Gotch 「Good New Times」 at Billboard Live @Billboard Live Tokyo 6/8
- 2016/06/09
- 00:05
アジカンのボーカル、ゴッチが今年、再びソロ活動を開始。この日配信開始になったアルバムを引っさげ、当日にBillboard Live Tokyoでワンマンを開催。1日2公演の2days公演だが、このライブが計4本のうちの1本目となる。
この会場でライブを見るのは初めてなのだが、ステージが客席(当然全席着席スタイル)と非常に近い。手を伸ばせばエフェクターに届くほどに。
入場後はステージ背面に見えていた六本木の街並み(背面はガラス張り)を非日常空間にするかのように暗幕が下されると、アンプなどが電飾で飾り付けられたステージにメンバーが登場。普通に客席の間を歩いてくるというのも驚きだが、メンバー全員が花柄のシャツで統一された出で立ちというのにも驚かされる。
バンドメンバーはステージ向かって右側から
佐藤亮(ギター)
戸川琢磨(ベース)
mabanua(ドラム)
YeYe(コーラスなど)
シモリョー(キーボード)
井上陽介(ギター)
という、前作時と同じ布陣だが、新作リリースを期に、「The Good New Times」というバンド名を授かったことによって、以前のGotch Bandから、Gotch & The Good New Times名義に変わっている。
ギター2人を中心にノイズまみれのサウンドがオシャレ極まりない会場を支配する中、Gotchの英語詞ボーカルが浮かび上がってくる新作からの「Paper Moon」でスタート。さすがに高そうな会場だけあって、各サウンドが実によく聞こえる。
mabanuaのドラムとYeYeのフロアタムが力強く響く「Humanoid Girl」、井上陽介がハーモニカを弾き、YeYeとシモリョーが手拍子を促し、
「世間を呪う暇なんてないさ 命を燃やしたいだけ」
と自身の活動への情熱を感じさせる前作のタイトル曲「Can't Be Forever Young」と過去曲も披露されると、
「いつもよりチケット代が高い(7900円)、選ばれし民のみなさん、ようこそ(笑)
選ばれし民のみなさんが膝がガクガクになって立てなくなって、歩いて帰れなくなるくらいにいい演奏をしたいと思います。
昨日、ここにパティ・スミス見に来たんだよね」
と、フレーズを気に入ったのか、この日やたらと連呼された「選ばれし民」という言葉で笑わせつつ、昨日は観客としてこの会場に来ていたことを明かす。
するとブルース色の強さを感じる「Lady In A Movie」、踊れる曲ではある(現にゴッチはギターを持たずに独特なステップで踊りながら歌っている)が、いわゆるダンスロックではなく、ブラックミュージックのリズムによってゆったりと踊るような「Independence Dance」と新作の曲が続くが、どこか湿った、USインディーのような空気を感じるのは、「USインディー界最大の良心」とも評されるバンド、Death Cab For Cutieのメンバーがプロデューサーとして参加していることも大きいと思われる。
アジカンしか聴いたことがない人が聴いたらゴッチのボーカルとは思わないんじゃないかという、珍しいファルセットボーカルが聴ける「Aspirin」で年齢を重ねてさらに安定感を増しているボーカルをゴッチが聴かせると、再び新作曲のお披露目へ。
ミドルテンポの、染み入るように響く「The Sun Is Not Down」、これまでの華やかなサウンドとは打って変わって最小限の楽器で演奏された「Star Dust」、井上陽介の奏でるバンジョーがどうしたってカントリー色を感じさせる「Tokyo Bay」と、さすがゴッチと思わせるような引き出しの多さ、曲の幅の広さを感じさせる。しかし、全日本語だった前作とは異なり、今作の曲はほとんどが英語。そこもプロデューサーの効果があるのか、それとも別の狙いがあるのだろうか。
シモリョーがサンプリングまでも操る「Wonderland」から、すでにMVが公開されている、アルバムタイトルであり、バンド名にもなった「Good New Times」へ。音源ではスカパラボーンズも参加している、MVのゴッチのように軽やかに街中を駆け回りたくなるような曲だが、さすがにホーン隊はこの日は招集されず、シモリョーがシンセで補う。このあたりは近年のアジカン同様、ゴッチのソロにおいてもこの男が欠かせない存在になってきている証拠。
「次で最後の曲です。…高いやんけ、という声が聞こえてきそう(笑)」
とゴッチがまたもチケット代をネタにして笑わせてから最後に演奏されたのは、前作のライブの時点ですでに披露されていた「Baby, Don't Cry」。(アルバムには今回収録)
前作のライブ時には観客に合唱を求めていたコーラスもメンバーが行い(合唱を求めたとしても着席では一体感は生まれづらいだろう)、本編は終了。メンバーが順番にステージを去る中、全員を見送ってから最後にステージを去るシモリョーの姿が印象的だった。
アンコールでは本編と異なり、メンバーが1人ずつ順番にステージに現れ、1つ1つ楽器の音が加わり、本編のオープニングのようにギターノイズが会場を支配する。ゴッチのボーカルもどこか呪術的な印象すら受ける。
するとここでメンバー紹介へ。関西出身のノリで自身のソロワークをアピールしまくる井上とYeYe、控えめに告知するシモリョーとmabanuaの関東勢。そして何も告知することがない戸川と佐藤(笑)
一通りメンバーがしゃべると、
「いつものメンバー(アジカン)とはしょぼくれて死ぬまで一緒にいるだろうけど、このバンドのメンバーとはスケジュール合わせるのも難しいから、一回一回のライブを噛みしめるようにやっている」
とゴッチが言った通り、ギター弾かずに踊りまくる曲が増えたゴッチは本当にこのメンバーでのライブを楽しみつくしていた。
そして最後に演奏されたのはやはり前回のツアーでも最後に演奏されていた「A Girl in Love」。メンバーのコーラスもあるポップな展開から一転して、アウトロで轟音を撒き散らすと、演奏を終えたメンバーがステージ前に一列に並んで一礼してステージを去って行った。井上のギターノイズの残響を残して。
終演が告げられると、暗幕が上がり、始まる前はまだ明るさすらあった六本木の街がすっかり夜景と化していた。しかし、このバンドはこのあと2nd setもライブを行う。
今作は前作とは異なり、このバンドメンバーで録音されたことで、曲においてもライブにおいてもさらにバンド感が増した。しかしそのバンド感はアジカンのものとは全く違うもの。
骨太なロックサウンドに向かっているアジカンと比べると、Good New Timesのサウンドはやはりポップ。しかしそのポップの中には様々なスタイルと、メンバーそれぞれの嗜好がある。
前作もよくある「バンドのフロントマンの息抜き的な作品」とは全く異なる、ゴッチの新たな音楽的好奇心とポップさを伺わせた名盤だったが、「Good New Times」もこれからじっくり楽しめる1枚になりそう。リリースを経てからのツアーも実に楽しみ。
1.Paper Moon
2.Humanoid Girl
3.Can't Be Forever Young
4.Lady In A Movie
5.Independence Dance
6.Aspirin
7.Blackbird Sings at Night
8.The Sun Is Not Down
9.Star Dust
10.Tokyo Bay
11.Wonderland
12.Good New Times
13.Baby, Don't Cry
encore
14.The Mediator
15.A Girl in Love
Good New Times
https://youtu.be/KlCcssOqbqk
Next→ 6/16 Mrs. GREEN APPLE × SAKANAMON @渋谷CLUB QUATTRO
この会場でライブを見るのは初めてなのだが、ステージが客席(当然全席着席スタイル)と非常に近い。手を伸ばせばエフェクターに届くほどに。
入場後はステージ背面に見えていた六本木の街並み(背面はガラス張り)を非日常空間にするかのように暗幕が下されると、アンプなどが電飾で飾り付けられたステージにメンバーが登場。普通に客席の間を歩いてくるというのも驚きだが、メンバー全員が花柄のシャツで統一された出で立ちというのにも驚かされる。
バンドメンバーはステージ向かって右側から
佐藤亮(ギター)
戸川琢磨(ベース)
mabanua(ドラム)
YeYe(コーラスなど)
シモリョー(キーボード)
井上陽介(ギター)
という、前作時と同じ布陣だが、新作リリースを期に、「The Good New Times」というバンド名を授かったことによって、以前のGotch Bandから、Gotch & The Good New Times名義に変わっている。
ギター2人を中心にノイズまみれのサウンドがオシャレ極まりない会場を支配する中、Gotchの英語詞ボーカルが浮かび上がってくる新作からの「Paper Moon」でスタート。さすがに高そうな会場だけあって、各サウンドが実によく聞こえる。
mabanuaのドラムとYeYeのフロアタムが力強く響く「Humanoid Girl」、井上陽介がハーモニカを弾き、YeYeとシモリョーが手拍子を促し、
「世間を呪う暇なんてないさ 命を燃やしたいだけ」
と自身の活動への情熱を感じさせる前作のタイトル曲「Can't Be Forever Young」と過去曲も披露されると、
「いつもよりチケット代が高い(7900円)、選ばれし民のみなさん、ようこそ(笑)
選ばれし民のみなさんが膝がガクガクになって立てなくなって、歩いて帰れなくなるくらいにいい演奏をしたいと思います。
昨日、ここにパティ・スミス見に来たんだよね」
と、フレーズを気に入ったのか、この日やたらと連呼された「選ばれし民」という言葉で笑わせつつ、昨日は観客としてこの会場に来ていたことを明かす。
するとブルース色の強さを感じる「Lady In A Movie」、踊れる曲ではある(現にゴッチはギターを持たずに独特なステップで踊りながら歌っている)が、いわゆるダンスロックではなく、ブラックミュージックのリズムによってゆったりと踊るような「Independence Dance」と新作の曲が続くが、どこか湿った、USインディーのような空気を感じるのは、「USインディー界最大の良心」とも評されるバンド、Death Cab For Cutieのメンバーがプロデューサーとして参加していることも大きいと思われる。
アジカンしか聴いたことがない人が聴いたらゴッチのボーカルとは思わないんじゃないかという、珍しいファルセットボーカルが聴ける「Aspirin」で年齢を重ねてさらに安定感を増しているボーカルをゴッチが聴かせると、再び新作曲のお披露目へ。
ミドルテンポの、染み入るように響く「The Sun Is Not Down」、これまでの華やかなサウンドとは打って変わって最小限の楽器で演奏された「Star Dust」、井上陽介の奏でるバンジョーがどうしたってカントリー色を感じさせる「Tokyo Bay」と、さすがゴッチと思わせるような引き出しの多さ、曲の幅の広さを感じさせる。しかし、全日本語だった前作とは異なり、今作の曲はほとんどが英語。そこもプロデューサーの効果があるのか、それとも別の狙いがあるのだろうか。
シモリョーがサンプリングまでも操る「Wonderland」から、すでにMVが公開されている、アルバムタイトルであり、バンド名にもなった「Good New Times」へ。音源ではスカパラボーンズも参加している、MVのゴッチのように軽やかに街中を駆け回りたくなるような曲だが、さすがにホーン隊はこの日は招集されず、シモリョーがシンセで補う。このあたりは近年のアジカン同様、ゴッチのソロにおいてもこの男が欠かせない存在になってきている証拠。
「次で最後の曲です。…高いやんけ、という声が聞こえてきそう(笑)」
とゴッチがまたもチケット代をネタにして笑わせてから最後に演奏されたのは、前作のライブの時点ですでに披露されていた「Baby, Don't Cry」。(アルバムには今回収録)
前作のライブ時には観客に合唱を求めていたコーラスもメンバーが行い(合唱を求めたとしても着席では一体感は生まれづらいだろう)、本編は終了。メンバーが順番にステージを去る中、全員を見送ってから最後にステージを去るシモリョーの姿が印象的だった。
アンコールでは本編と異なり、メンバーが1人ずつ順番にステージに現れ、1つ1つ楽器の音が加わり、本編のオープニングのようにギターノイズが会場を支配する。ゴッチのボーカルもどこか呪術的な印象すら受ける。
するとここでメンバー紹介へ。関西出身のノリで自身のソロワークをアピールしまくる井上とYeYe、控えめに告知するシモリョーとmabanuaの関東勢。そして何も告知することがない戸川と佐藤(笑)
一通りメンバーがしゃべると、
「いつものメンバー(アジカン)とはしょぼくれて死ぬまで一緒にいるだろうけど、このバンドのメンバーとはスケジュール合わせるのも難しいから、一回一回のライブを噛みしめるようにやっている」
とゴッチが言った通り、ギター弾かずに踊りまくる曲が増えたゴッチは本当にこのメンバーでのライブを楽しみつくしていた。
そして最後に演奏されたのはやはり前回のツアーでも最後に演奏されていた「A Girl in Love」。メンバーのコーラスもあるポップな展開から一転して、アウトロで轟音を撒き散らすと、演奏を終えたメンバーがステージ前に一列に並んで一礼してステージを去って行った。井上のギターノイズの残響を残して。
終演が告げられると、暗幕が上がり、始まる前はまだ明るさすらあった六本木の街がすっかり夜景と化していた。しかし、このバンドはこのあと2nd setもライブを行う。
今作は前作とは異なり、このバンドメンバーで録音されたことで、曲においてもライブにおいてもさらにバンド感が増した。しかしそのバンド感はアジカンのものとは全く違うもの。
骨太なロックサウンドに向かっているアジカンと比べると、Good New Timesのサウンドはやはりポップ。しかしそのポップの中には様々なスタイルと、メンバーそれぞれの嗜好がある。
前作もよくある「バンドのフロントマンの息抜き的な作品」とは全く異なる、ゴッチの新たな音楽的好奇心とポップさを伺わせた名盤だったが、「Good New Times」もこれからじっくり楽しめる1枚になりそう。リリースを経てからのツアーも実に楽しみ。
1.Paper Moon
2.Humanoid Girl
3.Can't Be Forever Young
4.Lady In A Movie
5.Independence Dance
6.Aspirin
7.Blackbird Sings at Night
8.The Sun Is Not Down
9.Star Dust
10.Tokyo Bay
11.Wonderland
12.Good New Times
13.Baby, Don't Cry
encore
14.The Mediator
15.A Girl in Love
Good New Times
https://youtu.be/KlCcssOqbqk
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