細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を観ました。

で、何人かの人の感想と、自分が受け入れられなかった理由もだいたい明確化して来たので、感想を書こうと思います。

まず、ネタバレします。ご注意ください。
次に、私はこの映画が駄目だった方です。


と、いった点を覚悟した上でお読みください。

まず、私は細田守監督の作品が好きです。一番は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」 次に「時をかける少女」、サマーウォーズは残念ながら合いませんでした。(DVD買ってません)

で、まず、とても期待が高かったのがあります。で、観た感想が、
「これで終わりなのか?」
でした。 
こんな終わり方で良いのか?まずは盛り上がりもないし、問題の何も解決にもなってないし、何か幸せ的な物を手に入れたのかも解らなかった。

まずは「盛り上がりがない」 ですが、花たちの住んでる村に強力な暴風雨がきて、雨が山に入って終わりである。雨がオオカミとして生きる道を選ぶのだが、それがどうした?と思ってしまった。
「こんな子供みたいな感想書くな!!」と言いたい方もいるであろうが、第一印象が本当にそれである。

細かいところを言います。
まず雨、暴風雨の来た山に一人で入っていく。お母さんの花が 心配して追っていくのは、絶対に解っているはずなのに、「危ないから絶対に来るな!!」とも言わず、最低限の話もしないで山に入る。花が危険に合ったのも、全部雨が原因だろ?と、思ってしまい、最後にオオカミとなった雨が「ウォォオーーー!!」と、遠吠えしても、お前が危険な目に遭わせて、母親にお礼も言わず出て行って、何で遠吠えなんだよ?と、思った。正直な感想です。

他の人の感想だと、
「あの雨の態度は今時の、母親がうざったく感じてる年頃の子のリアルな行動です。 」
私はその感想になるほどと思った、確かに納得できた。

だが、私はそんな雨が大嫌いだ。それでもう、感情移入ができなくなったのだろう。ラストの遠吠えが「何だその遠吠えは?」になってしまった。

そして次に
「問題の何も解決になっていない」「何か幸せ的な物を手に入れたのか」
であるが、
おおかみこどもを赤ちゃんから育てているシーン。まだ都会に住んでいるときのシーン。児童保護委員(だったかな?)の人たちが、花のアパートに来る。乳幼児の定期検診と予防接種にいっさい行っていないからだ。ここで私は引いた。子供達はそれで本当に大丈夫なのか?と思った。家の外にも出してあげない。立派な児童虐待に見えた。


多分ここで自分が過敏に反応したのは、以前観た「誰も知らない」という映画が大っ嫌いだった事もあるだろう。不特定多数の男と子供を作り、児童保護に見つかると兄弟離れ離れになるから、家からも外に出してもらえず、最後には女の子が一人死んでしまう。
「誰も知らない」は育児放棄をした母親だったが、やっている事は花も同じに見えてしまったのだ。予防接種を受けなかったせいで、死んでしまったらやはりかわいそうだ。幼稚園にもいけない。小学校も、雪があれだけねだらないと、行かせようとしなかった。医療については花が必死に本で勉強していたが、医療はそれでは私たち観ている側は不安なのだ。絶対に医者の立場の見解が欲しい。秘密を守ってくれる、お医者さんが一人いてくれて、その人の口から「この子たちは予防接種とかは必要ない、丈夫な身体ですよ。」それだけでもいいから言ってほしかった。児童保護の人を出した以上、そこまでは欲しかった。


このあたり、細田監督は下手だと思う、これが宮崎駿監督や、鳥山明先生なら、周りを取り囲む世界をおおかみこどもがいてもおかしくない世界に作り上げる。目の前でほうきに乗って空を飛んだキキを見ても、オソノさんが「ワァーオ!」と言って、それで終わりである。悟空など、変身するウーロンや、触っただけで人たちを人参にかえるウサギを見ても、「お、変わった奴がいるなぁ」で、終わりである。こういう世界を作るのも立派な才能なのです。できる人とできない人がいる事を私は知っています。


児童保護というリアルな媒体を出した時点で、やはりそれに対するフォローは入れなければいけない。あのラスト、雪は狼男という存在を理解してくれる男の子の友達ができたけれど、きっと雪が大人になり子供ができたら、同じような仕打ちを繰り返すのだろうか?という不安感が出て来て、感動どころではなかった。また隠して育て、見つかったら差別を受けたり、医療もまともに受けられない子供ができるのかな?と思うと、気分が重いだけだった。この辺りに何の解決策も出さずに終わった事についても、「これで終わりか?」と思った大きな一つである。

(ちなみに上記の事について、そう思った人、思わない人がいるのは、わかりました。見た人全員がこの不快感を持ってる訳ではないです。)


あと、最後に花。


弱さを見せてくれない。

夫がゴミ収集車に入れられるという、最悪の仕打ちを人間に受けたにもかかわらず、恨み言一つ言わない。泣いているだけだ。どこかであれはもっと狂っても良いと思う。それだけ酷い事をされた。見えない所でも良いから、人や清掃員に対して恨み言を吐いてほしかった。その上で、震える子供たちを見て、「自分がしっかりしなきゃ」と、前を向いてくれたら、もっと感情移入ができただろう。好き勝手暴れる子供たちにもっと叱ってたりしてたら、もうちょっと感情移入できただろう。特に人が引くような特別な負の感情を入れろという訳ではない、誰もが共感する程度の悲しみや憤りを見せてほしかった。自分の進む道しか見えていない雨をビンタしてほしかった。

ええ、私は雨が嫌いだ。


と、つらつらと自分の思った批判を書きました。


この映画で、とにかく感動したという人は
私のこの批判等、観ている間きっと全く気にならなかったと思います。


なので、「こんな事を気にする様な映画じゃない。」 と、思う人もたくさんいると思います。


それで良いですよね。
理屈ではなく、心に入り込む物があれば、それはその人達に取ってとても良い映画です。

まぁ、細かい事を言い始めればきりがない・・・

感想を聞いた子の話で、狼男の旦那が妊娠している花の滋養をつけるためにキジを取って来た時、「キジ?!都会にキジいるの?!」と言う意見をきいて、「確かに・・・」と、笑った私もいます。


いろんな所で言われてますが、これほど賛否が分かれる作品も珍しいです。で、この賛否が本当に両極端なのです。不思議な力の映画と思います。
 


最後に、キャラデザ、絵、動き、全部凄いレベルです。それは言えます。

花はとても好きなデザインです。

子供時代の雪と雨のハシャギっぷりや、暴れっぷりもとても楽しく見れました。

背景も素晴らしかった。

次回作、細田監督なら、また見るとは思います。期待しています。


あと、いつも思う自分の感想で、

「これはテレビでただで見るのなら、褒めてただろうなぁ。」

と言うのがあります。今回もテレビでタダだと褒めていたかな?

それだけ自分の映画料金の1800円に対する意識があるのだと思います。


ちなみにコクリコ坂はテレビで30分でやってたら、褒めてたかもしれません。


なんて、いらない事を書いてこの感想を閉めます。