あの日あの時。二日酔いの闇からの戻り道。 熱いカレーうどんにずいぶん助けられた 【久住昌之の「途中めし」第7回 吉祥寺「手打ちそば ほさか」】

「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」の原作や、泉昌之名義での「食の軍師」などの著書で有名な久住昌之さんによる連載「途中メシ」第7回です。今回の舞台と題材は吉祥寺のそば屋さん「ほさか」(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-1 井の頭ビル B1F)で「二日酔いからのカレーうどん」。今では二日酔いするほどの酒量はないそうですが、若い頃の二日酔いの思い出をリアルに書いてくださいました。確かに胃腸を活性化させるので、二日酔いをリセットするカレーうどんは大いにアリかも…皆さんは二日酔いの時には何を食べてますか。(吉祥寺のグルメ・うどん・そば)

あの日あの時。二日酔いの闇からの戻り道。 熱いカレーうどんにずいぶん助けられた 【久住昌之の「途中めし」第7回 吉祥寺「手打ちそば ほさか」】

二日酔い、というのを久しくしていない。

二日酔いするほど、飲めなくなってしまったのだ。

酒を飲んで酔っ払うと、眠くなってしまって、それ以上飲めない。寝てしまう。

年齢とともに体力が衰えているのだろう。ちょっとさびしいけど、年なんだからちょうどよいと思っている。いつまでもそんなに飲めたら、内臓の方がやられてしまう。病気になって痛いのは、嫌だ。

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若い頃の二日酔いは本当に苦しく辛かった。ほとんど大病と言っていい。

起きた瞬間は、まだ酔ってる感じで、でも頭が痛くて、トイレに立つ。吐く息が酒臭い気がする。いや臭いだろう。

トイレに向かううち「気持ち悪い」と思う。脳が重い。内臓が重い。

長い小用ののちに台所に行って、コップで水道水を飲む。冷蔵庫に冷たい水があったら、これありがたやとコップ一杯飲む。

そして布団に戻る。野球のヘッドスライディングのように、布団に倒れながら潜り込んで目をつぶる。アルコールが血中にだぶだぶと残っている。目をつぶっているのに目まいがする。

そのうちとろとろっと眠ってしまう。

目がさめる。全然ダメ。いわゆる神経を麻痺させる酔いは、完全に抜け、気持ち悪さがますます際立ち、頭の芯の痛みが膨らんでいる。

「あー…」

と、誰もいないのに声を出して言う。

しばらく寝ているが、気持ち悪いので、起きてまた水を飲む。ぬるい水道水を、立て続けにコップ二杯飲む。これで血中アルコールを薄めたい。浅はかな考え。バカ。バカはまたトイレに行く。少しでも、酒を体から追い出したい。膀胱からは、二日酔いは出てってくれない。

 

布団に戻って、また倒れこむ。

「ああ」と声に出して言う。もうこの時は病魔に心が負けている。くじけている。

「ダメだぁ」と目をつぶったままつぶやく。

目を閉じているが眠れない。気持ちが悪い。胸焼けもする。胃袋も不快。昨日食べたものが残っているのか。

目を開ける。ちょっと目が回っている感じ。

目を閉じる。ちょっと涙が出る。辛い。誰かなんとかしてくれ。

風呂に入ろうか。風呂に入ったら、抜ける。

と思うがからだが動かない。全身に悪い気が淀んでる。頭の芯が痛い。その痛みが、気持ち悪さを逆撫でする。逃げ場がない。

少し吐き気がしてくる。

それがだんだん強くなっていくような気がする。

酒のゲロは、当日より翌日の方がタチが悪い。翌日ゲロ、最悪。

トイレに行く。今、喉に指を突っ込んだら、吐けるかもしれない。吐くのは敗北だが、それで楽になるなら、ボロ負けだっていいじゃないか。

と思ってやってみるが、出ない。胃がひっくり返るような感覚があるだけだ。

かわりに涙が出る。鼻水も出る。それがさらに敗北感を強くする。酒に負けた。自分に負けた。人生に打ちのめされた。自己嫌悪の黒い闇が全身を包み込む。

 

また水を飲んで、寝室に戻り、膝をつき、這うようにして布団に潜り込む。

じっとしていたら、いつの間にか眠っていた。寝たおかげで少し気持ち悪さが軽くなっている気がする。何時だろう。

こういう時に限って、曇っていて、外が暗い。その暗さが、心を鬱にする。自分は、今何にも役に立たない、クズだ。ゴミだ。ドブの底に溜まって淀んで腐った、泥だ。

汗をかいている。だけど首の後ろあたりが寒い。風邪をひいたかもしれない。

また寝る。二日酔いの時は、とにかく寝るしかない。サラリーマンでなくてよかった。電話がいくらなっても出ない。眠りこめたらラッキーだ。眠っている無意識の間に、アルコールが少しずつでも分解されていく。

二日酔いの途中ほど辛いものはない。

 

仕事場ビルの地下の蕎麦屋へ。僕好みのスパイス効いたカレーうどんで、生還だ

やっと起きて、シャワーを浴びて、着替えて、まあなんとか仕事場に出かけられるか、と思って時計を見たら午後2時半過ぎ。1日の半分以上が無駄になった。

少し気持ちが悪いけど、あの吐き気はどうやら消えている。頭痛は頭の芯で、仁丹の粒くらいになっている。胃はまだ少しムカつくが、耐えられないほどではない。

食欲は無いけど、なんか食べたほうがいいだろう。とにかく家を出る。ナメクジになったようにのろまでだるい。

こういう時こそ、カレーうどんだ。

カレーうどんしかない。

ボクは吉祥寺で二度目の仕事場は、南口の駅前の古い古いマンションの8階にあった。

その地下に、蕎麦屋「ほさか」がある。ここは蕎麦もうまいが、カレーうどんがうまい。ボクの大好きなタイプのカレーうどんだ。

ボクの嫌いなのは、片栗粉?の入れすぎで汁がドロドロなの。汁がズズッと飲めないような感じの。汁はサラサラなのにカレーは濃い感じのが好き。そして真っ黄色というより、ちょっと茶色目で、スパイスがピリッと効いてるやつ。麺が讃岐うどんみたいに太くないほうがボクは食べやすくて好き。そんなにコシがある必要もない。

ほさかのカレーうどんは、そこを全部クリアしている。

それが、仕事場のビルの地下にあるって、素晴らしいじゃないか。

この店は仕事を始めた頃、二十代の頃から通っている。最初行った頃は「平林寺蕎麦」という屋号だった。少しして「ほさか」に変わって今に至る。

午前11時から始まって、通しで9時まで営業しているのは嬉しい。

ボクのような時間の不規則な仕事をしていると、小腹が減った時に蕎麦屋が空いているのはものすごく重宝する。

二日酔いで、朝飯抜きの遅い昼に、カレーうどん食べたい時なんて、まさに街の飲食店の中休みの時間帯にさしかかる。

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▲仕事場の部屋の同じビルの地下1階、というクタクタ二日酔には最高の場所でした

 

そうして、半病人か病み上がりのていで、ボクはほさかに行く。

そしてカレーうどんを頼む。今は違うが、前はメニューには「鴨カレーうどん」しか載っていなかった。でも鴨ではないカレーうどんもある。それを頼む。そうすると、店員が厨房に

「ノーマルカレー!」

と言う。ノーマルカレーって。ノーマルって笑う。じゃあ、鴨カレーは「アブノーマルカレー」なのか。

まず、小皿にのった刻みネギが出てくる。それをぼんやり見る。そしてコップの水を飲む。蕎麦屋では、蕎麦を待つ間、小瓶のビールを楽しむことも多い。

だが、二日酔いのまだ癒えてない時間帯にビールなんて見るのも嫌だ。考えたくもない。

 

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▲…来た。待っていました。熱いのも薬になる気がする、頼みの綱のカレーうどん

 

 

カレーうどんが来る。

食欲はまだ無い。吾輩は猫である。名前はまだ無い。

でも、儀式のようにネギを丼にぶち込む。

まず、レンゲで汁を飲む。

「あー」

と思う。声には出さない。息を吐くだけだ。

いい。カレーはいい。この刺激的な香りと味が、完全にマイナスに傾いた心身を、グイッとゼロ方向に向けてくれる。食べられるぞ、俺。なんて心強い、カレーうどん。

もう一口すする。汁が胃袋にしみる。胃も荒れているのかもしれない。でも心地よい。熱いのも薬になる気がする。

カレーにまみれたうどんを割り箸でたぐり、すする。汁が飛んで、シャツにシミができても、いい。そんなもの、なんだ。それどころじゃないんだこっちは。死にかけから生還しようとしているんだ。

汁を少し飲み、うどんをたぐる。いつもよりずいぶんゆっくりだ。病み上がりだからしかたない。早くも額に汗が滲んでくる。鼻水も出てくる。うどんをもう2本たぐる、汁を飲む。汗が噴き出してくる。

三分の一食べたところで「もういいか」と思う。二日酔いにしては、よく食べた。残して帰ろうか。食べるのには体力がいることを思い知る。まだ全快には程遠い。水を飲む。冷たい水がおいしくて、コップの残りを全部飲んでしまう。

そしたら、カレーうどんがまたボクを呼ぶじゃないか。もう少し食べようよ。食べられるよ。

冷水とカレーに励まされ、ボクはまた箸を持つ。ほんの少しだけど、食欲が出てきた気がする。胃袋がようやく動き出した気がする。そうだ。食べたほうがいい。残さず食べたほうがいい。ここで残したら負けだ。食べて、二日酔いに勝つのだ。店員を呼んで、水のお代わりをもらう。

カレーうどんは、ボクにとって、二日酔いから生還する際の、大切な途中めしなのだ。

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丼の中の汁まで全部食べ終わった時は、汗びっしょりだった。衣服の中も、顔面も、頭も。金を払って、店の前のエレベーターに乗る。これで仕事場直行。素晴らしい。でき過ぎだ。

仕事場について、汗をかいたTシャツを脱ぎ、置いてあるのに着替えて、古い小さなソファにドタッと倒れる。グワーンと酔いが戻ってきた。

二日酔いで最初に飯を食った時の特有の現象が起こる。酒の呼び戻しだ。

胃袋が活発に動き、血流が良くなるので、おとなしくなっていたアルコールがまたひと暴れするのだろうか。また、一時的に具合が悪くなる。

ここですぐ寝られる職業、職場でよかった。

静かな音楽をかけて、横になっている。この時うまく眠りこめると、起きた時ほとんど楽になっている。眠れなくても、とにかく静かに横になっている。

絶対これでよくなる。確信がある。俺はカレーうどんを一杯完食したのだ。汗をかいたのもいい。まだ額から汗がにじみ出てくる。

 

だいたい30分ぐらいそうして、死んだように伸びている。

夕方になってくる。起きてトイレに行き、灯りをつけて、また横になる。

ダメだけど、もう少しだ。カレーうどんのおかげだ。心の中で手を合わせる。

真人間になるのはきっと明日の朝だが、今夜もなんとか仕事ができそうだ。

 

こんな日が今までの人生に何度もあった。

二日酔いのカレーうどん以外にも、ほさかにはとにかくお世話になった。

というか、二日酔いのカレーは、特例で、事件で、事故だ。

普段は、仕事場の超近所のうまい蕎麦屋として、ありがたいと通っていた。

夏は、冷やしあげ玉蕎麦や、きつねもり。きつねもりは、油揚げの上に刻んだキュウリが少量のっているのが嬉しい。おろし蕎麦もおいしい。

冬は鴨南蛮。あったまるし力が出る。天ぷら蕎麦ももちろんおいしい。

近年知ったのは、カレーもりもすごくおいしいということ。これは蕎麦。つけ汁がやっぱり好みなのだ。

雨でも嵐でも、仕事場から傘無しで行けるのだ。裸足にサンダルで降りてくるのだ。

たいていは、蕎麦前に小瓶のビール1本。ああ、今行きたい。

 

昔の二日酔い話で低く笑い、冷酒を嘗める。人生を折り返した実感が、心地いいな

今はこのビルから仕事場を引っ越したので、前ほどではないが、食べに来る。

蕎麦屋で酒を飲むのも楽しいものだが、ボクはほさかでビールの小瓶一本以上飲んだことが、一度か二度しかない。

それで、二日酔い話でもしながら蕎麦屋呑みしようじゃないかと、編集者男と編集者女を呼んで、夜のほさかにやってきた。

一応編集者が、店に電話を入れて置いてくれた。

店長さんが喜んでいたという。

だが、実はどの人が店長なんだか、ボクはまだ知らなかった。

予約席に行くと、すぐ挨拶にやって来た。しかし、会っているのかもしれないけど、店主の顔に見覚えがなかった。厨房はほとんど見えなくて、配膳は何人かのホール専門店員さんがやっているのだ。よくエレベーターで会う、蕎麦の粉を運んだり、時には蕎麦打ちをしているおじいさんは、どうも店主っぽくないなと思っていたら、やはり違ったようだ。

今のご主人は、前の屋号どおり埼玉県新座にある平林寺門前の蕎麦屋で修行をしたのち、この店舗を買い取り、しばらくしてご自分の苗字である「ほさか」にしたんだそうだ。ボクは当時、なんで名前変えたんだろうな、ぐらいに思っていた。すごく若かったからな。

ボクが客として来ていることも前から知っていたそうだ。こっちはそんなこと考えたこともないので、なんだかちょっと照れくさい。

 

財布の中が空なのを忘れていて、カレーうどん一杯をカードで払ったこともある。

風邪をひいて、ものすごく調子が悪くて、でも締め切りがあるし何か食べて体力つけなきゃと、ほさかに降りてきたこともある。来たはいいけど、内臓も弱っているのか、天ぷらなどの油物は受け付けず、蕎麦の汁も濃い気がして食欲がわかない。その時、食べたこともない「玉子とじうどん」が目について、頼んでみた。

そしたらふんわり卵がやさしい味で、汁も濃くなくて、しみじみおいしい。夢中でうどんをツルツル食べているうちに、なんだか泣きそうになった。

でもそれを全部食べて少しだけ元気になったボクは、深夜までマンガの原作を作り、原稿を書いて、イラストも描いて、深夜にタクシーで帰った。あの玉子とじうどんも忘れられないなぁ。

 

さて、編集者二人とボクは、まずは生ビールで枝豆を食べた。季節的に冷凍物でないのはもう最後か。おいしい。蕎麦屋で枝豆、初めてだが、悪くない。

蕎麦屋というのは、平凡で普通なものを特別な料理に感じさせるところがある。

「板わさ」だって、ただのかまぼこじゃん。

「玉子焼き」だって、別に家庭料理じゃん。

ところがそれらを蕎麦屋で酒と共に食べると、立派な一品料理に感じるから不思議だ。

枝豆を「豆料理」と感じたのは初めてだ。たぶん、普段もっと雑に食べている。

ここの板わさは、一切れが厚く、真ん中に切れ目を入れて大葉を挟んだのと、大葉と練り梅を挟んだのが二切れずつ。

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▲お蕎麦屋さんのマジック。かまぼこに、大葉や練り梅を挟むと「板わさ」に昇華。

 

 

酒が欲しくなる。

早々と久保田千寿に変える。

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▲ひんやりとガラスの徳利で久保田をいただく。あ~この見た目贅沢な仕立てがいいな

 

それはひょうたん型の透明なガラスの徳利に出てきた。お猪口もガラス。これまたちょっと、特別感がある。夏の終わり。秋の始まり。日本の酒は、いつの季節にも、季節の良さを思い出させてくれる。ような気がする。いいんだ、気がするだけでおいしくなるんだから。

 

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▲目黒のさんま、ならぬ、武蔵野の鴨など箸でツツイテ、昆布を一切れ噛めば、そりゃ酒も進むわな

 

 

鴨の燻製を食べた。

椎茸昆布を食べた。

どちらも酒が進む。

編集者男が「そばがき」を頼んだ。なんとなくタイミングが違うような気がしたけど、ま、いいか、と思って何も言わなかった。そばがきと冷酒、そんなに合わないような気がした。でもならば、蕎麦屋でそばがきはどういうタイミングで食べるのが一番おいしいんだろう。人によるけど、自分の場合。なんか、ごく前半な感じがする。

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▲ちょっとツマンデみたかったんでしょ、そばがき。ほんとは熱燗がいいけどね。

 

そばがきを頼んだ後、この男は「そばとろ」を頼んだ。これは食べたことがないが、ここでとろろという流れはどうだろう。

そばとろは、すったとろろ芋に蕎麦の実と、サイの目に切ったカマボコと椎茸煮を加えたものだった。ああ、こういうのをアテに酒をやるのも悪くないか。でも燗酒でしみじみやった方がいいのではないか、などと思う。

 

編集者女は、気の毒なことに帯状疱疹が顔に出るという、気の毒なことになっていて、本当は飲んではいけないのに、普通に飲んでいた。少し酔って、

「離婚した元夫に最近子供が生まれたらしい。私が帯状疱疹こさえてる間に、元夫はコドモをこさえていた」

と爆弾発言。編集者男が、

「ははは、さすがだなぁ。前回とつなげてきたか」

と笑った。

またまた編集者女の結婚話を肴に、ボクらは盃を重ねた。

そのうち、編集者女の披露宴泥酔写真まで出てきて、それを見た男たちは「これは離婚するはずだ」となぜか納得し、感心までしている。何やってるんだ、この大人たちは。

でも蕎麦屋の夜は早い。ラストオーダーは8時半だ。蕎麦屋はベロベロに酔う場所ではない。その雰囲気が、カマボコを板わさに変身させる。

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▲さて、と。シメは何にしよう。蕎麦の種類がたくさんあるな。でも、今夜は感謝をこめてカレーうどんッ!

 

3人は金を払って地上に出た。明日は二日酔いではないだろう。

ボクは二日酔いに苦しみ悶えてぬるい涙を流している自分を懐かしく思い、愛しいような気持ちにさえなった。人生後半なんだろう。道の両側に並んだビルの間の細長い夜空に、星が二、三粒だけ出ていた。

 

 

 

紹介したお店

手打ちそば ほさか
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-1 井の頭ビル B1F
TEL:0422-48-2118
営業時間:平日11:00~20:45 / 日曜・祝日11:00~20:30
定休日:月曜(月曜祝日の場合火曜に振り替え) 

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※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。

 

著者プロフィール

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文・写真・イラスト:久住昌之

漫画家・音楽家。
1958年東京都三鷹市出身。'81年、泉晴紀とのコンビ「泉昌之」として漫画誌『ガロ』デビュー。以後、旺盛な漫画執筆・原作、デザイナー、ミュージシャンとしての活動を続ける。主な作品に「かっこいいスキヤキ」(泉昌之名義)、「タキモトの世界」、「孤独のグルメ」(原作/画・谷口ジロー)「花のズボラ飯」他、著書多数。最新刊は『ニッポン線路つたい歩き』。

 

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