|
テーマ:ニュース(100629)
カテゴリ:対中・対韓関係
「東京都が尖閣諸島を買う」石原知事、米シンポで表明
米ワシントンを訪問中の石原慎太郎・東京都知事は16日午後(日本時間17日未明)、現地で講演し、都が尖閣諸島を購入する方針を明らかにした。すでに個人所有者側から同意を得ているといい、年内にも都議会に提案する。尖閣諸島をめぐっては中国が領有権を主張しており、外交問題に発展する可能性がある。 石原知事は「東京都は尖閣諸島を買うことにした」と述べた。「日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか」「中国は、尖閣諸島を日本が実効支配しているのをぶっ壊すために過激な運動をやりだした。とんでもない話」と批判し、「やることを着実にやっていかないと政治も信頼を失う」と述べた。 また、知事は講演後、「尖閣諸島周辺は豊穣(ほうじょう)な漁場で、自然エネルギー開発でも大きな可能性を持っている。島々を舞台として様々な施策を展開する」との考えを示した。 ---- 確かに、尖閣諸島は日本の領土であり、中国側の言い分は、この件に関する限りまったく間違っていると私も思います。 が、それはともかくとして、尖閣諸島は沖縄県にあります。それを東京都が税金を使って購入する根拠はいったいなんでしょう。 「日本人が日本の国土を守ることに何か文句がありますか」とのことですが、それが東京都の行政に関連する範囲内のことならともかく、東京都とは縁もゆかりもない、1800kmも離れた土地をそのために購入というのは、常軌を逸しています。 だいたい、口を開けば「安全保障と外交は国の専決事項だ(だから自治体は口を出すな)」と叫んできた保守派の連中は、このことをどう思っているんでしょうか。 だいたい、強硬論を振りかざせば領土が守れると思うのは、短慮に過ぎると私は思うのです。強硬論を振りかざせば、極右の自尊心は満たされるかも知れませんが、その結果は悲惨なものでしかないと思われます。 一昨年9月に、尖閣諸島沖で中国漁船の船長が海上保安庁の巡視船に体当たりをしたとき、当時の前原国交大臣(海保は国交省の外局)が、定見のない硬直的強硬論を振りかざした挙げ句に、結局は船長釈放、送還ということになったのは記憶に新しいところです。 あのとき、ネット右翼や自民党は「弱腰」「土下座外交」などと叫んでいたけど、当の自民党が政権にあったときは、尖閣諸島に上陸した中国人活動家を逮捕すると、即刻強制送還しています。そのやり方は、はっきり言ってまったく正しかったと私は思う。逮捕した(日本が尖閣諸島を実行支配していることを示した)上で、問題大きくならないうちにさっさと送り返す、これ以上の解決策はありません。それに対して、民主党の前原がやったことと言えば、強硬論を振りかざした挙げ句に結局は釈放、問題を大きくして傷口を広げただけです。 でも、今の自民党が政権に戻ったとしたら、あのときと同じ柔軟性があるとは思えませんけどね。 尖閣諸島を巡る問題に関しては、日中両国とも、口ではお互いに強硬的な領有論を叫びつつ、実際の行動では、お互いに相手を極端に刺激するような策は避けてきています。前述のとおり、それは自民党政権の時代からずっとです。島の実効支配は、さりげなく、しかし着実に海上保安庁が押さえてきました。しかし、それ以外のことでは、無駄に対立を招くようなことは避けてきたし、それこそが島の実効支配を維持するための、ある種生活の知恵でもあったのだと思います。それをぶち壊して、成算のない強硬論を振りかざしたらどうなります。結果として島の実効支配を危機に陥れるだけのことです。 その挙げ句に戦争にでもなったらどうなりますか。尖閣諸島は日本の重要な領土ですが、しかし無人島です。誰も住んでいない島のために戦争をやって、人が死ぬのはあまりに馬鹿馬鹿しい。強硬論を振りかざす石原が真っ先に戦死するならともかく、そうはならないことは明らかですからね。 だいたい、「日本人が日本の国土を守る」と言いつつ、それを日本国内で発表せず、よりによって国外で発表するというのは、何なんだろうなと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[対中・対韓関係] カテゴリの最新記事
|