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あすなろ日記

あすなろ日記

オリジナルBL小説「落日」(第4部)

 


    オリジナルBL小説「落日」(第4部)




 僕は4Pした後、加藤君と仲直りした。誰も僕の心の中は

 覗けないのか、加藤君の恋人の地位に僕はまた納まった。

 僕は加藤君の恋人で伊藤君の友達で常磐先輩と金田先輩の

 ペットになった。

 「中間テスト近いだろ。勉強しようぜ。今から俺の家に来いよ。」

 学校の帰り道に加藤君が言った。今日は金曜日で月曜日から

 中間テストだった。常磐先輩は毎週すると言ったのに、

 不思議とあれから何も言ってこなかった。僕は今日くらいに

 また呼び出されるのかと思ってたけど違っていた。この1週間

 常磐先輩は僕が加藤君と一緒にいるのを見ても加藤君にだけ

 話しかけ、僕の事を無視し続けた。

 「うん。いいよ。加藤君に勉強教えてあげるよ。」

 と、僕が言うと、伊藤君は何か思い出したように言った。

 「麻里緒は頭が良いからな。小6の時の成績は4と5ばっか

 だったんだぜ。」

 「すっげぇ!そんなに頭良かったんだ!」

 加藤君は驚いたように言った。僕は小6の時、8科目中5が

 4つと4が4つだった。でも、それは僕が2年間も先生の家に

 通って、勉強を教えてもらっていたからで、本来の実力では

 なかった。僕は4年生までは5が1つもなかった。5年生から

 急に成績が上がったのは先生のおかげだった。

 「麻里緒に教えてもらいなよ。俺はちょっと・・・今日は

 遠慮しとくから。」

 伊藤君はそう言うと、笑顔で帰って行った。僕は伊藤君と

 一緒に勉強したかったのに残念だった。加藤君の家に着くと、

 すぐに加藤君は僕にキスしてきた。

 「あっ、ちょっと待って。勉強するんじゃなかったの?」

 キスの後、押し倒そうとした加藤君に僕は慌てた。

 「勉強するけどさ。その前にやろうぜ。」

 加藤君は僕をベッドに連れて行って、服を脱がせ始めた。
 
 僕は呆れて、ものが言えなかった。どうせやるんなら、

 勉強を口実に家に誘わなくてもストレートにやりたいって

 最初から言えば良いのに、僕は加藤君のそういうところが

 嫌いで面倒臭かった。


                              


 「あっ、ん。あっ。」

 加藤君が僕の胸を舐め始めてから何分経ったんだろう。

 最初はくすぐったかったけど、下半身を握りしめられている

 うちに気持ち良くなった。僕は全裸にスクールソックスだけの

 姿でよがり声をあげていた。先生も何故か靴下だけ残して、

 僕の服を脱がせたり、わざわざ体操服を着せてみたりと、

 訳の分からないところがあったけど、加藤君も先生と同じ

 趣味なのだろうか・・・まさか中一でマニアックな趣味はないと

 思うから、脱がし忘れただけかもしれないけど・・・

 「麻里緒。もう入れていい?」

 加藤君が聞いてきた。

 「ダメ。まだ入れないで。舐めてから。」

 僕は下半身も舐めて欲しくて、加藤君に言った。すると、

 加藤君は僕の足をV字型に大きく開かせたかと思うと、

 僕のお尻を舐めた。

 「や、ち、違っ。あっ、あん。」

 いきなり蕾に舌を入れられて、僕は焦った。先生でも

 滅多にしてくれなかったことを加藤君はやり始めたのだ。

 加藤君はきっと知識が半端で、普通は入口だけで中まで

 舐めないのに、舐めてと言われたら、舌を奥深くまで

 差し込んで舐めるものだと勘違いしている。しかも、僕は

 前を舐めてと言ったのに後ろを舐められて、それだけでも

 先生とは手順が違って焦ったのに、サプライズなタイミングで

 内壁を舐めまわされて、僕はとてつもなく感じてしまった。

 「あっ、あ、あ、ああ~」

 僕は数分間、悶え続けた。加藤君は胸の時もそうだけど、

 同じことを何分も続ける。テクがないから、余計にひたすら

 舐め続けるのだが、どこでどう知識を仕入れてきたのか

 知らないけど、内壁を5分以上舐めるなんて凄過ぎる。

 僕の身体はトロトロに蕩けて、前を触られてないのに、

 絶頂に達してしまった。

 「あっ、イク、あ、ああ~」

 僕が放つと、慌てて口を離した加藤君の顔に少しかかって

 しまった。頬についたものを拭っている加藤君に僕は謝った。

 「あっ、ごめん。」
 
 「いいよ。それより入れていい?」

 加藤君が僕の返事も待たずに入って来た。ローションを

 使ってないのに不思議と痛くなかった。先生とはサイズが

 違うから痛くないのかなって僕が思っていたら、

 「うぅ。気持ちいい。麻里緒。もう、イっていい?」

 と加藤君が腰を動かしながら聞いてきた。加藤君はやっぱり

 2分しかもたなかった。


                          


 中間テストの結果は140人中31番だった。上位2割に

 入っていなくて、僕が落ち込んでいると、加藤君と伊藤君が

 何番か聞いてきた。

 「俺、26番だったけど、麻里緒は何番だった?」

 「31番。」

 「ふ~ん。そっか。ま、次、がんばれよ。」

 伊藤君は何気に頭が良かった。そして、笑顔で励ましてくれた。

 「俺なんか102番だったんだぜ。なんで二人ともそんなに

 頭が良いんだよ。」

 加藤君はバカだった。

 「加藤も加藤なりに頑張ったじゃないか。金曜日も麻里緒と

 一緒に勉強したんだろ?次はきっと100番以内に入れるよ。」

 伊藤君は優しく加藤君を慰めたつもりだったけど、金曜日は

 Hだけして、勉強しなかったから、加藤君は更に落ち込んで

 しまった。僕たちがほうきを片手にため息をついていると、

 「なんだ、おまえら。ボーっとしてないで掃除しろよ。」

 と、廊下を通りがかった生活指導の体育の先生に注意された。

 「ケッ。誰が掃除なんかしてられっかよ。」

 先生が通り過ぎてから、加藤君が小声で悪態をついた。

 「ま、そう言わずに、さっさと掃除終わらせようぜ。」

 加藤君の肩をポンポンッと叩いて伊藤君が言った。

 「僕、ゴミ捨ててくるよ。」

 僕はゴミ箱を持って、教室を出た。伊藤君は加藤君と

 友達になったのが不思議なくらい真面目で良い子だった。

 校舎裏のゴミ捨て場の前まで来ると、坂田たちがいた。

 僕はしまった!と思った。いつもは伊藤君と二人でゴミ捨てに

 行くのに、サボってて掃除が遅くなったから、つい僕一人で

 来てしまったけど、坂田たちと会うくらいなら、掃除の時間に

 間に合わないほうがよっぽどマシだった。

 「なんだよ。麻里緒。珍しく一人か?」

 坂田がニヤッと笑って、僕に話しかけた。

 「中間テスト、何番だった?小学校の時は良い点ばっか

 取ってたけど、今回は悪かったんじゃないのか?おまえ、

 小学校の時は神崎にテスト問題教えてもらってただろ?」

 いいがかりだった。確かにテスト問題に酷似した練習問題の

 プリントを僕の為だけに先生は作ってくれたり、どことどこは

 テストまでにちゃんと覚えてきなさいと僕に教えてくれたり

 したけど、テスト問題を見せてくれたことは一度もなかった。

 「その顔は相当、悪かったみたいだな。何番だったか言えよ。」

 ニヤニヤして聞いてくる坂田に勇気を出して僕はこう言った。

 「教えてくれたら、教えてやるよ。でも、どうせ坂田君たちは

 3人とも100番以内に入ってないだろうけどね。」

 「なんだと!馬鹿にするな。俺は95番だぞ!」

 「僕は31番だったよ。」

 勝った!っと、思ったのも束の間、僕は坂田にゴミ箱を

 ぶつけられた。


                    


 「麻里緒のくせに生意気だぞ!」

 坂田に蹴り飛ばされて、僕は地べたに倒れ込んだ。

 「俺より100番も順位が上だったからって威張んなよ!」

 一之木が僕を蹴って言った。すると、竹内が

 「おいっ!俺ら二人とも130番以下だってバレんだろ。」

 と、一之木に言った。坂田にいつもくっついている二人は

 小学生の頃から出来が悪かったけど、中学になって一段と

 成績が下がったようだった。坂田は昔から中の下くらいの

 成績だったから、100番以内に入れて、内心ホッとしていた

 のだろう。でなければ、自分から学年順位を言うはずがない。

 3人は僕を取り囲むようにして何度も蹴った。

 「ホモのくせに生意気だぞ!ホモは社会のゴミだ!おまえ

 みたいな奴はこうしてやる!」

 坂田がゴミ箱を僕の頭にかぶせた。僕の顔は鼻かんだ

 ティッシュや掃除の時にちりとりで集めた床のゴミとかに

 埋もれてしまって、僕はゴミ箱の中で泣きそうになった。

 「ハハハ・・・ざまぁみろ!いい気味だ!」

 坂田は大笑いして僕を罵り、僕の腹を踏みつけた。すると、

 ぎゅうっと押し潰されるような激痛が腹部に走った。坂田が

 僕の腹の上に両足で乗っかったのだった。

 「うあっ!ううっ!い、痛い!」

 僕は坂田に腹の上に立たれて、呻き声をあげた。

 「すみませんって10回言えよ。言わないと、こうだぞ!」

 僕の両足の太ももに一之木が乗っかって立った。

 「ううっ!あ、足が潰れる!い、痛い!やめて!」

 「早く謝れよ!でないと、もう一人追加だ!」

 僕の下腹に竹内が乗っかって立った。

 「うぎゃぁぁ!」

 と僕は悲鳴を上げた。自分よりも大きな3人に身体の上に

 立たれて、僕は内臓が潰れた気がした。

 「すみません。すみません。すみません。すみません。」

 僕は泣きながら、すみませんと言った。

 「おいおい。すみませんって10回言えって言ったのに、4回

 しか言ってないぞ。おまえは数も数えられないバカなのか?」

 坂田たちが僕の身体から降りてから意地悪く言った。

 僕はゴミ箱から這い出て、すみませんと10回言った。

 「二度と生意気な口きくんじゃねぇぞ!」

 坂田たちは捨て台詞を吐いて、笑いながら去って行った。





 僕は痛くて、しばらく立ち上がれなかった。泣きながらお腹を

 押さえて、地面にうずくまっていた。胃と腸が潰されたように

 痛い。大腿骨も骨折してないか心配なくらい痛かった。最初、

 坂田は大腸と小腸の上にバランスをとりながら立っていたが、

 竹内が乗る時に一歩前につめて、胃と小腸の上に乗り、

 竹内はへそをはさんで大腸の上に立った。坂田が肋骨を

 避けたおかげで骨は折れなかったけれど、3人合わせて

 150キロ近くもあるから、病院に行ったほうがいいかもしれない

 と思った。とりあえず、保健室に行こうかと考えながら、

 地面に倒れていると、金田先輩が現れて、

 「麻里緒、大丈夫か?」

 と、僕に声をかけた。

 「ひっでぇことするな。常磐に頼んで、シメてやろうか?」

 金田先輩は少し怒った顔で言った。坂田に苛められないように

 加藤君と伊藤君にくっついているのが精一杯だった僕が

 坂田に復讐できるなんて、今まで考えた事もなかった。

 思いがけない金田先輩の提案を僕は有難く受け入れた。

 翌日、僕らは昼休みに坂田たち3人をトイレに呼び出した。

 金田先輩の企てた計画はこうだった。まず、加藤君が坂田に

 話があるからと言って、誰の邪魔も入らないトイレで3対3で

 話をしようとトイレまで誘き出す。麻里緒を苛めないでくれと

 真剣な顔で言えば、坂田はきっと油断する。向こうもあれだけ

 のことをして、加藤君が何も言って来ないわけがないと

 思ってるから、喧嘩にならなさそうな雰囲気なら、警戒しないで

 トイレまでついてくるに違いない。そこで、常磐先輩と金田先輩は

 トイレの中で待ち伏せするという計画だった。案の定、坂田は

 ひっかかった。トイレの扉を開けた瞬間、凍りついた顔をした

 坂田の背中を加藤君は思い切り蹴り飛ばした。脅える竹内と

 一之木も加藤君と伊藤君は無理やりトイレに引きずり込んだ。

 トイレの床に倒れ込んだ坂田の胸ぐらを常磐先輩は掴んで、

 こう言った。

 「よくも麻里緒を踏んづけてくれたな。俺の舎弟に手ぇ出したら

 どうなるか思い知らせてやる!」





 「昔から常磐にたてついた奴は便所の水飲みと決まってんだ。

 麻里緒は常磐の舎弟だ。その舎弟をボコったんだから、

 覚悟しろよ!」

 金田先輩が言った。

 「すみません。俺達、舎弟だとか知らなくて・・・」

 坂田は言い訳をしようとしたが、常磐先輩は坂田の胸ぐらを

 片手で掴んだままトイレの個室のドアを開けて、坂田を中に

 放り込んだ。転んでトイレの床に手をついた坂田の頭を

 後ろから掴み、和式トイレに押し付けた。坂田の顔が便器の

 ふちについた時に

 「うわぁああ」

 と坂田は悲鳴をあげた。便器の中の後方に茶色いシミが

 ついていたのだった。半狂乱になって暴れる坂田の背中に

 馬乗りになった状態で常磐先輩は坂田の両腕を後ろ手に

 捩じ上げた。金田先輩が坂田の首根っこを掴んで、頭を

 便器の中に引き摺り落とした。泣き喚く坂田に金田先輩は

 容赦なくトイレの水を流した。

 「うぅ・・・ガッ。ハァッ。ゲホッ。ゲホッ。」

 トイレの水を飲まされた坂田は苦しそうだった。水の勢いは

 強く、息を止めても何度も襲い来る流水に窒息寸前になり、

 坂田は溺れて、口を開いてしまい、汚水を飲んだのだった。

 3回連続水を流すその行為は5回繰り返された。

 「そろそろ勘弁してやるか。」

 常磐先輩はそう言うと、坂田の体から離れた。金田先輩が

 再び坂田の首根っこを掴んで便器から引き摺り出した。

 坂田は溺死したかと思うくらいにぐったりしていた。一之木と

 竹内は声も出せずに怯えていた。

 「次は誰にする?」

 金田先輩がそう言った瞬間、一之木が失禁した。

 「うわっ!汚ねぇ!」

 一之木を捕まえていた加藤君が手を放した。

 「なんだ。ビビってションベン漏らしたのか?情けねぇな。」

 常磐先輩が笑った。濡れたズボンの前を手で押さえて、

 一之木は泣き出してしまった。醜態を晒した一之木を皆は

 嘲笑った。

 「土下座しろ。麻里緒に謝ったら、おめぇら二人は許してやる。」

 金田先輩が竹内に言った。竹内と一之木は二人並んで

 トイレの床に両手をついて頭を下げた。土下座する二人を

 見て、僕はいい気味だと思った。

 「麻里緒、これでいいか?」

 金田先輩が僕に聞いた。僕はトイレの床に倒れている坂田を

 見た。坂田は気絶しているわけではなかった。ゲホゲホと

 水を吐いている坂田を見て、僕は

 「坂田は土下座しないの?」

 と言った。





 「おい。おまえも土下座しろ。」

 金田先輩が坂田に言った。坂田はもう逆らわなかった。

 よろよろと僕の前にやってきて、土下座した。

 「すみませんって10回言えよ。」

 僕は勝ち誇ったように坂田に命令した。

 「・・・」

 坂田は頭を下げたまま悔しそうに黙っていた。

 「どうした?早く謝れ。」

 金田先輩が坂田に言った。すると、坂田はまるで棒読みを

 繰り返すように

 「すみません。すみません。・・・」

 と、小さな声で10回言った。

 「感情がこもってないな。それに声が小さくて、何言ってるのか

 聞こえないよ。」

 僕は坂田に昔、言われた事を思い出して、意地悪な口調で

 言った。すると、坂田が顔を上げて、憎しみを籠めた目で

 僕を睨んだ。

 「何?その目?今まで僕にしてきたことを考えたら、罰を

 受けるのは当たり前だよね?僕がどうして小学校4年生の時に

 学校に行けなくなったか分かる?トイレの床を舐めろって、

 強要されて、僕が拒否したら、トイレのデッキブラシで顔面を

 擦ったよね。僕が諦めて、床を舐めたら、翌月には便器を

 舐めろって言ってきた。その時は小便器の外側でいいって

 言ったけど、その次は内側を舐めろってきっと言うに決まってる。

 だから、僕は学校に行かなくなったんだ。毎日、殴る蹴るされて、

 土下座させられて、雑巾を舐めろとか無理難題を命令されて、

 僕は頭がおかしくなりそうだったよ。」

 僕の瞳からは涙が溢れた。過去を思い出しただけで辛くて、

 泣けてきたのだった。

 「謝れ!」

 僕は泣きながら坂田の頭を蹴った。怒りに任せて、何度も

 足を上から下へと踏み下ろすようにして後頭部を蹴った。

 坂田はトイレの床に顔をつけたまま呻き声をあげていた。

 「やめろ!もう、そのくらいにしておけ。」

 伊藤君が僕を後ろから抱きしめた。

 「これ以上、やったら、病院送りになるぞ。」

 血が坂田の顔面から滲み出ていた。若干斜めを向いていた為、

 鼻は折れなかったが、鼻血が出ていた。唇も切れて、血が

 出ていたし、額と頬は擦り剥けて、真っ赤になり、所々切れて

 血が流れていた。

 「麻里緒が辛かったのはもう分かったから。俺は麻里緒を

 ずっと見てきて知ってるから。だから、もう、やめよう。
 
 こんなこと、もう、やめろよ。」

 伊藤君は僕の耳元で必死に説得した。痛みに耐えかねて泣く

 坂田を見て、僕は警察沙汰になる前に伊藤君が止めてくれた

 ことに気が付いた。僕は伊藤君に後ろから抱きしめられて、

 伊藤君の顔が見えなくても伊藤君の優しさが伝わってくるのが

 分かった。それは怒りも悲しみも総て伊藤君が受け止めて

 くれると錯覚を起こすような優しさだった。





 坂田は保健室にも行かずに早退し、3日間学校を休んだ。

 親には転んで顔面を擦り剥いたと嘘をついたらしい。

 常磐先輩が誰にも言うなと口止めしたのが効いたのか、

 竹内と一之木も誰にも言わなかった。プライドの高い坂田は

 生まれて初めて苛められて、よっぽどショックだったのか、

 喧嘩で怪我をしたと勘違いした親や学校の先生に何を

 聞かれても固く口を閉ざしていた。絆創膏だらけの顔が

 痛々しくて、僕は伊藤君が止めてくれなかったら、今頃、

 警察に傷害罪で捕まっていたかもしれないと思った。

 復讐して警察に捕まったら、復讐した意味がないから、

 我を失っていた僕を正気に戻してくれた伊藤君に感謝した。

 伊藤君はやっぱり頭が良い。僕は伊藤君と友達で良かった

 と思った。それに比べて加藤君は馬鹿だった。一歩間違えば

 警察沙汰になるところだったのに、まるで僕の武勇伝を

 邪魔したかのごとく伊藤君を批判した。坂田なんか徹底的に

 叩き潰せばいいのに何故止めたのかと伊藤君に文句を

 つけたのだ。僕の事は惚れ直したと褒め称え、伊藤君の事は

 気が小さいとけなしたのだった。しかも、常磐先輩の事を

 信用しているのか、常磐先輩の命令には絶対に逆らわない。

 金曜日、一人で常磐先輩のマンションに来いと言われて、

 僕は夕方、常磐先輩の家の前まで来たけれど、常磐先輩に

 抱かれるのは気が進まなかった。金田先輩も一緒だから

 大丈夫と言われても加藤君抜きでというのは何かおかしい

 と僕は思った。玄関のインターホンを押そうか迷っていると、

 ドアが開いて、金田先輩が出てきた。

 「何やってんだ。早く中に入れよ。遅いぞ。麻里緒。」

 「すみません。」

 僕はペコッと頭を下げた。リビングに連れて行かれて、僕は

 驚いた。見知らぬ男が2人ソファに座っていて、テーブルに

 缶ビールと缶酎ハイとスナック菓子が並べてあったのだ。

 「今日はパーティーだ。3年の先輩達が麻里緒の話を聞いて、

 遊びたいって言うからさ。俺と常磐で企画したんだ。まぁ、

 合コンだと思ってくれよ。」

 金田先輩がにこやかに言った。

 「ここ座れよ。」

 3年の先輩が自分たちの隣に僕を座らせた。

 「何飲む?缶酎ハイでいい?」

 金田先輩が缶酎ハイを僕に手渡した。

 「乾杯しようぜ。カンパ~イ!」

 乾杯してから5人で一斉にお酒を飲んだ。常磐先輩たちは
 
 ビールだった。

 「聞いたぜ。おまえ、1年で番はってる奴を蹴って、全治

 1週間の怪我させたんだって?」

 「・・・」

 3年の先輩に坂田の事を聞かれて、僕は何て答えて良いのか

 分からなくて、黙ってしまった。

 「常磐に頼んで、便所の水飲みさせたってことも聞いたけどさ。

 人にシメてもらっただけじゃなくて、自分でもやったってとこが

 スゴイよ。」

 もう1人の3年の先輩がフォローして、僕を褒めた。

 「麻里緒の武勇伝を話したら、ぜひ会いたいって言われたんだ。」

 と金田先輩が言った。

 「そうそう。俺もおまえのこと見直したよ。」

 常磐先輩も僕の事を褒めた。

 「今日はパーッといこうぜ。」

 金田先輩がニコニコ笑って言った。僕は何故褒められるのか

 よく分からなかったけど、皆にちやほやされて、嬉しかった。





 みんな僕に優しかった。パーティーは楽しくて、ポッキーゲーム

 をして盛り上がった。僕はポッキーを銜えて目を瞑り、端から

 モグモグと食べて、3年の先輩たちとキスをした。最初はただ

 唇に触れるだけのキスで、次第にだんだんと濃厚なキスに

 なっていった。僕は酔っぱらっていたせいか舌を絡めて

 チョコレートの味のする舌を味わった。僕が気持ち良くなって

 いると、3年の先輩が僕のTシャツの中に手を滑り込ませ、

 胸の突起を指で摘まんだ。

 「あっ。やっ。」

 「なんだよ。もうそろそろいいだろ?」

 そう言って、3年の先輩達は僕のTシャツをまくり上げ、

 僕のズボンのベルトを外して、脱がそうとした。

 「やっ、やだ。やめてください。」

 僕が助けを求めるように金田先輩を見ると、

 「いいじゃんか。減るもんじゃなし。まわさないから安心しろよ。」

 と言って、金田先輩はヘラヘラ笑った。

 「今更だろ?やらせろよ。それに今日は先輩たちが3Pしたい

 って言うから、おまえを呼んだんだ。俺が企画したのは

 合コンじゃなくて、ヤリコンだ。」

 常磐先輩が冷めた目で僕を見て言った。僕はちやほやされて

 有頂天になっていた自分の愚かさを悔やんだ。常磐先輩が

 本気で僕の事を褒める筈がなかったのだ。僕は3年の先輩

 2人にあっという間に全裸にされてしまった。

 「あっ。あっ。」

 ローションをお尻に塗られて、ヌルッとした感触と共に指が1本

 中に入って来たと思ったら、中指でグルグルっと掻き回された。

 体内を探るように指を動かされて、僕は少し痛くて嫌だった。

 もう一人は両方の胸の突起を指で摘まみ、弄り続けている。

 僕はまるで胸を捕らえられて拘束されたみたいで、不思議と

 感じてしまった。上半身が気持ち良くなると下半身も気持ち

 良くなるのか、最初は嫌だったのに、次第に体内も緩んで、

 気持ち良くなってきた。やがて、指が僕の良い所を捉えると、

 僕は前を触れられてもいないのに、先端から蜜を滴らせた。


   


 「入れるぜ。」

 3年の先輩はそう言うと、僕の中に入ってきた。固くて

 大きなものが肉を掻き分けるように入ってきて僕は声をあげた。

 「ああっ。い、痛い。あっ。ああっ。」

 「淫売のくせに痛いのかよ?クッ。きつ。小学生の頃から

 やりまくってるって聞いたのに、何でこんなに狭いんだ?」

 「やりまくってた相手のサイズが大人のわりに小さくて、

 俺と同じ大きさだったからだろ?先輩のは学校で一番

 デカいから、痛いんだろ。」

 常磐先輩が笑った。

 「中学生サイズって小せぇな。確かに俺のはデカいからな。

 そんで、痛がってんのかよ?」

 3年の先輩が満足げに聞いてきた。先生が小さいなんて

 嘘だと思った。僕は常磐先輩が大人並みに特別大きいと

 思ってたのに、先生のほうが小さかったなんて。僕は先生の

 でも最初は痛くて、慣れるのに半年か1年かかったのに、

 他の大人はもっと大きいって聞いたら、この先どれだけ

 痛い思いをするのかと思うと、なんだか怖くなった。

 萎えてきた僕を見て、金田先輩が心配そうに

 「おい。そんなに痛いのか?」

 と聞いてきた。僕が涙目になって、コクリと頷くと、金田先輩が

 僕のものを握って、

 「ここ触ってやるから、身体の力抜け。痛いって思うから

 痛いんだ。気持ち良いほうに集中したら、痛くなくなるから。

 我慢しろよ。」

 と言った。僕は金田先輩が優しいと思った。金田先輩に身を

 任せたら、だんだん気持ち良くなって痛みが薄らいでいった。

 「あっ。ああ。ああ~」

 僕は嬌声を上げながら、激しく突いてくる痛みに耐えた。やがて

 3年の先輩が僕の中で果てると、身体いっぱいに入っていた

 大きなものが抜き取られ、代わりに小さなものが入ってきた。

 もう一人の先輩が僕の身体の中に入ってきたのだった。

 2人目は全然痛くなかった。でも、金田先輩はそのまま

 愛撫を続けてくれた。僕が歓喜の声をあげて絶頂に達すると、

 小さいほうの先輩も僕の中で果てた。





 僕がティッシュで身体を拭いて後始末をしていると、3年の

 先輩達が財布から5千円札を出して、金田先輩に差し出した。

 「へへっ・・・毎度あり。」

 金田先輩はティッシュで拭いたばかりの手で、それを受け取り、

 僕に1枚渡して、

 「麻里緒は5千円で良いよな。パーティーの酒代とかもいったし、

 1万円のうちの半分の5千円は俺と常磐の企画料っていうか

 斡旋料ってことで。」

 と言った。僕は最初、金田先輩が何を言ってるのか意味が

 分からなかった。

 「麻里緒も気持ち良い事して金が儲かるんだから良いだろ?

 麻里緒のこと話したら、やりたいって奴がいっぱいでさ。

 これから毎週よろしく頼むよ。」

 金田先輩が笑顔で僕の手に5千円札を握らせようとした。

 僕は思わず、

 「要らない。」

 と言って、5千円札を投げ捨てた。

 「おい!金は受け取っとけよ!麻里緒の苦しむ顔が見える

 だけで十分俺は楽しめるから最初はまわすつもりだったんだ。

 それを金田がタダなんてもったいないし、まわすのは可哀相だ

 って言うから、1人5千円って値をつけて、このパーティーを

 企画したんだぜ。金が要らないって言うなら、麻里緒の

 取り分なしで俺と金田の2人で分けるぞ。これから先も

 何十人って客をとらせてやる。タダで男と寝たいなら、それでも

 構わないぜ。麻里緒は公衆便所になりたいのか?」

 常磐先輩が恐い顔をして僕に言った。すると、金田先輩が

 床に落ちた5千円を拾って、もう一度、僕の手に握らせた。

 「悪い事は言わないから、受け取れよ。常磐は本気だぞ。

 公衆便所と娼婦とどっちが上だと思う?麻里緒は便所には

 なるな。」

 金田先輩がいつもと違って、真剣な目をしていたので、僕は

 5千円を黙って握りしめた。僕は身体を売る人間は最低だと

 思っていた。小学生の時に100万円で魂を売ったと人から

 罵られ、身売りされたと嘲られた時も示談金なのだから

 恥じる事はないと自分に言い聞かせた。優しかったお兄さんが

 刑務所に入ったら可哀相だからお金を受け取っただけで、

 お金に目がくらんだのではないと胸を張って人に言えた。

 僕がそう言ったら、皆はホモだって僕の事をいじめたけど、

 僕は間違った事はしていないのだから、今まで身体は穢れても

 心は穢れていないと自分では思っていた。今日だって僕は

 男の数が7人から9人に2人増えただけだと思っていたのに

 身体を売られていたなんて知らなかった。僕は何があっても

 身体を売るなんてしたくなかった。お金を受け取ったら、僕の

 魂が穢れるような気がしてたから、本当にお金は要らなかった。

 僕の心はとうに腐り果て、善悪の区別さえ失くしていたけれど、

 僕はいつまでも被害者のままでいたかったのかもしれない。

 今日、僕は脅しに屈して、自分がなりたくない最低の人間に

 なってしまった。僕の瞳からは涙が溢れ、手に握りしめている

 5千円札にポタポタと落ちていった。濡れてしわくちゃになった

 ボロボロのお札は僕の心に似ていた。僕は破れそうになった

 5千円札をいつまでも握りしめて泣き続けた。


                             (完)






  落日



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