今の保育園の問題は、「日本の競争力強化の阻害要因」の問題であって「弱者救済の福祉の不備」の問題ではない。

日本大好きとろろ蕎麦です。今日はタイトルだけ覚えて帰ってください。

今日も長いので要旨

  • 保育園落ちた、というのは"認可"保育園に落ちた、という意味ではなくて"保育園"に落ちた(預ける選択肢がなくなっている)、ということ
  • そのため、本来働いて経済に貢献できるはずの人が働けなくなる、経済にとっての機会損失が発生しており、結果日本の競争力低下につながる問題(全般的には、”女性の社会進出”を阻む壁、という事になってるかもしれません)
  • 解決に向けては、短期的には「認可保育園の月謝の累進性をもっと上げる事」「普通のサービス業として成り立つ保育サービス業の拡充」、中長期的には「会社側での働き方の見直し」が考えられる
  • 身もふたもないけど、ここ5年スパンぐらいでは、「4-6月に子供を産むよう家族計画する」のが一番の攻略法
  • ぶっちゃけ、今落ちてる人たちが保育園なくたって死にはしないので、ある程度はしょうがないんじゃないですかね。でも勿体ないよね。

で構成されています。
本文は乱筆乱文で勢いで書いていますので、多分1万数千円を数千円と書き間違えちゃったりしてるんだろうな~突っ込みお待ちしています。

前置き

私も保育園に落ちた息子を持つ当事者としては、いろいろ思う所はあるのですが、まあー歴史的にはそういういろんな所で社会の歪みみたいなものはどこにでもあって、江戸時代の棄民とかの過酷な暮らしに比べたら、現代日本で生活できるなんて何て有難いんだ!と涙を流して過去戦争で亡くなっていった方々や、高度経済成長を作ってきた方々に感謝の意を表明したいと思う今日この頃です。

なので、例の増田に端を発した動きもふーんで見てたんですけど、なんだか全然違う論点というか、違う私たちが困ってるのはそういう問題ではないんだ…というあさっての方向にどんどんいってしまって、なんだこれは…と思ってしまったので、ここに問題を整理しておこう、という記事です。

あと後述するんですけど、4〜6月に子供産んでいたら、多分そんなに困ってません。保活界では上半期に子供を生むよう家族計画するのは半ば常識だそうですが、結構な人権侵害だなあ…などとも思うところはあり。


そもそも、職のある20代、30代なんて政治的には強者なんで福祉の対象じゃありませんよ。どのくらい対象じゃないかというと、たまに風邪引いて街の大きな病院に行こうとバスに乗れば、私以外みんな無料なぐらい。病院に行けば朝一番から並んでいおり常連でサロンを形成している皆様を尻目に肩身の狭い思いをしながら待ち、「私がこうして待っている時間を働くことに使えたらその分GDPが上がるのに、」などと表向きはニコニコしながらイライラしてしまうとか、そんな話です。

共働き家庭は増えている

まず、ここに女性の就業率の推移を。見事に上がっています。当然ながら、結婚しても働くし、子供を産んでも働き続けよう、という意思を持っている人が増えている、ということです。共働き子持ちです。
(3)女性の就業状況の変化


保育園の数も増えてるんですよね、少なくとも共働き世帯の数ぐらいには。
PDFですみませんがこちらとか。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000098603.pdf


にもかかわらず、待機児童数も増えてるんですよね
解説しているのはこちらとか。
www.huffingtonpost.jp
後段の数字が動向とか、批判チックな話は一旦おいといて、ポイントはここですね。

「子ども・子育て支援新制度」や雇用情勢の改善で、子どもを預けて働こうという保護者の需要を掘り起こした

お~なるほど。制度が整備され、雇用されるようになり、さぁ働くぞ~となったとしましょう。じゃあそんな時、子供と一緒に働くことが出来たらいいんですけど、なかなかそういうわけにもいかないので、どこかに預けることになります。
その選択肢がどうなっているかを、追いかけて行ってみましょう。

保育園にもいろいろ

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じゃじゃ~ん。コメントは私の独断と偏見です。
保育園には、認可保育園と認可外保育園があります。
認可保育園には、公立のものと、私立のものがありますが、基本的に入園の選抜は自治体で行います。
何故ならそれは、「止むを得ず子供を預けて働かないと"健康で文化的な最低限度の生活"を送れない人を優先して入園させるため」です。福祉です。
入園の優先度として、近所に預けられる祖父母が住んでいない、とか片親である、とかそういうのが上に来るわけです。待機ポイントという指標があって、上記の条件が多いほどポイントがつくわけです。どれだけ待機児童として喫緊に認可に入園すべきかを測るわけですね。
さらに入園してからの月謝も、500円から8万円ぐらいまでと、所得に応じて変わります。合理的ですね。所得税とか沢山払った上に更に累進で払うのか!とキレちゃいそうですが、福祉なので当然のことです。


なので、よっしゃ一発働いて稼いでやろう!という家庭は、別の選択肢を取ることになります。
認可外保育園だ、ここは基本的に私立です。土地の広さや立地から認可になれなかったところ(認証)やら、園長独自の教育理論でやってるところや、資格もったおばちゃんがテレビ見ながら合間に子供を見るようなところまで、玉石混交いろいろなワールドです。

この辺りは、補助金は多少は出るにせよ、月謝は、8万〜15万16万ぐらいが相場になってきます。

そろばんを弾きます「うーん、、、これだけ払わなきゃいけないなら、働き続けてもペイしないかもしれない」となる家庭もちらほら出てきます。経済的なふるいですね。
それでも、よし預けて働こう!などと選択する人もいるかもしれません。

ついでに、保育園以外の選択肢もありますので、そちらにさらにお金を払って教育を受ける、なんてことも出来るかもしれませんね。


というあたりですね。まずはこの辺を押さえておきましょう。

何が起こっているのか

ばばーん、こんな感じです。
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どこも一杯で入れませんでした~
なんと、マクロ環境ってすごいですね、そうやって共働きで子供を預けて働く親が増えてしまった結果、需給のバランスが崩れて「集団で子供を預けられる施設」に全然空きがない、なんて事態になるわけですね。


これは私自身が経験したことでもあるのですが、いわゆる英才教育スクール的なところやらインターナショナルスクールのプレ学級ですが、ここは月30万とかそういう相場感になります。なんちゃらメソッドの教育方法とか、ネイティヴ外国人の英語コースとかあるやつなんですが、そこですら一杯で4月になっても枠が空かず、全く入れないというありさまでございました。


このくらいの金額になると、2年間で30×12×2で720万円です。これだけの費用をかけて、将来のキャリアとそこから得られる収入を天秤にかけて、どっちが良いのか…って経済合理性で悩みだしてきますね。

らにもう終日ベビーシッターだ!とかになるんですが、そもそも集団保育ではない上、月50万コースとかになる一方、それだけのベビーシッターも人手不足で供給できなかったりするんですよね。
50万×12×2=1,200万円です。「これだけの金を払って、集団保育も受けられず、家で寂しく過ごさなきゃならないなんて、人生とは…」みたいにじっと手をみてしまうかもしれませんし、だったらママが働かない選択肢も…なんてことになってしまうかもしれませんね。


増田については

というわけで、「なんかもういくら金を積んでも入れる所がないぞ…」という事で共働きの親は悩んでしまっているわけです。ここ重要なところですね。

認可に入れるかどうかって問題とはまた別なんですよね。

なのになぜか増田の人とか、それを利用する政治家さんが「私も認可に落ちた」とか言ってて、あたりめーだろそこは争点じゃないよむしろ黙っててくれとか思うわけです。

さらに叩きたい人が「金持ちが認可にはいるのはおかしい!」とか言い出すわけですね。んなこたわかってるんだよ認可に入れたくて騒いでるわけではないのだ・・・ということなんです。

ある程度共働きで収入のある世帯にとっては、自治体がよくやる「待機児童解消のため、認可外の保育所を認可にしました!(認可外に入っている児童分、待機児童から控除できる)」なんてのは実は恐怖で、まだ「先着順で金を払えば入れる可能性のある所」が減って「待機ポイントで決まってしまう所」が増えてしまうから、なんてこともありますね。

でも認可に入ってる人もいる

はいこれ。今の時点で、認可保育所は十分にあって、本来福祉として保育サービスを受けなきゃならない世帯には、かなり浸透しているんだと思います。


その中で、いわゆる普通の共働き家庭で、認可に入れてる世帯もたくさんあります。そのくらいには、本来認可保育園って十分にあるんですよね。
もし福祉に必要な分だけしか認可保育園の枠がなかったら、彼らは入れていないわけですから、「もっとカネを払う余裕があるのに認可保育園に入れてる世帯」は、若干福祉のフリーライダー的な側面はありますね。


さて、じゃあそんな風に滑り込んで認可に入る画期的な方法、それは一体なんでしょうか。


単純に言えば4月-6月生まれの子を持つ世帯です、そのメカニズムはというと。。。


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こんな感じです。
待機ポイントの仕組みはどっか専門サイトでもみてください。なんとなくメモだけ置いておきます。
多くの家庭が「核家族共働き近隣の支援可能者なし」で待機ポイント的に並ぶわけです。そうすると、さらに待機ポイントを積むと有利になる。その1番の方法は、認可外に預けて「認可に入れないので止むを得ず認可外に預けている」という実績を積むことです。4-6月ぐらいに生まれると、早くから認可外に預けられる。同世代先着順だったりするので認可外預けやすいんですね。それで、認可外に預けている実績を持ってしまえば、認可にも入りやすくなります。例えば4月生まれは生後6ヶ月の時点で認可外に入れておくと待機ポイントがついて、翌年4月に0歳児として応募できるわけです。
一方3月生まれは、まず1度目の0歳児で認可に応募が出来ません。生後1ヶ月では預けられません。では生後6ヶ月のタイミングで認可外に預けて待機ポイントをつけよう!とした時には、既に先に生まれた子たちが先着で認可外に入っているので一杯で入れません。だから待機ポイントもつけられない。応募可能回数も減るわポイント上乗せの機会も奪われるわで散々なわけです。
よって、この手の問題でブツブツ言っているのは早生まれの子を持つ世帯が多い。
元増田のプロファイルに興味はないですけど、唯一言えるのはあの家の子は早生まれだということだ!


というわけで、共働きの家庭にとっての競争のルールがいわゆる一般的な努力の話から、「家族計画」の話になっちゃってる、という状態なんですね。
子づくりの時期を見誤ると、年間数百万のロスに加えて、週末に保育園巡りをするなど、大変な時間もかかるぞ!すごい!!!!!

・・・とまぁ、みたいなところでの生まれ月による格差感とか、そういうのを覚えているからこその、死ねにつながったんでしょうね。


じゃあどうすんだ

保育園立てろよ!!!!!!!オリンピックなんていいから保育園立てろよ!!!!!!!

というのも1つの選択肢なんですけどね。

最初に戻りますけどこれは福祉の問題じゃなくて、雇用の確保の問題としてとらえないと本質を見誤ってしまうので、そっち方向でアプローチするのがいいんじゃないかと思うわけです。





まず1つは、認可保育園の累進性の見直しです。(もっと激しくする)
今は、世帯年収などに応じて、0円~8万円ぐらいになってますが、これを15万円ぐらいまで引き上げる。
(比率は慎重にする必要があって、本当に困ってる人が入れないなんて本末転倒な事態にならないように)
これをすると、いわゆる「福祉的に困っている人」と「普通の共働き家庭」の切り分けが進むのと、本来は「保育サービスってお金がかかるものなんだ…」と認識する事

で、その金を使っていわゆる認可外保育園~保育サービス施設みたいなものを増やす。採算性のとれる価格設定(10~20万とか)
これで保育可能人数を底上げしていく。というのがよさそう。

結局さ、2,3年の出来事なんだから、その後10年20年働くことを考えたら、結構金を積んだってペイするはずなんですよ。年収400万手取り300万としたって、10年で3000万ですからね。20万×12×2=480万なら十分打ち返せるでしょう。

税金を投入して福祉に向けたはいいけど、それで本来福祉を受けるべきでない”強者”の30代共働き家庭が「あらお得」と大挙して押し寄せてるわけですもん。このへんの切り分け、差配を見直して、「働く人を支援するためのキャパシティの拡大」に金を使うべきで、これ以上「福祉としての保育育児支援」に金をかけなくてもよいんだと思います。


その2は、中長期的には企業の側で対応できることは多そうだと思うんですけどね。
例えば都心のオフィスビルには必ずそこで働く人向けの保育所があるとか。それで通勤者は子供をそこに連れて行き、地元の保育園は、ローカルで仕事する自営業・商店主とかそういうところの受け皿にするとかね。


また、働き方を見直してリモートワークなり、もっと地方で働けるようにするなり。




あとなんだろう、この手の話でよく出てくるのは「東京に住むな地方に住め」については…
・東京に通勤できる圏内に限れば事情は大して変わらない
・それより離れると、通勤に時間がかかりすぎて、働く時間が減る→本来出すべき貢献が出来なくなる→価値の毀損(働かなくても同じや!)
・通勤しないで地元で就職すればよいのでは→職がかなり限られる
・選ばなければよいのでは→その分価値の毀損
・本来の価値ってそんなもんじゃないの→そうかもしれないが、地方に住めないなら働くな、であるべき、ということか
・そもそも飲食店にしろサービス業にしろ、人の多いところに出来るものなのに、なぜ保育サービスだけ「人が来い」なのか
とかかなぁ?
でもやっぱり地方で働けるなら地方で働くという選択肢を取るのもありなんじゃないですかね。
私の知り合いでも新潟支社に転勤になって、そこでは学校も保育園も選び放題飯はうまいし酒もうまいで大変楽しそうに生活しておりました。
まぁでもそれは幸運なケースでしょうなぁ~。




ついでに以下は完全に私見ですけど、私は少子高齢化の元凶は日本の新卒一括採用神話だと思っていますし、それを神格化させたR社のせいだという陰謀論を持っています!!!!
例えば30歳ぐらいまでみんな新卒!ってことにして、20~30の間に子育て済ませて、小学校入学ぐらいで働き始めたら、その後35年間ブランクなく働けるし、高齢出産リスクも回避できるしいい事づくめなんじゃないかな~などと思うわけです。
もちろんこれは子育て時期の制限にもつながるし、さっきの4-6月に産むべき!って話となんら筋としては変わらないので倫理的に正しくないんですけどね。






ま、いずれにせよ勢いだけで書いたので、誤字脱字の修正から、論旨のわかりにくさ、主張の根拠のおかしさ、諸々突っ込み待ちですのでよろしくお願いします!
言いたいことはタイトルで言いました。働きたい人が普通に働ける世の中になったらいいですね!