データセンターを運営するさくらインターネットは8月10日、北海道石狩市に出力200kWの「さくらインターネット 石狩太陽光発電所」を建設し、自社のデータセンターに送電を始めたと発表した。約500m離れた石狩データセンターまで直流送電する。
同発電所は、カナディアンソーラー製のパネルを採用し、積雪対策から設置角45度で設置した。パワーコンディショナー(PCS)を導入せず、独自に敷設した自営線を通じて、直流のまま石狩データセンターに送電し、専用のサーバルームに給電する。
さくらインターネットは、石狩データセンターに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入しており、商用の交流電力をサーバで活用する際のAC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げている。直流で受電した太陽光の電力は、HVDCサーバに供給することで、直流のまま活用する。
石狩データセンターでは、給電状況を自動で判別し、3つの電源を優先順位に従ってサーバに供給する。最優先で利用するは太陽光の電力で、380Vで給電する。太陽光が発電しない場合、電力会社の交流電流をHVDCによって直流に変換し340Vで給電する。太陽光が発電せず、商用電力が停電した場合には、非常用蓄電池から264Vで給電する。
同センターは、全棟(計8棟を予定)稼働した場合、約4000ラック分のサーバが電力を消費する。太陽光発電電力をすべて自社利用できる規模になることから、売電せずに自社利用することにした。
さくらインターネットは、石狩超電導・直流送電システム技術研究組合の一員として、太陽光の電力を高温超電導ケーブルで直流送電し、データセンターに供給するプロジェクトにも取り組んでいる。同組合は、500mの超電導送電試験に成功しており、今年9月には、さくらインターネットの太陽光発電設備とデータセンターをつなぎ、太陽光の電力を高温超電導ケーブルで直流送電し、データセンターに供給する計画(関連記事)。その間は、自営で設置した一般の送電線から高温超電導ケーブルに一時的に切り替えることになる。