YON FES 2019 day1 @愛・地球博記念公園モリコロパーク
- 2019/04/08
- 23:26
名古屋出身の04 Limited Sazabysが地元で主催する、YON FES。「地元の名古屋を盛り上げたい」という意志の下で始まったこのフェスもバンド名と同じく記念の4年目。参加するのは初年度以来3年ぶり。
初年度に来た時はかなり肌寒い感じがしたし、去年までも天気が悪かったイメージがあったのだけど、この日のモリコロパークは快晴。時折暑さすら感じるくらいで、実に気持ちいいフェス日和。
長い列を経て入場すると(初年度よりはるかにスムーズになってた)、朝からフォーリミのRYU-TAが自身のプロデュースする「麺屋おがた」の店の前で旗を持って立っていたりというあたりはこのフェスならではの光景。
そのメンバーたちの朝礼を経て、いよいよ4年目にして平成最後のYON FESが始まる。
11:00〜 四星球 [SKY STAGE]
今年のトップバッターを務めるのは、昨年はLAND STAGEのトリだった四星球。今やすっかり様々なフェスでおなじみのバンドである。
「名古屋と言えば、ひつまぶし。今日は鰻に乗って来ましたよ!」
と北島康雄(ボーカル)が言うと、まさやん(ギター)、U太(ベース)、モリス(ドラム)の3人が北島を支える形で客席を鰻に乗って走り回る。
おなじみの法被を身に纏ったステージまでたどり着くと、
「晴れたね!初のSKY STAGE!空の上まで笑い声を届けたいと思うことがありました!空の上に届けたい人もいるでしょう!YON FESに、コミックバンドがやって来たぞー!」
と客席に突入しながら叫び、「クラーク博士と僕」を演奏する。開催直前に亡くなった音楽プロデューサーにして、数多くのバンドマンたちから愛されすぎなくらいに愛されていた松原裕氏が亡くなったことを受けての言葉だと思われるが、この曲の
「知らぬ間に始まった人生が 知らぬ間に終わっていく」
というサビのフレーズはこうした出来事の後に演奏されると、コミックバンドの曲というよりも人生の真理を突いているかのようで、笑う前にウルっときてしまう。
ギターのまさやんをフィーチャーした「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」では全身に茶色いタイツを被り、名古屋飯の味噌を見にまとったかのような「みそゆき」バージョンで演奏されたのだが、段ボールで作った「みそゆき」の文字の部位をバラすことによって「YON FES」という文字に作り変えることができるというのはこのバンドがバカバカしいことをやっているように見えて、実は天才の集団であるということを如実に示している。(何度も見ている人を毎回笑わせることは普通の人にはできない)
最新アルバム収録の若い人じゃないと聞こえない音が出ているという「モスキートーンブルース」が広い公園の端まで響き渡り、このフェスの参加者が全員若者であるということを証明すると、ほかのバンドの曲のアレンジバージョンを連発。
おなじみの10-FEET「RIVER」を
「母は泣いた 手に触れ泣いた」
のフレーズだけ演奏する「時間がない時のRIVER」から、まさやんが段ボールを作るときにいつも聴いているというSiM「KiLLiNG ME」(折しもこの日は4月6日というSiMの日である)をタイトルフレーズの部分だけ演奏するのだが、北島が箱を積み上げて「キリンの首」を作るというオチ。
最後の「swim!たいやきくん」はもはやおなじみ、フォーリミの「swim」がキーが高すぎて歌えない北島のボーカルが徐々に「およげ!たいやきくん」に変化していくというもの。
UFOをみんなで呼ぶ「Mr.COSMO」ではまさやんが作ったフォーリミメンバーの段ボールが「剛力テッド彩芽ーズ」という全員剛力彩芽のものになっており、
「確かに月まで行こうとしてるけども!」
と北島に突っ込まれる。
さらには麺屋おがたの店主としてフォーリミのRYU-TAもステージに登場すると、そのまま北島とともにラーメン屋の旗を持って客席を走り回るという1発目からコラボ。(全く音楽的には関係ないコラボだけども)
「平成最後、平成最後ってことあるごとにみんな言いますけど、僕はあんまりその言い方が好きじゃなくて。なんでなんだろうな、って思ったら、僕は最後じゃなくて、最初のことがやりたい!誰もやったことがないことがやりたいんです!」
とコミックバンドとしてのプライドと、なぜこのバンドがやり過ぎなくらいにここまでやるのかということを改めて表明すると、
「みんなどうせトップバッターのことなんてすぐ忘れるんですよ!でもそれでええんです。フォーリミのフェスやから。フォーリミ、カッコ良かったな、って思いながら帰っていいんですよ。でも月曜日からまた憂鬱な日々が始まる人も多いでしょう。そういう時に今日のライブのことをちょっとでも思い出し笑いしてください!また生きてライブハウスと、来年ここで会いましょう!」
とトップバッターとしての自分たちの役割を果たすべく最後に演奏されたのは、かつて憂鬱な月曜日を笑いのあるものに変えてくれた音楽番組について歌った「HEY!HEY!HEY!に出たかった」。
客席に突入してダイバーたちにまみれながら歌う北島の姿と、
「また来年生きて会いましょう」
という言葉は、去年から今年に至るまでに会えなくなってしまった人が確かにいることを実感させて、笑うというよりもやっぱり泣きそうになってしまった。
このバンドの曲に「妖怪泣き笑い」という曲があるが、それは間違いなくこのバンドの存在そのもののことである。
1.クラーク博士と僕
2.鋼鉄の段ボーラーまさゆき
3.モスキートーンブルース
4.時間がない時のRIVER
5.作業が捗るKiLLiNG ME
6.swim!たいやきくん
7.Mr.COSMO
8.HEY!HEY!HEY!に出たかった
モスキートーンブルース
https://youtu.be/tEkVY8AguoA
・ONIONRING [LAND STAGE]
初年度に来た時はSKY STAGEとLAND STAGEはかなり大回りしないといけない導線だったのだが、それが改善されて自由に、そしてすぐに行き来できるようになっているのにこのフェスが参加者の声を拾い上げながら大きくなってきたことを実感する。
そのLAND STAGEのトップバッターはONIONRING。地元名古屋出身のバンドである。
Takeshi(ボーカル&ギター)、Task(ベース&コーラス)、Yudai(ドラム&コーラス)の3人組で、非常に正統派というか、ストレートなメロディックパンクバンド。制球力も緩急も関係ないとばかりにひたすら直球勝負していく様は若手時代のロケットボーイズと呼ばれていた五十嵐亮太(ヤクルトスワローズ)のようですらある。
普段は名古屋のライブハウスで生きているバンドなだけに、こんな大きなステージに立つのは初めてだと思われるが、そうしたプレッシャーや普段の力が出せないという雰囲気は全くなく、ライブハウスのステージがデカくなっただけという感じすらあるのはこのバンドのライブの地肩の強さを感じさせるし、このフェスのステージがそうさせるものなのかもしれない。
「初年度からずっと3人で見に来たこのフェスのステージにようやくこっち側に立つことができました!」
とほとんど喋らずに曲を連発していたTakeshiはずっとこのフェスに観客として来ていたこととこのフェスのステージに立てることの喜びを爆発させていたが、名古屋のバンドやパンクバンドにとってはこのフェスのステージが憧れの場所になっている。フォーリミの蒔いた種はしっかり実を結んできている。そういう意味ではこのバンドが今年出演した意味はほかのバンドより大きいかもしれない。
1.I View I Want To Show You
2.Awaking Now
3.Photograph
4.Unperfect Days
5.Indigo Blue
6.Summerend
7.After the Rain
8.Fireworks
Fireworks
https://youtu.be/MNQdZ2Ldye4
・SHANK [SKY STAGE]
4年連続出演、つまりこのフェス皆勤賞のSHANK。もうすっかりこのメインステージに出ても違和感がない存在になっている。
リハで庵原将平(ボーカル&ベース)のアンプから音が出ていないというアクシデントがあり、これは若干時間が押してしまうかも?という状況であった中(このフェスは明確にそれぞれの開始時間が決まっているわけではない)、そのまま捌けることなく板付きで「Surface」からスタートすると、テンポ良く曲を連発していくというメロディックパンクバンドらしいスタイル。
直前に出たONIONRINGが正統派なメロディックパンクバンドであり、SHANKもそういうイメージでこれまでライブを見て来たのだが、この流れで見ると、スカのリズムなども取り入れた、緩急の使い分けができるバンドであることがよくわかる。それは同じスリーピース編成であれど、ギター&ボーカルかベース&ボーカルかという違いも大きいと思う。
近年は素直というか行儀や言葉遣いの良いパンクバンドも増えてきた中で、普通に観客の歓声に
「うるせぇ!尻を出せとか気安く股を開く都合の良い女みたいに言うんじゃねぇ!」
と荒々しく返す庵原は実にパンクバンドらしいボーカリストだと思うし、その荒々しさを感じさせる歌声も、全英語歌詞の発音もまるでパンクバンドをやるために生まれてきたかのようにすら感じる。
「4年連続で出てるのは俺たちとマイヘアだけらしいんだけど、俺にはフォーリミが毎年呼んでくれる理由が全くわからん。わかる?(松崎も池本も首を横に振る)
珍しく3人の意見が一致しました、ありがとうございます。LoveとRespectを込めて」
という庵原なりのフォーリミへの感謝を告げた「Set the fire」で終わりかと思いきや、
「まだ時間あるからもう1曲だけ」
と言ってショートチューン「submarine」を追加。ああ、初年度も最後はこうだった、とこのバンドの進化した部分とともに変わらない部分の頼もしさを感じさせた。
メロディックパンクバンドは数多くいれど、この規模のステージにまで到達できるバンドは少ない。そんな中でSHANKがこうしてこの広いステージに立てている理由。それはメロディの研ぎ澄まされ方と音の強さ。フォーリミが4年間ずっとこのフェスに呼び続けている理由の一つには間違いなくそれがあるはず。
1.Surface
2.Good Night Darling
3.Life is…
4.Weather is Beautiful
5.Smash The Babylon
6.620
7.Hope
8.Take Me Back
9.Wake Up Call
10.Long for the Blue moon
11.BASIC
12.Set the fire
13.submarine
Set the fire
https://youtu.be/YWk0-LoI9R8
・ナードマグネット [LAND STAGE]
サウンドチェックでフォーリミのかつてのSEであったBowling For Soup「1985」のカバーを演奏して観客を沸かせていた、ナードマグネット。このフェス初出演である。
Weezerからの影響が強いパワーポップというサウンドはパンク色が強い(ましてや直前の2組がメロディックパンクバンドだし)このフェスの中においては新鮮であるが、バンド名通りにナードな見た目の須田亮太(ボーカル&ギター)をはじめとするメンバーの演奏は他のパンクバンドに負けないくらいに骨太。須田の後ろ向きな性格がそのまま反映された日本語歌詞も英語詞のバンドの後に聴くとより一層意味や響きがしっかりと伝わってくる。
紅一点メンバーの前川知子(ベース)のコーラスが曲をさらにポップに彩る中、
「いつも物販に立ってくれてるうちのマネージャーが、
「今日だけは終わった後に10-FEETのライブが見たい!」
って言ってたんで、物販の開始がちょっと遅くなります(笑)」
とマネージャーが次に出てくる10-FEETのファンであることを紹介して笑わせると、ギターの藤井亮輔はエレファントカシマシの石森のように腰を落としてガニ股でギターを弾きまくるという笑うような曲や状況ではないのに笑えてしまうというシュールな演奏を見せながら、代表曲に加えて先行公開されている新曲「バッド・レピュテイション」も披露。
そのあたりからさらにバンドの演奏が熱量を上げていくと、30分という短い時間の中に自分たちの1番自信のある曲を全て詰め込むかのようなスピード感と衝動を炸裂させ、
「リハでBowling For Soupっていうバンドの「1985」っていう曲をやったんだけど、みんな知ってる感じでこのフェス凄いなって思った。高校生の時にBowling For Soupのことを知ってたのはクラスで僕とラグビー部のサイダ君の2人だけでした(笑)
サイダ君は今何をやってるんだろう。あの頃の僕らに教えてあげたい。そんなあなたたちの黒歴史に捧げます!」
とかつての自分自身のことをこのフェスに出ることによって肯定することができた須田が最後に歌い始めたのは
「こんなはずじゃなかった」
というフレーズが繰り返される「僕たちの失敗」。
最後には須田がギターを置いて客席に突入し、観客に支えられながら10-FEETが出演するSKY STAGEまで移動しようとするもすぐに墜落。しかしその姿はナードとは言えないくらいに輝いて見えた。
フォーリミにもパワーポップ的な要素もあるとはいえ、基本的にはパンク・メロコアバンドであるし、ナードマグネットとはバンドとしてのスタイルはかなり違うと言っていい。しかしBowling For Soupという影響源は同じだし、そのバンドにかける思いも含めて、決して遠くにいるような存在同士ではない。だからこそ今よりさらに多くの人に聞かれるバンドになる予感がしている。
1.THE GREAT ESCAPE
2.C.S.L.
3.プロムクイーン
4.バッド・レピュテイション
5.ウェンズディ
6.Mixtape
7.ぼくたちの失敗
バッド・レピュテイション
https://youtu.be/4AoGrG8ZCYk
・10-FEET [SKY STAGE]
ついにこのフェスに初出演。京都大作戦というこのフェスの理想形と言えるようなフェスを開催しており、初年度から出演こそしていなくとも裏からこのフェスとフォーリミをサポートしてきた、10-FEET。前週のツタロックなど、今ではフェスでトリかそれに準ずる位置に出ることも多いこのバンドがこの前半と言っていい順番に出るのもこのフェスゆえか。
おなじみの「そして伝説へ…」のSEでステージに3人が登場するも、いつもより始まるまでが長めというか、SEが完全に終わってからTAKUMAがギターを弾き始めたのはツタロックでは最後に演奏されていた「その向こうへ」。しかしながら曲順以上に前週と違うのは、サビではひっくり返りそうになるくらいにTAKUMAの声が出ていなかったこと。なかなかここまでの状態の10-FEETのライブを見ることはそうそうないが、1曲終わってすぐにTAKUMAが間をおいてKOUICHIに話しかけたりしていた様子を見ると、本人もどこかいつもと違う感触を感じていたのかもしれない。
それでもTAKUMAは笑顔だった。キツそうなところとかは一切見せずにその後も歌い続けた。もちろんいつものようにMAXの状態で歌えていたわけではなかったし、出ないなりに歌い方を変えていたところもあった。(この日の「RIVER」は「庄内川」バージョンだった)
そんな中でもTAKUMAは
「話には聞いてたけど、YON FESはやっぱりすげーな。セキュリティが間に合ってないから、先にダイブしたやつが次に転がってくるやつ受け止めてるってお前ら本当にすごいぞ」
とこのフェスの観客たちがお互いに怪我をしないように支え合っている姿に称賛を送ると、
「身近なやつが亡くなってな。そいつは俺らが言っても普通の人なら「いや、それは無理ですよ」とかいうことを「それすごい面白いじゃないですか!」って言ってくれるようなやつだった。俺たちはそいつの言葉に何度も背中を押されたり、勇気をもらったりしてバンドを続けてきた」
と亡くなったばかりの松原裕氏のことであろう、誰かの何気ない言葉が人を救うこともあること、またその逆にしてしまうこともあることなどを語ってから演奏された「蜃気楼」は
「みんなは優しくて あなたには会えなくて 明日は来て」
というフレーズがこの日のために書かれたものであるかのように響いていた。
そして「ヒトリセカイ」を演奏して終わるかと思いきや、
「持ち時間ギリギリまでやります」
とChicken raceを展開することを告げて、わずかな残り時間で四星球もこの日使った「時間がない時のRIVER」の本家バージョンを演奏し、声が出なかったことを忘れてしまうくらいにこの日の10-FEETもやっぱり素晴らしかった。
最後にTAKUMAは
「フォーリミ、頼んだで」
と袖にいたメンバーたちに向かって言っていた。それはこの日のトリのライブやこのフェスのことでもありながら、パンクバンドとしてアーティスト主催フェスの目標でもある京都大作戦を作った10-FEETがずっと守り続けてきたものを、確かにフォーリミに継承したかのように見えた。もちろん10-FEETはまだまだ京都大作戦をやらなくなったりはしないだろうけれど、自分たちが蒔いた種が他の場所でこんなに大きな花開いている景色を確かに3人は確認できたはず。それはこれまでの自分たちがやってきたことへの肯定や自信にも繋がったはずだ。
1.その向こうへ
2.1 size FITS ALL
3.1sec.
4.goes on
5.RIVER
6.蜃気楼
7.ヒトリセカイ
8.時間がない時のRIVER
その向こうへ
https://youtu.be/p67eKL1e6u0
・ヤングオオハラ [LAND STAGE]
フォーリミにとってはスペシャ列伝ツアーの後輩バンドとなる、沖縄の4人組バンド、ヤングオオハラ。若手が多いこのステージの出演者の中でもまだ新人と言っていい枠のバンドだが、この後に出演するtetoらと回ったスペシャ列伝ツアーを経てどんなライブを見せてくれるのか。
4人が登場すると、パーマがかかった髪型から坊主になってキャップを被り、そのスタイルの良さからまるでバスケットボール選手のようにすら見えるようになった、ハローユキトモがパワフルなボーカルを見せる「新」からスタートするのだが、音源のイメージよりもはるかに荒々しいというか衝動的なバンドであることにまず驚く。スペシャ列伝ツアーはスケジュールの都合で参加することができなかったので、ライブを見るの自体が初めてだったのだが、もっとキッチリしたバンドなのかと思っていたが、いい意味でロックンロールやガレージという要素も強く感じさせる。
「ダンスナイトをもっと」
というフレーズのリフレインが強いインパクトを与える「サマタイ」も、そこだけ聞くとキャッチーなダンスチューンであるが、ライブで聴くとこんなにロックンロールなのか、というくらいにイメージは変わる。ユキトモ以外のメンバーも実にラフな出で立ちと演奏であるし、沖縄出身ならではのこのバンドの独特な楽曲を生み出しているギターのヨウヘイギマはどことなくOKAMOTO'Sのオカモトコウキを思い起こさせる。
短い持ち時間の中であっても勢いだけで突っ走るのではなく、新曲の「中南海」ではタイトル通りに夜中に外でタバコを吸っている時の情景が浮かんでくるミドルテンポの曲。続く「HANBUN」も含めて快晴の空の下があまり似合わない曲ではあるが、それが逆に「夏・海・青空」というイメージがついて回りがちな沖縄のバンドらしからぬ幅の広さを感じさせる。
「僕は酔っ払うと寂しくなっていろんな人に電話をかけてしまうクセがあるんですけど、GENさんにも夜中に何回か電話してしまったことがあって。もちろんそんな時間だからGENさんは出なかったんですけど、この前にコンビニの前でタバコを吸ってたらGENさんから電話かかってきて。やべー、夜中に電話したの怒られる、って思ってたら、
「YON FES、決まったから」
って言われて。ちゃんと本人からそれを伝えてもらってすげー嬉しかったです」
と呼んでくれたフォーリミへの感謝を告げると、その嬉しさを音に乗せるかのようにさらにアッパーに荒々しく加速していった。
正直、まだここからどうなるかわからないくらいに未完成な感じがするバンドだ。もっと荒くロックになっていくのか、完成度の高いポップミュージックを生み出していくのか。どちらにも行けそうなポテンシャルを持っているし、これだけライブが良ければどんな方向に行ってもこのバンドらしさは失われないように思う。つまりはこれから期待せざるを得ないバンドということ。
サマタイ
https://youtu.be/HOXbbOGRJVo
・かりゆし58 [LAND STAGE]
ヤングオオハラに続いてはもはやベテランと言っていいようなキャリアになりつつある、かりゆし58がLAND STAGEに登場。この沖縄の若手からベテランへ、というこのステージの流れはフォーリミが意図したものであろう。このバンドのライブを見るのはまだ新人の頃だった2007年にSWEET LOVE SHOWERのオープニングアクトで出演した時以来。(その年がラブシャが初めて山中湖で開催された年だった)
サウンドチェックで同郷のMONGOL800の「小さな恋のうた」をレイドバックしたアレンジで演奏すると、そのままに沖縄ののんびりとしたたおやかな空気をそのまま持ち込んだかのような「電照菊」からスタート。同じ沖縄のバンドとはいえヤングオオハラの衝動とは真逆の形と言ってもいいようなスタイルであるが、だからこそ前川真悟のボーカルとバンドの演奏からは優しさや温かさを感じさせてくれる。
昔にライブを見た時はもっと観客を巻き込むようなライブをしていたイメージがあったのだが、バンド側が「ちょっとこっち来なよ」って軽く手招きしているかのような雰囲気。そんな中で
「時代は変わった。俺がガキの頃に見に行ったフェスは今は画面の中でも観れるようになった。そんな時代になってもお金と時間と足を使ってライブを見に来てくれるあなたたちがいるから、バンドマンは今日も生きています。ありがとう。そんな家族のようなあなたたちに母親の歌を」
と語りかけて歌われたのはこのバンドの存在を広く世に知らしめた「アンマー」。リリースされたのはもう13年も前だが、当時よりも今の年齢になってからの方がこの曲は響く。
「好きなアーティストがバラバラでも、思想や価値観が違っても、右でも左でも関係ない。ただ音楽が好きっていう同士たち。それがこうやって集まれる場所を作ってくれて、04 Limited Sazabys、本当にありがとう」
とフォーリミへの感謝を告げると、社会に対する歌詞が含まれた「バンドワゴン」へ。レイドバックしたサウンドながらも沖縄のバンドはこうした曲を作るバンドが多いが、それは沖縄が抱えている問題が彼らにとってこの上ないリアルであり、日常だからであろう。あえて政治的なことを歌おうというんじゃなくて、自分たちの日常を歌っているだけ。
そして最後に演奏されたのは、終わっていくこと(それは人の命も含めて)について歌った「オワリはじまり」。ずっと追ってきたわけではないが、このバンドがどんな道のりを歩んできたかくらいは知っている。辛いことやキツいことも間違いなくあったことも。でもそれがあったからこそ、この曲にはこのバンドが歌うからこその説得力がある。
パンクなサウンドのバンドが多いこのフェスにおいて、このバンドはそうした要素は一切ないし、モッシュしたりダイブしたりというような楽しみ方は一切できないバンドだ。だからこそそんなバンドがこのステージをたくさんの人で埋めて、みんなが曲に聴き入っている。そんな景色を生み出せるのは本当に凄いと思う。
このバンドの時間の前に飲食ブースで座って休んでいたら、フェスに来そうな感じではない壮年のご夫婦が前に座ってて
「女性の方(SKY STAGEのBiSH)が終わったらこっちでかりゆしね。そろそろ行きますか」
とかりゆし58を見に行っていた。好きなバンドがいて、それがこのフェスに来るキッカケになるのは素敵なことだし、そうして訪れたこのフェスで見た他のバンドのことを好きになるかもしれない。自分自身その歳になるまでこうやってフェスに行き続けたいし、それはきっと楽しい人生なんだろうなと思う。
1.電照菊
2.ナナ
3.アンマー
4.バンドワゴン
5.オワリはじまり
アンマー
https://youtu.be/4_OKI91h3tw
・My Hair is Bad [SKY STAGE]
SHANKと同様に4年連続出演となる、My Hair is Bad。サウンドチェックで最新作となる「Hadaka ep.」の曲を演奏していただけに、本編はこれまでと同様のフェスらしいセトリになりそうな予感である。
3人がステージに登場すると、
「YON FES!今年もよろしく!ドキドキしようぜ!」
と椎木知仁(ボーカル&ギター)が叫んで「アフターアワー」からスタート。椎木はちょっと喉が枯れ気味なようにも感じるが、ド派手にシンバルを叩きまくるやまじゅん、足を高く上げる山本とやはり皆勤賞のフェスであるがゆえに(まだ若手と言えるこのバンドのキャリア的になかなか皆勤賞と言えるようなフェスはそうそうない)気合いが入っているのがよくわかる。
ワンマンでは今ではじっくりと演奏を堪能するという楽しみ方をする人が増えているバンドであるが、そこはやはり10-FEETに凄いと言われたこのフェス、序盤からダイバーが続出しまくっていく。とりわけ「世界一短いラブソング」こと「クリサンセマム」では曲が終わってもまだ転がっている人がいるのが面白い。
やまじゅんの4つ打ちと山本のビートが観客を踊らせる「元彼氏として」で椎木がちょこちょこと歌詞を変えながら歌うと、
「4年連続で出てるのは俺たちとSHANKだけ。さっきSHANKは「俺たちが4年連続で呼ばれている理由がわからない」って言ってたけど、俺は俺たちが呼ばれてる理由がわかる気がする。
フォーリミって名古屋のスーパーヒーローだと思うんですけど、ヒーローに不可欠なものってなんだと思いますか?それは悪役です。敵じゃない、アンパンマンとばいきんまんみたいな。だから俺たちは悪役を演じるんです!」
と椎木がこのフェスにおいてはヒールで挑む姿勢を明かすと、その言葉から続くように演奏された「フロムナウオン」でもフォーリミとこのフェスにおける自分たちの立ち位置を音に乗せながら、
「俺たちが40出したらあの人たちは50出す!俺たちが100出したらあの人たちは120出す!それでいいんだ!これはフォーリミのフェスだから!そうやって底上げしていくんだよ!」
と引き立て役ではなく、自分たちが良くなることでフォーリミとこのフェスがさらに良くなっていくというトリ前という位置ならではの役割を全うしようとする。
マイヘアはこの「フロムナウオン」が決まるかどうかでライブの出来栄えがだいぶ変わる。それくらいに椎木の言葉が占める比重は大きいし、この曲がライブの中で1番時間を使っているから。だからこそライブにはある意味ムラがあると言ってもいいバンドなのだが、この日はそれがしっかりと決まっていた。つまりはトリ前として申し分ないくらいのライブをしっかりと見せていた。
「でも、やっぱりいつかは追い越したいんだけど、いつも一歩前にいるんですよ、あの人たちは。そうやってずっと背中を見せていてください。ありがとうございました」
と先ほどまでの熱量の高い言葉からはだいぶ落ち着いた感じでフォーリミへの感謝を素直に告げて「真赤」を演奏すると、
「まだ時間あるからもう1曲!」
と言って最後に「クリサンセマム」ではないショートチューン「エゴイスト」を叩きつけてステージを去っていった。見事なくらいの有言実行の底上げっぷりだった。
マイヘアは初年度はLAND STAGEに出演していた。それがSKY STAGEに出るようになり、今年はトリ前という位置にまで来た。このフェスが進化するのと同じようにこのバンドも進化をして、大きくなってきている。どこか一匹狼的なイメージもあるこのバンドにそういう場所があるというのは実に幸せなことだし、このバンドの存在はこれからもフォーリミとこのフェスにとって重要なものであり続けていくはず。
リハ.微熱
リハ.惜春
1.アフターアワー
2.熱狂を終え
3.ドラマみたいだ
4.クリサンセマム
5.元彼氏として
6.フロムナウオン
7.真赤
8.エゴイスト
真赤
https://youtu.be/0M3HoC2uGhM
・teto [LAND STAGE]
リハから小池(ボーカル&ギター)がステージの鉄骨によじ登ったりというやりたい放題なパフォーマンスを見せていた、teto。2年連続出演にして、今年はLAND STAGEのトリを任された。10-FEET同様にツタロックに続いてライブを見るのは2週間連続。
登場するなりいきなり暴れまくりな小池がマイクスタンドをステージ前や左右に移動して歌う「高層ビルと人工衛星」からスタートすると、立て続けにマシンガンのように言葉を連射するアッパーかつスピード感溢れる曲を連発しまくった内容だったのはこのフェスに合わせてのものだろうか。小池だけでなく山崎(ギター)もライブ中にステージの鉄骨によじ登ったりというやりたい放題っぷりは止まるところを知らないし、誰も制御することができない。
フェスでは珍しい「ルサンチマン」という選曲には観客から歓声が上がると、小池がフォーリミへの感謝を素直な言葉で語りながら、
「生きてさえいればまた会えるから」
と言って演奏されたのはその思いをそのまま曲にした「拝啓」。マイクスタンドをぶっ倒しまくっていた小池は佐藤(ベース)のマイクを奪うようにして歌うのだが、小池や山崎ほど暴れまくることのない佐藤はこの曲においては高音コーラスを担っており、めちゃくちゃやっているようで決して破綻しないギリギリのバランスを保っているのはこの佐藤とドラムの福田がしっかりとリズムをキープしているから。
ステージに椅子が置かれると、小池がアコギに持ち替えて弾き語りのような形で始まった「光るまち」へ。最近のライブでは毎回やっている曲ではあるが、こういう形で演奏されるのは初めて見た気がする。
この日は「忘れた」も「溶けた銃口」もやらなかっただけに、こうしたじっくり聴かせるタイプの曲はこの曲しかなかったのだが、途中から轟音バンドサウンドが入ってくるとはいえ、めちゃくちゃなパフォーマンスをしまくってきたからこそ、tetoの持つメロディの美しさをしっかり噛みしめることができる。衝動の美しさもそうだけど、自分は何よりもこのバンドのメロディを信じている。
2018年の年間ベストディスクに自分はこのバンドの「手」を選んだ。まだその期待値の高さに見合うような状況にはなっていないが、このフェスのこのステージのトリとしてのライブを見ると、来年以降はもっとデカいステージで見れるんじゃないかと思える。そんな場所でもこのバンドは同じようにステージの上から下までを暴れまわっているのだろうか。
リハ.36.4°C
リハ.新しい風
1.高層ビルと人工衛星
2.Pain Pain Pain
3.暖かい都会から
4.ルサンチマン
5.拝啓
6.光るまち
拝啓
https://youtu.be/588QHYk7YUA
・04 Limited Sazabys
このフェスは4月の1週目というスケジュールによる気候のこともあってか、終わる時間が非常に早い。(一応19時までには終わるようなタイムテーブルになっている)
なのでトリのフォーリミが登場したのも18時くらいであるが、雲一つなかった空はすっかり暗くなっている。いよいよ、そしてあっという間に初日のトリである。
オリジナルSEで4人が元気良く登場すると、イントロでGENが思いっきり腕を振りかぶって振り下ろす「monolith」でスタートし、客席はモッシュ、サークル、ダイブの嵐に。
「君以外に何を望む?」
というフレーズはこの日この時間まで残っていた観客全員がフォーリミに抱く心境であるかのようだ。
「名古屋、起きてんの!?」
と煽ってのハードなサウンドの「knife」以降は「Alien」から昨年リリースの最新作「SOIL」のモードへ。それまでのアルバムのいろんな音楽が好きだからいろんな曲がやりたいというモードではなく、フォーリミが自分たちの原点であるパンク・メロコアに立ち返ったアルバム。もちろん一口にパンク・メロコアと言っても「My HERO」のようなストレートなツービートに強いメッセージを託したものもあるし、愛猫家であるGENだからこその遊び心溢れる「Kitchen」のような曲もある。さらには、
GEN「RYU-TA、麺屋おがたやってたけど、スープがどうとかって…」
RYU-TA「いやいや、大丈夫だから!」
と敢えて揉めているかのようなやり取りからの「Garapagos」と続けることによって、「SOIL」というアルバムが改めて素晴らしい名盤であることを示してくれる。ツアーがチケット取れずに行けなかったという人も自分以外にもたくさんいるであろうだけに、ここでようやく聴けたという人も多かったはず。
「流星群を降らせに来ました!」
という「midnight cruising」はこの名古屋(正確には長久手だとGENも言っていたけれど)の野外の夜空の下というシチュエーションだからこそより一層星が輝いて見えるが、この日のGENは歌詞がちょっと飛び気味だったのはちょっと気になった。決して声が出てなかったわけではなかったが。
「こうしてフェスを自分たちでやったりしていると、やらなきゃいけないことというか、これをやるべきなんじゃないかって思うことをやりそうになる。でも今はそうじゃなくて、自分たちが何をやりたいかっていうことをやろうと思っている」
とGENは言いたいことを忘れそうになりながらも、あくまで自分たちがやりたいことをやっていくという意志を示し、そうして考えすぎてしまう頭の中のあれこれを吹き飛ばすかのように「Squall」を演奏すると、そのまま突っ走るかのように「SOIL」のオープニングナンバーであるショートチューン「Message」を演奏し、「SOIL」にしてパンクなイメージを持った初日の本編を終えた。
アンコールでは今年から会場で販売されているYON FES WATERのことをマルチ商法的に紹介して笑いを取りながら、
「4月になったんで、出会いや別れの季節です。感傷的なことをここで言うつもりはないけれど」
と詳しく言葉にはしなかったが、確かにそこには四星球や10-FEETが口にした人への思いを含ませながら「Terminal」を演奏すると、最後にトドメとばかりに演奏されたのは「Buster call」。ダイバーとサークルの嵐にまみれながら、この場所がこの日この会場にいた人たちにとってまた戻ってくるべき場所になるかのような、そんな気がしていた。最後に楽器を抱えて大ジャンプするGEN、RYU-TA、HIROKAZ。その3人のタイミングに合わせて思いっきりドラムを叩くKOUHEI。ロックバンドのライブで1番カッコいいと思える瞬間。それをこの日のフォーリミのライブは見せてくれた。
演奏を終えると、恒例の記念撮影。フォーリミだけではなくこの時間まで残っていた全ての出演者が集結し、初年度にKEYTALKの巨匠こと寺中が考案した
「1,2,3,4フェス!」
のコールで平成最後のYON FESの初日は幕を閉じ、翌日もここでライブを見れるという楽しみに満たされながら会場を後にした。
1.monolith
2.knife
3.Alien
4.My HERO
5.Kitchen
6.Garapagos
7.midnight cruising
8.Squall
9.Message
encore
10.Terminal
11.Buster call
Kitchen
https://youtu.be/b8pteycZ7wM
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初年度に来た時はかなり肌寒い感じがしたし、去年までも天気が悪かったイメージがあったのだけど、この日のモリコロパークは快晴。時折暑さすら感じるくらいで、実に気持ちいいフェス日和。
長い列を経て入場すると(初年度よりはるかにスムーズになってた)、朝からフォーリミのRYU-TAが自身のプロデュースする「麺屋おがた」の店の前で旗を持って立っていたりというあたりはこのフェスならではの光景。
そのメンバーたちの朝礼を経て、いよいよ4年目にして平成最後のYON FESが始まる。
11:00〜 四星球 [SKY STAGE]
今年のトップバッターを務めるのは、昨年はLAND STAGEのトリだった四星球。今やすっかり様々なフェスでおなじみのバンドである。
「名古屋と言えば、ひつまぶし。今日は鰻に乗って来ましたよ!」
と北島康雄(ボーカル)が言うと、まさやん(ギター)、U太(ベース)、モリス(ドラム)の3人が北島を支える形で客席を鰻に乗って走り回る。
おなじみの法被を身に纏ったステージまでたどり着くと、
「晴れたね!初のSKY STAGE!空の上まで笑い声を届けたいと思うことがありました!空の上に届けたい人もいるでしょう!YON FESに、コミックバンドがやって来たぞー!」
と客席に突入しながら叫び、「クラーク博士と僕」を演奏する。開催直前に亡くなった音楽プロデューサーにして、数多くのバンドマンたちから愛されすぎなくらいに愛されていた松原裕氏が亡くなったことを受けての言葉だと思われるが、この曲の
「知らぬ間に始まった人生が 知らぬ間に終わっていく」
というサビのフレーズはこうした出来事の後に演奏されると、コミックバンドの曲というよりも人生の真理を突いているかのようで、笑う前にウルっときてしまう。
ギターのまさやんをフィーチャーした「鋼鉄の段ボーラーまさゆき」では全身に茶色いタイツを被り、名古屋飯の味噌を見にまとったかのような「みそゆき」バージョンで演奏されたのだが、段ボールで作った「みそゆき」の文字の部位をバラすことによって「YON FES」という文字に作り変えることができるというのはこのバンドがバカバカしいことをやっているように見えて、実は天才の集団であるということを如実に示している。(何度も見ている人を毎回笑わせることは普通の人にはできない)
最新アルバム収録の若い人じゃないと聞こえない音が出ているという「モスキートーンブルース」が広い公園の端まで響き渡り、このフェスの参加者が全員若者であるということを証明すると、ほかのバンドの曲のアレンジバージョンを連発。
おなじみの10-FEET「RIVER」を
「母は泣いた 手に触れ泣いた」
のフレーズだけ演奏する「時間がない時のRIVER」から、まさやんが段ボールを作るときにいつも聴いているというSiM「KiLLiNG ME」(折しもこの日は4月6日というSiMの日である)をタイトルフレーズの部分だけ演奏するのだが、北島が箱を積み上げて「キリンの首」を作るというオチ。
最後の「swim!たいやきくん」はもはやおなじみ、フォーリミの「swim」がキーが高すぎて歌えない北島のボーカルが徐々に「およげ!たいやきくん」に変化していくというもの。
UFOをみんなで呼ぶ「Mr.COSMO」ではまさやんが作ったフォーリミメンバーの段ボールが「剛力テッド彩芽ーズ」という全員剛力彩芽のものになっており、
「確かに月まで行こうとしてるけども!」
と北島に突っ込まれる。
さらには麺屋おがたの店主としてフォーリミのRYU-TAもステージに登場すると、そのまま北島とともにラーメン屋の旗を持って客席を走り回るという1発目からコラボ。(全く音楽的には関係ないコラボだけども)
「平成最後、平成最後ってことあるごとにみんな言いますけど、僕はあんまりその言い方が好きじゃなくて。なんでなんだろうな、って思ったら、僕は最後じゃなくて、最初のことがやりたい!誰もやったことがないことがやりたいんです!」
とコミックバンドとしてのプライドと、なぜこのバンドがやり過ぎなくらいにここまでやるのかということを改めて表明すると、
「みんなどうせトップバッターのことなんてすぐ忘れるんですよ!でもそれでええんです。フォーリミのフェスやから。フォーリミ、カッコ良かったな、って思いながら帰っていいんですよ。でも月曜日からまた憂鬱な日々が始まる人も多いでしょう。そういう時に今日のライブのことをちょっとでも思い出し笑いしてください!また生きてライブハウスと、来年ここで会いましょう!」
とトップバッターとしての自分たちの役割を果たすべく最後に演奏されたのは、かつて憂鬱な月曜日を笑いのあるものに変えてくれた音楽番組について歌った「HEY!HEY!HEY!に出たかった」。
客席に突入してダイバーたちにまみれながら歌う北島の姿と、
「また来年生きて会いましょう」
という言葉は、去年から今年に至るまでに会えなくなってしまった人が確かにいることを実感させて、笑うというよりもやっぱり泣きそうになってしまった。
このバンドの曲に「妖怪泣き笑い」という曲があるが、それは間違いなくこのバンドの存在そのもののことである。
1.クラーク博士と僕
2.鋼鉄の段ボーラーまさゆき
3.モスキートーンブルース
4.時間がない時のRIVER
5.作業が捗るKiLLiNG ME
6.swim!たいやきくん
7.Mr.COSMO
8.HEY!HEY!HEY!に出たかった
モスキートーンブルース
https://youtu.be/tEkVY8AguoA
・ONIONRING [LAND STAGE]
初年度に来た時はSKY STAGEとLAND STAGEはかなり大回りしないといけない導線だったのだが、それが改善されて自由に、そしてすぐに行き来できるようになっているのにこのフェスが参加者の声を拾い上げながら大きくなってきたことを実感する。
そのLAND STAGEのトップバッターはONIONRING。地元名古屋出身のバンドである。
Takeshi(ボーカル&ギター)、Task(ベース&コーラス)、Yudai(ドラム&コーラス)の3人組で、非常に正統派というか、ストレートなメロディックパンクバンド。制球力も緩急も関係ないとばかりにひたすら直球勝負していく様は若手時代のロケットボーイズと呼ばれていた五十嵐亮太(ヤクルトスワローズ)のようですらある。
普段は名古屋のライブハウスで生きているバンドなだけに、こんな大きなステージに立つのは初めてだと思われるが、そうしたプレッシャーや普段の力が出せないという雰囲気は全くなく、ライブハウスのステージがデカくなっただけという感じすらあるのはこのバンドのライブの地肩の強さを感じさせるし、このフェスのステージがそうさせるものなのかもしれない。
「初年度からずっと3人で見に来たこのフェスのステージにようやくこっち側に立つことができました!」
とほとんど喋らずに曲を連発していたTakeshiはずっとこのフェスに観客として来ていたこととこのフェスのステージに立てることの喜びを爆発させていたが、名古屋のバンドやパンクバンドにとってはこのフェスのステージが憧れの場所になっている。フォーリミの蒔いた種はしっかり実を結んできている。そういう意味ではこのバンドが今年出演した意味はほかのバンドより大きいかもしれない。
1.I View I Want To Show You
2.Awaking Now
3.Photograph
4.Unperfect Days
5.Indigo Blue
6.Summerend
7.After the Rain
8.Fireworks
Fireworks
https://youtu.be/MNQdZ2Ldye4
・SHANK [SKY STAGE]
4年連続出演、つまりこのフェス皆勤賞のSHANK。もうすっかりこのメインステージに出ても違和感がない存在になっている。
リハで庵原将平(ボーカル&ベース)のアンプから音が出ていないというアクシデントがあり、これは若干時間が押してしまうかも?という状況であった中(このフェスは明確にそれぞれの開始時間が決まっているわけではない)、そのまま捌けることなく板付きで「Surface」からスタートすると、テンポ良く曲を連発していくというメロディックパンクバンドらしいスタイル。
直前に出たONIONRINGが正統派なメロディックパンクバンドであり、SHANKもそういうイメージでこれまでライブを見て来たのだが、この流れで見ると、スカのリズムなども取り入れた、緩急の使い分けができるバンドであることがよくわかる。それは同じスリーピース編成であれど、ギター&ボーカルかベース&ボーカルかという違いも大きいと思う。
近年は素直というか行儀や言葉遣いの良いパンクバンドも増えてきた中で、普通に観客の歓声に
「うるせぇ!尻を出せとか気安く股を開く都合の良い女みたいに言うんじゃねぇ!」
と荒々しく返す庵原は実にパンクバンドらしいボーカリストだと思うし、その荒々しさを感じさせる歌声も、全英語歌詞の発音もまるでパンクバンドをやるために生まれてきたかのようにすら感じる。
「4年連続で出てるのは俺たちとマイヘアだけらしいんだけど、俺にはフォーリミが毎年呼んでくれる理由が全くわからん。わかる?(松崎も池本も首を横に振る)
珍しく3人の意見が一致しました、ありがとうございます。LoveとRespectを込めて」
という庵原なりのフォーリミへの感謝を告げた「Set the fire」で終わりかと思いきや、
「まだ時間あるからもう1曲だけ」
と言ってショートチューン「submarine」を追加。ああ、初年度も最後はこうだった、とこのバンドの進化した部分とともに変わらない部分の頼もしさを感じさせた。
メロディックパンクバンドは数多くいれど、この規模のステージにまで到達できるバンドは少ない。そんな中でSHANKがこうしてこの広いステージに立てている理由。それはメロディの研ぎ澄まされ方と音の強さ。フォーリミが4年間ずっとこのフェスに呼び続けている理由の一つには間違いなくそれがあるはず。
1.Surface
2.Good Night Darling
3.Life is…
4.Weather is Beautiful
5.Smash The Babylon
6.620
7.Hope
8.Take Me Back
9.Wake Up Call
10.Long for the Blue moon
11.BASIC
12.Set the fire
13.submarine
Set the fire
https://youtu.be/YWk0-LoI9R8
・ナードマグネット [LAND STAGE]
サウンドチェックでフォーリミのかつてのSEであったBowling For Soup「1985」のカバーを演奏して観客を沸かせていた、ナードマグネット。このフェス初出演である。
Weezerからの影響が強いパワーポップというサウンドはパンク色が強い(ましてや直前の2組がメロディックパンクバンドだし)このフェスの中においては新鮮であるが、バンド名通りにナードな見た目の須田亮太(ボーカル&ギター)をはじめとするメンバーの演奏は他のパンクバンドに負けないくらいに骨太。須田の後ろ向きな性格がそのまま反映された日本語歌詞も英語詞のバンドの後に聴くとより一層意味や響きがしっかりと伝わってくる。
紅一点メンバーの前川知子(ベース)のコーラスが曲をさらにポップに彩る中、
「いつも物販に立ってくれてるうちのマネージャーが、
「今日だけは終わった後に10-FEETのライブが見たい!」
って言ってたんで、物販の開始がちょっと遅くなります(笑)」
とマネージャーが次に出てくる10-FEETのファンであることを紹介して笑わせると、ギターの藤井亮輔はエレファントカシマシの石森のように腰を落としてガニ股でギターを弾きまくるという笑うような曲や状況ではないのに笑えてしまうというシュールな演奏を見せながら、代表曲に加えて先行公開されている新曲「バッド・レピュテイション」も披露。
そのあたりからさらにバンドの演奏が熱量を上げていくと、30分という短い時間の中に自分たちの1番自信のある曲を全て詰め込むかのようなスピード感と衝動を炸裂させ、
「リハでBowling For Soupっていうバンドの「1985」っていう曲をやったんだけど、みんな知ってる感じでこのフェス凄いなって思った。高校生の時にBowling For Soupのことを知ってたのはクラスで僕とラグビー部のサイダ君の2人だけでした(笑)
サイダ君は今何をやってるんだろう。あの頃の僕らに教えてあげたい。そんなあなたたちの黒歴史に捧げます!」
とかつての自分自身のことをこのフェスに出ることによって肯定することができた須田が最後に歌い始めたのは
「こんなはずじゃなかった」
というフレーズが繰り返される「僕たちの失敗」。
最後には須田がギターを置いて客席に突入し、観客に支えられながら10-FEETが出演するSKY STAGEまで移動しようとするもすぐに墜落。しかしその姿はナードとは言えないくらいに輝いて見えた。
フォーリミにもパワーポップ的な要素もあるとはいえ、基本的にはパンク・メロコアバンドであるし、ナードマグネットとはバンドとしてのスタイルはかなり違うと言っていい。しかしBowling For Soupという影響源は同じだし、そのバンドにかける思いも含めて、決して遠くにいるような存在同士ではない。だからこそ今よりさらに多くの人に聞かれるバンドになる予感がしている。
1.THE GREAT ESCAPE
2.C.S.L.
3.プロムクイーン
4.バッド・レピュテイション
5.ウェンズディ
6.Mixtape
7.ぼくたちの失敗
バッド・レピュテイション
https://youtu.be/4AoGrG8ZCYk
・10-FEET [SKY STAGE]
ついにこのフェスに初出演。京都大作戦というこのフェスの理想形と言えるようなフェスを開催しており、初年度から出演こそしていなくとも裏からこのフェスとフォーリミをサポートしてきた、10-FEET。前週のツタロックなど、今ではフェスでトリかそれに準ずる位置に出ることも多いこのバンドがこの前半と言っていい順番に出るのもこのフェスゆえか。
おなじみの「そして伝説へ…」のSEでステージに3人が登場するも、いつもより始まるまでが長めというか、SEが完全に終わってからTAKUMAがギターを弾き始めたのはツタロックでは最後に演奏されていた「その向こうへ」。しかしながら曲順以上に前週と違うのは、サビではひっくり返りそうになるくらいにTAKUMAの声が出ていなかったこと。なかなかここまでの状態の10-FEETのライブを見ることはそうそうないが、1曲終わってすぐにTAKUMAが間をおいてKOUICHIに話しかけたりしていた様子を見ると、本人もどこかいつもと違う感触を感じていたのかもしれない。
それでもTAKUMAは笑顔だった。キツそうなところとかは一切見せずにその後も歌い続けた。もちろんいつものようにMAXの状態で歌えていたわけではなかったし、出ないなりに歌い方を変えていたところもあった。(この日の「RIVER」は「庄内川」バージョンだった)
そんな中でもTAKUMAは
「話には聞いてたけど、YON FESはやっぱりすげーな。セキュリティが間に合ってないから、先にダイブしたやつが次に転がってくるやつ受け止めてるってお前ら本当にすごいぞ」
とこのフェスの観客たちがお互いに怪我をしないように支え合っている姿に称賛を送ると、
「身近なやつが亡くなってな。そいつは俺らが言っても普通の人なら「いや、それは無理ですよ」とかいうことを「それすごい面白いじゃないですか!」って言ってくれるようなやつだった。俺たちはそいつの言葉に何度も背中を押されたり、勇気をもらったりしてバンドを続けてきた」
と亡くなったばかりの松原裕氏のことであろう、誰かの何気ない言葉が人を救うこともあること、またその逆にしてしまうこともあることなどを語ってから演奏された「蜃気楼」は
「みんなは優しくて あなたには会えなくて 明日は来て」
というフレーズがこの日のために書かれたものであるかのように響いていた。
そして「ヒトリセカイ」を演奏して終わるかと思いきや、
「持ち時間ギリギリまでやります」
とChicken raceを展開することを告げて、わずかな残り時間で四星球もこの日使った「時間がない時のRIVER」の本家バージョンを演奏し、声が出なかったことを忘れてしまうくらいにこの日の10-FEETもやっぱり素晴らしかった。
最後にTAKUMAは
「フォーリミ、頼んだで」
と袖にいたメンバーたちに向かって言っていた。それはこの日のトリのライブやこのフェスのことでもありながら、パンクバンドとしてアーティスト主催フェスの目標でもある京都大作戦を作った10-FEETがずっと守り続けてきたものを、確かにフォーリミに継承したかのように見えた。もちろん10-FEETはまだまだ京都大作戦をやらなくなったりはしないだろうけれど、自分たちが蒔いた種が他の場所でこんなに大きな花開いている景色を確かに3人は確認できたはず。それはこれまでの自分たちがやってきたことへの肯定や自信にも繋がったはずだ。
1.その向こうへ
2.1 size FITS ALL
3.1sec.
4.goes on
5.RIVER
6.蜃気楼
7.ヒトリセカイ
8.時間がない時のRIVER
その向こうへ
https://youtu.be/p67eKL1e6u0
・ヤングオオハラ [LAND STAGE]
フォーリミにとってはスペシャ列伝ツアーの後輩バンドとなる、沖縄の4人組バンド、ヤングオオハラ。若手が多いこのステージの出演者の中でもまだ新人と言っていい枠のバンドだが、この後に出演するtetoらと回ったスペシャ列伝ツアーを経てどんなライブを見せてくれるのか。
4人が登場すると、パーマがかかった髪型から坊主になってキャップを被り、そのスタイルの良さからまるでバスケットボール選手のようにすら見えるようになった、ハローユキトモがパワフルなボーカルを見せる「新」からスタートするのだが、音源のイメージよりもはるかに荒々しいというか衝動的なバンドであることにまず驚く。スペシャ列伝ツアーはスケジュールの都合で参加することができなかったので、ライブを見るの自体が初めてだったのだが、もっとキッチリしたバンドなのかと思っていたが、いい意味でロックンロールやガレージという要素も強く感じさせる。
「ダンスナイトをもっと」
というフレーズのリフレインが強いインパクトを与える「サマタイ」も、そこだけ聞くとキャッチーなダンスチューンであるが、ライブで聴くとこんなにロックンロールなのか、というくらいにイメージは変わる。ユキトモ以外のメンバーも実にラフな出で立ちと演奏であるし、沖縄出身ならではのこのバンドの独特な楽曲を生み出しているギターのヨウヘイギマはどことなくOKAMOTO'Sのオカモトコウキを思い起こさせる。
短い持ち時間の中であっても勢いだけで突っ走るのではなく、新曲の「中南海」ではタイトル通りに夜中に外でタバコを吸っている時の情景が浮かんでくるミドルテンポの曲。続く「HANBUN」も含めて快晴の空の下があまり似合わない曲ではあるが、それが逆に「夏・海・青空」というイメージがついて回りがちな沖縄のバンドらしからぬ幅の広さを感じさせる。
「僕は酔っ払うと寂しくなっていろんな人に電話をかけてしまうクセがあるんですけど、GENさんにも夜中に何回か電話してしまったことがあって。もちろんそんな時間だからGENさんは出なかったんですけど、この前にコンビニの前でタバコを吸ってたらGENさんから電話かかってきて。やべー、夜中に電話したの怒られる、って思ってたら、
「YON FES、決まったから」
って言われて。ちゃんと本人からそれを伝えてもらってすげー嬉しかったです」
と呼んでくれたフォーリミへの感謝を告げると、その嬉しさを音に乗せるかのようにさらにアッパーに荒々しく加速していった。
正直、まだここからどうなるかわからないくらいに未完成な感じがするバンドだ。もっと荒くロックになっていくのか、完成度の高いポップミュージックを生み出していくのか。どちらにも行けそうなポテンシャルを持っているし、これだけライブが良ければどんな方向に行ってもこのバンドらしさは失われないように思う。つまりはこれから期待せざるを得ないバンドということ。
サマタイ
https://youtu.be/HOXbbOGRJVo
・かりゆし58 [LAND STAGE]
ヤングオオハラに続いてはもはやベテランと言っていいようなキャリアになりつつある、かりゆし58がLAND STAGEに登場。この沖縄の若手からベテランへ、というこのステージの流れはフォーリミが意図したものであろう。このバンドのライブを見るのはまだ新人の頃だった2007年にSWEET LOVE SHOWERのオープニングアクトで出演した時以来。(その年がラブシャが初めて山中湖で開催された年だった)
サウンドチェックで同郷のMONGOL800の「小さな恋のうた」をレイドバックしたアレンジで演奏すると、そのままに沖縄ののんびりとしたたおやかな空気をそのまま持ち込んだかのような「電照菊」からスタート。同じ沖縄のバンドとはいえヤングオオハラの衝動とは真逆の形と言ってもいいようなスタイルであるが、だからこそ前川真悟のボーカルとバンドの演奏からは優しさや温かさを感じさせてくれる。
昔にライブを見た時はもっと観客を巻き込むようなライブをしていたイメージがあったのだが、バンド側が「ちょっとこっち来なよ」って軽く手招きしているかのような雰囲気。そんな中で
「時代は変わった。俺がガキの頃に見に行ったフェスは今は画面の中でも観れるようになった。そんな時代になってもお金と時間と足を使ってライブを見に来てくれるあなたたちがいるから、バンドマンは今日も生きています。ありがとう。そんな家族のようなあなたたちに母親の歌を」
と語りかけて歌われたのはこのバンドの存在を広く世に知らしめた「アンマー」。リリースされたのはもう13年も前だが、当時よりも今の年齢になってからの方がこの曲は響く。
「好きなアーティストがバラバラでも、思想や価値観が違っても、右でも左でも関係ない。ただ音楽が好きっていう同士たち。それがこうやって集まれる場所を作ってくれて、04 Limited Sazabys、本当にありがとう」
とフォーリミへの感謝を告げると、社会に対する歌詞が含まれた「バンドワゴン」へ。レイドバックしたサウンドながらも沖縄のバンドはこうした曲を作るバンドが多いが、それは沖縄が抱えている問題が彼らにとってこの上ないリアルであり、日常だからであろう。あえて政治的なことを歌おうというんじゃなくて、自分たちの日常を歌っているだけ。
そして最後に演奏されたのは、終わっていくこと(それは人の命も含めて)について歌った「オワリはじまり」。ずっと追ってきたわけではないが、このバンドがどんな道のりを歩んできたかくらいは知っている。辛いことやキツいことも間違いなくあったことも。でもそれがあったからこそ、この曲にはこのバンドが歌うからこその説得力がある。
パンクなサウンドのバンドが多いこのフェスにおいて、このバンドはそうした要素は一切ないし、モッシュしたりダイブしたりというような楽しみ方は一切できないバンドだ。だからこそそんなバンドがこのステージをたくさんの人で埋めて、みんなが曲に聴き入っている。そんな景色を生み出せるのは本当に凄いと思う。
このバンドの時間の前に飲食ブースで座って休んでいたら、フェスに来そうな感じではない壮年のご夫婦が前に座ってて
「女性の方(SKY STAGEのBiSH)が終わったらこっちでかりゆしね。そろそろ行きますか」
とかりゆし58を見に行っていた。好きなバンドがいて、それがこのフェスに来るキッカケになるのは素敵なことだし、そうして訪れたこのフェスで見た他のバンドのことを好きになるかもしれない。自分自身その歳になるまでこうやってフェスに行き続けたいし、それはきっと楽しい人生なんだろうなと思う。
1.電照菊
2.ナナ
3.アンマー
4.バンドワゴン
5.オワリはじまり
アンマー
https://youtu.be/4_OKI91h3tw
・My Hair is Bad [SKY STAGE]
SHANKと同様に4年連続出演となる、My Hair is Bad。サウンドチェックで最新作となる「Hadaka ep.」の曲を演奏していただけに、本編はこれまでと同様のフェスらしいセトリになりそうな予感である。
3人がステージに登場すると、
「YON FES!今年もよろしく!ドキドキしようぜ!」
と椎木知仁(ボーカル&ギター)が叫んで「アフターアワー」からスタート。椎木はちょっと喉が枯れ気味なようにも感じるが、ド派手にシンバルを叩きまくるやまじゅん、足を高く上げる山本とやはり皆勤賞のフェスであるがゆえに(まだ若手と言えるこのバンドのキャリア的になかなか皆勤賞と言えるようなフェスはそうそうない)気合いが入っているのがよくわかる。
ワンマンでは今ではじっくりと演奏を堪能するという楽しみ方をする人が増えているバンドであるが、そこはやはり10-FEETに凄いと言われたこのフェス、序盤からダイバーが続出しまくっていく。とりわけ「世界一短いラブソング」こと「クリサンセマム」では曲が終わってもまだ転がっている人がいるのが面白い。
やまじゅんの4つ打ちと山本のビートが観客を踊らせる「元彼氏として」で椎木がちょこちょこと歌詞を変えながら歌うと、
「4年連続で出てるのは俺たちとSHANKだけ。さっきSHANKは「俺たちが4年連続で呼ばれている理由がわからない」って言ってたけど、俺は俺たちが呼ばれてる理由がわかる気がする。
フォーリミって名古屋のスーパーヒーローだと思うんですけど、ヒーローに不可欠なものってなんだと思いますか?それは悪役です。敵じゃない、アンパンマンとばいきんまんみたいな。だから俺たちは悪役を演じるんです!」
と椎木がこのフェスにおいてはヒールで挑む姿勢を明かすと、その言葉から続くように演奏された「フロムナウオン」でもフォーリミとこのフェスにおける自分たちの立ち位置を音に乗せながら、
「俺たちが40出したらあの人たちは50出す!俺たちが100出したらあの人たちは120出す!それでいいんだ!これはフォーリミのフェスだから!そうやって底上げしていくんだよ!」
と引き立て役ではなく、自分たちが良くなることでフォーリミとこのフェスがさらに良くなっていくというトリ前という位置ならではの役割を全うしようとする。
マイヘアはこの「フロムナウオン」が決まるかどうかでライブの出来栄えがだいぶ変わる。それくらいに椎木の言葉が占める比重は大きいし、この曲がライブの中で1番時間を使っているから。だからこそライブにはある意味ムラがあると言ってもいいバンドなのだが、この日はそれがしっかりと決まっていた。つまりはトリ前として申し分ないくらいのライブをしっかりと見せていた。
「でも、やっぱりいつかは追い越したいんだけど、いつも一歩前にいるんですよ、あの人たちは。そうやってずっと背中を見せていてください。ありがとうございました」
と先ほどまでの熱量の高い言葉からはだいぶ落ち着いた感じでフォーリミへの感謝を素直に告げて「真赤」を演奏すると、
「まだ時間あるからもう1曲!」
と言って最後に「クリサンセマム」ではないショートチューン「エゴイスト」を叩きつけてステージを去っていった。見事なくらいの有言実行の底上げっぷりだった。
マイヘアは初年度はLAND STAGEに出演していた。それがSKY STAGEに出るようになり、今年はトリ前という位置にまで来た。このフェスが進化するのと同じようにこのバンドも進化をして、大きくなってきている。どこか一匹狼的なイメージもあるこのバンドにそういう場所があるというのは実に幸せなことだし、このバンドの存在はこれからもフォーリミとこのフェスにとって重要なものであり続けていくはず。
リハ.微熱
リハ.惜春
1.アフターアワー
2.熱狂を終え
3.ドラマみたいだ
4.クリサンセマム
5.元彼氏として
6.フロムナウオン
7.真赤
8.エゴイスト
真赤
https://youtu.be/0M3HoC2uGhM
・teto [LAND STAGE]
リハから小池(ボーカル&ギター)がステージの鉄骨によじ登ったりというやりたい放題なパフォーマンスを見せていた、teto。2年連続出演にして、今年はLAND STAGEのトリを任された。10-FEET同様にツタロックに続いてライブを見るのは2週間連続。
登場するなりいきなり暴れまくりな小池がマイクスタンドをステージ前や左右に移動して歌う「高層ビルと人工衛星」からスタートすると、立て続けにマシンガンのように言葉を連射するアッパーかつスピード感溢れる曲を連発しまくった内容だったのはこのフェスに合わせてのものだろうか。小池だけでなく山崎(ギター)もライブ中にステージの鉄骨によじ登ったりというやりたい放題っぷりは止まるところを知らないし、誰も制御することができない。
フェスでは珍しい「ルサンチマン」という選曲には観客から歓声が上がると、小池がフォーリミへの感謝を素直な言葉で語りながら、
「生きてさえいればまた会えるから」
と言って演奏されたのはその思いをそのまま曲にした「拝啓」。マイクスタンドをぶっ倒しまくっていた小池は佐藤(ベース)のマイクを奪うようにして歌うのだが、小池や山崎ほど暴れまくることのない佐藤はこの曲においては高音コーラスを担っており、めちゃくちゃやっているようで決して破綻しないギリギリのバランスを保っているのはこの佐藤とドラムの福田がしっかりとリズムをキープしているから。
ステージに椅子が置かれると、小池がアコギに持ち替えて弾き語りのような形で始まった「光るまち」へ。最近のライブでは毎回やっている曲ではあるが、こういう形で演奏されるのは初めて見た気がする。
この日は「忘れた」も「溶けた銃口」もやらなかっただけに、こうしたじっくり聴かせるタイプの曲はこの曲しかなかったのだが、途中から轟音バンドサウンドが入ってくるとはいえ、めちゃくちゃなパフォーマンスをしまくってきたからこそ、tetoの持つメロディの美しさをしっかり噛みしめることができる。衝動の美しさもそうだけど、自分は何よりもこのバンドのメロディを信じている。
2018年の年間ベストディスクに自分はこのバンドの「手」を選んだ。まだその期待値の高さに見合うような状況にはなっていないが、このフェスのこのステージのトリとしてのライブを見ると、来年以降はもっとデカいステージで見れるんじゃないかと思える。そんな場所でもこのバンドは同じようにステージの上から下までを暴れまわっているのだろうか。
リハ.36.4°C
リハ.新しい風
1.高層ビルと人工衛星
2.Pain Pain Pain
3.暖かい都会から
4.ルサンチマン
5.拝啓
6.光るまち
拝啓
https://youtu.be/588QHYk7YUA
・04 Limited Sazabys
このフェスは4月の1週目というスケジュールによる気候のこともあってか、終わる時間が非常に早い。(一応19時までには終わるようなタイムテーブルになっている)
なのでトリのフォーリミが登場したのも18時くらいであるが、雲一つなかった空はすっかり暗くなっている。いよいよ、そしてあっという間に初日のトリである。
オリジナルSEで4人が元気良く登場すると、イントロでGENが思いっきり腕を振りかぶって振り下ろす「monolith」でスタートし、客席はモッシュ、サークル、ダイブの嵐に。
「君以外に何を望む?」
というフレーズはこの日この時間まで残っていた観客全員がフォーリミに抱く心境であるかのようだ。
「名古屋、起きてんの!?」
と煽ってのハードなサウンドの「knife」以降は「Alien」から昨年リリースの最新作「SOIL」のモードへ。それまでのアルバムのいろんな音楽が好きだからいろんな曲がやりたいというモードではなく、フォーリミが自分たちの原点であるパンク・メロコアに立ち返ったアルバム。もちろん一口にパンク・メロコアと言っても「My HERO」のようなストレートなツービートに強いメッセージを託したものもあるし、愛猫家であるGENだからこその遊び心溢れる「Kitchen」のような曲もある。さらには、
GEN「RYU-TA、麺屋おがたやってたけど、スープがどうとかって…」
RYU-TA「いやいや、大丈夫だから!」
と敢えて揉めているかのようなやり取りからの「Garapagos」と続けることによって、「SOIL」というアルバムが改めて素晴らしい名盤であることを示してくれる。ツアーがチケット取れずに行けなかったという人も自分以外にもたくさんいるであろうだけに、ここでようやく聴けたという人も多かったはず。
「流星群を降らせに来ました!」
という「midnight cruising」はこの名古屋(正確には長久手だとGENも言っていたけれど)の野外の夜空の下というシチュエーションだからこそより一層星が輝いて見えるが、この日のGENは歌詞がちょっと飛び気味だったのはちょっと気になった。決して声が出てなかったわけではなかったが。
「こうしてフェスを自分たちでやったりしていると、やらなきゃいけないことというか、これをやるべきなんじゃないかって思うことをやりそうになる。でも今はそうじゃなくて、自分たちが何をやりたいかっていうことをやろうと思っている」
とGENは言いたいことを忘れそうになりながらも、あくまで自分たちがやりたいことをやっていくという意志を示し、そうして考えすぎてしまう頭の中のあれこれを吹き飛ばすかのように「Squall」を演奏すると、そのまま突っ走るかのように「SOIL」のオープニングナンバーであるショートチューン「Message」を演奏し、「SOIL」にしてパンクなイメージを持った初日の本編を終えた。
アンコールでは今年から会場で販売されているYON FES WATERのことをマルチ商法的に紹介して笑いを取りながら、
「4月になったんで、出会いや別れの季節です。感傷的なことをここで言うつもりはないけれど」
と詳しく言葉にはしなかったが、確かにそこには四星球や10-FEETが口にした人への思いを含ませながら「Terminal」を演奏すると、最後にトドメとばかりに演奏されたのは「Buster call」。ダイバーとサークルの嵐にまみれながら、この場所がこの日この会場にいた人たちにとってまた戻ってくるべき場所になるかのような、そんな気がしていた。最後に楽器を抱えて大ジャンプするGEN、RYU-TA、HIROKAZ。その3人のタイミングに合わせて思いっきりドラムを叩くKOUHEI。ロックバンドのライブで1番カッコいいと思える瞬間。それをこの日のフォーリミのライブは見せてくれた。
演奏を終えると、恒例の記念撮影。フォーリミだけではなくこの時間まで残っていた全ての出演者が集結し、初年度にKEYTALKの巨匠こと寺中が考案した
「1,2,3,4フェス!」
のコールで平成最後のYON FESの初日は幕を閉じ、翌日もここでライブを見れるという楽しみに満たされながら会場を後にした。
1.monolith
2.knife
3.Alien
4.My HERO
5.Kitchen
6.Garapagos
7.midnight cruising
8.Squall
9.Message
encore
10.Terminal
11.Buster call
Kitchen
https://youtu.be/b8pteycZ7wM
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