「黒子のバスケ」の灰崎祥吾をご存知でしょうか。
本編には、169話で登場。死闘の末、誠凛が陽泉に勝利した直後、火神のかつての親友・氷室タツヤに暴力を振るうというインパクト大の登場をした灰崎。
帝光中バスケ部時代には「最も危険と言われた男」と呼ばれていたそうです。
ジャンプ的に言えば「最も神に近い男」と同格くらいでしょうか。というか、そもそも誰に言われていたんだという疑問はあります。
今となっては自称の疑いがありますが。しかも、当時は中一ですよ。中一ながら中二病が過ぎます。灰崎、ヤバいです。
外部の評価を見てみましょう。
黄瀬「真面目にアップしてるなんて思ってなかった」
青峰「思い出したらムカついてきた。イヤな奴が戻ってきた」
火神「コイツはバスケをなんとも思ってねえ」
黒子「自分勝手で制御が効かない人」
……と、外部からの評価はボロクソです。裏を返せば、それだけ悪い奴ということなのでしょう。
悪い奴がライバルに勝って、主人公がリベンジするという展開は少年漫画ではよくある展開です。黄瀬が心配です。
黄瀬(海常)との試合が始まったのが、初登場から3話目の171話。
灰崎は、相手の技をコピーするだけの黄瀬の上位互換の能力を持っていました。なんと灰崎は、相手の技を奪えるのです。いよいよ黄瀬ピンチです。
続いての172話。灰崎の見せ場が続く――かと思いきや、172話で黄瀬が新能力「完全無欠の模倣」を発動し、キセキの世代の能力を完全コピーして逆転。灰崎はその後目立つことなく、173話には負けてしまいました。
大物っぽく出て来たのに、試合数はまさかの3話でした。早すぎます。
青峰以上のクイックネスです。 しかも、その青峰にワンパンKOされて
物語から物理的に退場しました。バスケット漫画なのに。
木吉の選手生命を短くする原因となった花宮ですら(観客として)出番がありましたが、成長予測ができる桃井が「何もしないと思う」と言っている以上、もう出番はないかと思われます。決勝戦あたりをコッソリ観戦していたらそれはそれで面白いですが。
世界大会編があれば、個人的には花宮、灰崎、今吉の極悪トリオを見てみたいですけれども。
と、このように灰崎単体で考えると、ジャンプ史に残るかませ犬という扱いで終わってしまいます。が、他のキャラクターと併せて考えると、掘り下げに一役買っているのではないか、と思えるシーンがいくつかあったので紹介してみます。
○青峰と灰崎 青峰の持論は「バスケが好きな奴に悪い奴はいない」です。
これを踏まえて例のワンパンシーンを見ると
一瞬迷っています。本当に悪い奴じゃないと思いたいからこそ、一瞬迷ったのではないでしょうか。
青峰がさらに好きになりました。
しかし、誠凛再戦後の青峰は本当にオイシイキャラですね。でも、そこが好き(桃井)。
キセキの世代にバスケ以外のことで負ける、という結末は高校一年生の男子にとってはかなり辛いものがあると思うのですが、灰崎にはこれをバネに今後の人生を頑張ってほしいところです。
○赤司と灰崎 キセキの世代と同学年であり、1軍レギュラーとして活躍していた灰崎。
しかし、同じ系統の能力を持ちつつ、底なしの才能を持つ、後のキセキの世代・黄瀬のバスケ部が入部して間もなくレギュラーに定着することを見抜いた赤司の「命令」によって退部した、という過去を持っていました。
暴力的な性格だけが原因ではなかったようです。
赤司は「結果は変わらない」と言っているが…… 最初読んだ時は「まあ、そういうこともあるのか」と思ったものです。が、よくよく考えると赤司の性格を理解するにあたって意外と重要なシーンではないか、と思えてきました。
たらればの話ですが、もし灰崎が直接対決で黄瀬にレギュラーを取られていた場合、ここまで悪い奴になっていたのか?と考えてしまうのです。
何が言いたいかというと、
赤司にとって敗北は全て同一のものであり、どのような形でも「負けは負けでしかない」と考えているのでは、ということです。
敗北を知らないが故に、敗北の質を知らないと言いますか。
キセキの世代の全員が黒子に負けることによって成長していることから、価値ある敗北をしているのは明らかです。もしかしたら灰崎も、負けたことにされるのではなく黄瀬に実力で負けることで成長の機会があったのかもしれません。
青峰の持論の通り、灰崎もそんなに悪い奴じゃないかも説が自分の中にあるので、少しだけ灰崎に同情してしまうのでした。
あと、赤司関連で灰崎が可哀想なのは、火神によって赤司のハサミ攻撃が正当化されてしまったことでしょうか。こればかりは完全にとばっちりすぎます。
灰崎もそんなに悪い奴じゃないし、ただのカマセキャラじゃないよ、ということで今回はここまで。
個人的には青峰を深めてくれたのが一番大きいですね(青峰のカマセになってる)。