[1] 「喫茶店でコーヒーを頼んだら紅茶が出てきたので替えてもらった」というあらすじの、
小説風の単文を書いてください。
そして
[2] どのような細かいテクニックを使っているのか、1行ずつのレベルで解説してください。
みなさんはどんな点に気をつけて小説風の文章を書いているのか、聞きたいのです。
長さや描写の細かさは、普段の自分通りのスタイルでOKです。
またテクニックの説明に必要なのでしたら、話の筋をかえたり、延長してもかまいません。
例はコメント欄に示します。よろしくお願いいたします。
なんかやたら長くなってしまいました……。
【ウェイトレスのおいしい喫茶店】
[01] がらんとした店内。
[02] 「お待たせいたしましたー」
[03] 俺は小説の残りを読みたくて、客のいなかったこの喫茶店「キュイエール」に入り、コーヒーを注文していた。このすき具合なら数時間いても文句は言われないだろうし、もしかしたら近所では評判のとてもまずい店なのかもしれないが、コーヒーならどんなにまずくてもたかが知れているだろう。
[04] いつの間にか置かれていたそのコーヒーを口元へと近づける。見たところカウンターの向こうにはマスターらしき人影はなく、コーヒーは運んできたウェイトレスが煎れたようだった。さて、この紅茶はどのくらいまずいかな?
[05] ……紅茶?
[06] そう、この匂いは紅茶だ。紛れもなく紅茶だ。一応確認のためにすすってみる。やっぱり紅茶だ。
[07] 「店員さん!」
[08] いやちょっとマテ。確かにどれだけまずいか期待していた自分がいた。それは認めよう。でもそれがコーヒーじゃなく紅茶だってのはあまりにも変化球すぎる。
[09] 「はい、なんでしょう」
[10] 「あのコーヒー頼んだんですけど、これ紅茶なんですけど」
[11] 「…………」
[12] 沈黙のあと。
[13] 「まっさかー!」
[14] あはははははと笑い出すウェイトレス。いやその反応はなくね?
[15] 「本当ですって!」
[16] 「じゃあ確認させて頂きますね」
[17] と、ウェイトレスは俺の前に置いてあったティーカップを手に取り、飲んだ。
[18] それ俺が口つけたの、と言おうとした時にはすでにティーカップを元の場所に置いていた。あ、口紅がかすかに残ってる……。
[19] 「あら、確かに紅茶ですねぇ」
[20] ウェイトレスはうんうんとうなずく。よく見れば結構かわいい方で、しかも胸が大きく、制服がその大きさをより強調していた。コーヒーを置く時に前屈みになると、胸の谷間に吸い込まれそうになる。
[21] 「ということはきっと、間違えて注文しちゃったんですよ、コーヒーと紅茶」
[22] その胸の大きさに、俺は聞き間違えてしまった。
[23] 「すみません、なんだか今、僕が言い間違えたみたいに聞こえたんですけど」
[24] 「だってほら、エレベーターとエスカレーターって、間違えません?」
[25] 「へ?」
[26] エレベーターとエスカレーター。
[27] 「ほら、時々わからなくなるじゃないですか。あれ、これってエスカレーターかなー、エレベーターかなーって。紅茶とコーヒーもそんな感じに間違えたとか」
[28] 「い、いや、そんなことあるわけがないって。斜めに上がるのがえ、エスカレーター」
[29] 「プッ」
[30] ウェイトレスは吹きだして笑いを堪える。え? もしかして俺間違えた? え? え? え? あれ? 箱形のがエレベーターで、階段で斜めに行くのが――――エスカレーターだ。
[31] 「やっぱり間違えてませんよ。そのまま上に上がるのがエレベーターで」
[32] 「エレベーター? 本当にエレベーターでしたっけ?」
[33] 「そうですよ、今度は間違ってませ」
[34] 「エベレーターじゃないですか?」
[35] 「へ?」
[36] え……エベレーター? エベレーター??
[37] 「えっと、斜めに上がるのがエスカレーターで、上に上がるのが……え、え……」
[38] ……………………。
[39] 「いや、やっぱりエレベーターじゃね?」
[40] 「ちっ」
[41] 「あ、あんたなぁっ!!」
[42] からんころん。
[43] 俺が大声を出したと同時に、男が店に入ってくる。サングラスを掛けた、腕っ節の強そうな男だった。
[44] 「あ、マスター、」
[45] あれがマスター……!! もしかしてこの女、俺のことクレーマーとか言って追い出させる気じゃ――。
[46] 「オーダー入りまーす、コーヒーひとつお願いしまーす」
[47] 「へ?」
[48] マスターはうなずき、エプロンを付けると手慣れた手つきでコーヒーを煎れた。
[49] 「お待たせいたしましたー」
[50] ウェイトレスはコーヒーを置き、何食わぬ顔でささやき掛けた。
[51] 「私、コーヒー煎れられないんです。お待ち頂いていた間の余興、いかがでした?」
[52] よきょうー!? いや、まぁ時間はつぶせたかもしれないけどただ単にからかわれてただけっていうかそのくらいで俺の気は済まないっていうか!
[53] 「あ、こちらはサービスです♪」
[54] と、口紅の付いた冷めた紅茶を指した。
[55] ……ま、今回は多めに見てやるか、そう思いながら俺はコーヒーを飲んだ。
[56] 「って、まずっ!!」
【解説】
[01] まずは「他に誰もいない」ということを示します。
[02] [01]と[03]の間にワンクッション置きたいのでここでセリフを入れます。
[03] 状況説明します。あとコーヒーに対するこだわりのなさを示します。一人称なのは、三人称だと名前考えたりして面倒なので。
[04] 「いつのまにか」で意識が小説に集中していたことを示します。コーヒーを頼むシーンを入れないことと合わせて、「主人公は本当にコーヒーを頼んだのか」と読者に疑わせます。
[05] [04]の最後と合わせて、主人公が錯覚のように戸惑っていることを表現します。
[06] 主人公は小説に意識を集中していたので、少し混乱してます。
[07] 人間は口と思考は別になっているので、先に叫ばせてしまいます。
[08] 混乱に怒りが加わって錯乱気味。あとウェイトレスが応える前に少し時間を置くためにここで独白させます。
[09] ウェイトレスはのんきさんっぽい。
[10] 冷静にクレーム。こういうとこで大人の対応をさせることでそれなりの年齢だということを示します。
[11] 時間つぶし。行を無駄に消費することで読者にも待ってもらいます。
[12] 時間つぶし続く。読者に次の展開を期待してもらいます。
[13] あり得ない発言。
[14] 状況描写と独白を混ぜるのが好きです。わかりづらいかもしれませんが。あと「笑い方」はとてもバリエーションがあるので、ちょっと間抜けですがわかりやすく「あははははは」としました。
[15] ちょっと感情的に反応。
[16] またあり得ない発言。会話は噛み合わせない方が面白くなるので、少しずれた反応をさせていきます。
[17] 速攻飲ませることでウェイトレスの「有無の言わせなさ」を強調します。
[18] 口紅に気を取らせることでエロい欲望が現れる前フリをします。
[19] ウェイトレス側はなんとも思ってないことを示します。主人公がウェイトレスの容姿に魅かれることと合わせることで、主導権をウェイトレス側に移します。
[20] コーヒーよりウェイトレスの容姿の方が重要になってきていることを独白で説明します。
[21] 不意にあり得ないセリフをぶん投げます。
[22] ウェイトレスの「言い間違え説」にそのまま反論するとつまらないので、一度主人公の意識をエロ方向に向かせることで違う反応を引き出させました。
[23] その違う反応。
[24] それをさらに暴投で返します。
[25] このへんは、読者が「こーひーとこうちゃは音が似ている」と意識してないと全く効果がないのでかなり賭け。
[26] 数年前はわてもエレベーターとエスカレーターを間違えてたんですが、最近間違えなくなりました。
[27] なのでこういうシーンは数年前の間違えてた自分を引っ張り出して書きます。
[28] こういう時のために、昔の自分を忘れないようにしましょう。
[29] こういう効果音気味の言葉は使いどころが難しいです。この行はない方がいいかも。
[30] 主人公、混乱から冷静さを取り戻します。こういうのがしやすいので独白混ぜるの好き。
[31] 冷静さを取り戻そうと丁寧に説明しようとします。
[32] ウェイトレス、一見不安をあおっているだけに見えますが……。
[33] 言葉を途中で切るのも好き。こういう時は「間違ってませ……」とか「間違ってませ――」って表現することが多いですが、わてはぶった切っちゃいます。
[34] 次の一手。
[35] シミュレーションとシュミレーションみたく、こっちの方が勘違いしやすいかなーと。
[36] 「エベレーター」と十回言えばもう違和感なくなります。
[37] 再確認中。
[38] 考え中。読者にもこの時間に考えてもらいたいです。
[39] やっぱり自分は正しいと確認する主人公。さっきもそうだったのでちょっと繰り返しコントっぽく。
[40] ウェイトレス舌打ち。実は計算ずく的なところを見せます。個人的には萌えポイント。目を逸らしてイラついた表情がイメージさせられると助かるところ。
[41] 舌打ちは、ここで大声ださせるためでもあります。そうしないとマスターに対する勘違いを引き出せないので。
[42] こういう間抜けな擬音をわざと入れることで「まったく違う空気」に切り替えます。
[43] 意外な侵入者。話が展開していくことを期待させます。
[44] 行末に「、」を入れることで、その次に何か言葉を継ごうとしていることを示します。
[45] そうすることで主人公に「追い出される」と勘違いさせます。もちろん読者も勘違いしてくれることを希望。
[46] 予想外の展開。ウェイトレスがいきなり変節して素直にコーヒー注文。
[47] 「へ?」が多いのは課題。「はい?」とか「???」とかもいいかも。
[48] マッチョなマスターがコーヒーを煎れるアンバランスさ萌え。この辺は読者がシティハンターとか読んでくれてると期待します。
[49] 何食わぬ顔でコーヒーを出すウェイトレス。
[50] そして告白。
[51] 謎解きの解決編。ちょっと説明口調すぎるかなー。
[52] あっけにとられて、混乱しつつ、一応怒ってはいるんだけど、コーヒーちゃんと出てきたし、余興としても悪くなかったかなと思ったり、ウェイトレスかわいいなと思ったり、と心が揺らいでる感じで。
[53] とどめ。
[54] [16]の伏線をここで生かします。ここで使うために[16]のくだりを入れることもありますが、今回は流れで先に[16]があったのでそれを使ってみました。
[55] 「今回は」の上にナカグロみっつ置きたい感じ。
[56] コントなら暗転して拍手。綺麗な終わり方よりこういうなんかひとつ加えて終わりたいので。
なんか解説の方が大変でした……。
【小説】
[1]「初雪だ・・・」
[2]ちらつき始めた雪を見て別に俺は雪なんか降らなくても困らないんだけどななどと意味のない事考えていた。
[3]何もすることもないフリーターの俺はちょうどファミレスがあったので入った。
[4]窓際の席に着くと鬱陶しい笑顔のウェイトレスに注文をした。
[5]「コーヒーひとつ。」
[6]これだけの注文に対していちいち注文内容を繰り返しいやな顔もしないのはさすがだ。
[7]しばらく文庫本を読んで待っているとウェイトレスがやってきた。
[8]「お待たせしました。紅茶になります。」
[9]忙しそうなウェイトレスが立ち去ろうとするのを呼び止めて言った。
[10]「俺が頼んだのコーヒーなんだけど」
[11]「申し訳ございません。すぐにお取り替えいたします」
[12]とすまなそうにウェイトレスが言うとすぐさま紅茶を下げてコーヒーを持ってやってきた。
[13]「申し訳ありませんでした。」
[14]と頭を下げてからコーヒーを俺の目の前に置いた。
[15]そこで、ふとウェイトレスの視線が俺から他の方向へ向いた。
[16]つられてその方向を見るとどうやら本降りになってきたようだ。
[17]視線を戻すとウェイトレスはにっこりと私の方を向いて言った。
[18]「初雪ですね。」
[19]「そうだね。」
[20]と思わずにっこりと答えてしまった。
[21]申し訳ありませんでしたともう一度いいウェイトレスは忙しそうに立ち去った。
[22]やられたなと思いながらコーヒーをすすった。
ネタを考えるのに集中しすぎてテクニックについて考えていないことに気がつきました・・・
【解説】いちおう
[1]やっぱり最初は台詞から
[2]独白は大事だよね。キャラ設定をここに込めました。
[3]状況説明。[2,3,4]はテンポが今ひとつ
[4]「うっとうしい」をあえて感じにすることでうっとうしさを倍増,窓際は複線
[5]台詞は短くしてキャラを強調。「コーヒー一つ」読みにくい
[6]台詞の後は独白を。建て前と本音みたいな
[7]状況説明、台詞、独白パターンが好き。
[9]基本的に簡単な漢字は漢字で
[10][11]台詞をつなげることでテンポを演出
[12]細かいやりとりはとばす。
[13]不必要に何度も謝る。
[14]「俺」と入れることで俺の視点が重視されていることを強調
[16]本降りで最初の設定を喚起
[17][20]にっこりで柔らかさ演出
初めてこういうの考えてみたけど作家ってすごいな。
というか例を見るともっと台本みたいな感じの方がいいのかな?
castiron様、いい回答ありがとうございます。
自分とはだいぶ異なる文体ですので、めっちゃ勉強になりました。
ときどき他の人の文体が気になったりするのですが、できた文章だけ読んでも、
作者が何を考えつつ書いているのかがわからないので、
また、大きな構想や哲学レベルの話ではなく、本当にしょっちゅう使う細かいテクを伺いたかったので、
今回の質問を立ててみました。
ありがとうございます。
【小説】全然上手じゃないですが。
[1]「まだ約束の1時まで30分もあるじゃないか。何やってんだよ俺」
[2] 緊張のせいかこの喫茶店の暖房が効き過ぎなのか、暑い。俺はジャケットを脱ぎ、喫茶店の椅子にどっかりと腰を下ろした。
[3] ――来て、くれるかな。
[4] 家を出てからここに来るまで、ずっと握り締めていた携帯電話は、手の汗でじっとりと濡れてしまっている。俺は送信メールボックスを開き、昨日彼女に送ったメールを開き、読み返した。
[5]
[6]『――君が好きだ。もしも返事がOKなら、明日の午後1時、大学横の喫茶店Aに来て欲しい。ずっと、待ってるから。』
[7]
[8] もう何度読み返したか判らない。送った文面は一言一句、もう全て覚えてしまった。ちゃんと彼女に届いたよな? 他にもっと何か上手い言い回しはなかったのか? ずっと、待ってるから。――なんて、ちょっと恥ずかしくないか、俺? 「なにこの男ばっかじゃないの」とか思われてたりして。いやいやいや、彼女はそんな女の子じゃないぞ、うん。
[9]「――ま。――もんは」
[10]「――はい?」
[11]「夜中に書いたラブレターは朝起きて読み返すと破り捨てたくなる法則」にどっぷりと嵌って頭を抱えていた俺は、声に気付いて顔を上げた。ウェイトレスの女の子(かわいい)が、困ったような笑顔でこちらを見ている。
[12]「お客様。ご注文は」
[13]「ああ、じゃあコーヒーを一つ」
[14]「かしこまりました。少々お待ち下さい」
[15] ウェイトレスの女の子(かわいい)はお辞儀をして去って行った。
[16] もっと彼女と仲良くなってから告白した方が良かったかなあ。でもぐずぐずしてて彼女が他の男と付き合い出したら悔しいし。法学部のあいつ、絶対あいつも彼女のこと狙ってるよ。何だよちょっと顔が良いからって――
[17]「お待たせ致しました」
[18]「ああどうも」
[19] もし彼女が来てくれたら、どうしよう。もう春休みだしな。取り敢えずデートして。映画なんか良いかなあ。恋愛モノとか二人で見て、おしゃれな所で食事して、バーかなんかでちょっと酒飲んで、公園のベンチに座って話をして、彼女を送って行って――
[20] ――虚しくなった。
[21] 時計を見ると、1時10分前。妄想なんかしてる場合じゃない。落ち着け。やれるだけのことはやった。待つんだ。閉店まで待ってやる。
[22] 暴走気味の頭を落ち着かせるため、俺は目の前のコーヒーのカップに手を伸ばした。
[23] 目覚ましの苦い味を期待して、一口、ごくりと飲む。
[24]「ぶっは!」
[25] 吹いた。盛大に吹いた。
[26] 苦味を期待していた味蕾は、見事に裏切られた。俺の味覚を刺激したのはコーヒーの苦味ではなく、紅茶のまろやかな渋味だった。
[27]「ちょっとちょっとちょっとちょっと、ウェイトレスさん」
[28]「はい、何でしょうか」
[29] さっきのウェイトレスの女の子(どじっこ)がぱたぱたとやって来る。
[30]「これ、紅茶じゃないですか。俺頼んだのコーヒーなんですけど」
[31]「も、申し訳ございません。直ぐにお取替えいたします!」
[32]「お願いしますよ、もう」
[33] ウェイトレスの女の子(どじっこ)はカップを持ち、慌てて去って行った。
[34] 今日のために昨日わざわざアイロンまで掛けた白いシャツに、派手に紅茶の染みが出来ている。爽やかさを演出しようと白いシャツを選んだのが、裏目に出た。
[35]「ああもう。どうしてくれんだよ、これ」
[36] 何とか染みを落とせないかとお絞りを手に悪戦苦闘していると、
[37]「何やってるのよ、もう」
[38] くすくすと笑い声が聞こえた。
[39]「え――」
[40] 顔を上げると、彼女が、俺の大好きな笑顔で笑っていた。
【解説】話を膨らませるために、別のストーリーを加えました。質問者様の意図に反する行為でしたら申し訳ないです。
[1]読者にこれより前のストーリーと今後の展開を想像してもらうため、会話文から話を始めることが多いです。「」の文章は最後の。を省きます。縦書きの場合は漢数字を使いますが、横書きなのでアラビア数字です。
[2]横書きの場合でも、小説の場合は地の文の頭を1字下げます。ブログなどでは下げませんが。主人公の心情描写及びラストへの伏線でジャケットを脱がせました。主人公の心情描写を書きやすくするため、読者と主人公の距離を短くするために文章は一人称にしました。改行はあまりしません。
[3]心の中のセリフを強調して書くときは――を入れます。
[4]読者にこれまでの状況を説明します。複合動詞なども漢字に閉じるようにしています。平仮名にしだすと漢字・平仮名の使い分けが曖昧になって表記ブレが起こりやすくなるので。
[5][6]が引用文なので、前後に空白を入れます。[7]もです。
[6]引用文なのでセリフと区別して『』。前にも文があることを表すために――を入れました。原文ママなので最後の。も省略しません。
[8]ここから主人公の思考の暴走が始まります。ちょっとコミカルにしてみました。?の後は一字アキを入れます。
[9]主人公が聞き取れなかったことを――で表現しています。個人的にこだわりがあって……は使いません。
[10]主人公が考え事をしていたので――を入れました。
[11]大分コミカルになってきました。
[12][13][14]発言者が明らかなので、誰の発言かは書きません。
[15]二度目の(かわいい)で主人公の女好きを強調したつもりです。
[16]主人公の暴走が続きます。思考が中断されたので最後は――になっています。
[17][18]主人公が思考に没頭しているので、前後の行動や発言者は書かず、会話文だけ書きました。
[19]主人公の思考に戻ります。ここも途中で中断されるの――で終わらせました。
[20][3]と同じく――を入れます。コーヒー(紅茶)を飲む行動に移るために、ここで思考を切り替えます。
[21]思考がコーヒー(紅茶)を飲む方向に進みました。
[22]主人公の自分の行動を客観的に書きます。主人公の心のセリフを書いた[21]と区別するため改行しました。
[23][24]を強調するため、もったいぶります。
[24]吹いちゃいました。
[25]強調しました。たくさん吹いたんでしょう。
[26]「コーヒーでなく紅茶だった」と書くだけでは味気ないので、表現を工夫したつもりです。
[27]慌てているので「ちょっと」が多いです。
[28]続けて発音したことを表現するため。でなく、にしました。
[29]ひどい仕打ちをされたので(どじっこ)になりました。「ぱたぱた」でウェイトレスのかわいらしさを演出します。
[30]店員さんにあまり傲慢な態度で接するのはよろしくないので、!は入れません。
[31]慌てているのでちょっとどもっています。
[32]不満そうです。あまり尊大な態度に取られたくないのでここも!は入れません。
[33]ラストで主人公と彼女を二人きりにするため、ウェイトレスを退場させました。
[34]主人公の意気込み、状況説明。
[35][34]から[36]へ文章が繋がるのが何か変なので、セリフを挟みました。
[36]行動の途中で声を掛けられたので、で終わっています。
[37]誰が声を掛けたのか、判りやすくするために親しげな女性言葉にしました。
[38][40]に繋げるための文章です。
[39]驚いて途中で言葉が止まったのを――で表現しています。
[40]オチです。
自分の書いた文章を説明する、って難しいですね。拙くて申し訳ないです。長過ぎですね…。
strains-e様、ありがとうございます。
「いきなり会話から」「情景描写を上手く使う」は、
どちらもcastiron様とも共通のテクで、しかも自分はめったに使わないので、
とても参考になりました。
> [23][24]を強調するため、もったいぶります。
> [24]吹いちゃいました。
あたりも、すごく勉強になりました。ふだん文章で「タメ」をつくることがないもので。
いい文章だと思いますし、実に勉強になります。
[1]ぴくり、と。
[2]相馬は傾けていたカップの動きを止めた。
[3]「……?」
[4]口の中に広がる芳香は直ぐに敏感な相馬の鼻腔をくすぐり、いささかも渋みのない清流は喉を潤す。
[5]単に味を見れば、それは申し分ないものだった。メニューに目を通すとそこには「コーヒー」や「紅茶」という飾り気のない単語ではなく「コナ」や「ヌワラエリアBOP」となじみのない名称が記されている。
[6]そして、相馬が感じた違和の正体を把握するのにさらに少し、その間ずっと手は止まったままだ。
[7]不審そうに思ったのか、ウェイトレスがこちらへ近づいてきた。閉店間際の中途半端な時間だからお客は自分ひとりしかいない。
[8]「お客様、どうかなさいましたか」
[9]あるいは「このお客閉店時間もうすぐなのにまだ注文するの?」などと考えているのかもしれないがこちらとしてもそれなりに事情があるのだから仕方がない。
[10]「いや……」
[11]言いかけて、相馬はカップの中身に視線をやった。続けて、メニューを再確認する。あの時は目をろくに通していなかった。だから間違えたのかもしれないが、いささかこれはひどい間違いだろう。
[12]「頼んだのは、コーヒーだったんだけれど……」
[13]カップには、薄赤い透き通った液体が注がれていた。
[14]「えっ……あっ、すいません。すぐにお取替えします」
[15]深々と頭を下げて、ウェイトレスは厨房のほうへとかけていった。
[16]「あ、ちょっと……」
[17]まって、といおうとしたがそのときすでに彼女は私の言葉など聴いていない。
[18]目の前には、まだ温かい紅茶が一杯残されていた。
〈解説〉
[1]今回は、音からはじめます。この短文の主題にあわせてです。
[3]こういう表現が好きなので違和感をあらわすのに使います。文中では「違和」になっていますが、それは事実なのかそれともたんなる思い違いなのか分からない状態で区別しています
[4]ここだけ見るとコーヒーか紅茶かわからないようにしています。しかし[5]で見る人が見ればすぐにわかるように対比してあります。
[6]時間の経過、動作など。
[7]普通なら気づかないでしょうから、店内の設定も少し説明。
[9][11]ともに説明口調です。誰に向かっていっていると突っ込まれるかもしれませんが
[13]読み返してみると、われながら婉曲的だなあ……
[15]即興でつくったからか、この子も結構ドジです
[18]オチです。「」内以外であまり紅茶という単語を使わないようにしてみました
以上です。自分の文章を添削すると以外に労力がかかりますね
guffignited様、力作ありがとうございました。
たかだか数分程度のシーンでも、人によってここまで大きく描写の仕方が異なるというのは、たいへん面白いです。
guffignited様の喫茶店は、物静かで透明な感じのイメージです。いいですね。
【珈琲の香り】
[1]その喫茶店は十年前と全く変わりがなかった。
[2]大学のゼミの同窓会を開きます、と仕事や雑事に紛れてそんなメールが届いたのは、今から一月ほど前のことだ。
[3]幹事は去年卒業したばかりの元学生らしく、丁寧な口調に初々しさが見え隠れしていて、正直卒業して十年経つ自分が顔を出すのは気が引けるような気がした。
[4]生物専攻の金城ゼミは毎年二三人しか講座をとらないので、昔の卒ゼミ生をかき集めても実際に集まるのは数十人だろうが、卒業以来一度も顔を出していないだけにもっと行き辛い。
[5]だが、久しぶりに旧友に会える機会を逃すのももったいない気がして、苦肉の策として最近は少し疎遠だったが、唯一いまだに連絡を取り合っている友人にメールを出すことにした。
[6]『じゃあ、【あんぶる】で待ち合わせしようか』
[7]友人の返信に一瞬戸惑ったが、まるでキーワードで封印されていたかのように、瞬く間に脳裏に「あんぶる」の記憶が蘇ってきた。
[8]喫茶「あんぶる」は文字通り学生の溜まり場で、暇があれば一杯のコーヒーで何時間もねばっていたものだった。
[9]まだやっていたのか。
[10]驚きつつも、まだ学生時代のかけらが残されているような気がして、
[11]以来待ち合わせの目的は、既に友人に会うことよりも「あんぶる」に行くこと自体にすりかわっていた。
[12]そして今店の前にたっている。
[13]カラカラと鳴るドアベルと、軽くきしむ木の音も変わらない。
[14]そのまま顔を上げればカウンターがあって、コーヒーの香りと少しだけの木の香り。
[15]ふらふらといつかの定位置…カウンターの一番奥…に座ると、ちらりとカウンターの奥を覗いた。
[16]マスターの髪には白いものが目立つようになっていた。
[17]「いらっしゃい」
[18]だが無愛想な声とまなざしは変わっていない。
[19]ただ、その様子からすると、俺がかつての「俺」だということには気づいていないようだった。
[20]おそるおそるホットレモンティーをオーダーすると、マスターは無言で頷いて厨房に向き直ってしまった。
[21]人心地つくと、無意識に店の壁時計を確認していた。
[22]待ち合わせの時間までは後十数分。だがあいつのことだから五分、十分は待たされるだろう。
[23]マスターが自分で作りつけた本棚には、手塚治虫があればクッキングパパがおいてあるという愉快さで、
[24]何人もの学生が手に取っただろうはずなのに、マンガ本は十年前と変わっていないようにみえた。
[25]懐かしくなって「火の鳥」を手に取り、パラパラとめくっていると、カウンターの上にカップが置かれる音がして顔を上げた。
[26]それは香りからしてコーヒーだった。
[27]「あ、あの…すいません、頼んだの紅茶…なんですけど」
[28]そうカウンターの向こうに声をかけると、低い声が返ってきた。
[29]「もうコーヒーは飲まないのか?」
[30]俺は一瞬何を言われたのかわからなくて唖然としていたが、しばらくしていきなり得心がいった。
[31]驚きと戸惑いで口の端がうまく動かない。
[32]ひどく恥ずかしい思いがして、うつむきながら弁解した。
[33]「え、あ…ちょっと前に胃壊しちゃってそれ以来だめ…なんですよ、コーヒー…」
[34]そこまで言ってようやく顔をあげると、その先にあった表情に言葉をなくした。
[35]「そうか、悪かったな」
[36]するとすぐカチャンと茶器が音を立ててもう一揃いが俺の前に置かれた。
[37]微かにベルガモットの香りが漂って、コーヒーの香りが薄れていく。
[38]そしてマスターがコーヒーをさげようと手を伸ばしたとき、ようやく俺は声を出すことが出来た。
[39]「…すいません…」
[40]マスターは笑っていたのだろうか。
[41]うつむいたままの俺にはわからなかった。
[42]ただわかったのは、軽くポンと肩を叩かれた感触とコーヒーが去っていく感覚だけだ。
[43]それでも…それだけで十分だった。
[44]俺はこみ上げてくるものが落ち着ついてくると、香りも薄れてしまったた紅茶を一口すすった。
[45]少しだけ苦味が口内に広がる。
[46]今度来る時はコーヒーを頼もう。
[47]俺がそう心に決めるとドアベルが鳴った。
[48]2007/02/26 rikuzai
以下注釈(?)
[1]短文の時は最初の一文で大体の雰囲気が伝わる文書を選ぶことが多いです。
[2]~[5]簡単に主人公の状況説明。長編だとここを丁寧に書きますが、短編だとどれだけ簡潔に書いてイメージしてもらえるかが勝負かなと。
[6]最初のキーワード。とりあえず強調。
[7]~[11]主人公の喫茶店への思いと立ち位置を提示。
[12]場面展開のため文章独立
[13][14]現在の喫茶店と主人公の記憶の同調
[15]一番変わらないで欲しいと主人公が無意識に願っていることを暗喩
[16]~[20]主人公の大きめな期待と小さな失望
[21]~[25]主人公と喫茶店の関係を強化
[26]視覚より嗅覚からいってみました
[27]三点リーダーなどで主人公の戸惑いを表現
[28][29]この話の肝部分への導入を少し謎かけ風にしてみる
[30]~[32]ここで「いつもコーヒーを頼んでいたからコーヒーを淹れてくれたのだ」なんてヤボなことは書かず、読者にも主人公と同じ戸惑いを感じていただきたいので、こんな表現
[33]~[36]マスターは実はわかっていてコーヒーを出したことを少しだけ示唆
[37]~[43]主人公にとって一番変わっていて欲しくなかったものがちゃんと変わらずそこにあり、逆に自分が変わってしまっていることにショックを受け、それでもマスターは変わった自分も受け入れてくれているのだとわかり安堵する…というこの話の肝(ちゃんと書けているかは別としてそういう意図)
[44]主人公を落ち着かせることで締めへ導入
[45][46]主人公の今の心情を暗喩
[47]いわゆる締めの一文。おさまりがいい文章が決まらなくてなかなか完成しない話があるなんてことは別の話ですが。
[48]どうでもいいことですが、自分でいつ何を書いたかわからなくなるので、できるだけ日付を入れます。
「小説」といわれるとやはり物語性があって欲しいな、
読んだ後に何かちょっとでも残るものがあるといいな、と思って書くので、
お題があっても、そのお題をいかに意外性をもってストーリー仕立てにするかに腐心してます。
そこらへんが「解説文」と「小説」の違いかなぁとうっすら思いながら書いてみました。
楽しんでもらえると嬉しいです。
やったー、はてな界随一の小説家、rikuzai様だ!!
以前の傑作、忘れちゃいませんぜ。
http://q.hatena.ne.jp/1168441647#a663164
今回もまた「金城ゼミ」とか「あんぶる」とか、
どこから出てきたのだ、と思わせるような固有名詞で、
すぱっと人生の一断面を切り取っていただきました。
ラストのオチは、う、やられたと思いました。
なんかたった8行の実例を6倍にもふくらましていただき、ありがとうございます。
[26]とか[42]とか、超うまいと思いました。
もし本職の小説家でしたら、ここで白状してください。
僕の観察では、概して腐女子の方は、
ギャグセンスと小説書きの能力が平均しても非常に高く、
また、さらに飛び抜けた方がチラホラいる、という感じがします。理由はよくわからない!
いちど「はてな」で聞いてみたいくらいです。
[1]どうぞ、と言ってウェイトレスがテーブルに置いたのは、紅茶だった。
[2]これは何だ、という俺の目つきに、ウェイトレスは答えた:
[3]「こちらはサービスです。」
[4]
[5]…しばらく、何もない時間が過ぎた…
[6]
[7]我に返った俺は、テーブルの傍に立ちつくして俺の返事を待っているウェイトレスに、声をかけた。
[8]「…サービスと言われても…俺はコーヒーが”どーしても”飲みたいんだよ!」
[9]「ですから、最初に申し上げました通り、ただいま切らしておりまして…」
[10]
[11]そうだ、最初からわかっていた事だ。
[12]ここは水出しコーヒー専門店。
[13]一晩かけて落とすその味は最高なのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[1]
・話された言葉を地の文にする。
・誰が言ったのかを後に置く。
・読者の注意を引き付けたい言葉を最後に置く。
[2]
・最初の言葉は、前の行の類推から、話された言葉かのように見えるように、地の文に置く。
・しかし、実はただの目つき、という意外性。
・次の行へ読者を自然に誘導するため、何と答えたのかは次の行に。
[3]
・読者に期待させる一言(の、つもり。期待してなかったらごめんなさい)。
[4]
・次の行と組み合わせて、「何も無い」「時間」を表現。
[5]
・だけど意味のない一文。読者を混乱させる計画(でも、失敗?)。
[6]
・[4]参照。
[7]
・たたみかけるように単語をならべて、読者を一気に会話へ誘導。
[8]
・二重引用符で、オチへの伏線を明確化。
[9]
・読者に対して、何が起こったんだ、という不安と期待を与えたつもり。
[10]
・読者を会話のテンポから切り離すための空行。…きっと。
[11]
・読者に「なんで?」と思わせる一文。
・以下、一行に詰め込まないでわざと一文ずつに。
[12]
・種明かし。
[13]
・オチ。
kuro-yo様、ありがとうございます。
会話文を地に埋める、というのは、自分はめったにやらないのですが、
読んでみるとすごく効果的ですね。
[2]のトリックも、ちょっとしてやられた、という感じがしました。上手いと思います。
ラストのオチも、きれいにまとまっていました。感謝です。
[1]「失礼致しま…す…」
[2]水を飲みかけていた私は、むせそうになった。
[3]ウエイトレスは銀の盆から、テーブルにカップを移した。
[4]「お待たせしました」
[5]「あ、いや、えーと…僕が頼んだのは…」
[6]「コーヒー、でしたね」
[7]喋り終わらないうちに、ウエイトレスはそう言って微笑んだ。
[8]「そうだよ、コーヒーだよ」
[9]僕もなんとなく微笑み返した。
[10]「申し訳ありませんでした、ただいま入れ替えてお持ちします」
[11]そしてカップをもう一度銀の盆に乗せ、ウェイトレスは去っていく。
[12]うしろ姿を目で追いながら、僕は思った。
[13](紅茶…か…)
[14]さて、紅茶とあれば、急いで予約をしておかなければ。
[15]アバンチュールの合図としてはいささか古風ではあるが、だからこそこれまで誰にも知られずにいられたのかもしれないな。
小説めいたものを書くことは好きですが、下手の横好き程度で…スミマセン。
■解説■
[1]台詞のリズムをなんとなく崩しています。
[2]なんでリズムが崩れたかというと、登場のタイミングが悪かったからということです。
[3]銀の盆、いまどきの喫茶店じゃないかも、です。
[4]テーブルに置いてから、お待たせしました…というタイミングのずれ。
たぶん、お待たせしました、と言ってから置くのが通常パターンでしょう。
[5]ちょっと慌てたような…でも怒ってはいないですね?
[6]アレ?なんか判っててやったの?という台詞です
[7]なんか怪しいです。
[8]なんかやっぱり怪しいです。
[9]なんかやっぱりますます怪しいです。
[10]怪しいのに、普通の台詞です。
[11]そして普通に去っていくウエイトレスです。
[12]怪しいのはこっちの男か?と思ってほしいものです。
[13]そして男の心の声。
[14]あ、やっぱりやっぱり怪しかったんじゃーん!と判る。ニヤニヤ。
[15]で、オチです。
…古臭かったかしら…(汗)
emmet様、ありがとうございます。
古くて新しい萌えですね。
ホラーへの回答もありがとうございます。期待しております。
(じつはこの「小説の書き方」の質問が、それなりに関係あったりします)
【1】コーヒーを頼んだらコーラが出てきた。
【2】海外で、飛行機の中で、英語圏の友達の家で。
【3】僕はいつもジャパニーズイングリッシュ。
【4】そして、他人の間違いを訂正することができない小心者。
【5】相手の間違いを指摘するのは難しい。
【6】他人から煩わしく思われたくないから、僕は、たとえ自分が客であっても相手の間違いを指摘できない。
【7】それでも、たまには思ったことを口にしたい。
【8】いつも思ったことが口に出せないけど、日ごろ人と話さないから話し方も声もうわずった感じになるけど、勇気を出して伝えたいんだ。
【9】お金を払ってる客だから、というのではなく。
【10】相手の間違いを嫌味なくやんわり伝えることができるコミュニケーション力向上のために。
【11】ちょうど今、ウェイトレスがさきほど頼んだコーヒーと紅茶を間違えて持ってきた。
【12】「すいませんコーヒーをたのんだのですが」
【13】そんな小さな震えた一言も、僕にとっては大きな一歩。
起
【1】読者に自分の文章を読み飛ばされないよう、突発的な出だしで始めるのが好き。
英語圏で、コーヒーをカフィーと発音しなくてはコーラを持ってこられるというエピソードを引用。
【2】言葉のテンポをよくしたいので単語を羅列。(よくないかもしれないですが。。。稚拙ですいません。)
【3】~【4】体言止めは歯切れが良くなるのでしばし利用。
承
【5】~【6】本題。主人公のキャラクターと弱い内面性をアピール。
転
【7】~【10】弱気な主人公に芽生えたポジティブな気持ちを書いてみた。
結
【11】~【12】lionfan さんからのお題を最後にもってきて、オチとからめる。
【13】私が言いたかったことを1番最後にもってきた。内向的な人たちに明日はある。
最後まで読んでくださってありがとうございましたm__m
donnguri66様、ありがとうございます。
「起承転結」に整理していただいたのは、
教科書として読んでいる当方としては、たいへんありがたいです。
いきなり「コーラ」で責めてきたのにはびっくりしました。
あと、短い文章1つにも「テーマ」が必要なんだなあと、
みなさまの文章を読んで思った次第です。
なんかやたら長くなってしまいました……。
【ウェイトレスのおいしい喫茶店】
[01] がらんとした店内。
[02] 「お待たせいたしましたー」
[03] 俺は小説の残りを読みたくて、客のいなかったこの喫茶店「キュイエール」に入り、コーヒーを注文していた。このすき具合なら数時間いても文句は言われないだろうし、もしかしたら近所では評判のとてもまずい店なのかもしれないが、コーヒーならどんなにまずくてもたかが知れているだろう。
[04] いつの間にか置かれていたそのコーヒーを口元へと近づける。見たところカウンターの向こうにはマスターらしき人影はなく、コーヒーは運んできたウェイトレスが煎れたようだった。さて、この紅茶はどのくらいまずいかな?
[05] ……紅茶?
[06] そう、この匂いは紅茶だ。紛れもなく紅茶だ。一応確認のためにすすってみる。やっぱり紅茶だ。
[07] 「店員さん!」
[08] いやちょっとマテ。確かにどれだけまずいか期待していた自分がいた。それは認めよう。でもそれがコーヒーじゃなく紅茶だってのはあまりにも変化球すぎる。
[09] 「はい、なんでしょう」
[10] 「あのコーヒー頼んだんですけど、これ紅茶なんですけど」
[11] 「…………」
[12] 沈黙のあと。
[13] 「まっさかー!」
[14] あはははははと笑い出すウェイトレス。いやその反応はなくね?
[15] 「本当ですって!」
[16] 「じゃあ確認させて頂きますね」
[17] と、ウェイトレスは俺の前に置いてあったティーカップを手に取り、飲んだ。
[18] それ俺が口つけたの、と言おうとした時にはすでにティーカップを元の場所に置いていた。あ、口紅がかすかに残ってる……。
[19] 「あら、確かに紅茶ですねぇ」
[20] ウェイトレスはうんうんとうなずく。よく見れば結構かわいい方で、しかも胸が大きく、制服がその大きさをより強調していた。コーヒーを置く時に前屈みになると、胸の谷間に吸い込まれそうになる。
[21] 「ということはきっと、間違えて注文しちゃったんですよ、コーヒーと紅茶」
[22] その胸の大きさに、俺は聞き間違えてしまった。
[23] 「すみません、なんだか今、僕が言い間違えたみたいに聞こえたんですけど」
[24] 「だってほら、エレベーターとエスカレーターって、間違えません?」
[25] 「へ?」
[26] エレベーターとエスカレーター。
[27] 「ほら、時々わからなくなるじゃないですか。あれ、これってエスカレーターかなー、エレベーターかなーって。紅茶とコーヒーもそんな感じに間違えたとか」
[28] 「い、いや、そんなことあるわけがないって。斜めに上がるのがえ、エスカレーター」
[29] 「プッ」
[30] ウェイトレスは吹きだして笑いを堪える。え? もしかして俺間違えた? え? え? え? あれ? 箱形のがエレベーターで、階段で斜めに行くのが――――エスカレーターだ。
[31] 「やっぱり間違えてませんよ。そのまま上に上がるのがエレベーターで」
[32] 「エレベーター? 本当にエレベーターでしたっけ?」
[33] 「そうですよ、今度は間違ってませ」
[34] 「エベレーターじゃないですか?」
[35] 「へ?」
[36] え……エベレーター? エベレーター??
[37] 「えっと、斜めに上がるのがエスカレーターで、上に上がるのが……え、え……」
[38] ……………………。
[39] 「いや、やっぱりエレベーターじゃね?」
[40] 「ちっ」
[41] 「あ、あんたなぁっ!!」
[42] からんころん。
[43] 俺が大声を出したと同時に、男が店に入ってくる。サングラスを掛けた、腕っ節の強そうな男だった。
[44] 「あ、マスター、」
[45] あれがマスター……!! もしかしてこの女、俺のことクレーマーとか言って追い出させる気じゃ――。
[46] 「オーダー入りまーす、コーヒーひとつお願いしまーす」
[47] 「へ?」
[48] マスターはうなずき、エプロンを付けると手慣れた手つきでコーヒーを煎れた。
[49] 「お待たせいたしましたー」
[50] ウェイトレスはコーヒーを置き、何食わぬ顔でささやき掛けた。
[51] 「私、コーヒー煎れられないんです。お待ち頂いていた間の余興、いかがでした?」
[52] よきょうー!? いや、まぁ時間はつぶせたかもしれないけどただ単にからかわれてただけっていうかそのくらいで俺の気は済まないっていうか!
[53] 「あ、こちらはサービスです♪」
[54] と、口紅の付いた冷めた紅茶を指した。
[55] ……ま、今回は多めに見てやるか、そう思いながら俺はコーヒーを飲んだ。
[56] 「って、まずっ!!」
【解説】
[01] まずは「他に誰もいない」ということを示します。
[02] [01]と[03]の間にワンクッション置きたいのでここでセリフを入れます。
[03] 状況説明します。あとコーヒーに対するこだわりのなさを示します。一人称なのは、三人称だと名前考えたりして面倒なので。
[04] 「いつのまにか」で意識が小説に集中していたことを示します。コーヒーを頼むシーンを入れないことと合わせて、「主人公は本当にコーヒーを頼んだのか」と読者に疑わせます。
[05] [04]の最後と合わせて、主人公が錯覚のように戸惑っていることを表現します。
[06] 主人公は小説に意識を集中していたので、少し混乱してます。
[07] 人間は口と思考は別になっているので、先に叫ばせてしまいます。
[08] 混乱に怒りが加わって錯乱気味。あとウェイトレスが応える前に少し時間を置くためにここで独白させます。
[09] ウェイトレスはのんきさんっぽい。
[10] 冷静にクレーム。こういうとこで大人の対応をさせることでそれなりの年齢だということを示します。
[11] 時間つぶし。行を無駄に消費することで読者にも待ってもらいます。
[12] 時間つぶし続く。読者に次の展開を期待してもらいます。
[13] あり得ない発言。
[14] 状況描写と独白を混ぜるのが好きです。わかりづらいかもしれませんが。あと「笑い方」はとてもバリエーションがあるので、ちょっと間抜けですがわかりやすく「あははははは」としました。
[15] ちょっと感情的に反応。
[16] またあり得ない発言。会話は噛み合わせない方が面白くなるので、少しずれた反応をさせていきます。
[17] 速攻飲ませることでウェイトレスの「有無の言わせなさ」を強調します。
[18] 口紅に気を取らせることでエロい欲望が現れる前フリをします。
[19] ウェイトレス側はなんとも思ってないことを示します。主人公がウェイトレスの容姿に魅かれることと合わせることで、主導権をウェイトレス側に移します。
[20] コーヒーよりウェイトレスの容姿の方が重要になってきていることを独白で説明します。
[21] 不意にあり得ないセリフをぶん投げます。
[22] ウェイトレスの「言い間違え説」にそのまま反論するとつまらないので、一度主人公の意識をエロ方向に向かせることで違う反応を引き出させました。
[23] その違う反応。
[24] それをさらに暴投で返します。
[25] このへんは、読者が「こーひーとこうちゃは音が似ている」と意識してないと全く効果がないのでかなり賭け。
[26] 数年前はわてもエレベーターとエスカレーターを間違えてたんですが、最近間違えなくなりました。
[27] なのでこういうシーンは数年前の間違えてた自分を引っ張り出して書きます。
[28] こういう時のために、昔の自分を忘れないようにしましょう。
[29] こういう効果音気味の言葉は使いどころが難しいです。この行はない方がいいかも。
[30] 主人公、混乱から冷静さを取り戻します。こういうのがしやすいので独白混ぜるの好き。
[31] 冷静さを取り戻そうと丁寧に説明しようとします。
[32] ウェイトレス、一見不安をあおっているだけに見えますが……。
[33] 言葉を途中で切るのも好き。こういう時は「間違ってませ……」とか「間違ってませ――」って表現することが多いですが、わてはぶった切っちゃいます。
[34] 次の一手。
[35] シミュレーションとシュミレーションみたく、こっちの方が勘違いしやすいかなーと。
[36] 「エベレーター」と十回言えばもう違和感なくなります。
[37] 再確認中。
[38] 考え中。読者にもこの時間に考えてもらいたいです。
[39] やっぱり自分は正しいと確認する主人公。さっきもそうだったのでちょっと繰り返しコントっぽく。
[40] ウェイトレス舌打ち。実は計算ずく的なところを見せます。個人的には萌えポイント。目を逸らしてイラついた表情がイメージさせられると助かるところ。
[41] 舌打ちは、ここで大声ださせるためでもあります。そうしないとマスターに対する勘違いを引き出せないので。
[42] こういう間抜けな擬音をわざと入れることで「まったく違う空気」に切り替えます。
[43] 意外な侵入者。話が展開していくことを期待させます。
[44] 行末に「、」を入れることで、その次に何か言葉を継ごうとしていることを示します。
[45] そうすることで主人公に「追い出される」と勘違いさせます。もちろん読者も勘違いしてくれることを希望。
[46] 予想外の展開。ウェイトレスがいきなり変節して素直にコーヒー注文。
[47] 「へ?」が多いのは課題。「はい?」とか「???」とかもいいかも。
[48] マッチョなマスターがコーヒーを煎れるアンバランスさ萌え。この辺は読者がシティハンターとか読んでくれてると期待します。
[49] 何食わぬ顔でコーヒーを出すウェイトレス。
[50] そして告白。
[51] 謎解きの解決編。ちょっと説明口調すぎるかなー。
[52] あっけにとられて、混乱しつつ、一応怒ってはいるんだけど、コーヒーちゃんと出てきたし、余興としても悪くなかったかなと思ったり、ウェイトレスかわいいなと思ったり、と心が揺らいでる感じで。
[53] とどめ。
[54] [16]の伏線をここで生かします。ここで使うために[16]のくだりを入れることもありますが、今回は流れで先に[16]があったのでそれを使ってみました。
[55] 「今回は」の上にナカグロみっつ置きたい感じ。
[56] コントなら暗転して拍手。綺麗な終わり方よりこういうなんかひとつ加えて終わりたいので。
なんか解説の方が大変でした……。
kab_studio様、上手い!!
まったく長さを感じず、最後まで読んでしまいました。
ウェイトレスの萌えぶりも鮮やかに描写されていると思います。
まるで主人公のように翻弄されっぱなしでした。
こういう文章こそ、ぜひ1行ずつの解説が必要なのです。
うまい文章を読んでも、僕には「上手い」としか思えず、
そのうまさがどこから生ずるものなのかがわからないのです。
テクニックは本人から解説していただくと、いちばんわかりやすいので。
解説、大変だったとお察しいたしますが、
その努力分以上の勉強を、かならずさせていただきます。
[0]いいかい。僕が何を頼んだとしても、コーヒーを持ってくるんだ。君は、コーヒーを持ってくるんだ。・・・・・・。・・・・・。・・・・。・・・。
[1]
[2]「困ったな」と僕は思う。
[3]少し距離が遠かったのだろうか。それとも調子が悪いのだろうか。どうやら、僕の『声』は聞こえにくかったみたいだ。
[4]「ねえ。君、ちょっと」
[5]僕はこんどこそ『声』が『届く』距離にウエイトレスを呼ぶ。
[6]「これさ。紅茶だよね。僕が欲しいのはコーヒーなんだ。そう頼んだはずなんだ」
[7]「えっと、先ほどは確かに紅茶を頼まれたはずですが…」彼女はいぶかしげに僕を見た。
[8]やれやれ。どうやら、今日は本当に調子が悪いらしい。僕は、意識を集中させて、今度こそ『届く』ように、言った。
[9]「コーヒーを、持ってくるんだ。いいね?」
[10]ウエイトレスは、今度は完全に沈黙し、キッチンへと引き返した。そして、すぐにコーヒーが運ばれてくる。これで一安心だ。もう、集中する必要もない。
[11]さて、本当の注文を――。ウエイトレスがコーヒーを置いた瞬間、誰にも悟られないように、僕はささやいた。『声』を『届けた』。
[12]
[13]「店長を、殺せ」
[14]
[15]再び、完全に沈黙して、完全に僕の『声』の支配下におかれて、彼女はキッチンに引き返す――。
[17]しばらくして、悲鳴。
[18]任務、完了。
<1>前半
[0]~[9]伏線。太字と『』の単語と文章に違和感をたくさん持たせました。この時点でも、分かる人にはオチが分かるくらいあからさまなほうがいい気がします。
[0]変な始まり。あからさまな伏線です。あからさますぎると逆にツカミに使えると思いました。
[1][0]の終わりの・・・の連続とこの空白で時間差を表現してみました。
[2]どうして困ってるんだろう?というさらにツカミ。
[3]困っている理由。ウエイトレスとコミュニケーションができていない、という風に読者さんに勘違いしていただければ幸いでした。
[4]分かりやすく、ありきたりな表現でウエイトレスを呼んでみました。あくまでも普通の日常の風景を描いているようにみせたかったからです。
[5]これもありきたりに、紅茶とコーヒーの交換を頼んでいる文章。しかし、[2]と同じく『』に入った単語が出現。なんかあるんだな、という匂いをさせておきました。
[6]太字=『届けようとしている声』として表現。
[7]困惑するウエイトレス。たぶん、本当に主人公は紅茶を頼んだのでしょう。
[8]しつこく「調子の悪さ」をアピール。何の調子が悪いのでしょうか。曖昧ないい方です。読者さんには、色々な意味にとってもらいたかったです。
[9]太字=『届けようとしている声』として表現。
[10]やっと『声』が『届いた』場面です。やっと納得して交換してくれた、と勘違いして欲しい場面です。ただ、どうしてウエイトレスは黙ったのかな?と読者さんはひっかかりを感じて欲しかったです。
<2>後半
[11]~[18]ネタばらし。私のは下手ですけれど、短く、簡潔にどんでんがキレイにくるっとひっくり返ると素敵だと思います。
[11]本当の注文とは一体なんでしょうか?ちょっと集中して文章を読んでもらいたいところなので、勿体ぶって、しかし簡潔にしたかった場面です。
[13]ここでどんでん返し。[12][14]は、これを引き立てるための空白です。うまくいったでしょうか。
[15]駄目押しのネタばらし。[10]の<完全に沈黙した>理由を説明。こういうのが好きじゃない人、慣れていない人はこれを読んでも分からないかな、くらいのばらしかたが最適だと考えています。それ以上は冗長になるからです。難しいです。私はうまくできません。
[17]キッチン内部での惨状を想像してもらいたい文章です。テンポよく終わりたかったのでなるべく短くしました。むしろ、この文章で終わってもよかった気がします。
[18]しめ。これまたテンポが欲しいので簡潔にしました。[17]と合わせて、行変更と句読点などで、いい感じのテンポとリズムを出したかったです。
蛇足。文章には出てきませんが、この店には他の客もいるかもしれません。他にウエイトレスもいるかもしれません。なので『声』=太字の部分は目的の人間以外には聞こえてはいけないはずです。なので、太字の部分を抜いても話として不自然ではないように工夫してみました。うまくいったかどうかの判断はお任せします。
honehonerock様、うって変わって不気味なストーリー、ありがとうございました。
太字部分の違和感は、読んでいる最中から気づきましたが、
てっきり恋愛系(このボクの想いがウェイトレスの彼女に届けば)
かと、思いきや、ぜんぜん違いました。
いやー、あと少しで締め切りが来るのがもったいないですね。
もうひとつ書いてみました。
[1]たまには、いつもと違う道を通ってみるものだ。
[2]ドアのそばの鉢に、あまり見かけない小さな蘭が咲いていた。
[3]ドアベルが懐かしい音を立てる。
[4]棚に並んださまざまな珈琲カップ…この店はアタリだと確信した。
[5]カウンターに座り、ハワイコナを注文し、そして現実に意識を戻した。
[6]今日中にやっつけなければ…ふと見ると灰皿が置いてある。
[7]ちょっと気が引けたが、カウンターの端で紫煙をくゆらす人がいたので安心して火をつけた。
[8]とにかく、目の前のことに集中しよう。
[9]
[10]2本目を吸いはじめた時に、目の端のほうにカップが置かれるのが見えた。
[11]すぐに気づいた。
[12]カップの形が違う。レモンがついてる。
[13]「すみません…これ…あ…」
[14]「…こんばんは」
[15]「伊藤くん…」
[16]私は煙草を消した。
[17]目の前の男の子は、顔の前で手を合わせた。
[18]「ごめんなさい!見逃して!」
[19]私は、ぷっと吹き出した。
[20]「見逃すのはいいけどさ、これ…紅茶でしょ?」
[21]「いやあの…これは…」
[22]あたふたしながら、彼は紅茶のカップに隠れていた伝票を見せた。
[23]「あの…これ」
[24]彼が見せたのは、伝票の裏側の手書きの文字だった。
[25]私は読んだ。じわじわと気持ちが暖まってくるのを感じた。
[26]「ありがとう、すごく嬉しい」
[27]男の子は照れたようにニヤニヤと笑った。
[28]「でも煙草っていう字を間違えてるのが惜しいなぁ」
[29]「えー先生、細かいよ」
[30]「だって、直すのも仕事だもん」
[31]笑いながら、彼の顔をまじまじと見た。
[32]あぁこの子も大丈夫。
[33]高校に行ってもちゃんとやっていける、そう思った。
[1]1行目が一番緊張します。世界の扉を開けるわけですものね。
[2]文体はかたいので、性別が多少意識できるかどうかのヒントを入れました。
[3]~[4]ここで読者の「いい喫茶店」のイメージが広がるといいなと思います。
[5]実はコーヒーの種類に詳しくないので…単にキリマンジャロとかにしたくなかった。
この人がコーヒーが好きそうだと思ってもらいたかったのでハワイコナを選びました。[6]なにか抱えてるんでしょうね、だからいつもと違う道を選んだのです。
[7]気遣いのある人だということをにおわせました。
[8]そう、集中してたのです。
[10]珈琲(紅茶だけど)を入れる間に2本目…この人はチェーンスモーカー?
[11]~[12]そう、すぐに気づいちゃったんです。紅茶のカップは浅いんですよね。
[13]そしてさらに何かに気づきました。
[14]知り合いのようです。
[15]くん、と呼んでるんですね。年上かな、この人は。
[16]そして煙草を消しました。なにかに気づかったのです。
[17]伊藤くんと呼ばれた人はどういうわけか手を合わせて…
[18]見逃すって…間違えたことを?
[19]~[20]ここできっとこの2人の間柄に気づくでしょう
[21]~[23]目の前のふきだした人に、あわあわする伊藤くん。
[24]間違えたことには、何か理由がありました。
[25]その内容は、あえて書かないことにしました。
[26]その言葉は本当に嬉しい言葉だったようです。
[27]褒められて照れる…この伊藤くんの年齢がだいたい想像できるでしょうか。
[28]照れる伊藤くんをちゃんとフォローしています。
[29]~[30]ハイ、伊藤くんの目の前の人は、先生だったんですね~。
[31]~[33]担任の先生という設定で書きました。もうすぐ春が来ます。
ちょうど私にも卒業を控える子がいます。
担任の先生のまなざしを見ていると、暖かさと寂しさと嬉しさとが入り混じっていて、
あぁ先生もこの子たちから卒業なんだなぁとしみじみ思いました。
たぶん、あの先生なら…こういうシチュエーションになったときに、こんな言葉をかけてくださるだろうと思って書きました。
なので、先生と伊藤くんの台詞は、私にはそれぞれの子の声に聞こえます。
そうすると私が物語を作ってるのではなくて、その情景を見てきて、記録に残しているだけのように感じます。
emmet様、2回目の回答ありがとうございます。
[2] は、これは言われなければ気づきませんでした・・・。
たしかに読み返すと、主人公は女性っぽいですよね。
力作ありがとうございます。
「埋炎」
1.僕たちが、この場所で別れてから10年が経った。
2.理由は思い出せない。
3.今、再び出会っても、手を取り合わない意味が分からなかった。
4.
5.昭和40年代の活況を思わせるこの喫茶店の壁には、とても大きなふりこ時計が掛かっていて、静かに重い時間の経過を伝えている。10年前の今日も、確かにそれはこの店にあって、ゆっくり薄暗くしめった過去へと誘っていた。
6.
7.「マンデリンをお願いします。」
8.
9.僕たちは、いつもここで同じコーヒーを頼み、静かな時間を送っていた。
10.誰にも邪魔されず、夢をあきらめず。
11.コーヒーを飲み自分を奮い立たせるように、そして感謝と愛情に満ちた日々を送っていた。
12.サイフォン式のコーヒーメーカーの炎は、消えることのない僕たちの希望を表しているかのようだった。
13.「・・でございます。」
14.僕たちの間にある緊張の平地に美しい純白のウェジウッドのティーセットが置かれると、マスターが小さな言葉を綴りながら、この砂時計が終わったら、カップに注いでお楽しみください、といった身振りを示した。
15.
16.注文をしたコーヒーではないことは分かっている。
17.彼女の目は、真剣に僕の心の中を見据えていた。
18.そんなことはどうでもよかったのだ。
19.
20.マスターは、社会の諸関係を整理する賢者のように言葉を発した。
21.「この紅茶は、夢を見る人たちが好んで飲んでいたものです。」
22.マスターの話が終わると、この世が終わってしまうかのような静寂が訪れ、砂時計のサラサラという音が耳に入ってきた。
23.ただ砂がこぼれ落ちていく様を、老年期のマスターの言葉につつまれながら観ているだけで私たちは十分だった。
24.
25.ほとんど無言のまま、紅茶を飲み干した僕たちは、簡単な挨拶をすまし店を出た。
26.彼女は、ドアを閉める直前、マスターに「ありがとうございます」と笑顔を残した。
27.マスターは「夢から覚めないほうがいいんだよ」と答えた。
28
29.今でも僕たちが夢の中にいることをマスターは気づいていた。
30.
31.炎は埋めてはいけない。
32.10年前のあの日のまま、永遠に生きるべきなのだ。
33.あの日の愚かな心のまま、生き続けるべきなのだ。
【解説】
はじめまして。
とても解説するほどの実力はないので恐縮ですが、課題に応えたいと思い、チャレンジしました。
1〜3:整理しきれない熱い感情を表現
4:情動から情景説明のために、あえて改行
6〜8:テンポを整えて、コーヒーを注文。少々こだわりがあることを示す。
9〜12:コーヒーの意味についての表現。コーヒーの炎と「僕たちの関係」
13〜14:高級感のある店の表現。確信犯的に紅茶を出すマスター
15〜19:とまどわず紅茶と対峙する「僕たち」
20〜23:過去へと誘う紅茶、そして思い出を振り返り没頭する「僕たち」
24〜30:静かに進む対話。コーヒー=覚醒という暗喩と、夢から覚めない「僕たち」を関係づけるマスターの表現
31〜33:思い出の中で燃え続ける「僕たち」の感情。今でも整理できない気持ちこそが、生きるという力の源泉であるという、締めの言葉。
失礼しました。
maskin様、初回答にして長文回答、ありがとうございます。
これはまた、古くて味のある喫茶店という内容そのままの文体ですね。
お題から、たいていの人が
「コーヒーと紅茶の取り違え」をちょっとした山場にし、
主人公にあれっと思わせるのが普通だと思いますが、
18.そんなことはどうでもよかったのだ。
と、あっさりスルーしていくところが、他にないパターンだと思います。
こうしてみると、脳天気なもの、笑えるもの、意外なもの、
奇想天外なもの、不思議なもの、悲しいもの、暗いものと、
まるで人間のように、いろいろあるのだなあと思いました。
街を歩いてても、ふだんは人々の外見しか見られないので、
みんな、実に個性的なのだ、と気づくことが少ないのですが、
今回はいい経験になりました。
文章って、その人の生き方が、かなりきれいに現れるようです。
もはや、質問の趣旨と無関係に、作文を楽しんでいるよな気もしますが…
〜〜〜
[1] 私は店の戸を押し開けた。戸が、からんからんと小気味良い音をたてた。
[2] 店は無人で、自動販売機だけが壁に一列に並んでいた。
[3] 私は、一台の自動販売機を選び、硬貨を投入した。
[4] そして指を滑らせ、お気に入りの缶珈琲の釦を押した。
[5] ぴっ、がらんがらん、がたん、という音とともに出て来た缶に手を伸ばした。
[6] かちゃん、と、最後に硬貨の落ちる音が気に障る。
[7] 私は缶を手にとり、商品名も見ずに缶の口を開け、渇いた喉へ一気に注ぎ込んだ。
[8]
[9] うえっ…紅茶…?
[10]
[11] 私は後悔した。口を開ける前に良く缶を見ておくべきだった。
[12] 相手が自動販売機では、抗議のしようもない。
[13] 口の中にはまだ紅茶の渋みが残ったままだった。
[14] いまさら、珈琲を買い直す気も起こらない。また紅茶が出てきては元の木阿弥だ。
[15]
[16] 私が自動販売機の前に立ち尽くしていると、後ろから声をかけられた。
[17] 振り返ると、箱一杯の缶珈琲が台車に積まれていた。商品の補充に来た係員だ。
[18] 私が事情を説明すると、係員は丁寧に詫び、代わりの缶を手渡してくれた。
[19]
[20] 店を出る時、私は少しだけ思った。紅茶も悪くなかったな、と。
〜〜〜
[1]
・「私」が主人公である事を印象づける。
・「押し開ける」「からんからん」で、どんな戸なのかを表現。
[2]
・内部の様子をさらっと解説。
[3][4]
・わざとらしく、主人公の行動を細かく説明。前置きを長くして、感情移入を促す(たぶん)
・わざと、カタカナを排除。以下同じ。
[5][6]
・音にこだわってみました。読者に時間の経過を感じさせる。
[7]
・主人公の待ちきれない様子を表すため、それまでの冗長な表現と対照的に読者に一息に読ませる。
[8][9][10]
・主人公の当惑を強調する工夫のつもり。
[11][12][13][14]
・主人公が考えている事を論理的に説明し、主人公の立場を読者にも感じてもらう…もらえたかな?(笑)
[15][19]
・文章のリズムを切り離すために空行を入れる。
・一人称だけど、情景を描写するところと心象を描写するところは分けてみた。
[17]
・主人公が見たものの順番に書いてみた。
[20]
・オチ。
〜〜〜
加えて気をつけた事は、
・なるべく文章の統一感を崩さない。
→逆に、統一感をわざと崩して、「別の場面」という印象を与える事もある。
・同じ言葉や単語の繰り返しに気をつける。
→逆に、わざと繰り返す技もあり。
kuro-yo様、2回目の回答ありがとうございます。
だいたいのシチュエーションは出尽くしたかと思っていたのですが、
自動販売機で来たか、と、それだけでもうびっくりです。
硬貨(コイン)
缶珈琲(缶コーヒー)
釦(ボタン)
というところで、あえて漢字を使っているところが渋いです。
主人公は少なくとも40歳以上だと感じますがいかが。
「6人の怒れる日本人?」
1.カウンター6席だけの小さな喫茶店で、1番左端のカウンターに座っている客が騒ぎだした。「頼んだ物と違うじゃないか。これはコーヒーか?」わざとらしく嫌みを言う客に、左から4番目の客が、「わざわざ嫌みをいう必要なんてあるのかよ?オーダーが間違ってるので、変えてくれといえば済むだけの話だろ?」と冷たい言葉で諭す。「なんだと!」と顔を真っ赤にして怒り狂う1番端の客に油を注ぐように、4番目の客が「日常のストレスを店員に向けるなよ、この暇人!」と大声で返す。ほぼ満席の店に緊張感が走る。
2.「ちょっといい加減にしてくださいよ」左から三番目の浪人生風の客が、ずれた眼鏡上げながら鋭い口調でいう。「明日、受験日なんですよ。集中するために喫茶店に入ったのに、大騒ぎされちゃたまらないですよ」。申し訳なさそうに前をむき直す1番目の客。一方で、だったら店からでろよと捨て台詞を吐く隣の4番目の男を、3番目の青年は激しくにらみつけながら「あんたが後から入ってきたんだろーよ!」と怒鳴る。
3.収拾のつかなくなった店内の端、5,6番目の席に座る主婦らしき客は「なんだか騒がしいわね、出ましょうか」とあたふたし始めると、その隣にいた4番目の男は「いや、ちょっとまてすぐ済むから」と牽制し、学生に「おまえ名前はなんて言うんだよ。俺にそんな口の聞き方してただで済むと思うなよ」と食い入る。貧弱な身体をした3番目の席に座る学生はおそれをなし、涙目で「狭間、はざまです・・」と名を継げると、その場で目を伏せてしまった。「ひどいわねー」とキャピキャピ言い出す主婦達。
4.すると、二人の主婦のうち6番目に座っている一人が「あれ?ユタカ?ユタカなにやってんのよ」と言い始めた。学生は助かった!と思った。「あれ、母さん、何やってんの」と、とわざととぼけたふりをして母の方を見て立ち上がった。するともう一人の主婦、5番目の女性が、「あれ、あんた息子ってアメリカにいるんじゃないの?」と耳打ちする。「そうよ」と応える6番目の友人をみながら、5番目の主婦は目を白黒させている。しかしながら、4番目の口うるさい男も、母がいるとなれば、下手に手はだせず、おとなしくなる。
5.無言を続けるマスターに、またもやしつこく1番目の男が「ところで、マスター、コーヒー出してくれるのか」と言い始める。4番目も男は「まだ、そんなこといってんのか・・・」と怒鳴ろうとしたとき、喫茶店のドアが開き、カタギの仕事をやっているとは到底思えない巨体の男が入ってきて、2番目の席に隣の客を押しのけて座った。3番目の学生に「悪いね」と気遣う姿から、そんなに悪い男ではないらしい。
6.2番目の怖そうな男は、マスターに向かって英語で何か話し出した。語学科を受験する3番目の学生は、その内容が聞き取れたらしく、縮こまりながら「え、その人、○○国の王様なんですか?」と言う。騒然となる店内。テレビで連日報道されていて、大沢に担っている、日本に来てから行方不明となっていた○○国王本人が、カウンターに立っているのだ。
7.「え、日本語わからないのか。どうりで、何度オーダーしても間違ったものを出してくると思った」と苦笑いをする1番の男性。間髪入れずにカメラのフラッシュが何度もたかれる。4番目のうるさい男は、報道カメラマンだった。「やった!スクープだ」この喫茶店を隠れ蓑にしているところを知ったこの男は、客を追い出してから根掘り葉掘り聞いて、特ダネを得ようとしていたのだ。
8.そんなカメラマンのフィルムを抜き取りカウンターを飛び越えたのは、5番目の主婦。「インターポールです。○○国から逮捕状が出ています。報道は控えて」とマスターを一種にして取り押さえ、拳銃を2番目の男に向けた。展開に驚きを隠せなかった6番目の主婦は、こっそり一部始終を携帯電話で撮影。自分で入れたコーヒーをすすりながら、「やったわ、特ダネ」とつぶやいた。
(キャスト)
1番目:初老の男性、コーヒーを間違えられて起こる
2番目:あとから入ってくる怖そうな男
3番目:浪人生
4番目:口がかるい男
5番目:6番の客の友達
6番目:浪人生の母
マスター:だんまりを続ける。オーダーを間違う。
【解説】
懲りずに2回目の作品を送ります。
カウンター6席の狭い喫茶店での小ドラマを書いてみました。
・12人の怒れる男
http://www.amazon.co.jp/十二人の怒れる男-シドニー・ルメット/dp/B00005TOGV
をモチーフにしています。三谷幸喜が「12人の怒れる日本人」という舞台もやってますね。
1:狭い室内でいきなりの大騒ぎ。流れを作ります
2:キレそうな学生が、感情のまま行動。
3:弱い学生と卑怯な4番目の男。人間模様を作ります。
4:意外と勇気のある主婦の行動で流れが変わります。
5:コーヒーをあきらめきれない1番目の男。振り出しに戻るも、怖いひと登場。
6:英語?国王?意外な展開に騒然
7:オーダーが通らない理由が判明。と思いきや4番目の男はパパラッチだった。
8:さらにどんでん返し。主婦かと思っていた女性が一番の切れ者だった。その友人はさらにお調子者であった。
maskin様、再度の回答ありがとうございます。
「コーヒーと紅茶の取り違え」が、
まさかドタバタコメディになるとは思いませんでした。
ドタバタを詰め込んだ感じが、文体によく表れていると思います。
最初、喫茶店のゴタゴタ(私小説っぽい「小市民の怒り」)を描写すると予想していたので、
6:英語?国王?意外な展開に騒然
は、まさにねらい通り、本当にびっくりです。こんなの予想できる人いるわけない!
見事なもんです。ありがとうございます。
もう自分にはとうてい小説家は無理だと思いました。よくもまあ思いつくもんですね。
[1] その日は、朝から雨だった。
[2] 「ユミちゃん、もう今日は上がっていいよ。こんな雨じゃ、もうだれもこないだろう。」と、言っている最中に、扉が開いた。
[3] 水滴を滴らせて、くたびれたレインコートが入ってきた。
[4] 薄くなった髪の毛が、ぬれて頭に張り付いている。
[5] その下にある顔は、酔っ払っているのか、真っ赤だった。
[6] 見かけない顔だな、と見守っていると、フラフラと左右に大きく傾きながらも、迷わず店の奥に歩いていく。
[7] 水を持って追いかけるようについていったユミちゃんが止めるまもなく、ぬれたレインコートのままテーブルに突っ伏してしまった。
[8] 小走りにカウンターまで戻ってきたユミちゃんが、
「マスター、日替わりって言ってるようですけど・・・メニューも見ないで」
と、少し首をかしげていた。
[9] しばらく、奥のテーブルを見て、
「あれじゃ、椅子が濡れちゃいますね。どうしましょう。」
[10] 「拭けば大丈夫だよ。ありがとう、もうあがっていいよ。」
[11] 彼女が、カウンターの裏へ消えると、私はカウンターに置いたカップに湯を注いだ。
[12] 酔っ払いは、なにかぼそぼそつぶやいている。
[13] 暖まったカップに、ポットを傾け、トレーに乗せて奥へ向かった。近づくにつれ、安い焼酎のにおいが鼻をつつく。
[14] テーブルの上を整え、ミルクポットなどもセットし終わり、、
「お待たせいたしました。」
と言ってみたが、芳しい反応が無い。
[15] カウンターに戻りながら、せめてコートを脱がせないとあれでは風邪を引くな、などと考えていた。
[16] 着替えたユミちゃんが戻ってきたときだった。
「マスター!」
と言っているらしい、ろれつの回らない大声が聞こえた。レインコートが床に落ちるのと、酔
っ払いが立ち上がるのが同時に目に入ってきた。真っ赤な顔が、さらに真っ赤になってこち
らを見ている。
[17] 「いつから、ここで、紅茶を出すようになったんだぁ。」
といいながら、テーブルに両手を突いた。弾みでカップが倒れてしまった。
[18] テーブルが紅茶でいっぱいになった。
[19] 「ちくしょう、みんなみんなバカにしやがって。」
紅茶に両手を浸しながら、なんだか泣いているようだ。
[20] さめていてよかったな、と余計なことを考えながら、近くに駆け寄っていった。
[21] 布巾を持ちながら
「失礼いたしま」
まで言ったところで、その右手をつかまれてしまった。そのまま、目が合うと、さっきまで酔っ
払っていた様子とは一変して、
「マスター、火曜日の日替わりは、コロンビアじゃなかったのか」
とはっきりした口調で私に話しかけてきた。
[22] 私は身動きが取れなくなった。
[23] たしかに、そんなころもあった。ずいぶんと昔のことだった。
[24] 「ここだけは変わらない、と思って来たのに。みんな変わっちまう。」
[25] つぶやく男の顔を眺めていると、ちらっと頭をよぎるものがあった。
[26] 頭をスポーツ刈りに、小太りの体形を痩せさせ、服をジャージに変える。
[27] 「マスター、健だよ。忘れた?」
[28] いやいや、覚えてるとも。忘れるものか。
[29] 立ち上がると、カウンターにいるユミちゃんに声をかけた。
「すまないけど、そのケトルでお湯を沸かしてくれ。」
[30] 私は、健に「待ってろ。」と言い、カウンターに入った。
[31] 入れたてのコロンビア・スプレモを男の前に置いた。健は、ユミちゃんが持ってきたタオルを頭に載せている。
[32] 「健は、この店の最初の常連だったんだ。あのころは、高校生だったかな。」
と帰りそびれてしまったユミちゃんに説明する。そう、常連だったのだ、最初の。
[33] 「日替わりコーヒーのアイデアを考えたのも健だったな。特にコロンビア、すきだったよな。」
[34] 健は、ぼそぼそと話し出した。
[35] 「高校出て東京へ行って、営業でがんばって、家建てて、課長になって、ぜんぜんこっちにこれなかった。親父たちも兄貴の所に行って、誰もいなくなったし。」
[36] 「じゃあ、どうしてここに?」ユミちゃんが素直に聞く。
[37] 「栄転だって。故郷に錦を飾れってさ。」
[38] 「すごいじゃないか。」と言いながら、私は違うなと感じていた。
[39] 「リストラだよ。地方都市の潰れそうな子会社の工場長なんて、栄転じゃなくて左遷だよ。」
[40] 健は続ける。
[41] 「で、来てみれば、駅前は再開発でビルばっかりだし、工場のあたりも昔の面影なんてあったものじゃない。俺をおいてけぼりにしてバカにするな、って思いながらさっきまで飲んでたんだ。」
[42] 健は、コーヒーカップを手に包んで、つぶやいた。
[43] 「でも、雨に濡れながら歩いてたら、この店を思い出したんだ。もし、あの時のままのコーヒーが飲めたら、ひょっとしたらやっていけるかもって。」
[44] 私が何年かぶりに本気で入れたコーヒーを、健が微笑んで飲むのを見ていた。
[45] 「これだよ、これ」
[46] と健。
[47] 「マスター、おいしいこれ。これなら、この店・・」言いかけるユミちゃんを目で制して、私は聞いた。
[48] 「どうだい、35年ぶりの味は。」
[49] 「次は息子をつれてくるよ。今度は、あいつが常連になるかもな。」
[50] 店の傘をさして帰っていく健の背中を見ながら、私はつぶやいた。
[51] 「店を売るのは、やっぱりやめよう。」
[52] ユミちゃんは、嬉々としてカウンター下からコーヒーの道具を掘り出している。
[53] どうやら、雨も上がりそうだ。
***************************
[1]始まりは天気、が基本になってますね。時候のご挨拶は、天気。
[2]閑古鳥の鳴いている喫茶店の雰囲気です。
[3]~[5] 酔っ払いの印象付け
[6]伏線です。
[7]~[9]ユミちゃんの登場と印象付け
[10]~[14]お店の状況説明と、紅茶をあえて表示しない文章
[15]ここまで、静かな感じを出しておく
[16]静から動へ、動きを意識して。
[17]紅茶の単語を効果的に
[18]~[20]流れを意識しながら、物語性を強めつつ
[21]~[23]話を主人公にぐっと近づける算段。視野を狭く
[24]~[27]さらに主人公の内面へ。酔っ払いを男へ
[28]万感の思いをこめたせりふ。
[29][30]絵を広げて。男を健に
[31][32]場面転換、ユミちゃんを使って、説明的なせりふを処理する
[33]~[39]シナリオ風。
[40]せりふが続くので、中断しておく
[41]一気に本題へ
[42]情景をはさんで
[43]主題を語らせる
[44]さらに別の主題への伏線へ
[45][46]一時の終焉を迎える
[47]新たなる伏線をユミちゃんを使って張る
[48][49]1個目のエンディング,せりふで終了は、小説ならではでしょう?
[50][51]2個目の伏線の種明かし
[52]ユミちゃんの性格付けの後押し
[53]とりあえずほのぼの終わる。
どうでしょう。第三者がコーヒーを変えてもらう話にしようと思ってここまで書いてみました。
ちょっと、年寄りくさかったでしょうか。
takejin様、よもやの店視点、ありがとうございました。そうくるとはー。
また注文者がかっこよくない、というのも珍しいですね。
初老の男性の哀しさが、みごとに描写されていて、
これは子供には賭けないだろうなあと思いました。
[51] のほうは、みごとにひっかかりました。
[2] がこんな後になって効いてくるとは!
暖かくも、いまいち不器用で気弱なマスターの性格もわかります。
これじゃあ商売に向いていないわけだよ。
【小説】
[1]「さきほどは、まことに申し訳ありませんでした」
[2]この喫茶店のマスターを名乗る男が、床に土下座して謝る。
[3]コーヒーを注文したにもかかわらず、出てきたのが紅茶だったからだ。
[4]「で、そのう、お詫びといっては何ですが、当店特製のハイパーDXスペシャルコーヒーをご用意させていただきました」
[5]そう言って、マスターがテーブルの上に置いたのは、青いプラスチック製のバケツだった。
[6]中をのぞけば、直径30センチ・深さ20センチの大容量に、あふれんばかりの波うつ濃い褐色の液体、すなわちコーヒーが注がれていた。
【解説】
[1]冒頭
[2]状況説明+大げさな人物描写
[3]状況説明その2
[4]前フリ
[5]オチ
[6]オチの説明
簡単で、他の方に申し訳ないのですが……。
papehiko様、いや、ワラタ!!
GJ!! すげーーーー。
[1] 店員が持ってきたのは、コーヒーではなく紅茶だった。まったく、この喫茶店ときたら、あのマスターが辞めてからロクなことがない。
[2] 私は彼女がテーブルにそれを置いたとみると、下げさせた。店員はすいませんと一言つぶやくと、店の奥へと消えていった。
[1]情景描写はなるべくすぐにすませるようにします。その際、副詞や形容詞の使用は極力控えるように努めます。
というのも、ほとんどの読者にとって、そんな描写は不要と考えるからです。余計な描写をしなくても、彼らは勝手に情景を想像してくれます。描写過多を読んで喜ぶのはよっぽどのマニアか中二病患者か読者のことを考えない本職くらいでしょう。
このあと店員を指す主語が連続することを考えると、ここで主語を使わずに「コーヒーではなく、紅茶が持ってこられた」といったように紅茶を主語にして受動態を使ってもよいかもしれません(「持ってこられた」という述語が適切かどうかは別の話)。ですが、受動態を使うとどうしても回りくどくなります。特にもともとの日本語には無生物主語構文はないので、他国語の知識がなく読書経験の乏しい読者のことを考慮して、あまり使用しないようにしています。
「まったく、この喫茶店ときたら……」の件は、主人公の性格やこの店の境遇などをいくらでも読者がイメージできるのではと思って入れました。単純な文章であればあるほど、読者の想像の幅が広がります。それは、この質問に対する他の方の回答がすでに証明されているのではないかと(笑)。
[2]「それ」という言葉はあまり使いたくありませんでした。ですが主人公は早く紅茶を自らの前から下げてほしいはずですから、「紅茶」という言葉をこれ以上使わせたくなかったのです。
わざわざ紅茶を置くまで待って下げさせたというところで、主人公のいやらしさを表現してみました。すいません、ここらへん、ちょっと遊んでいます。
〈私は彼女がテーブルにそれを置いたとみると、「すぐに」下げさせた〉としていましたが、推敲の段階で「すぐに」は削除しました。タイミング的に「すぐに」を書かなくても伝わるからです。文章を短くすることで、「すぐに」ということが感覚的に伝わりやすくなりました。ここで〈私は彼女がテーブルにそれを置いたとみると、彼女の顔をきっとにらみつけた。店員は首をかしげている。私はすぐさま言い放った。……〉などと、いかに「すぐ」であるかをアピールするのも乙なものですが、それだと読者が「すぐ」であることを「すぐに」理解することができません。主人公の感情と読者の感情をあまり離してしまうのは適切ではないと僕は考えます。
「店員はすいませんと……」のくだりも、〈店員はすいませんと一言「小さく」つぶやくと〉という風にしていました。しかし、「つぶやく」という言葉を使っているかぎり、誰も「大きい声で言った」というニュアンスで受け取る人間はいないだろうと判断して、外しました。
表現をする人間は得てしてその表現に凝りたがる傾向にありますが、読者のほとんどは表現それ自体ではなく、その表現を通して自分が受け取る物に興味を懐いています。ですから単純な表現で多くの情報を伝えられるのなら、それはそれに越したことはないのです。むしろ表現をしすぎて読者の想像の幅を狭めてしまうことのほうが問題であるという考えでいます。
まして小説なんて、一字一句をしっかり読み込む読者がどれくらいいるでしょうか? 通学・通勤の間に小説を読んで、「ああ、早くこの物語の続きが知りたい!」ともどかしい気持ちでいっぱいの人たちが、丁寧に文章を読み込んでいるなどと考えている作者がいるとすれば、それはただのおごりか本当に文章が上手い人かのどちらかです。
小説において、だいたいの長文はほとんどの読者から斜め読みされる傾向にあります。それを自覚して、文章を簡潔にするか、もしくは斜め読みをされたり読み飛ばされたりしても意味が通るような文章を書くことを心がけています。
co3k様、ありがとうございます。たった4文!!
「短いほうがいい」派があらわれてうれしいです。
そして文章の簡潔さのわりに、解説が長く、楽しめました。いやー、いいお友達になれそうです。
[1]目の前に置かれたのは紅茶だった。
「あ、もし!」
[2]ウェイトレスを呼び止めようとして刀の柄に手をぶつけてしまう。こぼれる紅茶、割れるティーカップ。
[3]「何やってんだよ」あきれた口調で私。
[4]喫茶店のテーブルの向かいにいる変なサムライは紛れもなく私の友人ではあるのだ。が、やはりその格好は違和感があるといわねばならない。友人は珍妙な日本語で答える。
[5]「そなた、拙者が悪いとヌカスか!」
[6]腰に手をやり鯉口をきるが、まだ日本刀の扱いに慣れていないらしく……
「あうちっ」
[7]指を切った。これでは私が日本のレクチャーをする以前の問題だ。布巾に箒と塵取りをもってやってきたウェイトレスが絆創膏を取りに戻ろうとする。
[8]「アイヤー、待たれよ、まつでオジャル」ますます日本語が変になる。
[9]「ソレガシ、頼んだのは珈琲でござる。紅茶ではござらん」
[10]「お前、カップ割っといてそういうか」
[11]「いやしかし、今日を逃すと珈琲など主観時間で3年は……」
[12]珍妙な日本語が理解できずに、ビクトリア調で身を固めたウェイトレスは小首をかしげている。向かいのテーブルにいるグレイは青緑色の得体の知れない飲み物を片手にこちらをちらちら見てるし、カウンターに腰掛けているバイキングなどはこちらを指差して笑っている。バイキングならエールを呑め。そんなクアーズなんかでなく。
これ以上注目を浴びたくないので仕方なしに、カップは弁償するので彼に珈琲を入れてくれないかと頼む。
[13]「で、いつ何処へ行くんだ」
[14]「明日、長州にガトリングガンを売りつけに」
私は頭を抱えてしまう。
[15]「延期するか、取りやめにしろ!お前のところの時代考証班は間違いだらけだ。今日明日で修正は無理だよ」
「本当に?」
「うん、少なくとも金髪碧眼のサムライはいない」
[16]「これはしたり」とか「いや、とむ・くるずなるサムライが」とか「ショーグンが」などとぶつぶつ呟きつつ、何も飲まずもちろん金も払わずに出て行ってしまうわが友。
[17]タイムマシンなどというSFにおいてすら陳腐化してしまった代物が発明されたおかげで、商売はワールドワイドどころかヒストリーワイドに広がってしまった。歴史研究者たちは売り手市場で、質の低下はとどまるところを知らない。
[18]軽くため息をついたところに珈琲が置かれる。これは私が飲むか。
[1]画面に紅茶を置きます。
[2]紅茶を広げます。
[3]溢したのは友人ということにして、話者の私を置きます。友人は誰にでも必要だと思うのです。
[4]私は日本刀が好きなので、友人を日本刀を持てる侍ということにします。さかのぼって侍らしい台詞に馴らします。
[5][6]ただの侍が喫茶店にいるのは変なので、「変な侍」ということにして画面に慣らせます。
[7]ほんのちょっと血の赤を混ぜます。ほんのちょっとでいいんです。
[8]変な日本語を混ぜて「侍がいて変」なのではなく、「変な侍がいる」のだということにします。
[9]本題に戻りましょう
[10]私を常識的にして、画面を自然な感じにします。
[12]視線の先に好きな怪人物を書きましょう。好きに書いていいんです。私も好きに書きます。トラブルを楽しみましょう。
[13]まとめに入ります。
[14]侍である理由を言わせます。
[15]その理由では納得できないのでその理由も間違っていることにします。
[16]適当な小ネタをいれます。
[17]矛盾が出来るだけ生じないように理由を付けます。遡って[11]を加えます。
[18]珈琲はキリマンジャロです。ほら、簡単でしょう?
objectO様、ありがとうございます。
もしかして小松左京ファン?
(彼の傑作「物体O」からハンドル名をつけたのかと)
で、理屈抜きで楽しめました。
小松左京のはちゃめちゃSFを彷彿とさせますね。
ますます小松ファンと見ました。
もう紅茶だのコーヒーだのの次元を軽く越えてますね。
弐例挙げます。
[1]マスター、これ紅茶。いつものエスプレッソにして。え、どうしたのさ、顔色悪いよ。ううん、飲んでないよ。香り嗅いだだけ。うん。なんでそんな怖い顔するのさ。ええ、さっさと帰れって。なんでよ、そのエスプレッソ飲んでないよ。ちょっとどうしたのさ。マスターそんなに力あったっけ。いてー、なにすんだよ。
***************************************
[1]語りのみ。落語風。
紅茶とコーヒーの取り違えに、「意味」を持たせるかどうかで、書き方が変わってくるはずです。しかし、小説(「風」ではありません)には、「捨てる伏線」は、いまのところないようです。
すると、この取り違えを「意味のあるもの」すなわちストーリーに絡める必要があることになります。
上の例は、もろにストーリーの伏線として使用しています。
マスターがいつもと違う行動を取っていること。紅茶を飲んだか確認していること。
等々、いろいろ展開できそうでしょ。
(この時点では、特殊薬品入りのティーバッグの行方をめぐっての争奪戦などを想定しています。)
--------------------------------------
[1] 俺の目の前に置かれたカップとポットを見て、美佐子はウエイトレスをにらんだ。
[2]「ちょっと、頼んだのは紅茶じゃなくてコーヒーのはずだけど。」
[3]ウエイトレスは、美佐子の剣幕に押されて、
「申し訳ありません。すぐに取り替えます。」
と頭を下げ、カウンターに戻っていった。
[4]美佐子は、
「これ持っていってくれないと、じゃまよ。」
とカウンターに叫んでいる。
[5]おれは、顔を赤くしてまったくもうとかぶつぶつ言っている美佐子を眺めながら、またやってるよと思っていた。
**************************************
[1]~[4]美佐子の情景描写を、比喩等の修飾をできるだけ加えずに映像化。短気な性格を読者に読み取ってもらう。
[5]美佐子の性格を把握している俺のスタンスを表現
登場人物の性格表現に、この状況を使用する場合。短気な場合や、弱気な場合等の書き分けができそう。あまり、ストーリーに絡まないので、いつでも挿入できそう。ただ、目的が登場人物の性格説明であれば、早いうちにつかうべきでしょう。
★小説の中に、この場面を組み込む場合を想定してみました。
takejin様、2種類もありがとうございました。
[1] は、ちょっとしたミステリーですね。
[2] ですが、わずかな行数で、美佐子のきつい性格がよくあらわれていると思います。おみごとです。
1) 一目ぼれだった。
2) 足しげく喫茶店に通う私。
3) これで通算16回目。とてもキリのいい数字だ。
4) いつものように注文。
5)「コーヒーを」
6) 紅茶が出てきた。
7)「紅茶を」
8) コーラが出てきた。
9)「コーラを」
10) ウーロン茶が出てきた。
11) どういう規則性があるのだろう。
12) 顔を上げるとそこに彼女がいた
13)「本当に欲しいものを」
14)「きみ」
15) 子供を授かったのは12ヵ月後のことだった。
1~4 状況説明+性格説明 3でオクテの理系人間であることを強調
5~10 畳み掛けるように繰り返し盛り上げる
11,12 一拍置いてじらせる
13~15 最後の繰り返しでそのままオチまで
enzi様、これは・・・「ショートショートの広場」とかに出す価値あるぅー!!
回答が20件になったら締め切ろうと思っていたのですが、この作品を見て、もう少し続けることに決定!!
回答の上限を50件に増やしました。
ポイントもたっぷり買いましたので、こうなりゃ行き着くとこまで行きましょう。なんて罪な作品だ。
2本目です
1)「コーヒーを」
2) 紅茶が出てきた。
3)「無理をして周りにあわせることはありませんわ」
4) フレデリカはそう言った。
5) 私の名前はヤン・ウェンリー。
6) 帝国との戦いはこれからが本番だ。
1,2 起承 疑問の提出。一人称であることを示します
3 転 事件 新キャラクタの登場
5,6 結 事件の謎解き
歴史上の偉人などを使って、意外性をもたせるパターンです。
ヤンが言いそうで言いそうにない台詞を使っているのは、余韻をもたせるため。再読させる効果をねらっています。
enzi様、ありがとうございます。
ネットで検索してしまいました。「銀河英雄伝説」のキャラだそうで。(すみません知りませんでした・・・)
で、回答を1人3件までにしましたので、あと一作、作れます。よろしかったらどうぞ。
1)「これ、紅茶だよ」
2)「なんですって。大変だ。他のお客様の注文と間違えたに違いありません。このままでは、地球が」
3) ベテルギウス星人は、8本指でディスクを取り出すと説明した。
4)「このようにして、あの星は滅んだのです」
5)「なるほど」
ほぼ1行ごとに起承転結として構成しています。
モチーフから展開する方法に、逆転、誇張などいくつかのスタイルがありますが、ここでは誇張を採用しています。周囲を描写しないのは、スピード感を出すためと、描写するとぼろが出てしまうからです。
肝心なところが書いてないのはリドルストーリの形式をとったためです。読み返したくなるような効果を狙っています。
これ、この、その といった言葉が多いのですが、どうしてもこれ以上削れませんでした。元々は「8本指」のまえに「その」が入っています。
enzi様、ありがとうございました。
2) と 3) の間に空白がある、ということですね。
リドルストーリは、いま興味を持っている物語形式の1つです。
[1] 「もしもし。いま喫茶店。で、どう。ちゃんと生きてる? え? また黙ってるの? もう駄目だな。ウンともスンとも言わない。あ、そう。どうしようかね。あんまり相手したくないなそりゃ。……じゃあさ、こないだ教えた方法で叩いてみてよ。うん。それで反応あるか見て。あ、ちょっと待って。すいません、コーヒーお願いします。もしもし。はい。それじゃよろしく」
[2] 「もしもし。どう。……そう。めんどくせえな。それ親はどうしてるの。うん。そうそう。親から子の状況見るって話だったでしょ。それも駄目ってこと? はあ。そう。そりゃもう全然駄目だな。いっそ親ごと殺すか。その方が後腐れないよな。あー、でも他の子も死んじゃうか。そうだな。じゃやっぱりその子だけ殺す方がいいか。どっちみち最初からやり直すしかないけどな。まあダラダラ生きてるより一度切っちゃった方が楽でしょ。ははは。あ、ちょっと待って注文来たから。はい、どうも。もしもし。ああ、じゃいいよ。やっちゃって。一応何やったかだけ記録しといて。はい。それじゃ」
[3] 「すいません、頼んだの紅茶じゃなくてコーヒーなんですけど。あ、いえ、そんな大したことじゃ。はい、お願いします。もしもし。大丈夫? どう。え? 何? どういうこと? 親が? え、うそ。なんでそんなことになるの。子だけ殺したんじゃないの。はあ。それで親が? じゃいま暴走してるの? うわあ……。最悪だな。じゃもう親も殺しちゃっていいよ。うん。そう。いいよ、 killkill 。さっくり落としちゃって。他の子? もうしょうがないでしょ。親ごと全部殺しちゃっていいよ。いまからそっち行くわ。はい。それじゃ」
[4] 「すいません、お会計お願いします。え? いえ、払いますよ。そんな、注文違ったくらいで気を遣っていただかなくても。いやいやそんな。はあ。そうですか。はい。わかりました。それじゃ、ごちそうさま」
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[1] 注文を間違えられた話だけだと弱いので、叙述トリックを仕込むことにしました。舞台説明は面倒なので、「もしもし」で電話中であること、「いま喫茶店」で場所を表しています。書き始めてから起承転結にしようと思ったので、全体を 4 行にしてキーワードだけ先に入れました。はてな記法では改行 = 段落なので、あまり改行しません。クエスチョンマークの後には全角空白を入れます。
[2] 「親ごと殺すか」を先に書きました。会話の間は三点リーダーで表現します。少し前に知り合いから「三点リーダーは 2 つ続けろ」と教わったので、そのとおりにしています。
[3] 「親も殺しちゃっていいよ」を先に書きました。英数字は半角で、前後に半角空白を入れます。
[4] 複数プロセスの制御は難しいですよね。プログラマにしか通じないネタですが、小説はしょせん自己満足なので気にしません。
xx-internet様、ありがとうございます。
この叙述トリックは途中で気づきましたのでちょっとうれしいです。
昔のSKATというコピー集にあった、ゲームセンターの
「あいつを殺ったら、太鼓をたたこう」を思い出しました。
「三点リーダーは 2 つ続けろ」は、貴重な教訓でした。ありがとうございます。
私は物書きではありませんが、調子に乗って、もう三つ目。
決して、暇を持て余しているいるわけでは…(笑)
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私は、ネクタイを締めなおした。
「いらっしゃいませ」
『コーヒーひとつ』
「コーヒーひとつですね」
「お待たせしました」
『これ紅茶
注文と違うよ』
「大変失礼いたしました
ただいまお取替えいたします」
「お待たせいたしました
ご注文は以上でよろしいでしょうか
どうぞごゆっくりおくつろぎ下さい」
『お会計』
「コーヒーひとつで五百円になります
千円 お預かりいたします
お釣り 五百円でございます
ありがとうございました
またのお越しをお待ちしております」
ふぅー。
私は、鏡に映る自分を再び見つめた。
よし。
これが私流、出勤前ウォーミングアップ。
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・文章は句読点を省いてみた。
・括弧を使い分けて、口に出した言葉と頭の中の言葉とを書き分けた。
kuro-yo様、また登場人物が1人だけ、という新しいシチュエーションの小説ありがとうございました。
実際、プロのウェイターの方は、こういうことやってそうですよね。
ててとーに語ります。
【文章】
[1] これは紅茶ですよ、と気軽に言えたら、どんなに良かったか。
[2] 先日の事である。わたしは馴染みの喫茶店でいつもの如く、コーヒーを注文した。が、出てきたのは紅茶だった。
[3] この喫茶店はコーヒーはかなりのものだが、紅茶に関してはまるで駄目、というのがわたしの評だ。それでも何故だか紅茶がメニューに残り続けている。物好きがいるのかもしれないし、実際には上手いのかもしれないが、とにかく紅茶というのはわたしには向かないものなのだ。
[4] 馴染みの客であるわたしの好みを、ここのマスターが忘れるはずは無い。となると、これは注文を取りに来たウェイターが聞き間違えたか。そう言えば、そのウェイターは私の知らない顔だった。ここ最近は、ここに入り浸っていたのだが、さて、いつの間に新しいウェイターに変わっていたのか。それとも、今日が最初の日だったのかもしれない。それならちゃんと教育的指導をする必要があるだろう。そう思って私はウェイターを呼んだ。
[5]「すいません、ウェイターさん」「はい」
[6] 呼ばれて出てきたウェイターを見て、わたしは違和感を覚えた。確かに、このウェイターは見た事が無い。だが、果たして先に見たウェイターと同一人物だろうか? ここはけっして流行っている喫茶店ではないから、何人ものウェイターが常勤しているなんて事は、今まで無かった。どんなに多くても一人。あるいはマスター一人の時すらある。新人がいるとはいえ、教育係はマスターだけで事足りるだろう。だから、目の前の人物は、注文を間違えたウェイターと同一人物のはずである。しかし、何か違う気がする。
[7]「お客様?」
[8] はっとする。考え事をすると周りが見えなくなる悪い癖が出たようだ。「ああ、すいません」と言って、私はウェイターを見た。
[9] 違う。
[10] 目の前のウェイターが、変わっていた。さっき見た時の顔と。まるで。
[11]「お客様? どうかなさいましたか?」
[12] 食い入るように見つめてしまったからか、ウェイターは困ったような顔をしたが、その顔も次から次へと変化している。
[13] わたしはなにを見ているのだろう……。
[14] 訳の分からなくなったわたしは、この場を収めるべく、既に湯気の収まった紅茶を一口。そして言った。
[15]「紅茶……、おいしいです」
[16] すると、ウェイターの顔がみるみる変わり、変わって、やがてマスターの一人娘の顔で微笑んだ。そして「ありがとうございます」と言って、見るからに嬉しそうな足取りで奥へと引っ込んでいった。
[17] 結局わたしはその後、あのウェイターがいないタイミングを見計らって、コーヒーに取り替えてもらう為にマスターの所に行った。その時にマスターに色々と聞いてみたが「疲れてなさるんですよ」とはぐらかされたが、それはやはりあのウェイターが身内だからなのかもしれない。そして、それ以来、あのウェイターと顔を合わせる事は無かった。こんな事なら、間違いを伝えて会話の糸口にすればよかった。
[18] これは紅茶ですよ、と気軽に言えたら、どんなに良かったか。
【かいせつ、というか駄々漏れ】
[1] ぼやきから開始。後々どうなるか未定のまま、とりあえずで書いてみる。最初は「良かったか」ではなく「いいか」だったりする。
[2] ぼやく理由の解説開始。長くする事も無いので、大体の状況説明をちゃっちゃと済ます。この段階でなんとなく「先日」と入れてしまったので、[1]の最後を「良かったか」と過去形に変更。
[3] 「別に紅茶でもいいじゃん」という意見の封殺の為に、若干くどくどしく紅茶が駄目な理由をあげつらってみる。でもある、という事の意味を物好きか実際上手いか、という風に残しておくと、後々展開が楽になるかもしれないと思ったりする。ここでは後者を選択してみる事を書き終わって決定。
[4] 転の部分、と言えたりするのか。この辺でオチを考えていなかったつけが出てきて、終わらせ方をうんうんと悩む。悩んだ結果、半ば位書いて[5][6]と平行作業に入る。思いついた順だと書きやすいが、混乱もしやすい。が、むしろ混乱が欲しいので自己を混乱させる。混乱ついでにまた[1]を書き直す。「と、気軽に言えれば」を「の一言で終われば」に変更。ついでに鍵括弧も付け足す。
[5] つながりの為の会話。
[6] 転の中心? [4]と平行作業。混乱する。書いている途中にいい感じな処理仕方がひらめいたので、また「と、気軽に言えれば」に戻す。
[7] つなぎの会話。展開を促す為に一言言わせて見るテスト。わりあい良かったのでそのまま続ける。
[8] この段階でやっとオチが固まる。視線をはずしていた事にしておく。が、[3]の決定をどう使うか悩む。
[9]&[10] 転調本番。言葉の並びに気を使っているような、使っていないような。でも感じ感じ。
[11] つなぎの会話。あえて口調等は変な風にしない。
[12] 苦戦する。イメージする終わりへと簡潔に且つ上手くまとまらない。もにょる。何回か頭の中で繰り返して、やっと流れが分かる。顔がどのように、というのはあえて描写せず。ここのイメージは読み手のターン。
[13] 知らんがな、な事を言わせてみる。[14]へつなぐ為の呆然の言葉。
[14] やっと[3]の時の方針が使えるタイミング。オチへ向けて行動させる。
[15] つなぎの台詞。今回こんなんばっかだな。
[16] ついかっとなってウェイトレスとしたくなったが、そこは発想の転換で顔だけウェイトレスにして乗り切る。乗り切れてないかもしれない。
[17] 全体を俯瞰しつつ推敲しつつまとめる。この辺が一番疲れているの苦手。大体は一日置いて見るが、今日はそのままなので練れてないかもしれん。
[18] もう一度。こうなると予測していなかったが、わりといい感じになった。
こんな具合ですか。わかりません。
hanhans様、回答ありがとうございました。
いったい何が起きたんだ、と2回、読み直してしまいました。
hanhans様の文章を読んでいて思ったのですが、
小説家は文章を書く内に、展開を考えたり推敲するとおもいますが、
有名な小説家が、有名な小説の一部分でいいですから、
その経過をコメンタリーにしてくれると、面白いかもしれませんね。
(DVDのオーディオコメンタリーみたいなもの
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AA%A1%BC%A5%C7%A5%A3%A5%AA%A5%...)
解説の方が長く感じるのは仕様です。
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[1]果たして私が頼んだのはコーヒーだろうか紅茶だろうか、それが問題だ。
[2]今私の目の前には湯気を立てた一杯の紅茶が置かれている。
[3]だが、私は先ほどコーヒーを頼んだような気がするのだ。
[4]自分で頼んでおきながら頼んだような気がするとは何とも情けない話だが、私はここしばらく自身の記憶力に自信を持てなくなっている。
[5]つい先日も散歩に行く前に妻に買って来るよう頼まれた、単三電池を買い忘れた。
[6]もしかすると私は紅茶を飲みたくて、紅茶を頼んだのかもしれない。事実紅茶の良い匂いが先ほどから私の鼻をくすぐってくる。
[7]しかし、私はやはりコーヒーを頼んだような気がするのだ。
[8]もしかすると答えは伝票に書いてあるかもしれない。私はふと思い立ち、伝票を見てみるとそこには290という数字と「コ」という片仮名が丸に囲まれて書かれていた。
[9]コ?
[10]ということは私が頼んだのはコーヒーに違いない。やはり私は正しかったのだ。
[11]嬉しくなった私は早速、扇情的な格好をしたウェイトレスを呼ぼうとしたが、そこでふと思い留まった。
[12]いや、この「コ」はひょっとしたらコーヒーの「コ」ではなく、コウチャの「コ」かもしれない。
[13]一体これはどうすればわかるのだろうか。
[14]私は290という数字が値段を記したものであると判断し、メニューを見直してみた。290円である方が私が注文したものである。
[15]どちらも290円であった。
[16]私は果たしてどうすればよいのだろうか。こうして悩んでる間にも目の前の紅茶はどんどん冷めて行く。
[17]そうして悩んでいる私にふと天啓が舞い降りた。
[18]エウレカ! こうすれば良いのだ。
[19]私は目の前の紅茶に、何杯も砂糖をスプーンですくっては入れ、すくっては入れ、さらについでと言わんばかりにミルクポットに入っているミルクの大半を紅茶に投入した。
[20]ははははは。こうなってしまえば、コーヒーでも紅茶でも変わらない、単なる甘ったるい飲み物だ。
[21]私はスカートの短いウェイトレスの奇異な視線を気にすること無しに、その冷えた紅茶だったものを飲み干した。
[22]その液体は胸焼けがするほど甘く、またクリームがしつこかく後にひき、大変気持ち悪かった。
[23]だが、このまずい飲み物を飲むことと引き換えに私は答えを得たのだ。
[24]これこそがたったひとつの冴えたやりかたなのだ。
[25]私は満足だった。それなのに何だろう、この胸に残る幾許かの違和感は。
[26]レジで290円を払い、そうして散歩を終え、家の玄関を開けたところで、妻にドレッシングを買ってくよう言われていたのを忘れたことに気づいた。
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[1]とりあえず読んでもらうために最初に謎を提示して読者を引きつけます。あとこれは一般の人には知られていないと思いますが、シェイクスピアというイギリスの知る人ぞ知る有名な作品「ハムレット」のパロディでもあります。
[2][3][4]状況説明です。基本的に会話文が下手糞なので、最初から紅茶を出してみました。
[5]日ごろ誰にでもありがちなことを入れることによって、生活感を取り入れるとともにこの物語の主人公がどのような人物かをある程度表しています。
[6][7]答えを求めて悩みます。どこかの哲学者が人は悩むために生まれてきたみたいなことを言ったような気がします。このコーヒーを頼んだような気がするという一文に人生における不安と言うものを感じ取っていただけたら幸いです。
[8]いつまでも悩まれても面倒なので話を進めます。しかし、ここで話を終わらされても困るので、さらなる謎を用意します。
[9]一行だけ表記することによってインパクトを与えます。ちなみに子供の頃は作文の枚数稼ぎによくこういう手法を使っていました。
[10]こうした一人合点により、主人公が猜疑的そうに見えて、結構単純であることを示します。
[11]ウェイトレスの描写が面倒なので扇情的なで済ませます。これによって読む人は勝手にアンミラ等の制服を想像するだろうと期待すると同時に、わざわざ扇情的
[12][13]読者がいい加減ダレてくる頃でしょうか。しかし、それこそが狙いなのです。そんなこと、どうでもいいよジジイなどと思わせればこちらの勝ちです。
[14][15]伝票の時と同じパターンです。読者が本格的にダレてきます。ここらで読み飛ばされるとこちらの負けですが、そもそも小説は別に勝負じゃないと思うんですよね、僕は。
[16]時間の経過を表します。ここで物語中にも確実に時間が流れていることを読者にも気づかせます。
[17][18]わざわざ、大げさな表現を用いることによって、文章に滑稽さを加えます。ちなみにユリイカではなくエウレカなのは僕がエウレカセブンがそんなに嫌いじゃなかったことを表します。
[19]突然の主人公の珍妙な行動によって読者を驚かせます。ちなみに書いてから気づいたのですが、これは北村薫の傑作「砂糖合戦」へのオマージュということにしておきます。
[20]冒頭の文章に対する、一種の答えを提示します。ちなみに主人公が明らかに間違っていることを表現するために笑い方を筒井康隆っぽくしてみました。
[21]主人公が間違っていることを示すために、世間とのギャップを示すためウェイトレスの描写を。スカートが短いというのは先の扇情的な文章の補強です。
[22]やっぱり主人公が間違っていたことを表現するために、まずい紅茶の描写を。ここはリアリティを出すために、自分でもその紅茶を自作して、飲んでみるぐらいの頑張りが欲しいところですね。
[23]それでも主人公が間違ってることを書くために、確信を持たせてみました。表現を大げさにすることでより滑稽さが増していると思います。
[24]ティプトリーJr.? 誰ですか、その人は。この文章は僕の完全オリジナルですよ?
[25]主人公に違和感を与えることによって、物語に後味の悪いものを残してみます。この文章でそんなものがどれだけ必要なのかはわかりませんが。
[26]蛇足です。すっきりした落ちが欲しい人用に書きました。個人的には[25]で終わらせても良いと思ってます。
gentledog様、ありがとうございます。
[24]で、読者から「いやそれ冴えてないから!」という無数のツッコミが入るところがいいですね。
[25]も端から見るとツッコミどころ満載なのに本人はいたってのんきなのがいいですね。
[1]~[15]までの主人公の優柔不断ぶりは、
たぶん僕もだいたい同じ思考をしたと思いますので、すごく共感できました。
>[6][7]このコーヒーを頼んだような気がするという一文に人生における不安と言うものを感じ取っていただけたら幸いです。
無茶だよ(笑)
北村薫「砂糖合戦」は、タイトルからして面白そうですね。
かならず読んでおきます。途中にもいろいろ本のタイトルが出てきますね。読書家ですな。
よろしかったら「本が好き!」に参加なされては?
http://blog.livedoor.jp/books_review/
読書感想文をブログに乗せている人は、審査に通れば、出版社から本の寄贈を受けられる、というものです。
(ただし、あるていど長い感想をブログにアップすることが条件)
本文:
1、一面ベージュがかった白一色の壁には、まだ少しペンキの匂いが残っていた。
2、さっきぼくは、髪を金髪と茶髪のちょうど中間くらいの色に染めたウエイトレスに、レギュラーコーヒーを頼んだ。
3、彼女が今日のコーヒーの種類が何か説明できないままぼくの席を去ってもう5分になる。
4、軽く一服のつもりで近所の新築のカフェに入っただけなので、携帯も本もマンガもない。
5、ぼくはとりあえず胸ポケットからマールボロのボックスを出し、一本を口にくわえながら、ライターを探った。
6、「お待たせいたしました」突然ぼくの頭上で声がし、ガチャンと音を立てて、カップとソーサーとスプーンが置かれた。
7、置かれた瞬間に少し横にこぼれたコーヒーを見て、ぼくは眉をひそめた。色が薄い・・・。
8、「すいません」ぼくはウエイトレスを見上げた。「紅茶じゃなくて、コーヒー頼んだはずなんですけど」
9、ウエイトレスは一瞬ぶすっとして、聞き取れないくらいの声で、すみませんでした、と言い、まるでぼくから奪うようにティーカップを下げて、キッチンへ戻った。
10、ぼくはため息をつきながら、ジャケットのポケットからライターを出した。どうせ、また5分や10分待たされるんだろう。
^^^^^^^^^
解説:
1、軽く主人公の五感にうったえるものを描写する。それが場面と関連づいていればなおわかりやすくなります
2、状況説明。ウエイトレスの細かい描写をすることで、機械的になるのを避けました。ただ「コーヒー」でもいいですが、ちょっと語感が良かったので「レギュラーコーヒー」。
3、ウエイトレスが仕事熱心じゃないことを間接的に描写。これで読む側は、後で「コーヒーを紅茶を間違えられる」ということを受け入れやすくなります
4&5、ちょっと待たされてる感を出しました。でも、場合によっては短く「時計を見た」くらいにしてもいい部分。単に「タバコ」ではなく種類を直接書いた方が視覚的に訴えます。
ここで「カフェ」と言っているので冒頭では曖昧にしましたが、もしここをカットするなら、最初の1文に「カフェ」と加えたほうがいいです。
6、「」のセリフキューで突然主人公の世界に割り込む。
7、正直、自分でもあんまり気に入っていない部分なのですが・・・。でも、ここで「紅茶じゃないか」とズバリ言ってしまうより、次にまわしてみました
8、主人公、初めて喋る(笑)。ここでは「普通の人」という感じですが、言い方次第で主人公の性格が表れます。
9、ウエイトレスの性格を態度で表しました。
10、この部分は修飾です。なくてもOK。でもあった方が、丁寧に終われます。
ーーーーーーーーーー
「writing down the bones」(Natalie Goldberg著・英本)という本に、「語る(tell)」のではなく「見せる(show)」、というチャプターがあります
ポイントは五感に訴えること。でもやりすぎると自己陶酔に陥ってしまうので、話の流れとバランスよく描写したほうがいいですね
meeco_seashec様、ありがとうございました。
たしかに「いまからこのシーンの映画を撮るから準備しとけ」と言われたら、
役者もセットも、すごく準備しやすそうです。
少なくとも監督から「イメージとぜんぜん違うじゃないか」という文句はつかなさそうです。
してみると、情景描写は大事だということですねえ。
自分は情景描写をほとんど入れない方なので、勉強になりました。
情景描写を入れると「なにスカしてるんだ」と言われそうですし、本来はなくてもいいはずの制約条件を増やしているような気がしてしまうのですが、
これを読むと情景描写の大切さに気づかされます。
kab_studio様、上手い!!
まったく長さを感じず、最後まで読んでしまいました。
ウェイトレスの萌えぶりも鮮やかに描写されていると思います。
まるで主人公のように翻弄されっぱなしでした。
こういう文章こそ、ぜひ1行ずつの解説が必要なのです。
うまい文章を読んでも、僕には「上手い」としか思えず、
そのうまさがどこから生ずるものなのかがわからないのです。
テクニックは本人から解説していただくと、いちばんわかりやすいので。
解説、大変だったとお察しいたしますが、
その努力分以上の勉強を、かならずさせていただきます。