出張です
今日は久しぶりの出張。
京都に出かける。
地下鉄四条駅の近くだったが、
狭い道で車が渋滞する様子。
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研究会は、木津川の河川生態に関するもので、この2年は研究会のみ実施されてきたが、1997年頃から、河川工学や水質関係、生態関係の研究者がほぼ同じフィールドで行ってきたこの枠組みもこれで最後とのこと。
研究室でのたまりの調査も今年を最後にする予定であったので、切りを付けるはよいのだろう、と思う。
ただ、最初に調査していた砂州が、河川事務所によって植物伐採されたという報告があった。(たまりやわんどの調査とは違う砂州なので、目にしていない。)
この風景の真ん中の砂州の植生が、「原っぱ」になったそうである。
研究者からは、なぜ研究会に事前に言わなかったのか、とか、皆伐はやめたほうがよいとか、いろいろ非難や質問があったが、事務所側からすれば、そういうものに引きずられて実施ができなくなるなどのことを危惧したのだろう。
一番不可解なのは、
・高さ50cmで、砂州全体で皆伐したこと。
・数年おきに伐採を繰り返す、という維持管理の方針である。
である。
植物の伐採は、洪水時の抵抗となり水位上昇して危険となるための対応であるが、
まずは、伐採地区の優先性の理由が不明である、という指摘があった。
他にも、
・ヤナギがすぐに生えてきて、数年後には高さ数mの植生が復活してしまうこと
・マウンド化した地形は変わっていないので、出水時において、植生がマウンド化した砂州内部まで土砂が送られるのを防御できてたのが、伐採によってかえって堆積が内部まで進んでしまうこと。
などの状況から、維持管理の考え方がどういうものなのか疑問である。
5年に1周するくらいなら、相当お金がある、ということになるが、実施可能なのだろうか?
最後のご奉公ではないが、一度現状を見ておくべきだ、と思う。
どんなになっているのだろうか、と、ちょっと楽しみである。
=== 研究になるか。
こうした研究会の議論で面白いのは、
・何が研究になるのか、ということと、
・何の役に立つのか、ということ
は、別物であるということである。
現象を物理的化学的生物学的に説明できるようになることは、それぞれの専門での研究上意義があるし、論文が評価される。
しかし、いったんそれを示してしまった後、
「じゃあ、現場に応用してみよう、予測して見よう」とか、適用を研究者がやろうとして、それが研究成果になるのか、ということである。
それが高く評価されるならば、自分にもやれること・やろうという気になる対象は、いくらでもある。
しかし、どこかで「ちょいと」やったこと(やられたこと)を、
実務のところでがっちり調査研究することは、どう評価されるのか、ということである。
私は後者のほうがはるかに意義があると思う。
しかし、実際はそうではない。
前者のほうがはるかに高く評価される(と皆が信じている)。
ようするに、「先に言ったもの勝ち」のようなものだ。
大した調査をしていなくても、である。
後者の調査研究はコンサルがやる仕事だ、と言う。
そこが間違っている。
そんなことを言っているから、知見の蓄積も進まないし、いつまでたっても予測も評価も応用も実現しない。現場の演習だ、と言うが、正しい知見にはより多くのケースが必要だ。
ある段階まで進めば、
必要なのはより新しい概念ではなく、
これまでの概念を現場に対して網羅的に適用し、より多くの実物を見ることだ。
5年前にこの枠組みでやりたいことがあったのだが、それは研究ではない、と言われ、それ以来こうした研究としての枠組みにはあまり期待してない。金がないから、という理由ならまだよいが、研究ではないと言われれば、何を提案しても仕方ない。
勝手に行政の委員会でなんでもそこでやればいい。
こうした学術界の慣習や意識の在り方には辟易している。
そこを乗り越えられない限り、みんなが好き勝手に言いたいことを言って「先に言った」合戦を繰り返すだけで、目的である「応用生態学」など実現できないだろう。
===
研究会もそこそこに、名古屋に戻り、大学で明日の準備をする。
大学も後期の期末試験の時期に突入した。
どんな問題を出そうか。。。
直球と変化球を用意して、学生を試すことにした。
(本当は、学生を通して自分の授業を試すのである。)
そうこうして思い悩むうちに時間はあっという間に経つ。
電車がなくなる前に仕事を終えて、帰途につく。
遅い時間になると、「誰もいない!」
明かりが煌々と灯る。
「こだま」しか止まらない駅の、400mにわたって並ぶ明かりはもっとすごい。
長良川からの岐阜羽島駅は、何かの象徴のようである。
こういうのもなんとかならないのだろうか、と思いながら「安全に」電車を待つ。
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コメント
私も数年前は木津川で楽しく研究をさせて頂きましたが、研究会もこれで最後ですか。
河川の場合はスケールが大きいので他の工学の分野と少し勝手が違うかもしれませんが、工学者としては知見を実際に適用する所までが仕事のような気がします。そこが理学との違いなんでしょうかね。
投稿: みやしん | 2010年1月19日 (火) 03時22分
初めてコメント書きます。
今日はお疲れ様でした。色々と雑務などあり、話に行く余裕がありませんでした。(あの部屋は携帯電波が入らないため1階まで電話しにいっていたりetc)
今日で今までの枠組みの研究会は最後。しかし、研究会は・・・?ボスのみぞ知るという感じでしょうか。
春に一度現場を見に行きたいと思います。坊主頭の砂州を。
投稿: 裏方 | 2010年1月19日 (火) 04時30分
みやしんさん,裏方さん
コメントありがとうございます.
お二人とも,木津川とは縁のある方ですね.
裏方さん,研究会ではお疲れ様でした.
また今度,お話しましょう.
みやしんさん,おっしゃる通り,こういう空間を扱うものは難しいですね.生息場とか物質収支とかを扱う問題にはいつも付きまといます.
投稿: sumisumi | 2010年1月19日 (火) 20時44分