小暮満寿雄展 -素粒子たちの祝典序曲-にかさなる二つの世界
Mixiの中で教えていただいた小暮満寿雄氏の個展を見てまいりました。
場所は銀座6丁目、銀座大通りから一本裏にはいった古いビルの3階・・・。昼休み、急いでお昼を食べてふらっと寄って・・・・。
どちらかというと小さめのギャラリーに飾られた10枚にも満たない油彩画たち。さらっと観れば数分の量、ところがどっこい、かなり長時間釘付けになってしまいました。
多くの絵の登場人物には天使の羽根があります。そして普通の風景に重なる別の空気の層で暮らしているように見えます。たとえばヨーロッパ風のカテドラルと天使の羽根を背負った人物の絵、そこに二つの空気が交わりあっているように感じるのです。ひとつの絵の中に二つの空気の流れを感じる。しかもそれらは乖離するのではなく共存している。現実より実在感を感じる、異なった二つの世界の同居。それらの一枚の絵の中での不思議な統一感・・・、見えないはずの二つの空気がひとつの景色のなかで違和感なく存在している・・・。それは肌で感じる空気と心で感じる空気の混在ようにも思えます。目で観ているのに自分の目ではない部分でその絵の引き込まれるような感覚が、絵の前に立つたびゆっくりと広がっていきます。中国の街の風景もまたしかり、緑の豊かな世界でも・・・。どこか乾いてもいるのですけれどね・・・。
一番大きな絵、「エメイ山を従え、東方の旅立ちに身支度するカーリーを讃える祝典序曲」と題されたその絵にはさらにたくさんの空気の混在を感じました。豊潤なイメージが溢れるよう・・・。不思議な統一感にしっかりと収まってみているものにさらっと包み込まれていく感じ。シャガールをふっと思い出したのですが、小暮氏の絵にははるかに強いリアリティを感じます。むしろダリのようなイメージの重なり方・・・。でもダリに比べてより身近な統一感がある・・。観ている物が混乱から開放されてゆったりとその世界に取り込まれる時間があって・・・。他の作品もそうなのですがまったりとした休息の慰安ではなく、生きて暮らすことの慰安がやってくる・・・・。これもまた不思議・・・。
ギャラリーにいた時間は30分もなかったと思うのですが、狭い出口を出て古ぼけた階段を下りながら、数泊の小旅行からの帰り道のような気分になりました。
この満たされかたってなんなのでしょうね・・・・。
あ、そうそう、とても知的な目をした招き猫のオブジェクトも展示されていて、すごく惹かれた。思わず何かをゆっくりと語り合いたくなりました。それもまた不思議・・・
3月5日まで(木・日休み) 12:00-18:00
ギャラリーミリュウ
東京都中央区銀座6-10-10 第2鎌田ビル3F
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