›5 29, 2012

ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ(Double Irish With a Dutch Sandwich)

Category: 節税 / 0 Comments: Post / View

アップルやグーグルは革新的な製品やサービスを投入する先端企業であるが、革新的な開発はビジネスモデル、とりわけ節税においても発揮されている。

アップルが先駆けとなった節税方法は、ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ(Double Irish With a Dutch Sandwich)と呼ばれる方法であり、これまでの国家や地域に縛られていた税法の当てはまらないスキームが適用されている。IT産業においてデジタル化された有料コンテンツは世界中にどこから配信しても同じコストで実現できてしまう。そのコンテンツを生み出す特許やサーバ、法人を移動させることによって実効税率を極限まで縮小させることが今日では可能となっているのだ。

グローバル企業の節税は多くの企業によって行われている。日系企業においても製造拠点を海外に移したり、内部取引によって節税することは広く行われていることである。企業によっては本社機能を税率の低い国や無税国籍(タックスヘイブン)に移すことさえも行われている。

しかし世界を仰天させたのは、アップルやグーグルが実効税率10%以下などあまりにも低いことである。当然サービスを生み出したのは、米国内でありカリフォルニア州が主要地域内でありながら、その地域においての税徴収があまりにも低いことから不満もあるのだろう。しかしながら、高額の人件費の地域で多くの雇用を生み出す企業に対して圧力を強めれば、本社機能を移されてしまうことも考えられるため合法である以上は黙認すべきという考えもあるだろう。

事実、タックスヘイブンやタックスホリデー(税徴収の引き延ばし)を行っている国、地域は税で徴収するかわりに雇用を生み出すことを期待しているのである。

さて、アップルは1980年代後半に「ダブルアイリッシュ(Double Irish)」という税スキームを開発した。これは、企業の利益を世界中のタックスヘイブンに移転できる仕組に使われる。具体的には、カリフォルニアで開発した特許のローヤルティー収入をアイルランドに移転させるところから始まる。ダブルとあるが、もうひとつ子会社を置くことで、カリブの非課税の会社に他の利益を移している。
さらに、アイルランドが他の欧州諸国と結んだ条約の関係で、一部利益もオランダを挟めば非課税にできることを利用している。「ダッチ・サンドウィッチ」

またアップルは、ネバダ州 リノに従業員数名の小さなオフィスを置くことで、企業の収益をこの地域から投資に回すことで、収益の一部にかかる州の法人税を回避している。カリフォルニアの法人税率は8.84%に対し、ネバダ州はゼロである。
さらにアイルランド、オランダ、ルクセンブルク、ヴァージニア諸島といった場所に子会社を設立し節税をしている。

やはり税法は工業化の時代につくられその延長でしか無いことから、デジタル時代のIT業界には税法の抜け道が沢山あるのだ。
IT大手企業である、アップル、グーグル、アマゾン、ヒューレット・パッカード、マイクロソフトの一部の収益は特許料やコンテンツのデジタル課金である。
このような具体的な形が無い無形のソフトは税率の低い国に収益を移転させることは容易である。

日本では、税金に無頓着な上場企業がとても多い。まともに実効税率の40%以上を支払っている企業もとても多いのが現状である。
これを株主の視点から見たときには、利益は株主のものであり、税率が低い企業の方が投資効果(利回り・配当)が高くなるは当然である。

日本では、むしろ中小企業の方が節税には意欲的なのではなかろうか。


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