あれっ、今後の日米関係を占う提訴?
【 米国のフレンドショアリング 】
以下は日経電子版記事の一部抜粋
[FT]日鉄問題、米の「友情」に傷 買収拒否で揺れる同盟
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB064NQ0W5A100C2000000/
危機と混乱から生まれた言葉
フレンドショアリングという言葉の弱さは、米国が歴史的に「フレンド(友人)」という言葉をどのように使ってきたかでわかる。外交でも産業でも、米国では多くの人々がヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の言葉を好んでいる。
冷戦1.0時代、キッシンジャー氏は正確にそう言ったわけではないかもしれないが、「米国には永遠の友人や敵は存在せず、あるのは国益だけだ」といった意味の話をしており、その言葉は真実を突いている。
日本に注目している投資家のアンドリュー・マクダーモット氏は、「ソニーは依然としてアップルにカメラセンサーを供給している唯一のメーカーで、テスラは日本のロボットなしでは何も製造できない。ボーイングの最先端部品の40%近くは日本企業が供給している」と述べている。
それにもかかわらず、USスチールの買い手としてふさわしいことを説得すべく対米外国投資委員会(CFIUS)やバイデン大統領に働きかけてきた日鉄の数カ月にわたる努力は、無駄骨に終わったようだ(編集注、本稿はバイデン大統領が現地時間3日に中止命令を正式に発表する前に公開)。
間もなく退任するバイデン大統領は、日本最大の鉄鋼メーカーである日鉄によるUSスチール買収に反対の立場を明確にしてきた。CFIUSを構成する9つの政府機関の見解は分かれており、仮に日鉄が米国における鉄鋼生産量を削減すれば、米国の安全保障が脅かされかねないと警告していた。
その規模の割に政治的な影響力が大きい米国の鉄鋼業界において、大統領選挙の年に日鉄が150億ドル(約2兆3600億円)規模の買収を目指したことは、政治的に無頓着だったと指摘する声もある。
だが、それは批判する対象を誤っており、日本側が買収を実現させるために提示してきた譲歩の数々を過小評価している。
日鉄の案件は何とか前進するかもしれない。だが、米国が重視する「友情」という言葉は深刻な打撃を受けそうだ。フレンドショアリングは概念として存続するかもしれないが、今回の一件で明らかになった現実の前では、この言葉はあまりにも生ぬるい。
(2025年1月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)
ご参考)日本製鉄会長、米当局の審査は「結論ありきの政治介入」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC06BCF0W5A100C2000000/
<感想>
日鉄は6日付で買収計画に不当な政治介入があったとしてバイデン氏らに加えて、買収妨害行為でUSWのマッコール氏、クリフスと同社CEOも提訴した
今後の日米関係を占う訴訟の行方が大いに注目される
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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