PSVRの体験で違和感を感じて眼科にいったら人生が変わった話
最新ガジェットに目がない筆者は、PSVRの予約開始日に量販店に並び初回販売分の予約をゲット。その足でPSVRの体験会に参加した。
#PSVR 予約成功したので、ついでに体験をば。追従性むっちゃ高くて異次元の感覚だった。よいよ! pic.twitter.com/2ERwMBGp55
— Sho Sawada (shao) (@shao1555) 2016年6月18日
追従性の高さは前評判通りで確かに酔わない。が、、、どうにもピントが合わない。筆者は左目と右目の視力が極端に違う「ガチャ目」なので、それが原因ではないだろうか。視力が悪い左目用にコンタクトレンズをつくってもらおうと、翌日眼科に足を運んだ。いきつけはなかったので、近所の眼科で設備が最新鋭っぽいところを Web で検索し「すがも眼科クリニック」に伺った。
眼科医に「VRで像がボケる」ことを告げたところ「視力と斜視の測定をしましょう」ということになった。
斜視とは,両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに,他の目が内側や外側,あるいは上下に向いている異常です。
会社や免許センターで見るような測定機器とは一線を画した数々の装置で、眼球の位置や視線の方向、光源や残像がどう見えるかを調べる。また、いろんな種類のレンズをあてはめ、みやすさに違いがないかを調べる。
左目が近視なだけだと思っていた自分だったが、医師の診断結果は
- 強い外斜視
- 乱視
- 左目の近視
- 右目の遠視
と、実に4つの事象があることがわかった。その場でいくつものレンズを組換えながらテストしてもらい、適切なレンズの処方箋を出してもらった。
地元にある、(チェーン店ではない) 比較的歴史が長そうなメガネ屋に行き、メガネをつくってもらった。外斜視の補正や乱視に用いるレンズは特殊なので、手に入れるまで1週間かかった。
こちらが仕上がったメガネ。レンズの鼻に近い部分が大きく盛り上がっていることがわかるだろうか。これは「プリズムレンズ」と言うもので、斜視でずれた目に像を届けるため、光を屈折させるプリズムが内蔵されたレンズ。今の技術ではコンタクトにはできない。
筆者はかなり強い外斜視なので、プリズムレンズのレベルを相当上げないといけないが、一気に高いレベルのものを装用すると日常生活に支障が出てしまう。なので、均しながらレンズを繰り返し作り直し、プリズムレンズのレベルを上げていく必要があるそうだ。
装用してみて
つけた瞬間、すべてのものが立体的に見えるようになった。指先から地面の凸凹に至るまで、クッキリと立体感を感じられるようになった。
今までずっと立体感を感じてなかったということになるが、そもそも立体感を会得したことがなかったため、立体感とは影の濃淡や像の大小で区別するものだと思い込んでいた。
おかげで、人とすれ違うときにフェイントのかけあいみたいになることもなくなったし、部屋を出入りするときにドアに体をぶつけることもなくなった。キャッチボールは苦手で大抵取り逃していたが、メガネをかけると軌跡がわかるようになった。
正しく設計されたメガネひとつで、視界から得る情報がこんなにも変わるものかと驚きを隠せない。
VRとの相性
PSVRは手元にないので、代わりに Gear VR で試してみた。
Gear VR でもピントが合わずに苦労していたが、プリズムレンズのメガネをかけたところ、ボケはほぼ解消し、立体感をしっかり得ることができた。(Gear VR の解像度は低いので、それがボケ感かもしれない)
VR目的でメガネを買うのであれば、フレームは小ぶりのものがよいだろう。 Oculusは推奨サイズの情報を出していて「幅142mm、高さ50mm」以内がひとつの目安と言える。
【再掲】Oculus Help Centerによれば、眼鏡をかけてOculus Riftを装着する場合、眼鏡の幅は142mm以下、高さは50mm以下でなければならないとのことです。 https://t.co/cZJbRE2cRZ
— きゅーこん@VRだったり電子工作だったり (@cubic9com) 2016年4月15日
What size glasses fit in the headset? | Oculusサポートセンター
仮に外斜視の場合、プリズムレンズの矯正に数ヶ月かかることがある。PSVRの発売日の10月に間に合わせたければ、できる限りはやい段階からとりかかるとよいだろう。
まとめ
これまで外斜視があっても生活に不自由を感じたことがなく症状を発見することができなかったが、PSVRをきっかけに眼科にいくことで自分の眼の状況を的確に知ることができた。これにより正しいメガネを手に入れることができ、生活が大きく向上した。その変貌ぶりは大げさではなく「人生が変わった」と言えるほどだ。
今後、テーマパークのアトラクションなど日常生活でVRと接する機会が増えることが予想される。VRとうまく付き合うためには、以下のことを意識するとよいだろう。
- VRに違和感を感じたら自己判断をせず、ちゃんとした眼科にいく
- メガネやコンタクトは、メガネ屋の簡易的な検査機でつくるのではなく、眼科医に処方してもらう
- メガネの有無に関わらず、VRが身体に与える影響は人それぞれなので、違和感や疲れを感じたらすぐにやめる
眼科医の先生方におかれても、VRについての知見を持っていただき、適切な診察を受けられるように準備をしていただければ幸いである。(本エントリーの執筆時点では、VRに詳しい眼科医を調べようとしたが情報がまったく出てこなかった)
PSVRがきっかけで外斜視がわかったというのも妙な話だが、外斜視は1-2%ほどのひとが持っていると言われているので、これを機に外斜視の人が適切なメガネを装用する機会が広がることを祈っている。
おことわり
本エントリーは医療情報の提供を目的とするものではなく、また特定の治療方法を推奨するものではない。