イベントレポート
Officeが開発者にもたらす多大なビジネスチャンス
(2016/4/1 12:39)
アメリカ サンフランシスコで開催中のMicrosoftによるソフトウェア開発者向け会議「Build 2016」の2日目。基調講演の後半はアプリケーション&サービスグループ担当エグゼクティブ バイス プレジデントチー・ルー氏が担当した。
もちろんテーマはOfficeだ。ルー氏は、Officeがデバイスを問わず10億人以上のユーザーへのアクセスを開発者に与える世界でも稀有なプラットフォームであることを強調した。
ルー氏は生産性を再発明するにあたって、モバイル体験、コラボレーション、どこでもインテリジェンス、いつでもセキュリティという4つの要素を挙げる。そして、それを的確にフォローしてかたちにすることで、開発者に多くのチャンスがもたらされるとした。つまり、Officeプラットフォームにはビジネスチャンスがあふれているということだ。
Officeサービスに接続するインテリジェントアプリを作るデモでは、Microsoft Graphが使われていた。これは昨年(2015年)秋に提供が開始されたMirosoftクラウドサービスを活用するためのAPIエンドポイントだ。これによって数々のOfficeサービスと接続し、Officeアドインを開発することができる。アドインはリボンのインターフェイスとして実装することができ、ユーザーはデフォルトのリボンと同じ感覚でそれらのアドインを使うことができる。
しかも、そこで使われるのはWebの技術であり、プラットフォームを超えた活用が可能だ。決してWindowsに限られたソリューションではない。具体的にはVisual Studioを使い、シンプルなJavaScriptでコードを書けばいい。かつて、VBでのソフトウェア開発に苦しんだ経験のある開発者には夢のような話だ。また、この日は、Office for Macのサポートが加わったこともアナウンスされた。
ゲストとして登壇したスターバックスのCTO、ジェリー・マーティン-フリッキンジャー氏は、開発中のOutlook用スターバックスアドインを紹介、ミーティングの依頼をOutlookを使ってギフトカードとして送り、受け取った側は、モバイル端末で店に向かう途中で事前注文までできてしまうというものだ。これによって本来ならスターバックスを選ばなかった顧客がスターバックスに来店し、新たなリピーターとして繋がってもらえる可能性があるという。
ルー氏は、初日の基調講演でナデラCEOが打ち出した「プラットフォームとしての会話」についても触れ、今、Webはモバイルの時代となり、たくさんのアプリがありすぎて、それをダウンロードしてインストールしてもらうのは難しいとした。だからこその自然言語UIであり、これからは、メッセンジャーアプリなどを会話のためのキャンバスとして使い、その中のインタラクションで求める結果を得るのが当たり前になっていくだろうとした。そして、その世界の実現のために、Office 365 Group ConnectorsやSkype for Bisiness Web & Mobile SDKといった環境が紹介された。
こうしたソリューションを矢継ぎ早に展開してきたところを見ると、どうやらMicrosoftは新しいUIとしての自然言語を真剣に考えているようだ。その技術が既に形になっている「りんな」や「Cortana」の動向には注意を払っておきたい。