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計画都市の住みづらさについて――コンビニのない街

2010-09-17(Fri)
書こうと思っていたけど、すっかり忘れていた話。

*住みづらい街

多摩ニュータウンに住む僕は今年の3月に引っ越しました。もっとも最寄り駅はまったく変わっておらず、同じ駅の東側から西側にうつっただけです。ところがびっくりするほど、街の雰囲気が違う!そして、ものすごく住みづらい。もちろん、駅から遠くなったということもあるのですが(その分、家賃は大幅に安くなってます)。

なぜ駅の西側から東側にうつっただけで学生にとってこれだけ住みにくい街になったのか。

*多摩ニュータウンの開発方法

これには多摩ニュータウンの成立事情がおそらくかかわっています。多摩ニュータウンは公団によって大規模開発されたイメージがありますが、地区地区によって開発手法が違って従来から村落があった地区、民間開発された地区、そしてイメージどおり公団によって大規模開発された地区にわかれます。

ちなみに、社会科の教科書にでてくるようないかにも均質で直方体な「団地」然した「団地」は多摩ニュータウンの初期開発地区・駅で言えば永山付近です。多摩センター、南大沢付近は80年代、90年代になり多様化の波の中で変質していった団地を見ることができます。また民間開発地区ではタワーマンションもあるというマンションの見本市状態なので、団地・マンション萌えの方はぜひ多摩ニュータウンへお越しくださいましw

さて、これがどうしてこのような「住みづらさ」の差につながるのか。最寄り駅の東側一体は、多摩ニュータウン通り沿いにロードサイド店と高層タワーマンションの続く民間開発地区、西側一体は丘陵を開発した公団開発地区になります。

*綺麗な街

この西側の公団開発地区は多摩ニュータウンの団地のひとつの完成形ともいえる街で、なかなかすごいのです。多摩ニュータウンの特徴としては、歩車分離の道路という特徴があるのですが、たとえば各団地まで駅からほぼ遊歩道だけで(横断歩道などを渡らずに)移動できたりします。駅から30分はなれたところまで一度も車道も通らず、横断歩道も渡らずにいけるっていう街はさすがに僕もあまり知りません。

当然、遊歩道なので緑もいっぱいで、わざと低層マンションと高層マンションを組み合わせることによって、空の明るさも確保されています。一見なかなかいい街なのです。

Image11911.jpg
こんな感じの遊歩道がずっと続きます。

Image11511.jpg
車道とは立体交差が基本。上を走っているのが車道です。

*ではなぜ住みづらいのか?

では、この街の最大の欠点とは何なのでしょうか?果たして一見いい街であるはずの公団開発地区はなぜ学生にとって住みづらいのか。答えは単純です。コンビニと自動販売機がないんです。

スーパーはあります、2件も並んで。青木淳吾の某小説の主人公なみにオーケーストアにはお世話になってます、滅茶苦茶安いです、ドンキいらずです(関係ない)。ところが、スーパーよりもある頻度が高そうな(実際、昔すんでいた駅の東側ではそうでした)コンビニと自動販売機が全然ないのです。ちなみに我が家の最寄のスーパーへは歩いて5分、コンビニへは歩いて30分です。はっきりいって、生活が不規則な学生にとってこれほどすごし辛い環境はありません。

正確に言うと僕は公団開発地区に住んでるわけではなく、公団開発地区の隣にある区画に立っているボロアパートに住んでいます。公団開発地区までは綺麗に整備されているにもかかわらず(そして自動販売機もない)、わずか道路を越えただけで普通のアスファルトと電柱が立っている街になります。しかし、この区画になると突然自動販売機の台数が増えます。ほんとにバカみたい。
Image11411.jpg
上の写真と5分も離れてない場所だが見ての通り、自販機と電信柱のある普通の住宅街になる。
Image1211.jpg
左が公団開発地区、右が件の区画。右側だけ電柱があるのがわかる。公団開発地区は電気は地中に埋めてあり、電信柱はない。

*コンビニがない理由

さて、何故このような変なことが起きるのか。おそらくその理由は3つあります。

一つ目は計画の時点で商業用地、住宅用地、コミュニティセンター、公園などが決定されて行きますが、商業用地区画にコンビニ用の土地は基本的に用意されないことが多いのでしょう。僕の実家も似たような埋立地の計画都市ですが、スーパーはあれどコンビニは区画外まで行かないとありません。そもそも商業用地に想定されているのはスーパーであって、わざわざ被るようなコンビニを設置する計画は立てないでしょう。自動販売機もわざわざ自動販売機用の土地というのは基本的に確保されません*1。

二つ目は土地の私的利用のされてなさです。基本的に公団住宅は分譲であっても、一軒屋は存在しません*2。コンビニというのはよく見てみると、地元の酒屋がフランチャイズとなってコンビニにジョブチェンジした例がかなりあります(○○酒店とよくみたら書いてあること少なくない)。コンビニが成立するためにはそういった経緯がある程度必要となるのです。また、自動販売機は基本的に私有地に個人、会社が設置します。ところが、そういった私的な土地が一切ない。ゆえにコンビニや自動販売機がないのでしょう。
コンビニや自動販売機はここ20、30年で普及し、多様化したライフスタイルに必要不可欠なものですが、そういった変化に真っ先に対応できるのは"公"ではなく"私"であるということを示しているのだと思います。

三つ目は治安の関係から地元の住民がコンビニ出店を望んでないということもあると思います。この地区で実際そうなのかわかりませんが、「不良がたむろするから」などの理由で僕の実家ではコンビニはあまり歓迎されていませんでした。自販機も同様。

*計画された街の限界

こうして誕生した「コンビニ」のない街。僕の生活範囲で気づいた不便な点は「コンビニ」と「自動販売機」だけでしたが、おそらく普通の街にはあるけど計画都市には欠けているものってまだあるんだろうなぁ、と思いたくもなります。郊外には子供たちが遊ぶ「隙間」がない、なんて安易なことは言いたくありませんが*3、自動販売機を置く隙間もない街というのはさすがにやりすぎじゃないかと思ってしまいます。

緑いっぱいで、交通事故に会う心配ない子供たちは今日も遊歩道でいっぱい遊んでいます。親たちはそれを期待してここに住んでいるのでしょう。それ自体は素敵なことですが、思春期をむかえ気軽に深夜にコンビニへ雑誌を立ち読みに行く自由を封じられた街でもあると考えると、少しこの子たちの将来が心配になる今日この頃です。

まあ結論としては計画都市においても自生的区画は絶対必要だよ、って話になるわけですが、この付近だけが失敗しているだけで、多摩ニュータウン全体でいうと案外この点は成功しているような気もします(たとえば多摩センターは南側はレールガンの舞台になるぐらい綺麗な町ですが、北側は飲み屋街があったりする)。

*郊外への希望

北田暁大さんは東さんとの共著『東京から考える』において、青葉台的な計画されブランドイメージを保とうとしている新興住宅地を「広告都市」、ロードサイト店が広がり無計画な郊外を「ファスト風土化」「ジャスコ化」(国道16号線的郊外)などと読んでいますが、少なくとも一人暮らしの学生にとっては「広告都市」は不便で住みにくいだけです。小学生はともかく、おそらく中学生にとってもそうでしょう。郊外に希望を持てるとしたら案外「ファスト風土化」郊外なのでは、と思います。

あっ、でも多摩センターはデートにはいいかもねw

*1…まあ細かくいうと公園などに自販機はなくもないけど、人口の割には圧倒的に少ないです。
*2…ちなみに僕の実家は一軒屋+集合住宅の複合ニュータウンですが、一軒屋はほぼ同じ規格で建設されており自販機を置くスペースなどない。
*3…なんでかというと、先ほどからいってるとおり僕の実家はなかなかの新興住宅地なのだが、中学に入ってヤンキーになった奴はちゃんとヤンキーになってる。


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南大沢は住みよいと思うけど、
確かに整然としすぎている感はある。
三徳、OKのどっちが先に潰れるのだろう
私は三徳が潰れると思う。

Re: タイトルなし

>やりみずちゃんさん

> 南大沢は住みよいと思うけど、
> 確かに整然としすぎている感はある。

コメント返信遅れました。申し訳ありません。
南大沢は一通りなんでも揃っているので住みやすい面もありますが、街としての活力は整然としてないところから出てくるのではないか、という思いからこの記事を書きました。

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