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創作文章(ショート・ストーリー)を募集します。
ルールははてなキーワード【人力検索かきつばた杯】を参照してください。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5
今日は木曜なので、次の火曜晩か水曜日くらいに締め切ります。
気を失っていたのはどれくらいの時間だったのか。
「扶亜。聞こえるか?扶亜……」
武藤博士の声に目を開いた扶亜は、眼前に広がる異質な世界に言葉を失った。パステルカラーでありながら、どこか冷たく、歪んだ現実味のない光景だった。
「……ここは?」
「はてな界じゃ。電脳世界の狭間に昔から存在する危険地帯。まさか現実界まで侵食していたとはな。気をつけろ、扶亜。敵は手強いぞ」
「敵?」
「そこから脱出するには、数多くの試練をクリアせねばならんのだ」
扶亜は返事をしなかった。巨大な緑色の生物が近寄ってきたのだ。扶亜は、可変式全局面汎用型戦闘機<MZF-14>を完全歩行形態へ変形させた。緑色の生物――それは巨大なカエルだった。カエルは言った。
「ポイントください」
『うごメモラー』を倒すには、年齢フィルターだけでは足りず、有料フィルターと「無差別通報」のブラフが必要だった。次に襲ってきたのは、平面生物『フォトライフ』。「なぞなぞ認証」のキーワードを画像解析でゲットすることがわかれば簡単に倒せた。
「次は何?」
扶亜は少しハイになっている自分に気付いた。いけない。冷静にならなくちゃ。
そう自分に言い聞かせながら<MZF-14>を進めていくと、無数の顔のない生物がわらわらと寄ってきた。
「『アノニマス』じゃ。通称『増田』。毒を持っているから注意しろ」
武藤博士の声に緊迫感が漂った。
「『アノニマス』の毒を浴び続ければ、<MZF-14>の強化超合金の外装も長くは持たん」
『アノニマス』との戦いは長期戦だった。息をつく暇もなく、『コピィ』や『ボトル』、『ロクロ』といったラボ系モンスターとの戦いが待っていた。全てを倒すには、<MZF-14>の全戦闘能力を駆使する必要があった。
そして気付くと、扶亜は、巨大な高い塔の前にいた。
「『ジ・ンリキの塔』。これが最後の試練じゃ。心してかかれ」
「では、この塔を抜ければ……」
「はてな界から脱出できる筈。じゃが、この塔には最古にして最強の種族が……」
武藤博士の声を遮って、別の男の声が響いた。
「ようこそ。ゲストさん」
年の頃なら30代だろうか。ふちなしメガネをかけた、バタ臭い顔をした男だった。彼は、クリス・ペプラーに似た声で続けた。
「あなたの前には『20の扉』があります。全ての扉を開いたら、出口はもうすぐです」
「誰?」
「私はウンエイ族の一人です。ディレクターとでもお呼びください。何か質問ありますか?」
扶亜は首を横に振った。腰の低いディレクターは笑みを浮かべると、続けた。
「では、塔の最上階でお待ちしています。どうぞご利用ください」
その言葉とともに、彼の姿は掻き消えた。
「ここから先は徒歩ね」
扶亜は塔の前にある広場に<MZF-14>を止め、機体から降りた。
塔の入り口には、一枚の写真が貼ってあった。
「これが第一の扉、というわけか。でも、この写真は?……ニューヨークのブロードウェイ?」
扉が音もなく開いた。
「なるほど。『20の【ここどこ】』ね」
扶亜は【ここどこ】を解きながら塔を登っていった。
「神戸の六甲山」
「上海のユニバーサルランド」
「ウクライナ・キエフのコレムリン給水所」
最上階の20階、扉の前で扶亜は言った。
「ラピュタの空中回廊」
扉が開き、何もない部屋の中央に立っているディレクターの姿が見えた。彼は言った。
「よくここまで来ましたね。でもこの先には行かせませんよ。リニューアル!」
ディレクターの体がみるみる巨大化し、質問獣・グランドハテコに変身した。質問獣は、はてな界では4倍のパワーを発揮することができるのだ!
「ならば、こちらも」
扶亜は大きく息を吸うと、叫んだ。
「氷結!」
衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機からコンバットスーツが電送され、扶亜の体を包んだ。
「宇宙刑事ファントム!!」
宇宙刑事ファントムは、わずか1ミリ秒で氷結を完了する。では氷結プロセスをもう一度見てみよう!
(字数の都合で省略)
「レーザーブレードっ」
扶亜は質問獣に斬りつけた。効かない。質問獣は咆哮した。
「ocNmOpDEd40ZrdCM6KpT92ldpgDtRCIjs7Om1tKyGkGLbBUKunqPBpEj2gGlY0QbhRvdkJnqKWM=」
「何これ?暗号?」
とまどう扶亜の耳に、ヘルメットのインカムから武藤博士の声が流れた。
「扶亜よ。コードブレーカーを使うのじゃ」
扶亜はうなづいた。
「『くいくら』起動!」
しかし、『くいくら』から返ってきたのはエラーメッセージだった。
「ID が違います?どうして?granhateco で合っている筈……」
質問獣の繰りだすパンチをよけながら、扶亜は必死で解を探した。
「そうか!分身ではダメ、本体を倒さなければ」
扶亜は『くいくら』の ID を、grankoyama に変更した。
「見えたっ」
レーザーブレードを振り上げて、扶亜はファントムクラッシュの構えに入った。
「答えは、フライパンよ!」
ファントムクラッシュが一閃し、質問獣・グランドハテコは大爆発した。その爆風に巻き込まれ、扶亜は破壊された天井から空高く舞い上がった。その先には、懐かしい現実界がある。
爆発の衝撃波で薄れ行く意識の中、扶亜は黄色や緑や赤の星がきらめくのを見ていた。
(了)
長い回廊に一つ、足音が響く。
『キーはそちらに渡っている筈だ、座標コードL-35地点、都立図書館前に。』
「了解しました。」
無線での会話を終えた青年は、音楽プレイヤーを取り出し、ヘッドホンを付け、プレイヤーをいじる。
(新曲のダウンロードをしに行こう、時間は沢山ある。)
突き当りの角を曲がり、正面玄関を出ると、昼間の太陽が照りつける眩しい空が広がっている。
Eゲートまでの短い歩道を歩く青年は、スーツの胸ポケットからキーを取り出し、彫りこまれた模様を指でなぞった。
「Eゲートをご利用で?」
身分証明書を見せると受付嬢が頷き、煌びやかな金細工の施された仰々しい扉のある間に通される。
扉の前に立ち、キーを差し込むと、適合した時のカチッという感触が手に伝わる。
「依頼No.39 都立図書館前。」
受付嬢の声を承認した扉が開き、座標コード通りの目的地が目の前に現れる。
足を踏み入れた途端、扉は消え去り、青年は何事もなかったかのように図書館へ入って行った。
入口付近のパソコンからインターネットに繋ぎ、プレイヤーを接続して、新曲のダウンロードを済ませる。
「それ、kiss&keepの『文末のはてな』ですか?」
横から声がした。
青年は驚いた風もなく、ゆっくりと声のした方を向いた。
「貴方も、御好きで?」
青年の問いに微笑んで頷いた女性。
(ああ、彼女が今回の目標か。)
青年は少し残念そうな光を瞳に兆した。
彼の好きな歌手の同じファンである彼女が、次の目標だった。
「自分は、加藤と申します。その…」
女性は差し出された名刺を見て、少し嬉しそうな表情を見せた。
(今回は、彼女にとって嬉しい相手という設定だったようだ。)
それが死のきっかけとなろうとは、誰も思うまい。
青年が運ぶものは、名刺のような「有名プロダクションのプロデューサー」のように人々への娯楽ではなく、青年のスーツの襟についたピンバッジが示す、「死」であるからだ。
「これから御茶でもしませんか?kiss&keepファンの声を聞かせて頂きたい。」
彼女は運ばれてきた死を、受け取るのだろうか。
こんな感じで宜しかったでしょうか…?
正当派な感じでよいですね。
死神のなんとかを思い出しました。
ありがとうございました。
「これこれ、これです。」
さして広くもない、かといって狭い訳でもない半端な広さの事務所に、久々に自分以外の人間の声が響く。
その人間ーーそこそこ顔立ちの整った女性ーーは、肩にかかる長い黒髪を背中にはらいつつそう言うと、おれの前に一人の物体を差し出した。
「はあ、これは…」
さてどんなものかとずり落ちかけていた眼鏡を押しあげ、おれは物体の前に向き直る。
(…なんだこれは。)
心中そんなことを呟きながら、よくよく物体を観察する。
「それ」は自分の目には色とりどり、太さもそれぞれ異なったコードが巻きつけられた長方形の箱にしか映らない。
おそらく誰が見ても。
あまりにも深く思案しているおれの気持ちを汲み取ってくれたのか、女性は僅かな微笑みをオマケに付けて言った。
「それは爆弾です。」
おれは探偵である。
昔から推理小説、探偵小説を読みふける端から見ると根暗な少年時代を送ってきたおれは、社会人14年目を迎えた去年ようやく長年の夢を叶えた。
自分の事務所を構え、あと足りないのは事件だけ。
密室で人が殺された!
今に伝わる古代の財宝が盗まれた!
年甲斐もなくそんな現実味のない夢を抱く心と、いやそんなことあるわけが、といういかにも自然の摂理に準じた現実味濃厚な心が入り混じるなか、おれは事務所中央の大きな椅子にどっかりと腰掛けたのだ。
だがしかし、現実は甘くなかった。
ささいな依頼でさえ2カ月に1回来ればラッキー、まして殺人事件などは起こったとしても全員警察に駆け込むようで、探偵の出る幕などこれっぽっちもありはしなかった。
おかげで事務所は開店休業状態、おれもこんなガタガタな職業ごめんだと真面目に就活を始めようとしたところだったのだがーー
「…みません、すみませーん」
もはやベッドの代わりになってしまった椅子でこくりこくり船を漕ぎ、意識が落ちる寸前にあったある日の午後、突然依頼者は現れた。
はてここに人が来るのは何ヶ月ぶりかと眠気を払いながら考え、まずそれよりも茶を出さねばならないことを思い出し、とりあえず立ったままの女性へソファに座るよう促した。
久しぶりに自分でいれた紅茶をガラスのテーブルに置いたところで、女性が取り出した物体。
それが、爆弾だという。
「爆弾…ですか」
「そう、爆弾です」
それがごく当たり前であるかのように女性は言う。
「…それが爆弾だとして、おれにどうしろってんですか」
微笑んだままの女性。
「ここは探偵事務所ですよ」
「えぇ、分かっています」
「ここで爆弾処理なんてできませんよ」
「そりゃあ、探偵事務所ですからね」
「ならご用件は」
続く問答のあいだに生まれた、僅かな沈黙。
「ご用件は」
語気を強めてそう問うが、女性はなおも微笑んだまま。
流石におれも苛立ちを感じ、このままならお引き取り願おうと椅子から腰を上げかけたそのとき、
ガシャン。
大きな音を立てて、女性が「爆弾」を床に投げつけた。
「ちょ、ちょっと…」
「これは爆弾です」
それは何度も聞いた。だからそれを俺がどうすればいいのかという話だったはずだ。
「なんなんですか、あなたはそれをどうしたいんですか!」
思わず怒りをあらわに叫んだ。しまった、と一瞬焦ったおれをよそに、女性は静かにこう告げた。
「この爆弾は時限爆弾です」
女性は続けて語る。
「あと30分でこれは爆発します。もしそうなったら、私とあなたは確実に死ぬ。
回避できる方法はただひとつ。
この中のコードの1本だけを切るのです」
この事務所の外からする車の音、喧騒が、やたら大きく聞こえた。
本当はもっともっと長いお話だったのですが、余裕で文字数オーバーしてしまいました。
キリのいいところで切ろうと思ったらここしかなく、半端な感じで終わります。
色んな意味で「はてな•コード」にしたつもりです。
>余裕で文字数オーバー
狙って「半端な感じ」にしたのでないのなら、文字数気にせずに続きをどうぞ。
2000文字の2~3倍くらいへっちゃら。(なんで私がコメントしてるんだろう……)
探偵業と爆弾の対比が印象的でした。
これは始まりのきっかけでしかなく、このまま大きな事件に巻き込まれそうですね。
ありがとうございました。
気を失っていたのはどれくらいの時間だったのか。
「扶亜。聞こえるか?扶亜……」
武藤博士の声に目を開いた扶亜は、眼前に広がる異質な世界に言葉を失った。パステルカラーでありながら、どこか冷たく、歪んだ現実味のない光景だった。
「……ここは?」
「はてな界じゃ。電脳世界の狭間に昔から存在する危険地帯。まさか現実界まで侵食していたとはな。気をつけろ、扶亜。敵は手強いぞ」
「敵?」
「そこから脱出するには、数多くの試練をクリアせねばならんのだ」
扶亜は返事をしなかった。巨大な緑色の生物が近寄ってきたのだ。扶亜は、可変式全局面汎用型戦闘機<MZF-14>を完全歩行形態へ変形させた。緑色の生物――それは巨大なカエルだった。カエルは言った。
「ポイントください」
『うごメモラー』を倒すには、年齢フィルターだけでは足りず、有料フィルターと「無差別通報」のブラフが必要だった。次に襲ってきたのは、平面生物『フォトライフ』。「なぞなぞ認証」のキーワードを画像解析でゲットすることがわかれば簡単に倒せた。
「次は何?」
扶亜は少しハイになっている自分に気付いた。いけない。冷静にならなくちゃ。
そう自分に言い聞かせながら<MZF-14>を進めていくと、無数の顔のない生物がわらわらと寄ってきた。
「『アノニマス』じゃ。通称『増田』。毒を持っているから注意しろ」
武藤博士の声に緊迫感が漂った。
「『アノニマス』の毒を浴び続ければ、<MZF-14>の強化超合金の外装も長くは持たん」
『アノニマス』との戦いは長期戦だった。息をつく暇もなく、『コピィ』や『ボトル』、『ロクロ』といったラボ系モンスターとの戦いが待っていた。全てを倒すには、<MZF-14>の全戦闘能力を駆使する必要があった。
そして気付くと、扶亜は、巨大な高い塔の前にいた。
「『ジ・ンリキの塔』。これが最後の試練じゃ。心してかかれ」
「では、この塔を抜ければ……」
「はてな界から脱出できる筈。じゃが、この塔には最古にして最強の種族が……」
武藤博士の声を遮って、別の男の声が響いた。
「ようこそ。ゲストさん」
年の頃なら30代だろうか。ふちなしメガネをかけた、バタ臭い顔をした男だった。彼は、クリス・ペプラーに似た声で続けた。
「あなたの前には『20の扉』があります。全ての扉を開いたら、出口はもうすぐです」
「誰?」
「私はウンエイ族の一人です。ディレクターとでもお呼びください。何か質問ありますか?」
扶亜は首を横に振った。腰の低いディレクターは笑みを浮かべると、続けた。
「では、塔の最上階でお待ちしています。どうぞご利用ください」
その言葉とともに、彼の姿は掻き消えた。
「ここから先は徒歩ね」
扶亜は塔の前にある広場に<MZF-14>を止め、機体から降りた。
塔の入り口には、一枚の写真が貼ってあった。
「これが第一の扉、というわけか。でも、この写真は?……ニューヨークのブロードウェイ?」
扉が音もなく開いた。
「なるほど。『20の【ここどこ】』ね」
扶亜は【ここどこ】を解きながら塔を登っていった。
「神戸の六甲山」
「上海のユニバーサルランド」
「ウクライナ・キエフのコレムリン給水所」
最上階の20階、扉の前で扶亜は言った。
「ラピュタの空中回廊」
扉が開き、何もない部屋の中央に立っているディレクターの姿が見えた。彼は言った。
「よくここまで来ましたね。でもこの先には行かせませんよ。リニューアル!」
ディレクターの体がみるみる巨大化し、質問獣・グランドハテコに変身した。質問獣は、はてな界では4倍のパワーを発揮することができるのだ!
「ならば、こちらも」
扶亜は大きく息を吸うと、叫んだ。
「氷結!」
衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機からコンバットスーツが電送され、扶亜の体を包んだ。
「宇宙刑事ファントム!!」
宇宙刑事ファントムは、わずか1ミリ秒で氷結を完了する。では氷結プロセスをもう一度見てみよう!
(字数の都合で省略)
「レーザーブレードっ」
扶亜は質問獣に斬りつけた。効かない。質問獣は咆哮した。
「ocNmOpDEd40ZrdCM6KpT92ldpgDtRCIjs7Om1tKyGkGLbBUKunqPBpEj2gGlY0QbhRvdkJnqKWM=」
「何これ?暗号?」
とまどう扶亜の耳に、ヘルメットのインカムから武藤博士の声が流れた。
「扶亜よ。コードブレーカーを使うのじゃ」
扶亜はうなづいた。
「『くいくら』起動!」
しかし、『くいくら』から返ってきたのはエラーメッセージだった。
「ID が違います?どうして?granhateco で合っている筈……」
質問獣の繰りだすパンチをよけながら、扶亜は必死で解を探した。
「そうか!分身ではダメ、本体を倒さなければ」
扶亜は『くいくら』の ID を、grankoyama に変更した。
「見えたっ」
レーザーブレードを振り上げて、扶亜はファントムクラッシュの構えに入った。
「答えは、フライパンよ!」
ファントムクラッシュが一閃し、質問獣・グランドハテコは大爆発した。その爆風に巻き込まれ、扶亜は破壊された天井から空高く舞い上がった。その先には、懐かしい現実界がある。
爆発の衝撃波で薄れ行く意識の中、扶亜は黄色や緑や赤の星がきらめくのを見ていた。
(了)
質問者と御題を一番うまく使ってくれたと思います。
ありがとうございました。
(あとでgrankoyamaがスターを付けるついでに文句を書きに来ます)
「ただのサックス吹きですよ。ただのね。」
そんな台詞を残して、姿を消したのはいつだったか。カウンタの下においてある黒い革のケースには、うっすらと埃が積もってる。もどってくるの?と呟く。タバコの煙が立ち上る。いつ点けたのかしら?ここには誰も居ないのに。
「バーボンをもらおうか」
聞き慣れた声が、左肩から聞こえる。振り向こうとすると、左耳に大きな手が触れる。塞がれた左耳に、ささやき声が忍び込んでくる。
「月の裏側から帰ってきたのさ。意外に長くかかったよ。」
右を回って振り返ると、微笑みがあった。その微笑みの周りには無精ひげが佇んでいた。じっと睨むと、
「きみの顔が見たくなってね。」
といいながら、カウンタの下に手を伸ばす。埃をはらってケースから取り出したテナーサックスを、ゆっくりとセッティングしていく。くすんだ銀色にところどころ煤けた様な黒い色がかぶさっている、少し変わったサックス。その曲面に、薄暗い照明が複雑な影を落とす。タバコの煙が、まとわりつくようにサックスのキーを掠めていく。
「カーテンコールは、まだかな?」
ストラップにサックスを掛け、スツールから降り立つ。その脇をすり抜けて、部屋の隅のピアノに座る。
「はじめのコードは?」
「テナーにあわせて、Dマイナセブンで」
「ながい夜になりそうね。」
いつもどおりひねっていただきました。
ハードボイルド(という表現が適切かどうかはさておき)な感じですね。
ありがとうございました。
せりふだけ先に決めて、あとで情景をつけてみました。
ねえ、なんでここなのよ。だれもこれないじゃないの。そりゃね、一生に一度だから、めったに無い場所で挙げたいって言ったわよ。そうよ、言ったわよ、この口で。でもね、変な場所じゃないの。珍しい場所なの。重要なのは、祝福の人も来れるって事よ。いい?これは祝福される行事なの。ね。私達二人だけじゃダメなの。神父さんもいな。え、キリスト教の信者じゃない?そりゃそうよ。みんな信者じゃなくても式挙げるのよ。臨時よ臨時。臨時に信者になって、直ぐ忘れるのよ。いいじゃない、ウェディングドレス着ているあいだくらい。ええ、神の子じゃないわよ。亀の子でもないわよ。わたしはわたしよ、たわしじゃないわ。何言ってるのよ。笑わないの。笑うとこじゃないでしょ。神父さんも神主さんもお坊さんも要らないのね。じゃあ何に誓うのよ。え?自分?そうね。そうね。でも、だれか証人がいるってことでしょ?いらないの?そうなの。じゃあ、仲人は?要るんじゃないの?え、日本人だからよ。こんな宇宙の果て、仲人なんて来るわけ無いでしょ。親だって来れないってのに。いらないの?二人が誓えばいいって?証人なんていらないの?え?そ、そうだけど。別に証拠のこさなくちゃいけないわけじゃないし、そんなことしないし。あ、あなたがなにかしたら証拠が要るわ。言葉だから証人の方が、そ、そうね、機械の方が正確ね。え、でもあとでちょっといじってってできるん、できない方法?え。宇宙に記録するの?だからここなの?ここはどこなの?ゴジュッコウネンてなに。え、遠さなの?わかんな、それなに。れえざあってな。ま、いいわ。わかんないけど、それで地球にむけて誓いの言葉を発射するのね。いいわよ、わかんないけど。どうせわかんないけど。あなたの言葉を信じるしかないわ。死が二人を別つまで、あなたを愛することを誓います。
あたまのなかがはてなでいっぱいになりました。
ありがとうございました。2本目なのですね。
2本目はSFです。「ハテ ナコウド」を広げたらこうなりました。
・高度経済成長(コードケーザイセーチョー) --- もっと分かりやすく言うと、「果て無き欲望の世界」(はてなきよくぼーのせかい)
・高度情報化社会(コードジョーホーカシャカイ) --- もっと分かりやすく言うと、「果て無き頭脳酷使の社会」(はてなきずのーこくしのしゃかい)
・高度原子力利用(コードゲンシリョクリヨー) --- もっと分かりやすくいうと、「果て無き放射能汚染」(はてなきほーしゃのーおせん)
ダジャレですね。
ありがとうございました。
質問者と御題を一番うまく使ってくれたと思います。
ありがとうございました。
(あとでgrankoyamaがスターを付けるついでに文句を書きに来ます)
2011/10/26 21:39:55