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国境を越えた団結を築き上げ資本の「成長戦略」打ち破ろう
十一月十三、十四日の両日、横浜で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議は、「横浜ビジョン」と題した首脳宣言を採択して閉幕した。
「横浜宣言」がうたっているのは次の三つの課題である。第一に「より強固で深化した地域経済統合を促進する共同体」をめざし「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)をASEAN+3(日、中、韓)、ASEANプラス6(日中韓とオーストラリア、ニュージーランド、インド)、そしてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を基礎に発展させる。第二に構造改革、人材・起業家精神の育成、環境関連分野の雇用・技術・産業の創出、情報通信技術利用の高度化などの成長戦略で「強い共同体」を目指す。第三に「深刻な脅威」を最小化するために、食料安全保障や防災、感染症対策に取り組み「安全な共同体」を目指す。
こうしてAPEC横浜首脳会議は、各国ごとの根深い対立を抱えながら、今日の深刻な資本主義システムの危機を、「包括的な自由貿易協定」の締結という形で法的拘束力を持たせ、新自由主義の純化で切り抜ける資本のグローバルな「成長戦略」を改めて確認するものとなった。同時に横浜宣言は、資本にとっての「安全な共同体」のために、「テロ」や「災害」などのあらゆる「脅威」に治安対策の観点から対処する各国支配者の「協力」を掲げた。もちろん経済的・軍事的に急速に拡大する中国と、その影響力を抑え込もうとする米日などの国家的意思の対立も深まっている。しかしAPEC首脳宣言は、表面的にはそうした対立を抑制しつつ、労働者民衆を「底辺への競争」に駆り立て、いっそうの格差・貧困と権利の破壊を押し付ける支配者の「共同利害」を表明したのである。
「いらない!APEC」横浜民衆フォーラムは、こうした資本の攻撃と二万一千人の警察、さらには自衛隊をも動員した厳戒態勢に抗議しつつ、十三日には首脳会議が開催されたパシフィコ横浜の間近に迫るデモを、韓国、台湾、香港、フィリピンの仲間もふくめて五百人の参加で意気高く勝ち取った。「静穏保持法」を適用して、拡声機の使用を禁止する不当な規制に対してもデモ参加者はひるむことなく「APEC NO!」の訴えを響かせた。
翌十四日には、パキスタンの仲間も加わって、午前・午後にわたり「多国籍企業の『成長』か労働者の『国際連帯』か」、「私たちにとって『安全保障』とは何か?」、「食と農は売り物じゃない!貿易自由化を考える」、「女性の視点からのAPEC」、「『開発』を考える」の五つの分科会を行い、資本家の「共同体」に対する国境を越える労働者民衆の連帯の立場を鮮明に提起したのである。 (K)
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この11月13日の"APECいらない!"デモのコースの一部(APEC会場付近)に対して、前原外相名で「静穏保持法」が適用された件について、実行委から抗議声明が出されました。
【抗議声明】
11月13日の「APECいらない!」デモに対する「静穏保持法」の適用と警察のデモ規制に抗議します
2010年11月23日
いらない!APEC 神奈川の会
いらない!APEC横浜民衆フォーラム実行委員会
11月13日に行われた、「"いらない!APEC"横浜民衆フォーラム」主催のデモ行進において、前原外相の命令で私たちのデモコースの一部を含めて「静穏保持法」(国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律)を適用したことと、そしてそれに伴う警察のデモ規制の過剰警備に抗議します。
そもそも、「静穏保持法」には、各都道府県で定められているような「騒音」に関する一定の基準(概ね85デシベル)など定められておらず、ただ「当該地域の静穏を害するような方法で拡声機を使用してはならない」とされているだけです。すなわち、現場の警察官の恣意的な判断で規制したり、状況によっては逮捕できるというとんでもない悪法だと言わざるを得ません。
デモ申請時も当日も、現場の警察官は私たちの「そんな法律を適用するならば、音量などの基準を示してほしい」という再三の要請に対して、まったく答えることはありませんでした。デモ行進中に「スピーカーを下せ」と言った警察官に「基準があるのか」と尋ねた仲間に帰ってきた言葉はただ一言「ウルセーコノヤロー」でした。
また、デモ中に音量を測る警察官は、よく右翼の街宣車に対して行っている椅子に座って地面に置いた機械で測るのではなく、長い棒の先につけたマイクをデモの列の真ん中にあるスピーカーの口にくっつけて測るというものでした。
そして、この「静穏保持法」に付記されている、
(適用上の注意等)第8条 この法律の適用に当たつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
2 この法律の規定は、法令の規定に従つて行われる請願のための集団行進について何らの影響を及ぼすものではない。
という条文は、13日当日の警察警備にかかっては、まったく意味をなしていませんでした。
「外国公館等周辺地域」の「静穏」を「保持」するというならば、何よりAPEC会場で音量が測られるべきであり、ましてや基準も示さないままにマイクをスピーカーにくっつけて音量を測って「逮捕するぞ」と恫喝する。言わば、法定速度の定められていない道路でスピード違反の取り締まりをやるような暴挙であり、この「静穏保持法」の適用と一連のデモ規制のやり方は法治と民主主義を根本から破壊するものだと指摘せざるを得ません。国が憲法21条が保証している表現の自由を侵すことは、国家権力の濫用に他なりません。
私たちは、言論と表現の自由を破壊する「静穏保持法」の私たちのデモへの適用に抗議し、二度とデモ行進に対してこの法律を適用しないこと、そしてこの言論・表現の自由を破壊する悪法の廃止を求めるものです。
最後に、私たちのデモは、スピーカーを奪われたAPEC会場パシフィコに最も近い地点でこそ最も盛り上がり、最前列から最後尾まで絶え間ない「APECいらない!」の声が鳴り響き、この付近の「静穏」を民衆の声で打ち破ったことを付記しておきます。
権力をふりかざして、警察の暴力を駆使しても、闘う民衆の声を止めることなど誰にもできないということを私たちのデモは証明しました。
日本政府はAPEC会場パシフィ
▲パシフィコ最接近ポイント-闘う声を止めることはできない
松沢知事は「日米同盟の象徴である原子力空母ジョージ・ワシントンの甲板の上や、横浜で行う場合は大さん橋ホールがセキュリティー面でもいい」と語り、さらに横浜港大さん橋ホールで行う場合は、海上自衛隊と米軍の艦船を置けば強力なセキュリティーになる」と主張した。松沢知事は「式典で日米安保の役割や日米同盟のメッセージを発信することが両国の国益につながる」とその意義を訴えた、という。これに対して、さすがに横須賀市の吉田市長も「ジョージ・ワシントンの甲板上で開催するという話は聞いていない」と不快感を示した、と報じられている(6月29日、神奈川新聞)。
沖縄の人びとの米軍基地、米軍による事故・犯罪に対する怒りにつばを吐きかけ、さらに「第二の基地県」として横須賀、厚木、座間、相模原などの米軍基地を抱え、騒音、事故、犯罪の被害を受けている神奈川県民の現実に背を向ける、こうした松沢神奈川県知事に対して、「いらない!APEC」神奈川の会は、抗議と申し入れを全国の仲間に呼びかけ、九月十三日に横浜市役所と神奈川県庁への申し入れ行動を行った。
「いらない!APEC」神奈川の会の申し入れは、次の五項目。
「一、知事による日米両政府への『日米安全保障条約50周年記念式典』の要請を取り下げること。たとえ政府が企画しても、県内から会場を提供する等、協力は一切しないこと」。
「一、厚木基地の騒音被害の除去と核事故の危機が懸念される原子力空母ジョージ・ワシントンの即時撤去、池子の森の米軍住宅拡張計画の即時中止のために努力すること。そして厚木、相模原、横須賀、座間、池子などの神奈川県内の米軍基地・施設の縮小と撤去のための具体的な取り組みを開始すること」。
「一、APEC開催に関する『対テロ訓練』に民間人及び民間企業、そして自衛隊、米軍を動員させないこと。とりわけ、APEC開催期間中の米軍艦や自衛艦の出動を巨化しないこと」。
「一、市民を『監視対象』とした警察などによる過剰警備をやめさせること。とりわけ、野宿を余儀なくされている人々へのAPEC開催を口実にした集中的な『職務質問』および公園や地下道などからの強制排除をさせないこと」。
「一、昨年11月の『事業仕分け』においてAPEC開催費用は『施設費、宿泊費、食費が市価に比べ、あまりに高額だ』と指摘され、20%の削減(約20億円)を判定されました。APECの抱える深刻な諸問題を考えるなら、いっそAPECを丸ごと『仕分け』して中止することを政府に要請したいところです。神奈川県としても、APEC開催に際して市民感覚からかけ離れた税金の無駄遣いが生じていないかを厳重にチェックすること」。
この日、神奈川県庁舎の各入口や周辺交差点などで、例によって数十人の公安警察がたむろし、申し入れ行動参加者のチェックに余念がない。午後三時半から横浜市役所への申し入れ行動を行った「いらない!APEC」神奈川の会の仲間たちは、この日の行動に独自の申し入れ書を持って参加した新しい反安保行動をつくる実行委員会(反安保実)の仲間たちとともに県庁舎内で知事秘書課長と面談し、申し入れの趣旨を説明し、「日米安保五十年記念式典」開催要求取り下げを要求するとともに、住民を威嚇する異様なまでのAPEC警備に抗議した。秘書課長は「警備の問題は県庁・県知事の管轄ではなく、県警の問題」と逃げたが、「申し入れについては知事、担当部局に伝えて回答する」と約束した。
申し入れ行動参加者たちは、「横浜が世界の中心になるAPEC」「開催まであと××日」の看板がそびえるJR関内駅前で、勤め帰りの人たちに「APECはいらない!」のアピール行動を行った。(K)
真に持続可能な社会のあり方を
この日の話にたったのは、実行委員会で活動する山浦康明さん(日本消費者連盟)と秋本陽子さん(ATTACジャパン)である。
山浦さんは「APECって何?」という題目で、あpECの設立経緯、WTO、FTA、G8,G20との関連を解説した。山浦さんが強調していたのは、APECが非公式会合であるのに、政治的にはかなり重要な役割を果たして
いることである。
国家間自由貿易の拡大という名目で、大企業同士のビジネス会議の外観をもちながら、9.11テロ以降は軍事・治安の問題を確認することが前面に出てきているのは最近の傾向であるという。農産物等の「自由貿易」によって膨大な数の社会的弱者が生み出され、エネルギー対策をうたっていても原発の「自由貿易」によって核の危険をかつてなく拡散する装置としてのAPECが、人々にとって決してありがたい場所でないということは、参加者も共有できたに違いない。
秋本さんは、APECが推進しようとする社会への対抗軸を打ち出しながら、その新経済成長戦略とAPEC宣言の類似に見られる民主党・菅直人政権の無能力、軽佻浮薄を批判した。
・雇用においてその企業優遇政策が労働者の福利につながらないのは明らか
・金融を主流産業にするという言及は、2008年「リーマンショック」以降の財政支援投入と投機マネーの肥大、アジア各国の投機規制の実態を全く見ていない
・東アジアの中間層をターゲットにした海外進出という戦略も、中国の人民元決済の浸透、東南アジアの経済自立発展の度合いを見誤ったものである
・三菱商事がマニラで水の管理を請け負うような動きは許さない
と、菅政権がさっそく犯している誤りを指摘した。
その上で、成長という概念、「お金」による豊かさの見直しを念頭に、「反グローバリゼーション」、「新自由主義反対」という当たり前の言葉を掲げるのではなく、持続可能な社会を作る行動を作ろうと呼びかけた。
二人の話の間に、神奈川の会の仲間がAPECにまつわる治安問題を話した。神奈川県警はAPEC警備としてすでに様々な訓練を行い、イギリスから専門家を招いてシンポを開く予定もあるようだが、実際には9.11テロのアルカイダ、サリンをまいたオウム真理教、一昔前の左翼団体の印象を混ぜ合わせて、APECはテロ対策の場であることを宣伝している。神奈川の会の仲間はその設定のこっけいさに触れながら、桜木町駅前での野宿者排除、地域住民協力体制の形成を考えれば、APECを利用した監視体制を許さないという何らかの行動が求められると呼びかけた。
2009年11月の民主党の事業仕分けでもAPECに費やす国家予算の20パーセント削減という判定が出たりしたが、税金無駄遣いの実態にも迫りたいという発言もあった。
この他、APEC民衆フォーラム実行委員会から十一月の行動概略説明があり、「『ザ・コーブ』上映を支持する会・横浜」、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」、「沖縄の自立解放闘争に連帯し,反安保を闘う連続講座」のメンバーからアピールを受けた。
この集会に対しても、多くの公安警察が入り口で監視に励んでいたが、こういった人たちへの批判が、APEC批判の主軸になることは確かである。同時に世界的規模で進む資本の再編にAPECがどう活用されるのかを見極め、横浜、神奈川からもAPECの矛盾を感じる人々の存在を発信しなければならない。
(海)
警察庁は、11月7日~14日に横浜市で開催される各国の支配者たちのための「談合」フェスティバルであるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の警備と称してグローバル派兵大国建設の一環としてある対テロ戦争型治安弾圧体制の構築を加速化させている。
▲2008年G8サミット開催時の唯一の「暴力事例」
-警官隊によるデモ隊襲撃と車両破壊
七月に入って各都道府県警察の機動隊長、各管区機動隊の連隊長、連隊副官、大隊長等の現場指揮官をかき集めてAPEC会場であるみなとみらい21(MM21)地区の「APEC開催に向けた指揮官等の合同実査」を行った。片桐裕警察庁次長(APEC警備対策委員会委員長)は、「実査を踏まえた的確な警備の実施。精強な部隊の錬成。自県における警戒警備の徹底と一般治安の確保」などを強調した。会議には21カ国・地域の首脳、配偶者、閣僚の84人が参加するため全国警察本部から1000人以上の警護官(SP)を配置、周辺警戒も含めて約21000人以上の警察官を配備する「戒厳」状況で対応しようと準備している。
北海道洞爺湖サミット時には重包囲によって警備体制を敷くことができたが、横浜APECの会議場である「パシフィコ横浜」およびMM21は、「閉鎖しにくい都市部の施設」「不特定多数の出入り可能」なゾーンのため通行人の出入りチェックと職務質問の強化、車両規制、民衆の政治・表現活動・人権・生活破壊を強行しながら厳重警戒態勢を優先せよと「檄」を飛ばしている。
同時に公安政治警察をフル回転させ、「反APEC」を掲げる反グローバリゼーション運動勢力を「暴動の危険性」があると規定し、その動向・事前調査の集中、活動家リストの蓄積、監視・追跡の貫徹でもある。従来通りの公安弾圧態勢の延長のうえに「予防拘束」を目的とした微罪逮捕・家宅捜索を繰り返し情報収集、いやがらせを強行することで「意志一致」していることは間違いない。事実、この間公安の公然部隊によって運動関係の会議、諸集会参加者への監視、盗撮のための人員配置の増加、車両配備までした複数人員による尾行の繰り返しによって活動家情報を蓄積している。
また、APEC会議開催時の周辺の集会場を使わせないために使用中止・休館措置の指導を行い、会館当局は忠実に休館措置も含めて制限してきている。
果たして間に合って準備できるのか・・・多くの人々の予想をくつがえし、南アフリカでは6月11日にサッカーのワールドカップが始まった。ケープタウンでは一週間前まではいたる所で道路工事が続けられ、開催日前日にも中心部の道路脇で芝生を張り付ける作業が行われていたし、ジョハネスバーグでは空港から中心部に向かう高速道路の整備工事も完成せずに作業が中断され、アフリカの金融の中心街サントン地区と空港を結ぶ新たに作られた高速鉄道ハウトレインは、かろうじて開催二日前に運行を開始したものの、サントン駅は未だに完成せずにトタンで覆われたまま。
▲競技場警備員がスト・スタジアム前で示威行動(6月15日)
ぎりぎりセーフで始まったスポーツの大イベントだが、「お祭り」の雰囲気が出てきたのは、開催一週間前くらいからだろうか。サイドミラーに南ア国旗がデザインされたカバーをつけ、応援する国の国旗をウインドウに取り付けた車が町を走り始め、空港やショッピングモールではサッカーの応援グッズのブブゼラが鳴り響き始め、自分の応援する国の国旗を窓に飾る家が出始めたのも、この頃からだ。
南アフリカでもサッカー人気は高いが、サポーターの多くは黒人だと言われている。白人の多くはサッカーよりもラグビーやクリケットに夢中で、日頃からスポーツショップではラグビーチームやクリケットチームのユニフォームが一番目立つところで売られている。黒人は人口の八割を占めており、数の上ではサッカーファンの方が圧倒的に多いにもかかわらず、購買力を持つ白人(人口の一割弱)が支持するスポーツの方が商業的にも旨味があるのだろう。
この一大イベントに対して政府、政権与党のANC(アフリカ民族会議)はもちろんのこと、COSATU(南ア労働組合会議)や南ア共産党までもが開催を祝う声明を出し、南アのナショナルチームを応援しようと呼びかけている。新聞やテレビは言うまでもない。
いたる所で目にする国旗はこうして、日頃サッカーにはあまり関心を示さない層を取り込む形で、ナショナリズムを作り出している。
ワールドカップが始まって、この南アフリカの抱える矛盾が、いろんなところで現れている。
WSF首都圏フォーラムは2010年に世界各地で分散開催される世界社会フォーラム(WSF)の一環として開催された。二〇〇八年からの世界的な金融危機は、新自由主義に基づく政策の推進によって格差の構造が広がってきた社会のなかで、多くの人びとを一挙に貧困のスパイラルに突き落し、新自由主義の破綻を決定的に明らかにした。この現状に対して、崩されつづけてきた社会的連帯の再構築が求められている。さまざまなグループが、それぞれ自立しながら合流し、活発な討論や協働を重ねる、多様な運動の場であるWSFをともに形づくっていこうというのが集会の趣旨であった。
チコ・ウイテイカーさん(WSF設立発起人、WSF国際評議会およびブラジル組織委員)を迎えて
資本のグローバル化と新自由主義政策の推進者たちの世界経済フォーラムに対抗して始まった民衆のための世界社会フォーラムが2001年1月、ブラジルのポルトアレグレでスタートして以降、04年にインドのムンバイ、06年がベネズエラのカラカス、マリのバマコ、パキスタンのカラカス、2007年がケニアのナイロビ、09年がブラジルのべレンで開催されてきた。10年は、各国・地域の分散開催として取り組まれるが、それと連動して日本でも反戦・平和・人権運動や労働運動の仲間たちによってWSF2010首都圏実が結成され、集会(2010年1月24日、在日韓国YMCA)が準備されている。また、大阪の仲間たちも3月に「おおさか社会フォーラム」を開催する。
開催挨拶が首都圏実の秋本陽子さん(ATTAC首都圏)から行われ、WSFの歴史と取り組み成果、連動した日本の運動の紹介。続いて稲垣豊さん(ATTAC首都圏)からWSF2010首都圏実への参加・賛同のよびかけが行われ、「経済危機と政治的変化を向かえた日本の社会運動がそれぞれの課題や地域・国境を越えてつながるための契機として取り組んでいこう」と強調した。
世界社会フォーラム(WSF)設立発起人の一人であり、WSF国際評議会およびブラジル組織委員のチコ・ウイテイカーさんを迎えて「世界社会フォーラム 新自由主義に反対し、可能なもうひとつの世界を目指す人々の連合を築き上げるために」というタイトルで講演が行われた。
1999年11月末、米国西海岸のシアトルで開催されたWTO(世界貿易機関)閣僚会議に反対して五万人が結集し、会議そのものを破綻に追い込んだ闘いは、新自由主義グローバリゼーションに反対するオルタ・グローバリゼーション運動(グローバル・ジャステイス運動)の高揚を導いた決定的な転換点だった。昨年来の世界的な金融・経済恐慌は新自由主義グローバル化の失敗をこの上なく明瞭に暴きだした。それは反対運動こそが正しかったことを示すものだった。
しかし11月30日からスイスのジュネーブで開催されるWTO閣僚会議は、経済危機からの回復のためには「健全な自由貿易」が不可欠だとするG8、G20の合意により、八年たっても合意のメドがたたないWTOドーハラウンドの早期妥結の旗にしがみついている。
日本を見た時、この金融・経済危機の影響を受けて多くの労働者がクビを切られ、住まいも奪われて野宿に追いやられている。渋谷駅近くの宮下公園でも十年以上前から野宿を強制された人びとがテントや段ボールでの生活を送っており、現在も約三十人が宮下公園を寝場所としている。
ところがこの宮下公園について、スポーツ用品メーカーの多国籍企業であるナイキがネーミングライツ(施設命名権)を買い取り、「宮下ナイキパーク」とする計画が進んでいる。九月から来年の四月まで公園の使用が禁止され、住まいを奪われた人びとの避難場所が奪われようとしているのだ(本紙前号参照)。この日の集会とデモはWTO閣僚会議に反対するとともに、多国籍企業に公共空間を売り渡し、野宿者の人権・生活を破壊する「ナイキ化」の攻撃を阻止するために開催された。