本記事ではE-moteによる新たな動的演出について検討していきます。
そこそこ長いので目次を出しておきます。気になったところからどうぞ。
それでははじめていきます。
◆ E-moteの概要
◆ E-moteに対するノベルゲームの演出要件
(1) 立ち絵による新たな情報の追加
(2) 立ち絵の動的演出による視点の支配、あるいはテキストと動的演出の相反性
(3) 立ち絵の動的演出による時間支配
(4) 立ち絵動的演出の全シーンへの適用
(5) 動く立ち絵と動かない一枚絵
(6) 回答1…ドラマティックモード
(7) コスト要件
◆ E-moteの美少女ゲームへの作用
(1) 可愛いの追求 -仕草という強力な“萌え”の獲得-
(2) 絵の品質は落とさず動く
(3) たゆんたゆんは良いエロゲー
◆ E-mote演出の可能性
(1) E-mote論 総括
(2) E-moteの可能性 -E-moteの部分使用-
(3) 今後のE-moteへの期待
◆ E-moteの概要 ノベルゲームではお馴染みの立ち絵ですが、通常立ち絵はその名の通りただ突っ立っているだけでそれ自体がアニメーションのように動くことはありません。よくある立ち絵の動的演出はせいぜい画面上の立ち絵を移動させたり、立ち絵の差分を切り替えたりするくらいです[*1]。しかし中にはキャラクターを3Dモデルで作成したりアニメーションを取り入れたりで立ち絵がきれいに動く作品もあります。そんな中で、今回はういんどみるが新作『ウィッチズガーデン』で大々的に取り入れた立ち絵がぬるぬる動くシステム「E-mote」について考えていきたいと思います[*2]。
「E-mote」って何それ?って方はとりあえず、このムービーを見て下さい。E-moteがおおよそどんなシステムかわかることでしょう。
VIDEO ↑ ウィッチズガーデン E-moteプロモーションムービー「みんなのE-mote」
立ち絵がアニメーションのように連続性をもって動いていることがわかるかと思います。その動きはさらにキャラクターの声に同期させて本当にしゃべっているかのように見せかけています。完全なアニメーションとまではいきませんが、それでも動きの情報は十分に伝わりますし、キャラクターの仕草に大きな違和感もありません。
このように、E-moteでは従来のノベルゲームになかった類の動きの表現を演出しています。
このE-mote、やっていることは立ち絵の差分と差分の切り替え時に生じる空白の補填です[※3]。立ち絵の差分が切り替わる時、その差分と差分の間には目に見えてわかる絵の違いがあります。その立ち絵から立ち絵の切り替わりにモーションを加え空白を埋めることで、あたかも動いているかのように見せかけています。何種類もある動きのパターンは大量の立ち絵差分の組み合わせによって成り立っています。
立ち絵の差分を多く用意して場面場面に合わせた立ち絵を表示させること、それ自体は多くのノベルゲームで成されてきたことです。中でもういんどみるは1000をも超える組み合わせの立ち絵差分を用意したこともありました[※4]。大量の立ち絵差分を使った立ち絵芸を演出の柱としていたういんどみるですが、今回はその多分の立ち絵をつなぎ合わせた「E-mote」というシステムを取ってきました。これは従来の立ち絵演出からすると大きな変化です。テキスト+背景+立ち絵(もしくは一枚絵)というノベルゲームの画面を構成する大きな枠組は変わっていませんが、その中の立ち絵の扱いは大きく変わっています。従来、立ち絵の差分を切り替えるもしくは移動させてキャラクターの動きの表現(=動的演出)を行ってきたものが、立ち絵そのものを変化させることで動的演出を行うことに成功しています。
このE-moteシステムによる立ち絵の動的演出でゲーム内にどのような変化があるでしょうか?
*1:参考:立ち絵が走る時 ~立ち絵演出考察(2)立ち絵による運動表現~http://udk.blog91.fc2.com/blog-entry-692.html *2:E-moteのように立ち絵が動くゲームはこれが初出ではありませんが、考察するには良い機会なので 参考:Wikipeia モーションポートレート *3:『ウィッチズガーデン』でE-mote機能をオフにすると立ち絵差分がカクカクして切り替わっているだけなのがわかるかと思います。キャラクターギャラリーのアクションモードはE-moteのオン/オフがとてもわかりやすいです。 *4:立ち絵のパターン数(差分)は最高いくつ? http://udk.blog91.fc2.com/blog-entry-472.html 1枚のイベントCGに使われている差分は最高何枚? http://udk.blog91.fc2.com/blog-entry-471.html ◆ E-moteに対するノベルゲームの演出的要件 ノベルゲームの演出として考えるとE-moteは今までになかった表現を持ち込むことが出来ます。それはキャラクターの仕草と表情の変化です。しかし、今まで動かなかったものを動かすとなると、従来までの読み方と異なる部分が発生したり、課題となる部分も出てきます。ここではE-moteによって可能になることと変化することをノベルゲームの演出的要件から考えていきます。
(1) 立ち絵による新たな情報の追加 E-moteによって可能になるのは新しい形の「動き」の表現です。
会話中のキャラクターの仕草や表情の表現がそれにあたります。E-moteではしゃべってる途中で目をそらしたり、頬を赤く染めたり、もじもじしたりと様々な動きを取ります。中でもキャラクターの目を動かして視線を表現する演出がとてもおもしろく、ただ目が動くだけでキャラクターがどこを見ているか、さらにはどんな気持ちなのかということまで表現できています。
今までは会話の前後で切り替わる立ち絵(表情)の変化でしゃべってる間の動作(表情)が補完されていましたが[*5]、E-moteではしゃべってる間のキャラクターを動かすことでどのようにしゃべっているかを忠実に再現することが出来ています。
ただし、E-moteは立ち絵差分の切り替わりの補填を行っているだけなので、E-moteによる動きの演出には多くの制限があります。アニメーション作品のようにどんな動きでも表現できることではありません。その動きの程度は絵素材をどのように用意してどのようにつなぎ合わせるかで決まるでしょう。それは制作者次第です。しかし、今までできなかった立ち絵の動的演出が可能となること、これによってノベルゲームとしての表現の幅が広がることは間違いないでしょう。
*5:テキスト進行中に立ち絵を切り替える演出もありますが、完全に動きがつながっているわけではないので別表現ということで。(2) 立ち絵の動的演出による視点の支配、あるいはテキストと動的演出の相反性 E-moteのように立ち絵の動的演出を常時行うとゲームの画面内の構造も変化します。
ノベルゲームの画面構成は通常、絵とテキストで成り立っています(音についてはまたあとで)。プレイヤーは表示されている絵を見ることとテキストも読みことのふたつを行います。しかし、絵とテキストを同時に見るということはありません。ノベルゲームでは画面に表示されているテキストを読み終わりクリックすると次の画面に切り替わります。その時、テキスト以外に絵の方も切り替えると、プレイヤーはその絵を一瞬確認して、そのあとテキストを読み進めていきます。絵とテキストという別々の場所にあるものに対して画面切り替わる度にプレイヤーは無意識に自分の視点を切り替え、絵を見てテキストを読むという繰り返しをしていくわけです[※6]。
↑ 絵とテキストが同時に表示された時、どうやって読みますか?
それに対してE-moteでは主人公以外のキャラクターがしゃべっている時、画面上の立ち絵がその動きの程度はあれ常時動き続けます。キャラクターがしゃべっていない地の文であっても時折立ち絵が動くことがあります。そうすることによって起こるのが立ち絵の動きを見続けてしまうためにテキストを読み進められないという現象です。
プレイヤーは立ち絵が切り替わったのを確認してすぐにテキストを読み進めようとしますが、立ち絵が動いている間は動いている立ち絵を追い続けてしまいます。その間はテキストを読もうにもチラチラ動いている立ち絵の方に目がいってしまいです。人は何か動いているものがあるとどうしてもそちらの方を注視してしまうのでこれはどうしようもありません。通常のノベルゲームのように立ち絵の切り替わりを確認したら即座にテキストを読む工程に移るという流れが阻害されてしまいます。思い切って立ち絵の動的演出を無視してしまうのも手なので実際のところは二択になるのですが、その場合E-moteの動的演出の意味がなくなります。まあ慣れてきたらうまいことテキストを読みながら立ち絵を見るというのも不可能ではありませんが(実際ウィッチズガーデンの場合だとずっと注視しなければならないほど大きく動くことは少ないですし)
このように立ち絵の動的演出はテキストを読む作業と相反性があります。
*6:クリックして画面が切り替わる際にテキストが表示される前に一瞬間を置いて、意図的に絵の変化を先に見せる手法をとっている作品もあります。(3) 立ち絵の動的演出による時間支配 E-moteによって変わるのは画面構造の変化だけではありません。ノベルゲームの時間支配の関係も変わります。
(2)ではボイスのことを考慮していませんでしたが、ボイス有りの作品は多数あります[*7]。今回E-moteを取り入れた『ウィッチズガーデン』もフルボイスの作品です。フルボイスのゲームの場合、絵とテキストを交互に読んでいくことに加えてキャラクターの声を聞きながらテキストを読むという動作が加わります。絵を見てテキストを読みながらボイスを聞く、この一連の動作の際テキストを読む方がボイスより早いので、テキストを読み終わったらボイスが再生し終わるまで待たずクリックして次のテキストを読むプレイヤーも多いかと思います。
それに対してE-moteの立ち絵動的演出はキャラクターのボイスと完全に同期されており、キャラクターが動いているのを見ていると同時にボイスを聞くことになります。そしてキャラクターの動きが終わるとボイスも全部聞いたことになり、テキストを読む必要がなくなります。
つまり、通常のノベルゲームとE-moteでは、絵とテキストとボイスの時間関係が以下のように異なります[*8]。
通常のノベルゲームだとプレイヤーが絵を見る時間、テキストを読む時間、ボイスを最後まで聞く/聞かないというのはプレイヤーの自由に出来ますが、E-moteの場合だと立ち絵の動作とボイスが同期されておりそれらの時間が支配的になります。ただしアニメーションやノベルゲームでも時折使われる完全オート進行とは異なり、E-moteは完全に支配的なわけではありません。プレイヤーが時間を支配する選択の余地は十分に残っています。クリックすると動的演出がカットされ、動的演出を全て見る/見ないの選択ができますし、また立ち絵とボイスが同期されているのはあくまでワンテキスト内に限定されています。あるテキストから次のテキストに移る間はプレイヤーが時間を支配します。
このように時間を支配できるということは制作者の方では時間を演出に組み込めるのでその分演出の自由度はあがります。制作者が狙った通りに読ませることも可能です。しかし、プレイヤーの方にある程度の支配力を残しておかないと、プレイヤーの好きなスピードで読む自由を阻害することにもなります。この辺の関係性は難しいところです。
*7:ボイス以外の情報としてBGMもありますがこれを考慮するとさらに複雑になるので今回は対象外で。 *8:今回、ボイスを全て聞かずテキストを読み終わったらクリックして次のテキストを読むプレイスタイルを前提として話を進めていますがそこはご容赦を。(4) 立ち絵動的演出の全シーンへの適用 『ウィッチズガーデン』のように立ち絵の動的演出を全ての場合に適用すると時間的支配度が上がるということですが、それにより起こるのが単純なプレイ時間の増大です。ボイスを全て聞くとなると単純に総プレイ時間は何割も増してしまいます。またプレイ時間の割に話の展開を遅く感じたりも[*9][*10]。私も途中展開が進まなくてまどろっこしい部分はテキストを読むのを優先してところどころ立ち絵の動きを見るのをスキップしたりしました。
時間的要素以外にも全シーン適用による効果はあります。それがテキストの価値の低下です。テキストよりも先に立ち絵を動かすということは、テキストよりも立ち絵の動きや声の情報が先に入ってしまいます。つまりテキストを読む必要が無い場面が増えます。それはテキストを“読む”よりも立ち絵を“見る”、ボイスを“聞く”場面が増えるということです。“読む”、“見る”、“聞く”の違いが実際プレイヤーにどのような影響を与えるかは一概に言いにくいですが、制作者はそれに合わせて作品を作り込んでいかなければならないでしょう。
また、立ち絵の動的演出も先に述べた通りアニメーションのように完全ではないので、先に立ち絵が動いてしまうとテキストでしか表現できない微妙な動きの情報を表現するのは非常に難しくなります。表現の幅を広げているだけのように見えて、狭めている部分もあるわけです。
*9:そう感じたのはウィッチズガーデンの共通部の展開がゆっくりしていたからだけかもしれませんが…… *10:キャラクターのしゃべるスピードが遅かったりすると全部聞くのにストレスが溜まっていくという悲劇が起こるので制作する際にはそれだけは注意した方がいいかもしれません。(5) 動く立ち絵と動かない一枚絵 立ち絵が動くことによって際立つのが動かない一枚絵です。『ウィッチズガーデン』では、立ち絵はE-moteを用いて動かしていましたが一枚絵には適用されていませんでした。立ち絵があれだけ動くので、動かない一枚絵を見るとしょんぼりしてしまいます。一枚絵も短い時間だけ表示されていたり、差分による切り替わりが多い分には問題無いのですが、あまり動きがない状態が続くと残念に感じます。また、立ち絵が表示されている際の背景も動きません。しかし、背景まで忙しく動き回られるとどこを見ればいいのかさらにわからなくなるので、動かすにしても少しだけで良いでしょう。
背景や一枚絵にまでE-moteを適用するのはコスト的に厳しいのかもしれないので、その辺は保留でしょうか。ただ立ち絵と一枚絵の落差だけはなんとかしたいところです。
(6) 回答1…ドラマティックモード 立ち絵の動的演出を最後まで見ていたらテキストを読む必要がなくなったという事象に対して、制作者が推奨しているのがドラマティックモードの適用です[*9]。ドラマティックモードというのは、オートモード再生時キャラクターのボイスが再生されている状況ではテキストウインドウが消えるモードです。ボイス再生時はテキストを読まずただ絵を見て声を聞くのみとなります。
今までシステム内に実装されているゲームはいくつかありましたが、非常に使う意義が薄かった機能です。しかしE-moteによってその価値が少し上がったのではないでしょうか。
*11:『ウィッチズガーデン』コンフィグ画面 ドラマティックモード ↑
(7) コスト要件 E-moteを導入するにあたってはコストの問題が一番に響いてくるでしょう。
・システム導入のためのコスト(プログラム)
・演出指示の増加(スクリプトの増加)
・立ち絵差分の増加
ざっと思いついたものを並べてみました。それぞれに必要なコストがどの程度のものであるかは実際に私が制作しているわけではないのでわかりませんが少なくはないでしょう。
◆ E-moteの美少女ゲームへの作用 何故ういんどみるがE-moteを取り入れたのか、それはういんどみるが美少女ゲームメーカーであることに強く起因していると考えられます。E-moteを美少女ゲーム[*12]に導入することによる作用を述べていきましょう。
*12:美少女ゲームといっても十把一絡げでその中にはエロさを追求したものからシナリオを重視したものまで様々なものがありますが、今回はキャラクターの可愛さを重視している作品への作用を検討していきます。いわゆる萌ゲーと呼ばれている作品ですかね。 VIDEO ↑ ウィッチズガーデン E-moteプロモーションムービー「みんなのE-mote」E-moteの長所を端的に紹介
(1) 可愛いの追求 -仕草という強力な”萌え”の獲得- 美少女ゲームはお話のおもしろさも大事ですが、キャラクターの可愛さというのも大事なことのひとつです。特に今回E-moteを取り入れたういんどみるのようなブランドだとキャラクターの可愛さというものを第一に考えているように思います。そのようなブランドにとって如何にして可愛い女の娘を描くかというのは、ある種永遠の課題です。それに苦心している制作者も少なくないでしょう。
その点、E-moteはキャラクターを少しでも可愛く見せるために有効なシステムであるといえます。E-moteでは立ち絵を動かすことによりキャラクターの仕草と表情の変化を表現できます。
キャラクターの可愛さを演出する手法としてキャラクターの仕草や表情というものはとても効果的です。ただ頬を染めるだけよりも、もじもじしながら頬を染めた方が可愛い。ただ赤くなるよりもうつむきながら赤くなる方が可愛い。目が動いて上目遣いになるところも可愛い。「うん」と頷く仕草とか「違う」と首を振る仕草とか可愛いです。目があっちいったりこっちいったりする動作が可愛いです。つまり……
E-moteで動く女の娘が可愛いんです! 普通の立ち絵演出よりも可愛いんですよ!! 表情豊かにちょこまか動くあやりが可愛いんですよ!!! あやりの自己紹介シーンとかとても可愛いんですよ!!!! ↑ あやりの自己紹介シーン その動きを一目見て惚れました
……ちょっと熱くなってしまいました。
このようにE-moteによって可能になるキャラクターの仕草と表情の変化がキャラクターの可愛さを演出する手法として一役も二役も買っています。可能なことなら私のE-moteベスト動的演出シーンを切り取ったセーブファイルをお見せしたいところですがブログではそれは少々難しいので、皆さんも製品版(もしくは体験版)をやってみて下さい。E-moteを体感してみるといいと思います。
(2) 絵の品質は落とさず動く 美少女ゲームでは静止画の状況でいかに可愛く女の娘の絵を描くかということにを追求してきました。それは絵の質が売上に左右するほどに……。
E-moteはアニメーションのように動かす前提で絵を描いているわけではないので、一枚一枚を切り取った時、どの絵もとても丁寧です。E-moteでは動きを取り入れましが、動いているにもかかわらず絵の質は落ちていないし動きによる違和感もないというのはとても大事なことです。ここもちょっと評価したいポイントです。
(3) たゆんたゆんは良いエロゲー 『ウィッチズガーデン』のE-mote最大の目玉、それがたゆんたゆんシステム(勝手に命名)です。そう、胸がたゆんたゆんに揺れるんですよ[*13]。女の娘が動くと胸が揺れるという人類の夢[*14]を実現しています!
『ウィッチズガーデン』ではキャラクターの胸揺れ度を設定することができます。まあ紳士の皆様方は当然MAXのたゆんたゆんにしますよね。私もプレイ時は終始MAXのたゆんたゆんに設定していました。
↑ たゆんたゆん以外の選択肢は認めない
『ウィッチズガーデン』をはじめた時、私は胸に釘付けでした。テキストよりもキャラクターの動きよりも、何よりもおっぱいの動きに注目してしまいました。ノベルゲームの演出要件で話したテキストと動的演出の相反性には、動的演出の中におっぱいとそれ以外の相反性も含まれています。いったいどこを見ればいいのか、まあ動いているものがあるとどうしてもそれを見てしまうので仕方ないことです。途中から我慢してなるべく胸部を見ないようにしていました。
私はこれまでキャラクターの胸の大きさをさほど気にしていませんでしたが、このたゆんたゆんに揺れるおっぱいを見ると、胸の大きさも大事だということがわかりました。大きいおっぱいもいいですね![*15]
↑ テキストを見ればいいのか、顔を見ればいいのか、胸を見ればいいのか
*13:まあ髪も揺れるんですけど胸と比べるとどうでもいいので *14:SORAHANE『さくら、咲きました。』より人類の夢 -Dream of Human- http://www.sorahane.org/sakusaki/doh.html このE-moteもきっと人類の夢のひとつ -Dream of Human たゆんたゆん Edition- でしょう。 *15:ですが、18禁シーンで動かない胸に萎えました。今回のE-moteで一番がっかりしたのはそこです。エロゲーで萎えさせてしまうのはよくないですね。◆ E-mote演出の可能性 最後に今回の記事の総括と今後のE-moteの可能性について考えていきます。
(1)E-mote論 総括 今回、E-moteのノベルゲームに対する演出的要件と美少女ゲームへの作用について検討してきました。E-moteによる立ち絵の動的演出は美少女ゲームにおいて仕草と表情という強力な“萌え”を獲得します。これは美少女ゲームにおいて大きな利点であり、キャラクターの可愛さを追求する上では有益なものでしょう。たゆんたゆんに揺れる胸はとてもわかりやすいアピールポイントです。
E-moteは利点だけでなくプレイヤーがゲームをする上での変化ももたらします。画面構造や時間支配の変化がそれです。プレイヤーに対する絵とテキストとボイスと時間の関係性については、E-moteの関係性が最適であるとは限りません。演出文法の種々の変化の中でどのような演出を組むか、制作における演出家の役割が増えることでしょう。
しかし、明らかなデメリットもあり、コストの増大という制作する上で致命的なものも孕んでいます。限られた予算と開発期間に対して導入に踏み切るか否かは制作者次第です。
(2) E-moteの可能性 -E-moteの部分使用- 仮に予算的都合でE-moteの採用が難しい場合、E-moteを場面全体に適用するのではなくいくつかのシーンに限定して使用するという方法が採れるのではないでしょうか。そうすればもっとE-moteを活用しやすくなるでしょう。
今回『ウィッチズガーデン』をやっていて感じたのが常時動かす必要は必ずしもないのではないかということです。動いているがその動きが意味の薄いシーンが多々ありまして、そうしたシーンまで動かす必要があるのかと疑問に感じました。立ち絵の動きを全部見ようとするとボイスを全部聞くのと同義になり時間的支配やプレイ時間が増大します。そのため、私も途中展開が進まなくてまどろっこしい所はテキストを読んでところどころ立ち絵の動きを見るのをスキップしたりしました。
いや、いくつかのシーンはE-moteが本当にぴったりきまっていてとても良かったのですが、それならそういうシーンのみ限定的に動かすのもアリなのではないかと。必要に応じて最大限の効果を発揮するポイントで使用できれば十分効果的なのではないかということです。そのE-moteを活用するのはストーリーの山場やキャラクターの可愛さを演出するシーンなど、萌ゲーに限らず、シナリオ重視の作品にも活用できるのではないでしょうか。
ただし、いくつかのシーンに限定的に使用する場合、いきなり動かすわけですからその辺の配慮は必要になるかと思います。常時動かすメリットは立ち絵が動くのがわかっていることであり、それが前提で演出を組めることにあるのですから。
(3)今後のE-moteへの期待 予算的都合がつく場合、『ウィッチズガーデン』のようにE-moteを場面全体に適用することも可能です。そうした場合、総括でも述べたように、演出文法の違いにどうやって対処するか、既存の文法にどうやって溶け込ませるかは課題となるでしょう。
そしてE-moteで立ち絵の動的演出を行うという試みもまだまだ始まったばかりです。E-moteを用いてどのように動かすことができるのか、どのように動かすのがそのシーンに最適かとうのはまだまだ検討の余地があるかと思います。
既存の立ち絵演出に付け加える形でE-moteがどのように発展していくか、とても楽しみです。現状ではE-moteは可愛さの追求の面が強いですが、これが物語を演出するための表現の追求として機能していくのに期待しています。
参考 ●
ういんどみる ホームページ ●
ウィッチズガーデン ホームページ ●
立ち絵が座る瞬間 ~立ち絵演出考察(1)立ち絵配置による舞台形成~ ●
立ち絵が走る時 ~立ち絵演出考察(2)立ち絵による運動表現~