【どんな本?】
日航123便の墜落事故の真相を追う青山透子さんの本です。
彼女は日航の元従業員で、事故で被害にあった乗務員は同僚に当たります。
事故調査について疑問を抱き東京大学で科学の博士号を取得して、自ら事故について調査を行っています。
この本もその内の一つで、事故調査委員会が採用しなかった目撃情報も積極的に取り入れて事故の真相に迫っています。
【感想】
日航123便事故の本といえば、このブログでは当時の現場責任者である川村一男さんの本を紹介しています。
恐らく公式に発表されている情報については最も詳細にまとめている本だと思います。そして青山さんの著書とは良くも悪くも好対照です。
川村さんの本の内容は現場にいた人間として確認が取れている内容を記したもので、それに対して本書は全ての目撃情報を有効な情報として採用している点で新たな視点が加えられています。
どちらが良いではなく、個人的には両者を読んでおくのが良いと思います。
ただ惜しむらくは青山透子さんの著書は、陰謀論寄りな考えを持っているのだろうなという点が透けて見えてくることです。
例えば123便が横田基地に着陸しなかった理由について、一般的にはコントロールが不可能な状態で迎えなかったとする見方がなされていますが、本書では何らかの理由で着陸が出来なかった、断念したという論調で描かれています。
せっかく事故調査委員会で採用されなかった証言を詳細に調べ上げているのに、それらのデータが陰謀論に誘導されてしまっているのは勿体ないかなと思います。もう少しニュートラルに調べれば第三の真相が見えてきそうなのですが…?