あらすじ
燃え盛る二舎六房。仲間達のために走り出すアンチャンの姿を見たバレモトは、葛藤しながらも、六房の鍵を探し出し仲間達を救出することを決心する。アンチャンの思いは確かにバレモトの心も突き動かしていた。
一方、衰弱するマリオ達のところへ駆けつけるアンチャン。熱くなったドアノブを懸命にこじ開けようとするが、突如、頭上の天井が崩れ落ち、下敷きになってしまう。その頃、鍵を見つけ出したバレモトの前に石原が現れ、火事の原因がバレモトのタバコだということを黙っている代わりに鍵を奪おうとする。しかし、バレモトは必死に鍵を守り通す。「あいつらは俺の初めての仲間なんだ!」
鍵を開け、倒れているマリオ達に必死に声をかけるバレモト。その声に意識を取り戻したマリオ達は、六人で力を合わせ、アンチャンの足に被さる瓦礫を持ち上げる。一刻も早く避難しなければならない中、今度はマリオ達が危険をかえりみずにアンチャンを助け出したのだ。
火事の後、病院を見舞いに訪れるマリオ達は、意識を取り戻したアンチャンが、看護師の小池節子に父親の話しをしているのを耳にする。
昭和18年、戦争に向かう父親を尊敬の眼差しで見送るアンチャン。しかし、戦争が終結しても父親は帰ってこなかった。五人の兄達も戦争で亡くしたアンチャンは母親と必死に暮らしていく。昭和28年、シベリア抑留から突然戻ってきた父親は、まるで別人になり果てていた。仕事もせずにただ酒をあおる父親に対し、「そんな情けない姿を見せるために戻ってきたのかよ。なんて、みっともねえ。」と言葉を浴びせてしまうアンチャン。翌日、「母さんを頼んだぞ」と言い残し、父親は川で死体となって見つかる。それ以来、父親を死に追いやったのは自分だと悔いてきたのだ。
親殺しの真相を聞き、アンチャンの心の傷を知ったマリオ達。
七人の間のわだかまりや疑いは無くなり、結束は一層固いものになっていた。
「みんな、聞いてくれ!」
「すまん、今回の火事・・・」