株式投資と読書 バフェットの読書法
中桐啓貴
株式会社クロスメディア・パブリッシング
静かなところでひたすらに読む
バフェットは1日をどのように過ごしているのでしょうか。
5、6時間を読書、1、2時間を電話、そして他の時間を考えることに費やしているそうです。
読書によって、過去の知識を得て、電話によって他の人の意見を聞き、考えることによって独立的に決断をするということだと思います。
パートナーであるマンガーも「大量の書物を読まずして、広い分野にまたがる、真に優れた投資家にはなれない。優れた投資家というのは読書家である。これには例外は1つもない」と言っています。
マンガーはまた、「私は伝記中毒と自称し、1日1冊本を読む。知恵を磨くことは道徳的義務である」とも言っております。
バフェットの師匠であるベンジャミングレアムは、その著書の中で「金融、会計、株式市場のノウハウについて広範な知識を持っているが、投資には向いていない人より、投資向きの資質を備えている普通の人のほうがはるかに大きな利益を上げているのを私たちは見てきた」と書いています。
つまり、短期的な株価の変動というのは、金融の知識で説明できますが、長期的な変化というのは金融の知識だけで見通すことができません。
人の織りなすマーケットを理解するには、多種多様な本を読むことによってしか得られないということです。
また、バフェットも、ウォール街の喧騒から離れたオマハで年次報告書から哲学書、歴史書までを丹念に読み込むことで冷静な投資判断ができるといっており、ある調査会社がアメリカにある運用会社の成績を調べたところ、NYに本社のある運用会社より、西海岸にある運用会社のほうが成績がよかったという結果が出ているそうです。
偉大な投資家というのは偉大な読書家でもあり、寸暇を惜しんで読書をしたからこそ、トレンドを見極め、短期的なモメンタムに動じないように思います。
マーケットがパニックになっているときこそ、これまでの読書の堆積を生かし、買いかどうかの判断をし、あとはまた静かなところで読書にふける、そうすると少しはバフェットに近づけるかもしれません。
まずは、多読をすることによってそのベースをつくり、その上で自分に必要なジャンルの本を読んでいくことによって、あなたの投資脳はより鍛えられていくと思います。
株式投資と読書 マンガーの智慧とは
トレン・グリフィン
パンローリング株式会社
智慧
そもそも基本的な智慧(worldly wisdom)とは何なのでしょうか。
その最初のルールは、バラバラな部分を集めて総和としても、全体として機能することはないということです。
それらの事実を理論の縄としてあざなうことができなければ、使えるものにはならないのです。
―チャーリー・マンガー(1994年のUSCビジネススクールでの講演)
知識は、幅広い分野の大きなアイデアを、その一部ではなく、全部を繰り返し使って考えていかなければなりません。
ほとんどの人はひとつのモデル(例えば、経済学)で訓練されているため、そのなかでですべての問題を解決しようとします。
古いことわざにもあるように、「金槌しかもっていない人には、すべての問題が釘に見える」という状態です。
しかし、これは問題の賢い対処方法とは言えません。
―チャーリー・マンガー(2000年のウェスコ株主総会)
すべての智慧を持ち合わせている学問分野はありません。
詩を研究している教授に、世間的な常識を持ち合わせていない人が多いのはそのためです。
彼らの頭には十分なモデルが入っていません。
―チャーリー・マンガー(1994年のUSCビジネススクールでの講演)
モデルとはどういうものなのでしょうか。
まず、最初のルールは複数のモデルを持つことです。
いつも使っている一つか二つのモデルしかないと、人の心理は現実をねじまげて自分のモデルに合わせるようにできているからです。
―チャーリー・マンガー(1994年のUSCビジネススクールでの講演)
マンガーは、彼が智慧(worldly wisdom)と呼んでいる取り組み方を、ビジネスにも人生にも応用している。
彼は、幅広い分野(心理学、歴史、数学、物理学、哲学、生物学ほか)の異なるモデルを用いれば、人はそれらを組み合わせて総合的なアウトプットを生み出すことができ、それにはパーツ(知識や知恵)の寄せ集めよりも高い価値があると考えている。
ロバート・ハグストロームは、智慧に関して書いた「インベスティング―ザ・ラスト・リベラル・アート」(Investing:The Last Liberal Art)という素晴らしい本の中で、「さまざまな知識分野が絡み合うと、その過程でそれぞれが強力になる。思慮深い人は、それぞれの知識分野からカギとなる重要なメンタルモデルを引き出し、それらを組み合わせ、すべてが融合した理解を生み出すことができる。幅広い見方をするための研鑽を積んでいけば、智慧は自然に身についていく」(ロバート・ハグストローム著「ラティスワーク(Latticework)」2000年)と述べている。
株式投資と株式会社と資本主義
橘 玲
株式会社文藝春秋
株式というのは、会社(船)の所有権をバラ売りしたものである。
だがこの権利には、大きな特典がついている。
会社がつぶれても、船が嵐で難破しても、どのような不測の事態が起きたとしても株主は出資額以上のお金を弁済する必要はないのだ。
この「有限責任」の約束があるから、みんな安心して株を買える。
何しろ損は限られているが利益は(理屈の上うえでは)無限大、というおいしい話なのだ。
こうして、アイデアと野心しかない無一文の若者でも、事業のための資金を集め、市場という大海原に乗り出していくことが可能になった。
たとえ失敗しても、損は株主が背負ってくれる。
株式市場とは、損を薄く広く分散させるためのシステムなのだ。
ところで、ここには資本主義のもうひとつの秘密が隠されている。
たとえばあなたが、1隻の船に全財産を投じるのではなく、資産を10等分してぜんぶで10隻の船に出資したとする。
このような分散投資が可能になるのは、船の所有者が小口でバラ売りされているからだ。
「これなら1隻た2隻、嵐で沈んだってなんとかなるだろう」と、あなたはほっとひと息つく。
それから、こんなひとり言をつぶやいたりしないだろうか。
「損したって知れてるんだから、どうせならドカーンと一発あててもらいたいもんだ」
船主がそのつもりなら、船長や乗組員も大賛成だ。
「どうせ生命をかけてるんだ。ちょっとくらいあぶない橋をわたっても、国に帰れば一生安楽に暮らせるくらいの大儲けを狙おうぜ」
株式会社というと「有限責任」が強調されるけど、いちばんのポイントは、損を限定することでみんなを冒険的にすることなのだ。
こうして大航海時代の船乗りたちは、七つの海をまたにかけ、だれも見たことのない「新大陸」を目指した。
この冒険を、経済学では「イノベーション」という。
株式会社=資本主義は、ひとびとをイノベーションに駆り立てる仕組みだからこそ、わずか四百年のあいだに科学技術を急速に発展させ、人類の経済規模を爆発的に拡大させたのだ。
マーケットが暴落しても心配ない投資とは
片山 晃
小松原 周
株式会社クロスメディア・パブリッシング
2008年9月15日、米国の大手証券会社であるリーマンブラザーズが破綻しました。
世にいう、リーマン・ショックです。
今でも憶えているのですが、私はその日、地方にある某上場企業の工場に出向き、工場見学をしていました。
現場の工場長との会話に夢中になっていたせいで、しばらく気づかなかったのですが、ふと自分の携帯電話を見ると、会社から何度も着信が入っていました。
そこで折り返し電話をかけてみると、会社のスタッフが慌てながら、「日建平均株価が1000円以上も下げています。大至急戻ってきて下さい」と言うのです。
しかし私は、「何だ、そんなことか。もっと重要なことかと思ったよ。ビックリした」と返して、そのまま工場見学を続けることにしました。
これは別に自分の職責を放棄しているわけではなく、何もする必要がないと判断したので、そのままでいたということです。
私は様々な観点から企業を見て、熟考に熟考を重ねたうえで投資銘柄を選別しています。
その時の私にとっては、ショックが発生して相場が崩れるのをただ眺めているよりも、現場の工場を視察して、その企業の競争力をできるだけ正確に理解することの方が、遥かに重要度が高かったということです。
投資している企業の成長ストーリー(業績予想)が変わらない限り、企業価値(目標株価)は変わらない。
よって足元の株価が下落しているからといって、見方がかわることはない ― 。
本物のアクティブマネジャーの思考回路とは、そういうものなのです。
工場見学を終えると、その日は近くのホテルに宿泊しました。
そこでPCを立ち上げて様々な情報収集をしているうちに、世界の金融市場で起きている事態が、ただならぬものであることを確信し、さすがに動揺しました。
ただ、実際に私が運用していたファンドのパフォーマンスはというと、確かにファンドの基準価額そのものは下がりましたが、ベンチマークである東証株価指数(TOPIX)との比較で見ると、大勝していました。
私が投資している企業は、選りすぐりの競争力の高い企業たちです。
目を閉じて、彼らの事業を頭の中でひとつ一つ思い浮かべ、再点検していると、不思議と私の心は自信で満ち溢れてきました。
バフェットの投資法 ”いい会社の株をそこそこの値段で買う”
中桐啓貴
株式会社クロスメディア・パブリッシング
誰もがお金を増やしたいと思っている中、そのトップに君臨するバフェットの考え方に触れることは今後の資産形成の過程において必ずプラスになると思います。
どうして鳥が空を飛べるのかを理解する
バフェットは自分の投資方法をグレアムとフィッシャーから学んだと言っています。
グレアムとフィッシャーのミックス、これこそがバフェットの投資方法なのです。
定量分析というと、いわゆる財務諸表の読み込みになります。
グレアムの考え方には、「安全域」というものがあり、その域(割安水準)に株価が入ったときに買い、フェアバリュー(株式の価値と市場価格とが非常に近いこと)になったときに売るという方法です。
マーケットというのは、短期的にには投資家心理によって動かされます。マクロ的な要因(景気後退や大恐慌、戦争、不正会計スキャンダル)によって不安の陰が忍び寄るマーケットは、次に恐怖のどん底に落とし込まれます。そのときに、極端に割安になった株を拾うという方法があります。
これには定量分析がとても役に立ちます。
「もし財務諸表が読めれば株で成功することができるなら、なぜ会計士や経済学部の教授が株式で大儲けしていないのか?」
その答えが、
「翼のことをいくら研究しても、どうして飛行機が空を飛べるのか理解できないから」
これは至言です。
株式投資をしている人で、どう考えても割安だと思って買った株がさらに半分になって首をかしげている人は、何度もこの言葉を繰り返してください。
鳥や飛行機が空を飛んでいる姿を見て、不思議に思いますよね。
どうしてあんな300トンを超える物体が空を飛べるのか?その疑問に答えるにあたって、知らなければいけないのが、羽や翼の構造だけではないのは想像がつくと思います。
中略
飛行機が飛ぶ全体像を知るのが「定性分析」になり、翼の構造のみを調べることが「定量分析」です。
バフェットは、あるときに定量分析だけではダメだと悟ります。
これには、フィッシャーの他にパートナーであるチャーリー・マンガーが一役買います。
中略
バフェットは今までのグレアムから教わった投資方法では投資対象になり得なかったシーズキャンディーの株を買います。
つまり、”いい会社の株をそこそこの値段で買う”という方法をこの投資によって確立し、後のコカ・コーラ社への投資につながっていきます。
つまり、定量分析で割安な銘柄を発掘することは可能ですが、そのあと何十倍にも成長するような銘柄を探し当てることはできないということです。
バフェットが今までに投資をしてきた、アメリカンエクスプレス、ジレット、マクドナルドなどは、バフェットが買いつけてからずっと成長をし続けています。
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