アイドルグループ S.H.Eの新曲『中国話』の歌詞が物議をかもしているようです。
中国(大陸)市場でのプロモーションを意識した内容で、中国に媚びているという批判を浴びています。北京で来年開催のオリンピックなども意識してのことでしょう。歌詞は「世界中が中国語を学んでいる、中国の文化もどんどん世界に広がっていく」といった意味のもの。
おりしも台湾国内では「國語」とは何かを問う「国家語言発展法」が争点(参照)となっているだけに、論議を呼ぶことはプロモート側も狙っていたのでしょう。

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全世界都在學中國話 孔夫子的話 越來越國際化
全世界都在講中國話 我們説的話 讓世界都在認真聽話

世界が中国語を学んでいる 孔子さまの言葉も ますます国際化していく
世界が中国語を話している 私たちの言うことを 世界中が耳を傾けて聞いている


[記事本文より]
台湾はこの数年、急速に大陸に傾斜しています。政治や経済のみならず、とくに音楽の趨勢や流行は大陸に掌握されていると言えます。2000年に(大陸から来た国民党から)はじめて民進党が与党となり、原住民出身の歌手・張惠妹(阿妹)が陳水扁の総統就任式典で国家を斉唱しました。このせいで阿妹は大陸の不評を買い、中国市場でようやくプロモーションできたのは1年前になってからです。この数年、中国は芸能人の「緑名單」(グリーンリスト)を作成し、そういった芸能人の中国市場からの締め出しをしています。
中国市場へ進出を図りたいアーティストの意識の中に「中国の公安」がいるようなものです。彼らの言動や創作活動は政治的に検閲されているからです。S.H.E『中国話』の歌詞には、「私たちの言うことを、世界中が耳を傾けて聞いている」とありますが、いまやまさに「中国の言うことを、台湾の芸能人は耳をそばだてて聞いている」と言う状態です。
(07.5.4 自由時報)

註)「緑名單」(グリーンリスト):党旗の色から、国民党を「藍色」、民進党を「緑色」と呼び、それらの支持者や政治思想を色分けしている。中国共産党はもちろん「紅色」。
S.H.E「Play」(通常版:約1,501円)