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2010年4月 7日 (水)

巨人・キムタク(木村拓也コーチ)を襲ったくも膜下出血を考える

巨人・キムタク(木村拓也コーチ)を襲ったくも膜下出血を考える

 プロ野球巨人キムタクこと、木村拓也きむら・たくや)内野守備走塁コーチが
クモ膜下出血でお亡くなりになられました。

まずは心からご冥福をお祈りします。

巨人の木村拓也コーチが死去 37歳、くも膜下出血- asahi.com

巨人・キムタク(木村拓也コーチ)を襲ったくも膜下出血

 若い木村コーチを襲ったクモ膜下出血とはどんな病気なのでしょうか?

 多くは、脳の動脈瘤が破裂して起きます。

 突然死の6.6%がこれに該当するとも言われ、高齢者よりむしろ壮年期の人に多いとされています。

クモ膜下出血の危険因子は、喫煙・高血圧・過量飲酒です。

 このブログでは、喫煙とクモ膜下出血の話をさせていただきます。

1. 日本を含む各国で行なわれた多くの研究を信頼のある手法(メタアナリシス) で解析し、喫煙はクモ膜下出血の危険因子であることが報告されました。

Shinton R, Beevers G. Meta-analysis of relation between cigarette smoking and stroke. BMJ. 1989 Mar 25;298(6676):789-94.

Feigin VL, Rinkel GJ, Lawes CM, Algra A, Bennett DA, van Gijn J, et al. Risk factors for subarachnoid hemorrhage: an updated systematic review of epidemiological studies. Stroke. 2005 Dec;36(12):2773-80.

2. 下記研究にて、
喫煙者は、非喫煙者に比べクモ膜下出血の危険性は5倍高い
と報告されました。

しかし、禁煙をすればすみやかにクモ膜下出血のリスクは減少するとあります。

Anderson CS, Feigin V, Bennett D, Lin RB, Hankey G, Jamrozik K. Active and passive smoking and the risk of subarachnoid hemorrhage: an international population-based case-control study. Stroke. 2004 Mar;35(3):633-7.

3. 日本でのJPHC Studyでは、

 タバコとクモ膜下出血の関係は強く、

 喫煙者は非喫煙者に比較して、男性では、3.6 倍、女性では、2.7倍発症の危険性が増すと報告されました。

 さらに、1日にたばこを吸う本数が増えるほど、クモ膜下出血の発症が段階的に増えていきます。

Jphc_outcome018_fig02_2

Mannami T, Iso H, Baba S, Sasaki S, Okada K, Konishi M, et al. Cigarette smoking and risk of stroke and its subtypes among middle-aged Japanese men and women: the JPHC Study Cohort I. Stroke. 2004 Jun;35(6):1248-53.

若くして命を落とすのは、本人も無念でしょうし、残された家族もとてもつらいものです。

 私も子どもが3人いますが、自分より若い木村コーチが命を落としたことを考えると,
いつ自分が病気で倒れるかということを考えてしまいます。
 
 家族のためにも、とにかく生きていく事が大事と思います。よく、反禁煙の立場の人は、”健康おたく”などと私たちを揶揄しますが、”命あっての物種”だと思うのです。

 最近、ソフトバンク孫正義さんが、すばらしい講演を一時期インターネットで公開されました。

孫正義LIVE2011 2010/3/29 国際フォーラム ホールA(現在公開終了)

 その中の一節に以下のような言葉がありました。

 会社を始めて1年半で、肝臓を患い、3年半、入院出たり入ったり。そのときにですね、病院のベッドで泣きました。まだ会社始めて1年半ですよ。入院しなきゃならない。借金もある。ま借金はいつでもありますけど。会社始めたばかりでお客様も社員も娘も産まれたばっかりだ。で、医者からは「もってあと5年だ」と言われた。命が。こんなに勉強して、熱い想いで会社を興して、成したい事があるのに、たった5年で俺の命は終わるのか!もうヤケクソですよ。えーいクソッ!何のために会社を興したんだ。ボロボロに泣きましたよ。一人でね。もうそれこそ、物欲なんか全部なくなりますよ。洋服なんていらん、家もいらん、車もいらん。命だけほしい。命だけほしい。命さえあれば、家族に会える。

 その後、逆境を乗り越えて今の地位を築かれた訳ですが、やはり、命あってのものだと思います。もちろん死は、防げないこともあります。

 しかし、幸いにもタバコはやめれば急激にクモ膜下出血のリスクは減るのです。

 ぜひ、かけがいのない家族のためにも、禁煙をして、早死にすることのないようにしたいものです。

<参考>
上記、講演書き起こしはツイッター総研:孫正義、【志】を語る。「孫正義 LIVE 2011」書き起こし(その1)を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

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コメント

 いらんからぷて(アイヌ語です。直接の意味は「あなたの心にそっと触れさせて頂きます」。ヤマト語の「はじめまして」にあたり大好きな挨拶です)。

 木村拓也コーチの突然死と喫煙との関係の問題提起、とても勉強になりました。
 高校の保健体育の授業で、「たばこはスポーツ選手にとって害毒、スタミナも落ちる」と教えられ、以来それを信じ、今日まで咥えたこともありません。さらに労働安全衛生「安全なくして労働なし、抵抗なくして安全なし」という貴重に基づいて、職場の喫煙問題に取り組み、労働科学研究所・佐野博士の『喫煙者の肺の膜の標本=タールがべっとり張り付いている」を見せられ、確信しました。
 先日、たばこ税の引き上げに伴う臨時議会(3月31日)で質疑し、教員の校内での喫煙全面禁止を提案したところです。

 このブログを拙サイト:http://www1.parkcity.ne.jp/shimayan/kyounodekigoto.htm
で紹介し、「喫煙者は、非喫煙者に比べクモ膜下出血の危険性は5倍高い」などということを発信していきます。

 ありがとうございました。


投稿: しまざき英治 | 2010年4月21日 (水) 13時02分

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