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星野リゾート、新ブランド「OMO」を定例会見で説明。「OMO7 旭川」は2018年4月28日、「OMO5 大塚」は5月9日開業予定

「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」

2017年10月5日 開催/Webサイト公開

2017年11月15日 Web予約受付開始

星野リゾートは定例発表会を開き、新しいホテルブランド「OMO」について説明した

 星野リゾートは10月5日、都内で報道向け定例発表会を開催。そのなかで新しいホテルブランド「OMO」について説明した。

 このOMOブランドで2018年4月28日に「OMO7 旭川」(北海道)が、5月9日に「OMO5 大塚」(東京都)が開業予定であり、発表会同日にOMOブランドのWebサイトも開設した。

 リゾート地ではなく都市部を中心にした立地で、ビジネスではなく観光を目的にした顧客層に向けて「新たな旅の提案をしていく都市観光ホテルブランド」として、旭川、大塚を皮切りに全国に展開する予定。また、2022年に大阪の新今宮駅前に開業予定の施設もOMOブランドになる予定だという。

星野リゾートの新ホテルブランド「OMO」

開業予定日:「OMO7 旭川」は2018年4月28日、「OMO5 大塚」は5月9日
Web予約受付:2017年11月15日予定
Webサイト:星野リゾート「OMO」

星野リゾート 代表 星野佳路氏

 発表会では星野リゾート 代表の星野佳路氏が、OMOブランドが誕生するきっかけから説明した。

 星野リゾートが2005年に長野県松本市の温泉旅館の再生に携わった際、温泉地の集客は減少しているのに、その地域の集客は伸びているという現象を発見した。どこかに流れているはずの観光客の動向を調査したところ、周遊を目的にした観光客は温泉地ではなくビジネスホテルに泊まっていることが分かったという。

 そういったビジネスホテルの宿泊客の目的を調べると、ビジネスよりも観光目的が多く、しかしその満足度は、予算面、立地、施設の清潔度など「大きな不満はない」が、「旅のテンションが下がる」という部分に集約される意見が多く見られた。

 この観光目的だがビジネスホテルに泊まる層があるという状況に、星野リゾートが参入するべき重要なマーケットがあると判断したとのこと。

一例として温泉地の宿泊者数は減少しているのに、観光客は減少しておらず、それがビジネスホテルに流れているという。ビジネスホテルを利用する観光客は、宿泊施設に不満はないが「なぜかテンションが下がる」という意見がある

 新ブランド「OMO」のコンセプトは「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」。「都市型ホテルがビジネス客ではなく観光客だけのことを考えて建物とサービスを提供するときにホテルはどうあるべきか」をテーマに掲げている。

 OMO7 旭川は「リブランドオープン」であり、もともとは1920年(大正9年)に「北海屋ホテル旭川支店」として開業した長い歴史を持つ、「旭川グランドホテル」を母体にしている。旭川駅から徒歩約13分、タクシーで約5分という立地にあり、「旭川グランドホテルという不動産の価値以上に、事業戦略を実行する実力を持ったスタッフが数百人いることが大きな資産」と紹介した。

新ブランド「OMO」のコンセプトは「旅のテンションを上げる都市観光ホテル」
OMO7 旭川は「旭川グランドホテル」のリブランドとなる

 リブランドにあたって旭川グランドホテルでは4月からコンセプト委員会が始動し、宿泊部門やレストラン部門などの各部署をつらぬいた「スクラムを組む」という体制のもと、「都市観光において何がコンセプトになり得るか」「誰に何を提供するか」を検討してきた。

 その取り組みのなかで、旭川グランドホテルの宿泊客はチェックイン後にホテル館内の飲食店である「外来レストラン」を利用せず、街に出て夕食をとることが多く、そこにヒントを見つけたという。

 従来はホテルの外来レストランと街の飲食店は競合関係にあったが、「戦うのではなく協力し合って、旭川を訪れた観光客に旭川の思い出を作ってもらうことは考えられないか」という方向でコンセプトが定まってきた。

 ホテルがある地域にどんな飲食店があるのか、どんな観光の魅力があるのか、それを宿泊客に伝えようとしてたどり着いた旭川グランドホテルとしてのコンセプトが「まちなかみつけたび」。これまでホテルは客室を売ってきたが、「旅を売る」ということをこの言葉に込めているとのこと。

旭川グランドホテルのスタッフらとともにコンセプトについて検討を進めてきた
コンセプトは「まちなかみつけたび」

 星野氏は従来のシティホテルが“百貨店的”に「宿泊」「ブライダル」「外来レストラン」「宴会」と事業を展開し、それぞれが周辺地域にある宿泊特化型ホテル、ハウスウェディング、地域の飲食店や大型施設と競合し、シェアを失っていることが、ホテルの収益を低下させていると指摘。

 そこで「プロダクトプロトコルマネジメント」の考えにホテル事業を当てはめ、収益の柱だが市場の成長率がそれほど高くない「宴会」と「ブライダル」を「Cash Cow(稼ぎ頭)」とし、そこで得られた利益を、今後も市場の成長率が高いと思われる「宿泊」に回して「スター」へ育てるため、シェア拡大のため投資する。そして外来レストランも周辺地域との競合があるため縮小していく。そういう考え方でシティホテルをリブランドしているとのこと。

「プロダクトプロトコルマネジメント」の考えにホテル事業を当てはめて、ホテルの成長を考えている

 また、「スクラムを組む」とはホテルの従業員だけではなく地域全体でスクラムを組む必要があるという。

 星野リゾートがリゾート地で展開するホテルは、宿泊客に来てもらうための理由作りから始めなければならないが、今回の取り組みでは、地域に魅力的な観光コンテンツがすでに存在する。

 そういった地域の飲食店、観光施設、アクティビティ提供業者らとスクラムを組んで、ホテルと地域で1つのリゾートとし、宿泊客にテンションを下げずに楽しんでもらうこと、その魅力を日本中、世界中に発信していくことを目標にしている。

 例えば宿泊客には夕食は地域の飲食店へ行って楽しんでもらい、一方で地域の飲食店が営業していない時間帯、朝食であったり、夕食後ホテルに帰ってからの過ごし方であったり、そこを外来レストランが受け持つといったことで、ホテルのサービスを提供していく考えだ。

 ホテルと周辺地域を宿泊客に楽しんでもらうために、半径「500歩内」で1つのリゾートのように機能するにはどうすればいいかを地域とともに考える過程のなかで、地元の学生が「500歩マップ」というものを作ってくれたという。内容はまだまだ成長の余地があるが、「旭川グランドホテルから始まる星野リゾートの都市観光ホテルのコンセプトを表現してくれている」と紹介した。

ホテルと地域がスクラムを組んで1つのリゾートとして観光客に楽しんでもらう

 ここであらためて星野氏はOMOのブランドコンセプトを説明する「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル。旅先をまるごと楽しむディープなご近所の魅力と、お茶目な仕掛け満載のホテルステイが、旅のテンションを盛り上げます」というメッセージを読み上げ、コンセプトムービーを紹介した。

OMOのコンセプトを紹介するムービー

 OMOはビジネスではなく観光に特化した都市型ホテル。そしてホテルで提供する「サービスの幅」については「広い(価格帯が高い)」ものから「限定的(価格帯が安い)」ものまでを、OMOブランドでカバーするとのこと。

 そのサービスの幅を分かりやすくするために「9(広い)」から「0(限定的)」までホテル名に番号を振っていく。OMO5 大塚であれば中間に、OMO7 旭川であればややサービスの幅が広い方に位置付けられていることになる。大阪・新今宮駅前の施設については、部屋数や施設などの仕様面が定まり次第番号も決めるとのこと。

OMOブランドの位置付け

「OMO」という名前の由来については、大量の候補のなかから絞り込まれたが、その大量の候補にどういった経緯でOMOが入ったのか「社員の誰に聞いても分からない」そうだが、星野氏は日本人も海外の人も簡単に読めて覚えやすい名前であり、かつ商標を取得できるものをと社内では明言していたという。

 また、OMOブランドのこだわりとして、読み仮名は「OMO7」であれば「おもせぶん」、「OMO5」であれば「おもふぁいぶ」とひらがなで表記している。カタカナにすると外来語のイメージになってしまうため、日本のブランドであることをアピールしていきたいとの考えだ。

「OMO7」であれば「おもせぶん」、「OMO5」であれば「おもふぁいぶ」とひらがなで表記してほしいという