2007年9月29日~30日 多摩市永山公民館ベルブホール

★カカワクワディーゴ コウヅエイコ★
ドロシーというのは“オズの魔法使い”のドロシーのこと。主人公は現実世界を怖がり、自分の空想の世界、自分だけのオズの国に逃げ込んでいる。友情と成長という高校生らしい主題。
劇団タバスコの芝居を観るといつも、ああ何て若いのだろう、とある種の衝撃を受ける。
彼らが描くキャラクターたちは人一倍ナイーブで傷付きやすい態でありながら、外にも内にも刺々しい。昨今、学校や会社など、自分が行かなくてはならないとされている場所に急に行けなくなってしまう人間などいくらでもいるだろう。冒頭で、登校拒否中の主人公に彼女の友達が詰問する。「何で?」と。これはフィクションだから、何故なのか訊いても良いし、学校に行かなくなったことを単純に“おかしい”と形容してもかまわない。だが実際には、何で、という問いに答えがあるとは限らないし、おそらくそう簡単に答えられるものでも、理解できる答えでもないだろうと思う。学校に行けないくらいおかしいことではないとも思う。
そこをストレートに、訊くことに何のためらいも疑問もなく、訊けるということ。この台詞は本当に、若いということはどんなにしんどいものなのかを思い起こさせた。
扱っている題材は重いが芝居はポップでコメディタッチ。オズの魔法使いのキャラクターをかたどった空想のキャラクターたちが楽しげに舞台を彩る。
観ていて何故オズなのだろうかと疑問に思った。主人公は自分の空想を、空想として認識している。つまり仮想のキャラクターたちは全て自分の別の面であることを理解しているはずだ。臆病なままでいる方が傷付かずに済むのはオズのライオンと同じ。進むべき道が判らないという漠然とした不安は誰もが持っている感情だろう。引き合いに出すからには、主人公にとってのオズというものが、もっと伝わると良かった。
相変わらずピアノの生演奏が羨ましい。