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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲を見ててALWAYS 三丁目の夕日のことを思い出した(どっちもWikipediaに項目があるというのが、なんだかなあ)。
昭和ノスタルジーに関しては以前に書いたことがあるんだけど、今改めて検索してみると、やはりこの2作品を並べて論評している人が結構いる。しかし興味深いことに、その中には「どっちも(過去の風景を見て)感動した」「(片方)を楽しめた人は(もう片方)も楽しめるはず」という風に、2作品を並列させた書き方をしているところが少なからずあった。ひょっとしたら、(僕のように)対置的な書き方をしている人の方が少ないのだろうか。
「オトナ帝国」の主題は紛れもなく、ノスタルジーを持ち上げる傾向に対する批判だ。主題という点に着目する限り、「オトナ帝国」の主題に共感した人は「ALWAYS」を受け入れ難く、逆に、「ALWAYS」に共感した人は「オトナ帝国」を受け入れ難い、というのが「普通の反応」ではないだろうか?
両者を共にオススメしている人のエントリに共通しているのは、「ALWAYS」が気に入った人なら「オトナ帝国」も気に入るだろう、という方向での書き方のように思える。逆方向の書き方をしている人でも、その内容はあくまで「オトナ帝国で描かれたノスタルジックな世界が気に入った人は、ALWAYSも~」というもののように思えた。「オトナ帝国のノスタルジー批判を気に入った人は、ALWAYSも~」という内容のものは、僕の見た範囲では見あたらなかった。
今の若い人間は、作品や世界の中で自分の気に入ったごく一部分だけを切り出して、その部分だけに「萌え」てばかりいる。全体を見て判断するということをしない。……という批判を、「萌え」世代のオタクに対して向けている人がいた。結局おまえらは自分好みのかわいくてエロい美少女キャラ(腐女子であれば、萌えられる美男子キャラか)がいれば物語の出来はどうでもいいんだろ、という意味合いで。批判対象を「世代」という枠で括っていた。
しかし「ALWAYS」と「オトナ帝国」の2作品に対する上記のような見方というのは、それと大して違わないように僕には思えた。そしてそれをしているのが、実際にその昭和時代を生きた人達、下手したら40とか50とかになるような人だったりする。
言うまでもなく、一般映画の「ALWAYS」と子供向けアニメ映画(という風に見られがちなジャンルにある)「オトナ帝国」では、「ALWAYS」の方が認知度が高いだろう。そして、主題を見ずに好きなところだけを見るという「萌えオタク」に見られるような傾向はどうやら、「ALWAYS」の支持層にだけ見られるものであるようだ。
その一方、「萌えオタク」は、「オタク趣味について深い造詣を持ち作品について熱く深く語ることのできる、そして時には次の作品を生み出すことすらもする」という第1世代・第2世代のオタクに対する、新種の第3世代のオタクとして語られている。その発生要因は「オタク文化の一般化によって障壁が無くなり、自分の思い通りにならない現実からの逃避先として、オタク趣味を選択する者が増えたから」という風に言われている。
つまり何が言いたかったかというと、オタクというごく一部の人々がダメになったと言うよりも、日本人が元々全体的にダメだったんだな、ということを思い知らされる一つの事例なのでした、ということで。
どうせ同じオタクなので大差ないかもしれませんが、映画オタクにとってある要素をとりあげて評価するのは全く普通のこと、それこそ萌えオタク以前からの慣習です。「ストーリーはクソだが映像は素晴らしい」という言説が、そこそこ好意的な評価として通用します。主題と関係なく、むしろストーリー上は否定的に位置付けられたモチーフに注目して評価することも同様です。そういったモチーフを丁寧に作る製作者の職人的な姿勢は好まれます。
で、何かというと、大人帝国でノスタルジーの描き方をとりあげて評価してもいいし、ノスタルジーの観賞目的で人に薦めてもよいということです。映画の観賞というのは、もうずっと以前からそういうものだったと。
本当は漫画だろうがアニメだろうが同様だと思うのですが(オタク教養主義の頃は実際そういうものだったのでは)、もし主題に沿った観賞や評価の仕方しか許されないのであれば、そちらの方が成熟していないのでは。
まぁこんなところまで萌えオタクを持ち出されてもちょっとなぁ、ということです。
「俺の方が成熟してるぜ」「いや私の方が」「拙者の方が」論争を誘発してしまいましたね。反省。
一部分のみを採り上げて「萌える」事それ自体はいいことでも悪いことでもないとは思います。萌えオタの話を引き合いに出したのは、単に、第3世代オタク(萌えオタ)のそういう傾向を指して「望ましくない」と表現している人がいたように記憶していたので、それに対して「望ましくない度合いで言ったら五十歩百歩じゃん」と揶揄したかったからです。
ところでそれはそれとしても、懐古趣味に傾倒する事への批判が主題となっている作品の中で描かれた懐古趣味的映像について「素晴らしい」と無邪気に表現することは、僕にはどうしても、戦争反対をテーマにした映画の中での戦車や戦闘機の描写に興奮して「軍ヲタなら絶対見とけ!」とはしゃぐような不謹慎な事であるように思えてしまいます。まあ、僕自身もかっこいいメカさえあればそれでいいとか言いかねない人間ですから、そういう見方を「してはいけない」とまで言うつもりはないです。が、それが時に不謹慎なものになり得るということについては、自覚的であるべきだと自分では思っています。
スターシップトゥルーパーズとプライベートライアンを
並べてお勧めするようなもんか?とも思ったけど
どっちも反戦(?)映画だし、燃えどころも似てますね。
「史上最大の作戦」の後に「プライベートライアン」をお勧めするようなかんじではないでしょうか。
の末尾に2020年11月30日時点の日本の首相のファミリーネーム(ローマ字で回答)を繋げて下さい。例えば「noda」なら、「2006-10-01_nostalgia.trackbacknoda」です。これは機械的なトラックバックスパムを防止するための措置です。
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