OpenRemoteのユーザー・インタフェース用ソフトウエアを使い,テレビのリモコンの代わりに利用する例。仮想キーパッドの下にある4つの点は,指の操作によって画面を切り替えるためのものである。
OpenRemoteのユーザー・インタフェース用ソフトウエアを使い,テレビのリモコンの代わりに利用する例。仮想キーパッドの下にある4つの点は,指の操作によって画面を切り替えるためのものである。
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OpenRemoteのユーザー・インタフェースの例。ユーザーがリラックスしたムードを希望していることを想定したもの。リラックス系の画像を表示するほか,音楽や動画再生時のボリュームを低減したりする。このほか,ユーザーが再生ボタンを押すと,自宅のホーム・オートメーション・システムが起動し,照明を調整したり,リラックス・ムードに適した音楽が再生されるといった利用形態のアイデアもある。
OpenRemoteのユーザー・インタフェースの例。ユーザーがリラックスしたムードを希望していることを想定したもの。リラックス系の画像を表示するほか,音楽や動画再生時のボリュームを低減したりする。このほか,ユーザーが再生ボタンを押すと,自宅のホーム・オートメーション・システムが起動し,照明を調整したり,リラックス・ムードに適した音楽が再生されるといった利用形態のアイデアもある。
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 「ホーム・オートメーション・システムには独占的な技術が多く,価格も高い。操作も複雑だ。このため多くのユーザーは,ホーム・オートメーションをあきらめていた。我々のシステムは,こうした状況を改善するために開発した」(米OpenRemote, Inc.,Co-FounderのJuha Lindfors氏)。

 米OpenRemote, Inc.(同社のWebサイト)は2009年夏をメドに,米Apple社の「iPhone」を使って照明やデジタル家電機器,セキュリティ機器などのホーム・オートメーション・システムを制御するためのソフトウエアを配布する。オープンソースのソフトウエアとして提供する。

 OpenRemoteは,3つの構成要素がある。1点目は,ユーザー・インタフェースなどに利用するクライアント・ソフトウエア。同社は「Panel Software」と呼ぶ。2点目は,iPhoneのクライアントから受信した操作命令を,家電機器に転送するための機能を備えた「OpenRemote Box(ORB)」。これはソフトウエアと,ハードウエアのリファレンス・デザインもある。最後が,ホーム・オートメーション・システムを宅内に導入する際の,設置事業者向けオンライン・ツール「Device Modeler」。OpenRemote社はこうした製品群を「Building Operating System Standard(BOSS)」と呼んでいる。BOSSでは,ホーム・オートメーション用の機器と通信する際の技術として,赤外線やEthernet,X10などに対応している。さらに将来的には,ZigBeeに対応する可能性もあるという。

 OpenRemote社が,操作用の端末としてiPhoneを想定しているのは,「人気が高いこと。さらに,タッチ・スクリーンに基づいたユーザー・インタフェースが操作しやすいと判断したこと」(同社)と言う。ただし同社のPanel Softwareは,画面サイズが15型のタッチ・スクリーンにまで対応できるため,将来的にはiPhone以外のクライアントで利用できるようにする可能性もある。またORBには,Webサーバー用のソフトウエアも搭載されている。iPhoneとORBの通信には,無線LANを利用する。

 OpenRemote社はもともと,Javaを活用したソフトウエア開発を手がける「JBoss」という企業だった。JBoss社の創業メンバーだったLindfors氏とMarc Fleury氏が,OpenRemote社を2008年春ごろに設立した。JBossは2006年に米Red Hat社から買収されたため,OpenRemote社の運営にはその際に取得した資金が充てられているという。OpenRemote社は,ソフトウエアの開発リソースとしてオープンソース・コミュニティの開発者に頼るほか,同社が中国の開発チームも活用しているという。

低コストのハードウエアで,ホーム・オートメーション・システムを実現

 ORBハードウエアのリファレンス・デザインは,米Advanced Micro Devices社製の「Geode LX800」を利用している。同LSIの動作周波数は500MHzである。OpenRemote社によれば,ORBのリファレンス・デザインの部材コストは,合計187.70米ドルであるという。このほか,米Intel社のマイクロプロセサ「Atom」を活用したタッチ・スクリーン搭載ネットブックでも,ORBの機能やクライアントのソフトウエアを実行することができるという。「一般的なホーム・オートメーション用制御機器は2000米ドルといった価格になる。だが,我々のソフトウエア製品であれば,低価格のパソコンでも実現できる」(Lindfors氏)と主張する。