就活生から「大企業は裁量権がない」とか「大企業はしがらみがある」という理由でベンチャーや中小企業ばかり受けるといわれると声には出せないが「なんて勿体ないんだ」と思っている。 私が就職活動をしたときはミーハー就活そのままに商社、広告、テレビ局、○○メーカーの業界1位企業を受けまくり、その後無事に入社した。数年後転職し、今は別業界のNo1企業にいる。と同時に、中小企業でも勤めたことがある。学生時代は中小&ベンチャーで長期インターンへ参加した。また、自分自身も起業でスタートアップを経験した。 さまざまな規模の企業に関わることで、企業規模の良し悪しを知ることができた。そして、ベンチャー社員が語る「大企業は悪いことだらけ、自分らしく働くにはベンチャー/中小がいい」といったウソにうんざりもした。 まず「大企業は裁量権がない」というのはウソである。 私が新卒で入ったのは社員が万単位でいる大企業だった。しかし、裁量権は大きかった。入社1週間で億単位のプロジェクトを1人でまわした。死ぬかと思ったが、死ぬほど成長できた。逆に中小企業でも「○○さんは1年目だから電話番でもしておいて」なんてことは、普通にあった。問題は大企業or中小企業/ベンチャーではなく、部署(会社ですらない!)の体質だ。それをあたかも『大企業は裁量権がないけど、俺んとこの会社ならお前もバリュー発揮しまくりよ』なんて大企業 vs ベンチャーの対立軸で自社を持ち上げるなんてひどい話である。 次に「大企業はしがらみがある」と言うが、これもウソ。 しがらみというのは①社内のしがらみ と②社外のしがらみに分かれる。①は社内の派閥争い、②はお取引先との関係だと思ってほしい。 ①社内のしがらみ で言えば、ベンチャーの方が大変だ。いけてるベンチャーは数名の会社でスタートしたのち、社員を拡充するタイミングが来る。そして成長期に「最初からいたメンバー」と「途中参加者」でどう差をつけるか悩み、最初からいたメンバーを大事にしすぎて争いになることも多い。中小企業ならワンマン経営で、一族から嫌われたら即閑職なんてこともある。逆に、大企業でも派閥がなくのんびりした部署もある。 ②社外のしがらみで言えば、起業時からお世話になった会社と手を切れない中小なんて腐るほどある。逆に大企業はコストに敏感だから、値段が安い業者へコロコロ変更することもザラだ。社外のしがらみ度は、上司に依存する。上司が「あの会社さんとは前々からお付き合いがあるし」と言い出せば、取引業者を変えるなんてことはない。 つまり学生が思う大企業の悪さ&ベンチャーのよさに対する誤解は、企業文化を会社単位で理解しようとするためにおきる悲劇だ。悲劇はもっとミクロに、部署や上司との間で起きている。学校は好きでも、クソみたいな担任に当たることや、いじめっ子のいるクラスにいたせいで不登校になる子はいたはずだ。会社も同じである。 公平な観点で語るために、唯一大企業がもつデメリットを挙げておこう。大企業に勤めるデメリットは決定の遅さだ。特に日本企業は係長、次長、課長補佐、課長、部長補佐、部長、役員補佐、役員ってもうどんだけおんねん!みたいな数の「行動前に許可をもらわねばならない人」がおり、自分のプランを何度も何度も違う人へプレゼンするはめになる。ベンチャーは人数が少ないことも多いので、この印鑑スタンプラリーが少ない。 だが、たとえベンチャーや中小へ行ってもあなたのプランが現実になるまでかかる時間は大企業同じくらい遅い。なぜか?ベンチャー・中小企業の取引先が大企業なら、その大企業で決定が下りるまで待たされるからだ。 たいていのベンチャー、中小は大企業の下請けとして活躍する。大企業は中小企業に「明日までにこれ、10万部刷っといて」とオーダーできるが、中小企業は「ではその決定、3日でしてくださいね」と大企業の取引先へ言えない。取引先では「あなたの会社へ印刷を依頼する許可」だけで必要な印鑑スタンプラリーがずらりと待っているのである。したがって、ベンチャーや中小企業だからプラン進行が早くなるわけではない。 逆に大企業のメリットは明確である。給与遅延はまずない。給与が遅れることなんてあるのかよ、と思ったならあなたは大企業でしかバイトしたことがないと思っていい。通勤時の交通費が出るところの方が多い。日系なら理由も無くクビにならない。あなた自身にとって仮に今どうでもよくても、もし自分に小学生の子どもがいたらと考えてみてほしい。これらの保障が、どれだけ安心をくれるだろうか。 なお、大企業側がベンチャーから優秀な学生を引き抜きたいときにつくうそに「ベンチャー・中小から大企業へは行けない」があるが、これも無視していい。公認会計士資格があればいつだって大企業にいけるように、専門性で戦うすべはたくさんある。企業にとらわれず、自分のプロフェッションを磨いたほうが早い。社名を武器にしようなんて時点で負けである。 まとめると、学生が「大企業で起きる」と思っている悲劇はたいてい「部署・上司によっておきる」。しかも、部署や上司は新卒だと選べないので、学生が裁量権やしがらみの無さ、ワークライフバランスを模索するのは時間の無駄である。神に祈ってくれ。強いて言うなら、大企業の方が上司の人数も多いので、最悪異動願いは出せる。これがスタートアップベンチャーなら、辞めるしかない。 もろもろまとめて、『最低限』が保障されている大企業を、私はお勧めする。 |
とはいえ、偏ってますね
以上。
イケハヤさんの大企業批判を置いておきますね。
http://www.ikedahayato.com/20150227/23202052.html うーん
経験が浅いとこういう内容になるわけか...納得。
コメント欄でただ記事を批判するのは誰でもできることですよ。コメント書くなら、どこがどう違うと思ったのか書いてくれたら分かり易いです。
一般論として大企業の方がいいのは当たり前だけどね
ベンチャーに夢見過ぎな奴がいるからね ベンチャーと大企業の両方を経験した身からすると、限りなく真実を突いていると思う。
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