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『蝿の王』
- 2010/04/23(Fri) -
ウィリアム・ゴールディング 『蝿の王』(新潮文庫)、読了。

ふらっと立ち寄った古本屋で
たまたま目について何とはなしに買ってみた一冊。

少年たちが南の小島に漂流し、そこで生活していく話なのですが、
通常思い浮かべる「役割分担と協力で一致団結」というような清々しい世界ではなく、
権力欲と付和雷同、相互不信、自己陶酔、そして本質的な残虐性・・・
まさに、人間が持つ暗い側面を描いていきます。

それを、大人ではなく、少年たちを使って描写して見せるところに、
著者の冷酷な視線を感じずにはいられません。

Wikipediaで調べてみたら、
どうやら、「人間が互いに殺しあうという残酷さや人の心の根底にある悪というもの」が
この作家さんの創作のモチーフになっているみたいですね。

どんどん狂気に嵌っていく少年たちを読んでいると、
『ドラゴンヘッド』のノブオを思い出しました。
ノブオというキャラクターは、ジャックがベースになっているのかしら?

最後、行き着くところまで行ってしまった少年たちの対立関係ですが、
どのように決着させるのかとハラハラしていたら、
意外とアッサリと次の展開が待っていました。

が、一度目覚めてしまった彼らの獣性は、
この後どうなってしまったのか、気になるところです。


蝿の王 (新潮文庫)
蝿の王 (新潮文庫)
おすすめ平均
stars読み進めるのが苦痛な本でした
stars居心地の悪い、浮遊感。
stars『十五少年漂流記』よりは現実的
stars人間の歴史の縮図
starsLoad of thd Flies

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十五少年漂流記 (新潮文庫)
十五少年漂流記 (新潮文庫)波多野 完治

おすすめ平均
stars子供たちに、大人にお勧めです
stars名作ですね。
starsこれに対抗して「十五少女漂流記」なんてのがありましたね。
stars「思慮・勇気・希望・協調」を謳った不朽の名作
stars全く飽きさせない本

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コメント
-初めまして-
かもめ組さん、初めまして!はつねといいます。
わたしのブログに足跡が付いていたようなので(まだ使いこなせてないので機能がよく分かりませんが(笑))、遊びに来ました~。

蝿の王、すごく面白そうですね!
実は以前から存在は知っていたのですが、古典とは言わないまでも、昔の海外小説は翻訳のせいか少し読むのが苦手で、結局読まないままだったんです・・・。
でも、かもめ組さんの感想を読んで、改めて読んでみたくなりました!
なので早速図書館で予約しました(笑)到着するのが楽しみです♪

すごく沢山の本をブログに書いていて、すごいですね!私も伊坂幸太郎が好きなので、重力ピエロの記事にはうんうん頷きながら読みました(笑)

また遊びに来ますね、更新頑張ってください!
では、長々と失礼しました。
2010/04/24 16:21  | URL | はつね #lNm3ogv2[ 編集] |  ▲ top

--
はつね様

CMありがとうございます。
私の記事で興味を持っていただいたみたいで、
嬉し恥ずかしでございます(笑)。

『蝿の王』も、翻訳という観点で見ると、
ちょっと読みづらかったです。
少年がたくさん出てくるのですが、
口調の癖などが描き分けられていないので、
誰がしゃべっているのかわからなくなることが時々ありました。
特に古い海外小説は、翻訳がやっぱりネックですよね~。

このブログは時間つぶしの本読みの備忘録なので、
テキトーな内容で恐縮ですが、
またお越しいただけるのを楽しみにしています。
2010/04/25 19:20  | URL | かもめ組 #obYDgEv2[ 編集] |  ▲ top


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