大口径レンズのメリットとデメリット・その2

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 前回のつづき。長文。

 大口径レンズを使って、明るいF値(開放絞り値またはそれに近い絞り値)で撮影するときは正確に、確実にピント合わせをすることがなによりも重要だ。そして、これが思った以上に難しいけど大口径レンズを活用する大事なポイントでもある。

 そこで、正確に確実にピントを合わせて撮る方法として、ぼくの経験上のアドバイスになるけれど以下の3つを挙げておきたい。

 (1) 基本的にAFを活用する ━━ ただし注意すべき点はあるが
 (2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
 (3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする




 話をすすめる前にちょっとひと言。それは「どこにピントを合わせて撮るか」をはっきりと決めているという前提が必要。漫然と「だいたい、そのへんにピントが合ってればいい」というレベルの人たちには上記3つのアドバイスはなんの役にも立ちません。

 さてまず (1) のAF活用のすすめる理由は、MFよりもAFのほうがずっと素早く、確実に、正確にピントが合わせられるからだ。
 「AFよりもオレの目のほうが正確だ」と(間違った)自信を持っているガンコな人たちがいるようだが、そのような人たちは、ただ単にAFが使いこなせないだけ。

 AFは1点スポット測距。多点による自動選択測距を選んではいけない。
 選んだ1点測距ポイントをピントを合わせたいところに重ねてシャッターボタンを半押しする。イッキ押しはだめ。ピントが正しく合っていることを確認したらシャッターボタンを押し込む。急いでいても、急がない。
 これがAFでピント合わせするときの基本の基本(応用編もあるがそれはいずれ)。

 いまのAFには少なからず問題点もある。現在の高画素化して解像描写力が飛躍的にアップしている中でAF精度そのものが追いつかなくなっているカメラもあることだ(とくに位相差方式のAF)。話がややこしくなるので省略する。
 もうひとつ、AFの誤測距という問題もある。ピントが合っていないのに「合ってるぞ」とカメラがウソの報告をしてしまうことだ。

 こうしたAFの問題点に対処する方法としては(消極的な方策ではあるが)、シャッターボタン半押しAF測距を数回繰り返してピント確認したのちに撮影すること、ゼッタイにピントを外したくないときは測距を繰り返して数カット撮っておくことだ。
 ぼくはいつも2~3回半押しAF操作をしてから撮影するようにしているし、大事なシーンでたったワンカットで撮影をすませてしまうことはほとんどない。




 つぎに (2) の三脚使用のすすめは、ピントを固定してピントがずれないようにするため。
 そもそも三脚を使用する目的は3つある。(1) ぶれ防止、(2) フレーミング保持、(3) ピント固定、である。その 目的 (3) のために三脚を使用する。

 せっかく正確にピントを合わせてもシャッターを切る寸前に「ふぅーっ」と無意識にカラダが前後してしまうと(これがよく起こる)せっかく正しくピントを合わせてもとたんにピンぼけ写真になってしまう ━━ 一般的な傾向としてシャッターを押し込むとき後ろに傾くより前側にわずかに動くことが多い。
 その気づかず無意識の前後移動を防ぐために三脚にカメラを固定する。ただし撮影する相手、人やモノは動かない、ぶれない、ぶらさないということは大前提。

 とくに近距離にピントを合わせて撮影するときは、明るいF値になるほどピント面は極端に「薄く」なる。カメラを構えて息をしてもピントがズレることがある。だから至近の距離で開放絞り値で撮影するときは三脚を使うのがベターである。
 三脚を使わない(使えない)ときは、カメラを構えたカラダをテーブルや壁、立木などに寄りかかって動かないように固定させてシャッターを切ることだ。

 そして (3) のライブビュー+MFによる撮影方法であるが、これが(現在のところ)正確にピントを合わせて撮影するためのベストの方法だろう。

 その前に、まずライブビューモードで撮影をしてみることだ。ミラーレスカメラならEVFも背面モニターで撮影するのも同じだが、一眼レフカメラでは光学ファインダーをやめてライブビューモードに切り替える(その機能のない一眼レフカメラは正確なピントはあっさりと諦める)。つまりイメージセンサー像面によるダイレクトAF測距で撮影することだ。

 ただ残念なことにこの像面AF測距にも「誤測距」は避けられない。大きくピンぼけでの誤測距ならモニターを見て判断できるが、ごくわずかなピントずれだったら肉眼判別ができない。
 そこでモニター拡大表示のモードを選ぶ。
 さらに、より確実なピントを望むならそこでMF+拡大表示+ピーキング表示に切り替える。カメラを保持するカラダが前後しない自信があるなら手持ち撮影も不可能ではないが、より安全にピント合わせするにはここでも三脚の使用をすすめる。

 長くて、くどい話になってしまったが、そういうわけで大口径レンズを使って正確にピント合わせをするのは、そうそうカンタンではありませんよということです。
 でも、大口径レンズにはこうした苦労をしてでも使ってみたい魅力がいっぱいありますよね。そんな愉しいレンズがこれからもっとたくさん出てきそうです。

 では皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。


大口径レンズのメリットとデメリット・その1

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED25mmF1.2 PRO

 ところで、オリンパスの3本の「F1.2」シリーズなどF値の明るいレンズにはメリットだけではなくデメリット ━━ というとやや語弊があるか、難点かな ━━ もある。
 以下の話はオリンパスのF1.2シリーズについてだけでなくAPS-C判やフルサイズ判の大口径レンズにも当てはまることだけど。

 大口径レンズの、まずメリットは、

 (1) 大きなぼけを生かした写真が容易に撮れること
 (2) 暗いシーンでも高速のシャッタースピードで撮影ができること
 (3) 一眼レフカメラでは明るいファインダー画面を見てフレーミングできること

 などなど。




 つぎにデメリットとしては(おもに使用上の難点といえるか)、

 (1) レンズが大きく、重く、高価になること
 (2) 晴れた日中など明るいシーンで撮ろうとすると最適なシャッタースピード選べず露出オーバーになってしまうこと
 (3) ピント面が極めて浅く正確にピントを合わせて撮影することが難しいこと

 デメリット (1) の大口径レンズが大きく重いについては、フルサイズ判やAPS-C判用のレンズにそうした傾向がある。しかしそれらと比べるとマイクロフォーサーズ用レンズは"かなり"小型軽量になる。
 その利点を生かして小型で軽量な大口径レンズを作っているのがオリンパスなどマイクロフォーサーズ陣営か。小型レンズほど(一般的にだが)価格も安く作れるといった利点もある。

 デメリット (2) の適正露出を得るための超高速シャッタースピードが選べないことは、電子シャッターを採用しているカメラでは数万分の一秒というハイスピードシャッターで撮ることができるのでデメリットとは言えなくなったが。

 デメリット (3) のF1.2やF1.4レンズのピント合わせが難しいのは、大口径レンズの宿命みたいなもの。これは仕方ないこと。撮影者の訓練と努力と人一倍の注意力が必要。これこそ大口径レンズの最大のデメリット(使用上の注意点)と言えるだろう。
 デジタルカメラが高画素化したことでピント合わせはより難しくなった。撮影した画像がいきなり巨大に拡大表示されるようになると(低画素カメラやフィルムカメラでは築かなかったような)ほんのわずかなピントずれも目立ってしまうからだ。

 とくにF1.2やF1.4などを選んで近距離撮影する場合などはよほど注意して確実にピント合わせをしなくてはならない。
 思い切ってアドバイスするが、1メートル以近の被写体を撮影するときはF1.2やF1.4の絞り値を選ばないことだ。F2ぐらいに少し絞って撮るのが安全。それでも近距離ピントだから結構ぼける。

 ぼくの経験からであるが、大口径レンズを使って正確に確実にピントを合わせて撮る方法としては以下の3つを挙げておきたい。

 (1) 基本的にAFを活用する(ただし注意すべき点はあるが)
 (2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
 (3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする

 この3つの「大口径レンズ使いこなしの注意点」については大事なことだと思うのでもう少し詳しく話をしたいが、さらに長くなってしまいそう。

 というわけで次回に持ち越し・・・。

35mm画角と、F1.2大口径と、20cmの最短

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2

 ED17mmF1.2 PROレンズの画角はフルサイズ判換算で約34mm相当になる。
 その34mm(または35mm)相当のレンズは135mmレンズと並んで、なぜかいまひとつ注目されない画角のレンズだ(ぼくの思い込みかもしれないけど)。フィルムカメラの時代では35mmも135mmも、いまよりももっと人気のあったレンズだったような気もする。

 いまの時代、35mmレンズにいまいち注目が集まらない理由のひとつは、使用目的(おもな被写体やシーン)が明確でないからだろうか ━━ ということはオールマイティーなレンズでどんな被写体やシーンにも使える万能レンズなのだが。
 ふたつめは、ふだん私たちが肉眼で見ている範囲(画角)とほぼ同じなので工夫して撮影しても「平凡」な印象の仕上がりにしかならない ━━ ということは自然でなにげない写真が誰でもが容易に撮影できるレンズだと思うのだけど。




 でも、その撮影画角の万能さと平凡さこそが35mmレンズの魅力でもあり特徴だと言えるのではないだろうか。

 それだけが理由というわけでもないが、写真のベテランになるほど35mmレンズを評価する傾向が強くあるように思う。ぼくも、単焦点レンズを1本だけで選べと言われれば、ほとんど躊躇することなく35mmレンズを選ぶ。35mm画角は自分の「眼」の延長のような感じで使えるし、なくてはならない単焦点レンズの1本でもある。

 35mm相当の単焦点レンズは多くのメーカーがほぼ必ずラインナップに揃えている。開放F値もF2やF2.8よりも明るく、F1.4クラスの大口径レンズも多い。
 ところが、なぜかF1.4よりも明るいF1.2の35mm相当レンズというのが見あたらない(MFレンズにはあるようだがAFレンズではない、はず)。そんな中でオリンパスのED17mmF1.2 PROレンズは、「F1.2の35mm相当のAFレンズ」としてもっと注目してもいいのではないかと思うわけです。

 さらに追加してED17mmF1.2 PROレンズを「ヨイショ」すれば、最短撮影距離が約20cmということと、F1.2大口径の35mmレンズとしては大変に小型軽量であることだ。

 一般的に、レンズは撮影距離が近距離になればなるほど収差が目立ってきて描写が低下する。その「欠点」を補う方法として、ひとつは最短撮影距離をほどほどに止めておく、もうひとつは光学設計を工夫し努力して近距離での欠点が目立たないようにする。
 ぼくは、この最短撮影距離の短さは、F1.2大口径と並んで17mmF1.2 PROレンズの魅力ではないかと。


つながりの良いぼけ

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2



 以下は、やや、というか、かなりオタクっぽい話になるけれど、レンズ一般の「話」として知っておいてもソンはないです(と、思う・・・)。

 ぼけが大きい小さい、とか、滲みがある滲みがない、とか以外にも、写真のぼけにはもうひとつ大切なチェック要素もある。
 「ぼけの連続性」とか「ぼけ質」、「ぼけのつながり」などとよばれるものがそれ。

 ピントの合ったところから大きくぼけるまでの「間(あいだ)」の描写具合のことだ。シャープなピント位置から、なだらかに自然にぼけていくものと急激にストンっとぼけてしまうものがある。言うまでもなく前者のぼけ質のほうが良いとされている。

 ピント面からモノのかたちを崩さずにゆっくりとぼけていくのがつながりの良いぼけで、そうしたぼけは平面の写真画像から自然な立体感や奥行き感を表現してくれる。開放絞りでも絞ったときでも画像全体の雰囲気に大きな変化がおこらない。ストンっと急激にぼける描写は背景との連続性が損なわれているような感じになる。

 ぼけの自然な連続性はとくに広角系レンズでは重要だ(と、ぼくは考えている)。
 オリンパスの開発者に言わせると、ED 17mmF1.2 PROレンズはそこの、ぼけのつながりの良さに"も"こだわって設計されたという。
 確かにそう言われてみれば、17mmF1.2PROで写した画像を見ていると自然な立体感があるし、ぼけた部分のモノのカタチも大きく崩れていない。

 こうしたつながりの良いぼけ描写というものは、具体的に「ほれ、ここがそうなんだよだ」指摘しにくい。そこが難しいところで、レンズ描写の奥深いところではないかと、ま、そう思うわけです。

センサーサイズと、ぼけの大きさ

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2

 マイクロフォーサーズの大口径レンズが出てくると、いつものことだが「フルサイズ判やAPS-C判のレンズと比べるとぼけが小さい」とハンで押したような話が出てくる。
 マイクロフォーサーズでのぼけの大きさは、APS-C判だと約1絞りぶん、フルサイズ判では約2絞りぶん「絞った状態」と同程度のぼけしか得られないというのだ。

 たとえばマイクロフォーサーズのカメラでレンズ絞り値をF1.2にしたときのぼけの大きさはAPS-C判カメラのF1.7でのぼけと同じ、フルサイズ判カメラではF2.4でのぼけの大きさと同じ、と、いちおう、そういうことになっている。




 たしかに、それはその通りで間違いではない。
 しかし、センサーサイズの小さなカメラではぼけないのか、といえば、それは決してそうではない。撮影のやり方、使用するレンズの焦点距離、被写体の状況によってぼけ量は大きく変化する。
 「大きなぼけを得るための5つの条件」というものがある。「5つ」あって、それは以下の通り。

(1) より明るいF値で撮る
   ━━ F値が明るいほど大きくぼける
(2) より長い焦点距離のレンズで撮る
   ━━ 広角レンズより望遠レンズのほうが大きくぼける
(3) より近くにピントを合わせて撮る
   ━━ 被写体までの撮影距離が近いほど大きくぼける
(4) 背景をより遠くにして撮る
   ━━ 被写体と背景の距離(間隔)が離れるほど大きくぼける
(5) より大きなセンサーサイズ
   ━━ 撮影画面サイズが大きいほど大きくぼける

 この5つの条件のうち5番目のセンサーサイズの件はちょっと横に置いておくとして、(1)から(4)までの条件を工夫して撮影すればじゅうぶんに大きなぼけを得ることはできる。
 マイクロフォーサーズ判カメラとフルサイズ判カメラを使って、上記(1)~(4)の条件を同じにしたうえで画角を同じにして撮影すれば、フルサイズ判のほうが「約2絞りぶん」ぼけは大きくなる、と言える。
 でも、そんな「比較」は非現実的じゃないですか。

 さまざまな撮影要因が絡みあってぼけ量はどんどん変化する。それに、たった1絞りぶんや2絞りぶんのぼけ量の違いなんて、撮影距離をちょっと変えるだけで「同じ」ように見えてしまうことが多い。

 つまり、ぼけの大きさはセンサーサイズだけでは決まらないということです。それを知ってか知らずか、マイクロフォーサーズのカメラは「大きなぼけは得られない」なんて言う人がいるようですが、そりゃあちょっと恥ずかしい。

「ぼけ専門研究者」と「収差測定器」

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 オリンパスにはレンズ設計などのカメラ関連の製品開発をする部門のほかに、ぼけ味やゴースト/フレアなどの「良いレンズ」や「良い画質」につながる基礎研究をする部門が別にある。そこでは撮影用レンズのほかに顕微鏡や医療関係の光学製品に役立つ要素技術の研究をしているそうだ。
 こんどのED45mmF1.2 PROやED17mmF1.2 PROレンズの設計開発では、レンズ設計部門とその基礎研究部門とが互いに連携を取り合いながら製品化させたという(とくにぼけ味について)。

 ぼけ味やゴースト/フレアなどはレンズ設計者がみずからが味つけしたり調整したりするものだと思っていたのだけど(たぶん多くのメーカーはそうだろう)、オリンパスにはぼけやゴースト/フレアだけを専門に研究する人たちがいるんですね。むろん、レンズ設計者が最終的にジャッジメントをするのでしょうけれど、それにしてもそんな人たちがいるとはちょっとびっくり。
 (そのワリには最近のオリンパスレンズでは逆光時のゴーストがやや目立つことがあるのは遺憾ではありますが)




 45mmF1.2 PROも17mmF1.2 PROも解像力とぼけ描写の両立がテーマのレンズである。そこでレンズ設計にあたっては、ひとつは基礎研究部門の協力、そしてもうひとつがオリンパスが独自に開発した「収差測定器」の活用をすることだった。
 その収差測定器はもともとは顕微鏡のレンズ開発の目的で作られた検査器で、それを写真レンズ用に改良したものである。

 そうです、気づいた人もいるでしょうが、その収差測定器はニコンの「OPTIA」と同じ原理、同じ目的の測定器である。
 OPTIAもまたニコンのステッパー用レンズ開発のために設計された測定器である。ステッパー用レンズも顕微鏡用レンズも無収差レンズを作ることが大きな目標で、そのために開発されたのがOPTIAであり収差測定器であった。オリンパスもニコンもそれを写真レンズ用に改良したものだ。
 どちらも、いままでは経験と勘で判断してきたどちらかと言えば情緒的な「レンズの味」を数値測定し定量化するのが目的の測定装置。

 解像力やコントラスト、階調再現性などは(ある程度は)数値化して客観評価できるが、とくにぼけの評価は感応的(官能的)なもので気分や好き嫌いなど個人によって評価軸が大きくゆらぐ。
 「レンズの味」の基本要素のひとつに、ぼけ(と、残存収差による描写特性)が大きなウエイトを占めるため、これがレンズ設計やレンズ評価を難しくしている(しかしそれがあるからこそレンズ選びが愉しいともいえるのだけど)。

 良いレンズだ、と多数の人たちに高い評価を受けているレンズの、その「味=描写特性」を数値化して、つまり定量化することで同じあるいは似たテイストのレンズが作れないものだろうかと考え出されたのがオリンパスの「収差測定器」でありニコンの「OPTIA」である。
 オリンパスの収差測定器を本格的に活用したのが今回の45mmF1.2 PROと17mmF1.2 PROレンズからだったようだ。その前に出たED25mmF1.2 PROレンズについては収差測定器の活用は"まだ助走期間中"だったようで一部参考にしたようだが本格的活用はしていなかった。

 ついでながら、ニコンの「OPTIA」を本格活用した最初のレンズは「AF-S NIKKOR 58mmF1.4G」だった。ただ ━━ 以下はぼくの憶測、想像だけど ━━ ニコンはOPTIAの採用から充分な助走期間を設けずに「それいけっ」と58mmF1.4Gの設計をやったもんだからやや生煮え状態で、いや個性的でおもしろいレンズなのだが、相当な暴れ馬的レンズになってしまった。ニコンはああ見えても「イケイケどんどん」と突っ走るところがあって、でもソコがいいところなんだけど。
  その「反省」と同時に、ニコンはOPTIAの使いこなしにも慣れてきて「さぁどうだ」と胸を張って出てきたのが「AF-S NIKKOR 105mmF1.4E ED」で、柔らかなぼけ味と優れた解像描写力を備えた素晴らしいレンズに仕上げていた。このへんはさすがにニコンです。だからというわけではないですが、ぼくは昨年2016年のベストワンレンズにその105mmF1.4Eレンズを挙げていました。