電王戦2017最終局前夜

 

一ヶ月ほど前の世界コンピュータ将棋選手権で将棋プログラムelmoに負け準優勝でした。あとで検証したところ、Ponanza173勝 elomo89勝 4引分 勝率65.8%でした。(対局条件は10秒秒読み・Xeon24core ・定跡なし・クラスタなし・Deep Learning未使用)なかなか公平な対局条件をつけるのは難しいですが、まだなんとかPonanzaのが強そうと言えそうですね。

 

ただ、最近のコンピュータ将棋は半年で以前の自分に対して勝率75%くらい強くなるのが普通なことなので、このままなにもしないと半年もしないうちにPonanzaがほんとうの意味でトップではなくなりますね。

 

世界コンピュータ将棋選手権は優勝ももちろん目指していましたが、実は同じくらい大事にしていたことがあります。それは盛り上げることでした。もちろんこれは私だけの努力でなく、皆さんのおかげなのですが、とにかくよく盛り上がったと思います。

 

参加チーム数も過去最高レベルですし、また直接参加してないけど、定跡を作ったり、プログラム同士のレーティング表を作ったり、あるいは自宅のPCを参加させたりと色んなレイヤでの参加者が増えたと思います。

 

またChainerを利用してDeep Learningに成功したことも良いことでした。実際Chainerを利用したDeep LearningのプログラムをFloodgateで走らせています。
このDeep Learning、真の意味で一手も読んでないにもかかわらずアマチュア有段レベルあります。またDeep Learningをつくった将棋プログラムもPonanzaチーム以外でも複数の実装が出てきたみたいです。とにかくよく盛り上がって嬉しいです。

 

さて、長きに渡った電王戦も2017年で最後。佐藤天彦名人とPonanzaが戦います。コンピュータ将棋がここまで盛り上がったのはもちろん電王戦が盛り上がったことがとても大事なことでした。

ここまで来るのに本当に色々大変でした。何度もPonanzaが強くならずに挫けそうな日々でした。でもなんとかここまで10年がんばりました。自分のことを誇らしげに思います。

 

将棋というゲーム、コンピュータ将棋という途方もなく面白いゲームに出会えて本当に良かったです。感謝しかありません。明日は良い勝負が見られることを楽しみにしています。

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