メビウス in 明治大学
例によって詳細は6月末発売の「ユリイカ」に譲りますが、メビウスイベントのグランドフィナーレを飾る明治大学主催のシンポジウムに行ってきました。
この日の俺は一観客としての立場で客席からの聴講。この日は病院で定期検査の日でしたので、午前中に神奈川県綾瀬市の病院で検査を受けて、お茶の水に駆けつけた時にはシンポジウムは始まっていました。
それでも全体の三分の二くらいは見られたと思います。明大のホールがやけに立派で、これには負けたと思いました。俺が聞き始めたのは夏目房之介さんの話の途中からでしたが、さすがは夏目さんで、場慣れしております。得意の描線論でメビウスについて語っていて、論旨がまとまっており、お客さんにとっても「得した感」が高いでしょう。
6日の村田蓮爾さんの時もそうでしたが、参加者の手元にスケッチブックが用意されていました。メビウス、夏目さん、そして浦沢直樹さんもそれぞれ絵を描きながらトークを進めていて、マンガ家同士ならではの楽しいイベントになりました。
浦沢さんが、マンガの入門書によくある、まず人物の輪郭を描いてそこに十字の線を入れる描き方をやってみせて、「よくこういうデッサン人形のようなものから人物を描くやり方があるが、これは描いていて楽しくない。メビウスさんの線には無駄がなく、白紙にいきなり線を引いても“あるべき線”のみで構成されていて、いちいち決まっている。こういう線の引き方に憧れる」というようなことを話して、夏目さんが「メビウスさんはモーツアルトなんだよ」と受ける一幕も。
たしかに下書きを描かずにいきなりオモ線を引いて、それが決まればさぞかし気持ちがいいのでしょうが、それができる人とできない人がいるわけでして、たとえば相原コージ君などは丸に十字の下書きから入らなければ絵が描けないので、飲み屋などでいきなり色紙を渡されて絵入りのサインを頼まれると今でも困惑するのだそうです。
メビウスさんに関しては、俺が接した4日間はのべつまくなしに絵を描いていた印象があります。俺は現物は知りませんが、たぶん葛飾北斎なんかもこういう人だったんじゃないかと思いますね。根っから絵を描くことが好きなんでしょうね。
関係ないけど、こないだ忌野清志郎さんが亡くなられましたね。実は13年ほど前にインタビューしたことがあるんですが、インタビュー中、ずっと清志郎さんは手にしたギターをつま弾いていました。音楽と絵画の違いはあるけれども、メビウスさんもそういう感じの人ですね。常に手を動かして、何かを描いている。
打ち上げ会場で、メビウスさんから関係者に画集のプレゼントが。もちろん俺にもあって、ちゃんと俺の名前も入っていてイラストが添えられていました。家宝にします。
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