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2009年7月29日 (水)

【倒産】 株式会社の取締役等の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合における訴えの利益の消長 (最高裁平成21年4月17日判決)

 判例タイムズNo1297号(2009年8月1日号)搭載の最高裁判決(平成21年4月17日判決)です。

 論点は、破産手続開始の決定があった場合破産会社の取締役の地位について?ということです。

 当然終任説と、非終任説とが対立していますが、私の理解は、当然終任説に立っていました。また、それが、判例通説と思っていましたが、そうではなかったようです。

 原審の仙台高裁は、当然終任説に立っていましたが、最高裁は、非終任説に立ち、破棄差し戻しを行いました。

 判決文は、以下のとおりです。

 民法653条は、委任者が破産手続開始の決定を受けたことを委任の終了事由として規定する。

                   ↓

 これは、破産手続開始により委任者が自らすることができなくなった財産の管理又は処分に関する行為は、受任者もまたこれをすることができないため、委任者の財産に関する行為を内容とする通常の委任は目的を達し得ず終了することによるものと解される。

                   ↓

 会社が破産手続開始の決定を受けた場合、破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属するが、

 役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係会社組織に係る行為等は、破産管財人の権限に属するものではなく、破産者たる会社が自ら行うことができるというべきである。

                   ↓そうすると

 同条の趣旨に照らし、会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから、破産手続開始当時の取締役らは、破産手続開始によりその地位を当然には失わず、会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である。

                   ↓したがって

 株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても、上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しないと解するべきである。

 平成16年の最高裁決定により、破産宣告(旧法)後に特定の会社財産が破産財団から放棄した場合には、旧取締役の管理処分権限は復活しないとされていますが、この考え方との整合性はとれているのだろうか?と少し悩んでいます。

 いずれにしても、当然には終任しないので、注意が必要です。

 

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