投手歴3年ちょっとで大学日本代表候補 仙台大の1年生左腕は「これぞ天才」という超逸材
簡単に使ってはいけない言葉だが、「天才」とはこういう選手のことを指すのだろう。
仙台大の1年生左腕・大城海翔の投球を見て、そして本人に話を聞いたうえでそう思わずにはいられなかった。
1年生ながら大学日本代表候補強化合宿に招集された仙台大の大城海翔 photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る
【1年生にしてリーグMVP獲得】
大城は1年生ながら好投手揃いの仙台大で中心投手になり、今秋の仙台六大学リーグではMVPを受賞。11月30日から実施された大学日本代表候補強化合宿にも招集されている。
空振りを奪えるキレ味抜群のストレートに、抜けのいいカーブとチェンジアップ。さらに両コーナーを正確に突くコントロールと、大学1年生とは思えない高度な技術を持っている。
だが、本人に聞くと「ピッチャーを始めたのは高校1年生」だという。投手歴3年ちょっとで大学日本代表候補に選出されるとは、にわかには信じられなかった。
強化合宿に招集された19人の投手のなかで、もっとも身長が低かったのが大城だった。身長168センチ、体重74キロ。マウンドに立てば、どこにでもいそうな左投手に見える。だが、柔らかい腕の振りから放たれたストレートは、スピードガンの数字以上に速く感じる。大城は自身のストレートについて、「空振りが取れるのは武器だと思います」と語る。
強化合宿で実戦形式のシート打撃に登板した大城は、非凡な才能の片鱗を見せた。
打者6人と対戦して被安打1、奪三振2、与四球1。ただし、後半の3打者は2ストライクと投手有利カウントからの投球ながら、前嶋藍(亜細亜大2年)に右前打を許した。登板後、大城は自身の投球について「あまりよくなかった」と振り返った。
「自分はコントロールのピッチャーなのに、今日は真っすぐのコースへの投げ分けができなくて、逆球が多かったです。ヒットを打たれた球もコースを狙いすぎて、少し抜けて甘く入ってしまいました」
ただし、受けた捕手の渡部海(青山学院大2年)は目を丸くしてこう証言した。
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。