳外科手術 ~
まずは逃げまどうゴキブリの上から被さり、大きな顎でかみついて身動きを取れないようにします。
手術をする前にはやはり麻酔、暴れ回っている患者を手術するのは大変です。まずは1度目の注射、麻酔をかけます。
(まずは胸部へ麻酔注射
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
患者であるゴキブリもさすがに麻酔を打たれれば動きも鈍くなります。この状態にしてエメラルドバチは繊細な手術に取りかかります。
今度はゴキブリの頭部めがけてブスリと針を差し込みます。といっても頭だったらどこでもいい、と適当に刺しているわけではなく、非常に繊細な手術です。
頭部に差し込んだ針で、ゴキブリの脳内の「逃避反射」を制御する神経細胞の部位を探し当て、そこに2度目の毒液を注入するのです。 完全なピンポイント手術です。
(2度目の注射は頭部へ)
術後のゴキブリは瀕死状態です。こんなんなるなら、そんな繊細な手術などしている意味がなさそうに感じます。他の狩りバチのように一発で仮死状態にした方が楽なはずです。
が、ここからが術後マジック、麻酔が切れるとゴキブリは何事もなかったようにすっくと立ち上がります。
自分の足で歩くことも出来ますし、毛繕いなど自分の身の回りの世話もすることも出来ます。ただし変わったところもあります、動きが穏和、というか明らかに鈍くなっています。自らの意志で動き回らなくなるのです。
(術後は瀕死状態に陥ります)
術後、いったんゴキブリから離れていたエメラルドゴキブリバチですが、手術が成功すると見るや、またゴキブリの元に戻ってきます。
すっかり穏和になったゴキブリは、エメラルドゴキブリバチを見ても逃げようとも格闘しようともしません。「逃避反射」の制御が破壊されてしまっているからです。
ゴキブリは自分の判断でうまく行動できなくなっており、エメラルドゴキブリバチはそんな不憫なゴキブリに手を貸してあげます。
手術を終えたゴキブリは、エメラルドゴキブリバチの思うがままに行動させることが出来るからです。ゾンビ化しているのです。
~ ゾンビゴキブリの運命 ~
(ゾンビゴキブリを自由に連れ回すことが出来ます)
その姿は、自分でわざと怪我をさせておいて、怪我させた相手を介抱しているようなものですが、ゴキブリにとってはどうでもいいようです。
ゾンビ化されたゴキブリは、まるで生まれたてのひな鳥が母親についていくように、エメラルドゴキブリバチに手を引かれ (触角を引っ張られ)、「母」の促すままにある場所へと導かれます。
もちろんそれはエメラルドゴキブリバチの母親が、自分の子供のためにつくっておいた地中の巣穴です。重くて持ち運べないゴキブリを、ゾンビ化させてゴキブリ自らの足で巣穴まで歩かせるという逆転の発想です。
なんの疑いも持たずゴキブリは巣穴の奥深くへと連れてこられると、腹部に卵を産み付けられます。
ゴキブリは巣穴から逃げようなどという気はさらさらなく、卵を産み付けられてもいやな素振りひとつ見せることはありません。まるで母親から次の指示を待っているかのよう大人しくしています。
母蜂は卵を産み付けると自分だけ地中からはい出て、巣穴の入り口を砂で覆ってしまいます。これでもうゴキブリは2度と日の光を見ることはありません。
母蜂にぐずぐずしている暇はありません、次なる犠牲者 (ワモンゴキブリ) を探しに行く必要があるからです。1匹のエメラルドゴキブリバチの母親は、およそ1ダースものゴキブリに卵を産み付ける必要があるからです。
~ 再生 ~
卵を産み付けられて3日後、エメラルドゴキブリバチの幼虫が卵から孵るとゴキブリの外骨格に穴を開けゴキブリの体内に移動します。
ゴキブリは生きているにも関わらず、そして自由に動き回れるにも関わらず、なんの抵抗も見せません。ただ黙って幼虫に自分の体を提供し続けます。
生まれながらに食べ方を知っている幼虫は、ゴキブリを絶命させることなく、毎日毎日生きたままの新鮮なゴキブリの内臓を食べ続けることが出来ます。
生きたゴキブリを食べ続けて8日後、エメラルドゴキブリバチの幼虫はゴキブリの体内でサナギになります。
そして、1週間以上もの間、生きたまま食べられ続けるという過酷な使命を終えたとき、ゾンビゴキブリは静かに息を引き取ります。
ゴキブリが死して4週間後、エメラルドゴキブリバチはまるでゴキブリの生まれ変わりのように、ゴキブリの体を乱暴に突き破ると、その美しいエメラルド色の姿を現します。
<参照サイト>
● Boing Boing
● Animal Photo Album
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-705.html
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…困った蜂だよ。
いつもは視界に入ったら瞬殺しているゴキブリが。
今回ばかりは可哀想で、もう。
寄生系のネタの書き置きがたくさんあるんですが、気持ち悪がられるので躊躇してたんですけど、思い切ってこちらもアップ。
ねー不憫でしょう、このゴキブリ、宇宙厭人ゴリさんのように、さすがにかわいそうに感じる人もいると思います。
長ったらしい説明がイライラするな。
題材は面白いのに勿体ない。
寄生虫にしろ、寄生動物にしろ、気持ち悪がられますが、人間など考えられないほどすごい生活史を歩むものが多くて、興味深いですよね~
このハチはどうやってこの「技」を身につけたんでしょうね?
長年の進化の結果が「ゴキブリの脳味噌の一部のみを破壊して、巣穴まで引っ張っていく。」
だなんて、なんとも奇妙な進化をしたものですねぇ。
この地球の生物の多様性と生態系の複雑さがよくわかりますね。
はは、確かに、偶然の一匹が子孫を繁栄させたと考えたくもなっちゃうほど不思議なことですものね、ほんとにどうやって進化したんでしょうね。
いやー全然見当も付きませんね、逃避反射をつかさどるニューロンがそこにあって、そこを壊せば連れて歩ける、ってことが分からないと、そういう行動に出ませんから、この習性を獲得した進化の歩みを見てみたいですよね。ほんと不思議です、芸術です。(笑)
どうですかね、タマムシと違って甲虫じゃないですし、乱獲はされないんじゃないですかね?ちょっとハエっぽいですし。
ところで、数の多いゴキブリに着目したこの蜂はなかなか目の付け所がよかったと思います。
確かに蜂と蟻の刺す技術は天下一品ですね。実は僕は何回かアシナガバチに刺されているので、ちと怖い生き物です。アナフィラキシーショックで死なないように気をつけます。(笑)
こんな情報はどこから~?って気になります。
ゾンビシリーズは続けてほしいです。
なかにはすごいやつがいるんですね。。
自分で歩かせる・・
この発想は昆虫とは思えないですね。。
またきます!!
こういった寄生系の生物はとても多いですよ、今回は宿主がゴキブリだったのでインパクトがあったのだと思いますが、他にもゴキブリほどインパクトはありませんがたくさん、ほんとたくさん存在します。
すでに記事は書き終わっているものもいくつかありますが、習性的には似ているといえば似ているので、あまり連続しても飽きてしまうと思いますので、ちょこちょことアップしていく予定です。
またそのうちアップしますので、他の記事もいろいろと楽しんでください。
キメラアントはこの生き物から思いついたのではないでしょうか?
ラルド「コノ辺刺したらいいかな~?」
ゴキ「うっ・・・」
ラルド「まだピクついてるなぁ もう一発ドコか刺してみよ」
ゴキ「・・・・・・」
ラルド「お、鈍く成ったラッキー 後は引っ張ればいいじゃん」
ゴキ「・・・」
こんなテンションな気がするなあ 笑
しかし、何かとエサにされたり植え付けられてるゴキっちカワイソスw
リンク先のyoutubeの動画はなぜか見れません
私だけでしょうか?
スレのリンクに釣られてきたけど、
面白くてグロい…
いつもはUMA記事のみ見るのですが、「ゾンビ化?」につられて。
メタリック?食い破って生まれる?等々。
ああ、これはエイリアンだぁと。
大変面白い記事を感謝します。
また遊びに来ます!!
・・
>エメラルドゴキブリバチは生まれたてのひな鳥が母親についていくように、手を引かれ
の部分ですがゴキブリとハチを書き間違えていませんか?
> ・・
> >エメラルドゴキブリバチは生まれたてのひな鳥が母親についていくように、手を引かれ
>
> の部分ですがゴキブリとハチを書き間違えていませんか?
kameさんこんにちは
はい、完全に間違ってますね(笑)、今度直しておきます
ご指摘ありがとうございます。