TOP ≫ 爆笑問題の日曜サンデー ≫ 宮﨑駿と高畑勲-袂を分かっても高畑を慕い続ける宮﨑「高畑のためにコッソリ絵を描いていた」
宮﨑駿と高畑勲-袂を分かっても高畑を慕い続ける宮﨑「高畑のためにコッソリ絵を描いていた」
2014.03.09 (Sun)
2014年03月09日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『爆笑問題の日曜サンデー』(毎週日 13:00 - 17:00 )にて、ジブリの元プロデューサー、現GM(ジェネラル・マネージャー)の鈴木敏夫(以下、鈴木)がゲスト出演していた。そこで鈴木が、高畑勲を一途に慕い続ける宮﨑駿について語っていた。
鈴木敏夫のジブリマジック
太田光(以下、太田):ジブリファンっているじゃないですか。高畑勲監督、宮﨑駿監督どっちも好きだって人。俺なんか、宮﨑嫌いですけど。
鈴木:嫌いなの?(笑)
太田:どっちも好きって人もいて、やっぱり2人、もう一回一緒にって声もあるでしょ?
鈴木:その声は大きいですね。
太田:でしょう。
鈴木:これはハッキリ申し上げますけど、それを望んでるのは、宮﨑駿なんですよ。
太田:みたいですね。むしろ、高畑勲さんの方が、難しいんでしょ?それが意外なんだよなぁ。
鈴木:高畑さんは、分かりやすいんですよ。もうね、「途中までは同じ考えを持って歩んできたけれど、途中から美智が分かれたじゃないか」と。「そんな2人がなんで一緒にやるんだ」と。
太田:ねぇ。
鈴木:もうね、涙ぐましいんですよ。『かぐや姫の物語』をやってるときに、なかなか進まないんです。高畑さんがね、ある部屋で絵描きに怒ってるわけですよ。「こういう絵が欲しいんだ」って。
太田:うん。
鈴木:そうすると、宮﨑駿が横にいて、隠れて聞いてるんですよ。
太田:えぇ?
鈴木:それで、自分の席に戻って、注文のあった絵を描くんです。
田中裕二(以下、田中):えぇ?!片思い(笑)
太田:可愛い(笑)
鈴木:それで、高畑さんは昼からしか来ないんですよ。宮さんは早起きだから。朝早くくるんですよ。そうすると、絵描きのところにパって行って、「こういう絵を描くんだ」って。
太田:良い話だねぇ。本当に片思いですね。
田中:それは高畑さんは、知らないわけでしょ?
鈴木:知らないんです。本当に、宮さんって、一途なんですよ。
太田:本当に素直な人なんですね。
鈴木:2人は、作った作品は違うかもしれないけれど、やっぱり面白い2人ですよね。
太田:そこは、鈴木さんの出番じゃないですか?
田中:GMとしての。
鈴木:宮さんが、高畑さんに向かって、「一緒にやろう」って言ったのは、一度や二度じゃないんですよ。
田中:うん。
鈴木:実は、『となりのトトロ』の時も言ってるんです。『となりのトトロ』の監督を、宮﨑駿が正式に高畑勲に依頼してるんです。
田中:頼んだんですね。
鈴木:えぇ。宮さんが、「自分でこういう元を考えた。だからパクさん(高畑勲)、監督はパクさんが良い。お願いしたい」って言うんですよ。そしたら、高畑さんが冷たいんですよね。何にも答えない。「はぁ」って言うんです。
田中:はぁ?
鈴木:宮さんは、一生懸命説得するんです。でも、知らん顔なんですよ。「ダメですか、パクさん?」って言っても、「いやぁ」って笑うだけ。
太田:えぇ?切ないね。
鈴木:彼の事務所でやってたから、外に出た時にね、「高畑さん、なんで受けないんですか?」って訊いたら、「だって、当たり前でしょ」って。「何が当たり前なんですか?」って訊いたら、「原作は宮﨑駿でしょ。僕が監督?絵を描くのは誰ですか?宮さんでしょ?僕はサンドイッチじゃないか」と。
太田:あぁ…プライドですか?
鈴木:じゃないです。「こんなにやりにくい仕事はない」と。「だって、あるときは僕のスタッフだけど、あるときは原作者として登場ですよ。一番損するのは僕じゃないか」と。
太田:そういうことですか。じゃあ、それはもう少し交通整理できないんですか?
鈴木:いやぁ…なかなかね。宮さんもね、ズルいこと考えるんですよ。
太田:何がですか?
鈴木:何がズルいかって、スタッフとして絵描きとして入るんじゃないんです。原作者として登場するとかね。たとえば、僕は徳間書店で働いてたときも、「鈴木さん、徳間は辞めて、ジブリに専念してよ」って言うんです。この言葉って、甘い誘いでしょ。だって、一緒に働こうって言われても、「俺の下につけってことだよな」ってことでしょ(笑)
太田:そうか。
鈴木:だから、本当に悩んだんです。それまでは、『アニメージュ』の編集長であり、アニメも作ってるって立場だったんです。
田中:そういう立場ね。
鈴木:これが一番良かったんです。だって、ある時は、編集長になれば良いんだから。ところが、ジブリに行くってことは、彼の部下でしょ。
田中:そうですね。
鈴木:散々悩んで、皆さんへの挨拶状。「僕のテーマは、1つしかない。宮﨑駿とどう付かず離れず、これをやるかです」って。これでね、植木等さんの『だまって俺についてこい』を支えにしてたんです。その挨拶状にも、歌詞を書いてね(笑)
太田:「そのうちなんとかなるだろう、見ろよ蒼い空」って?
鈴木:だって、それしかないんだもん。
太田:そんなの、誰が何って、うっちゃって、ジョンandポールで良いじゃないですか。合作ですってことでさ。
鈴木:宮﨑駿は、この期に及んでも、一緒にやりたいんですよ。
太田:俺も説得するから。
【関連記事】
ジブリ元プロデューサー、鈴木敏夫が勇退・GM就任を決めたワケ「落合博満の真似だった」
ジブリ・鈴木敏夫が語る「宮崎駿監督最新作品・風立ちぬ制作秘話」
倉本聰が語る、プロデューサーの目の前で行う衝撃的な行為「原稿を破り捨てる」
鈴木敏夫のジブリマジック
太田光(以下、太田):ジブリファンっているじゃないですか。高畑勲監督、宮﨑駿監督どっちも好きだって人。俺なんか、宮﨑嫌いですけど。
鈴木:嫌いなの?(笑)
太田:どっちも好きって人もいて、やっぱり2人、もう一回一緒にって声もあるでしょ?
鈴木:その声は大きいですね。
太田:でしょう。
鈴木:これはハッキリ申し上げますけど、それを望んでるのは、宮﨑駿なんですよ。
太田:みたいですね。むしろ、高畑勲さんの方が、難しいんでしょ?それが意外なんだよなぁ。
鈴木:高畑さんは、分かりやすいんですよ。もうね、「途中までは同じ考えを持って歩んできたけれど、途中から美智が分かれたじゃないか」と。「そんな2人がなんで一緒にやるんだ」と。
太田:ねぇ。
鈴木:もうね、涙ぐましいんですよ。『かぐや姫の物語』をやってるときに、なかなか進まないんです。高畑さんがね、ある部屋で絵描きに怒ってるわけですよ。「こういう絵が欲しいんだ」って。
太田:うん。
鈴木:そうすると、宮﨑駿が横にいて、隠れて聞いてるんですよ。
太田:えぇ?
鈴木:それで、自分の席に戻って、注文のあった絵を描くんです。
田中裕二(以下、田中):えぇ?!片思い(笑)
太田:可愛い(笑)
鈴木:それで、高畑さんは昼からしか来ないんですよ。宮さんは早起きだから。朝早くくるんですよ。そうすると、絵描きのところにパって行って、「こういう絵を描くんだ」って。
太田:良い話だねぇ。本当に片思いですね。
田中:それは高畑さんは、知らないわけでしょ?
鈴木:知らないんです。本当に、宮さんって、一途なんですよ。
太田:本当に素直な人なんですね。
鈴木:2人は、作った作品は違うかもしれないけれど、やっぱり面白い2人ですよね。
太田:そこは、鈴木さんの出番じゃないですか?
田中:GMとしての。
鈴木:宮さんが、高畑さんに向かって、「一緒にやろう」って言ったのは、一度や二度じゃないんですよ。
田中:うん。
鈴木:実は、『となりのトトロ』の時も言ってるんです。『となりのトトロ』の監督を、宮﨑駿が正式に高畑勲に依頼してるんです。
田中:頼んだんですね。
鈴木:えぇ。宮さんが、「自分でこういう元を考えた。だからパクさん(高畑勲)、監督はパクさんが良い。お願いしたい」って言うんですよ。そしたら、高畑さんが冷たいんですよね。何にも答えない。「はぁ」って言うんです。
田中:はぁ?
鈴木:宮さんは、一生懸命説得するんです。でも、知らん顔なんですよ。「ダメですか、パクさん?」って言っても、「いやぁ」って笑うだけ。
太田:えぇ?切ないね。
鈴木:彼の事務所でやってたから、外に出た時にね、「高畑さん、なんで受けないんですか?」って訊いたら、「だって、当たり前でしょ」って。「何が当たり前なんですか?」って訊いたら、「原作は宮﨑駿でしょ。僕が監督?絵を描くのは誰ですか?宮さんでしょ?僕はサンドイッチじゃないか」と。
太田:あぁ…プライドですか?
鈴木:じゃないです。「こんなにやりにくい仕事はない」と。「だって、あるときは僕のスタッフだけど、あるときは原作者として登場ですよ。一番損するのは僕じゃないか」と。
太田:そういうことですか。じゃあ、それはもう少し交通整理できないんですか?
鈴木:いやぁ…なかなかね。宮さんもね、ズルいこと考えるんですよ。
太田:何がですか?
鈴木:何がズルいかって、スタッフとして絵描きとして入るんじゃないんです。原作者として登場するとかね。たとえば、僕は徳間書店で働いてたときも、「鈴木さん、徳間は辞めて、ジブリに専念してよ」って言うんです。この言葉って、甘い誘いでしょ。だって、一緒に働こうって言われても、「俺の下につけってことだよな」ってことでしょ(笑)
太田:そうか。
鈴木:だから、本当に悩んだんです。それまでは、『アニメージュ』の編集長であり、アニメも作ってるって立場だったんです。
田中:そういう立場ね。
鈴木:これが一番良かったんです。だって、ある時は、編集長になれば良いんだから。ところが、ジブリに行くってことは、彼の部下でしょ。
田中:そうですね。
鈴木:散々悩んで、皆さんへの挨拶状。「僕のテーマは、1つしかない。宮﨑駿とどう付かず離れず、これをやるかです」って。これでね、植木等さんの『だまって俺についてこい』を支えにしてたんです。その挨拶状にも、歌詞を書いてね(笑)
太田:「そのうちなんとかなるだろう、見ろよ蒼い空」って?
鈴木:だって、それしかないんだもん。
太田:そんなの、誰が何って、うっちゃって、ジョンandポールで良いじゃないですか。合作ですってことでさ。
鈴木:宮﨑駿は、この期に及んでも、一緒にやりたいんですよ。
太田:俺も説得するから。
【関連記事】
ジブリ元プロデューサー、鈴木敏夫が勇退・GM就任を決めたワケ「落合博満の真似だった」
ジブリ・鈴木敏夫が語る「宮崎駿監督最新作品・風立ちぬ制作秘話」
倉本聰が語る、プロデューサーの目の前で行う衝撃的な行為「原稿を破り捨てる」
同番組の過去記事
| トップページへ |