2017/12/31
大口径レンズのメリットとデメリット・その2
オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO前回のつづき。長文。
大口径レンズを使って、明るいF値(開放絞り値またはそれに近い絞り値)で撮影するときは正確に、確実にピント合わせをすることがなによりも重要だ。そして、これが思った以上に難しいけど大口径レンズを活用する大事なポイントでもある。
そこで、正確に確実にピントを合わせて撮る方法として、ぼくの経験上のアドバイスになるけれど以下の3つを挙げておきたい。
(1) 基本的にAFを活用する ━━ ただし注意すべき点はあるが
(2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
(3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする
話をすすめる前にちょっとひと言。それは「どこにピントを合わせて撮るか」をはっきりと決めているという前提が必要。漫然と「だいたい、そのへんにピントが合ってればいい」というレベルの人たちには上記3つのアドバイスはなんの役にも立ちません。
さてまず (1) のAF活用のすすめる理由は、MFよりもAFのほうがずっと素早く、確実に、正確にピントが合わせられるからだ。
「AFよりもオレの目のほうが正確だ」と(間違った)自信を持っているガンコな人たちがいるようだが、そのような人たちは、ただ単にAFが使いこなせないだけ。
AFは1点スポット測距。多点による自動選択測距を選んではいけない。
選んだ1点測距ポイントをピントを合わせたいところに重ねてシャッターボタンを半押しする。イッキ押しはだめ。ピントが正しく合っていることを確認したらシャッターボタンを押し込む。急いでいても、急がない。
これがAFでピント合わせするときの基本の基本(応用編もあるがそれはいずれ)。
いまのAFには少なからず問題点もある。現在の高画素化して解像描写力が飛躍的にアップしている中でAF精度そのものが追いつかなくなっているカメラもあることだ(とくに位相差方式のAF)。話がややこしくなるので省略する。
もうひとつ、AFの誤測距という問題もある。ピントが合っていないのに「合ってるぞ」とカメラがウソの報告をしてしまうことだ。
こうしたAFの問題点に対処する方法としては(消極的な方策ではあるが)、シャッターボタン半押しAF測距を数回繰り返してピント確認したのちに撮影すること、ゼッタイにピントを外したくないときは測距を繰り返して数カット撮っておくことだ。
ぼくはいつも2~3回半押しAF操作をしてから撮影するようにしているし、大事なシーンでたったワンカットで撮影をすませてしまうことはほとんどない。
つぎに (2) の三脚使用のすすめは、ピントを固定してピントがずれないようにするため。
そもそも三脚を使用する目的は3つある。(1) ぶれ防止、(2) フレーミング保持、(3) ピント固定、である。その 目的 (3) のために三脚を使用する。
せっかく正確にピントを合わせてもシャッターを切る寸前に「ふぅーっ」と無意識にカラダが前後してしまうと(これがよく起こる)せっかく正しくピントを合わせてもとたんにピンぼけ写真になってしまう ━━ 一般的な傾向としてシャッターを押し込むとき後ろに傾くより前側にわずかに動くことが多い。
その気づかず無意識の前後移動を防ぐために三脚にカメラを固定する。ただし撮影する相手、人やモノは動かない、ぶれない、ぶらさないということは大前提。
とくに近距離にピントを合わせて撮影するときは、明るいF値になるほどピント面は極端に「薄く」なる。カメラを構えて息をしてもピントがズレることがある。だから至近の距離で開放絞り値で撮影するときは三脚を使うのがベターである。
三脚を使わない(使えない)ときは、カメラを構えたカラダをテーブルや壁、立木などに寄りかかって動かないように固定させてシャッターを切ることだ。
そして (3) のライブビュー+MFによる撮影方法であるが、これが(現在のところ)正確にピントを合わせて撮影するためのベストの方法だろう。
その前に、まずライブビューモードで撮影をしてみることだ。ミラーレスカメラならEVFも背面モニターで撮影するのも同じだが、一眼レフカメラでは光学ファインダーをやめてライブビューモードに切り替える(その機能のない一眼レフカメラは正確なピントはあっさりと諦める)。つまりイメージセンサー像面によるダイレクトAF測距で撮影することだ。
ただ残念なことにこの像面AF測距にも「誤測距」は避けられない。大きくピンぼけでの誤測距ならモニターを見て判断できるが、ごくわずかなピントずれだったら肉眼判別ができない。
そこでモニター拡大表示のモードを選ぶ。
さらに、より確実なピントを望むならそこでMF+拡大表示+ピーキング表示に切り替える。カメラを保持するカラダが前後しない自信があるなら手持ち撮影も不可能ではないが、より安全にピント合わせするにはここでも三脚の使用をすすめる。
長くて、くどい話になってしまったが、そういうわけで大口径レンズを使って正確にピント合わせをするのは、そうそうカンタンではありませんよということです。
でも、大口径レンズにはこうした苦労をしてでも使ってみたい魅力がいっぱいありますよね。そんな愉しいレンズがこれからもっとたくさん出てきそうです。
では皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。