「薄目の悲劇」の治療法

※「薄目の呪い」の意味がわからないエロゲーマー、エロゲーマーになる予定の人はここから先は読まないことを強くお勧めします。本当に!

エロゲーマーの間では割と有名な「薄目の呪い」ですが、大手まとめサイトが取り上げたことでまた罹患者が増えているようで。

観測範囲内では1年以上前、>>9で画像が貼られているStrawberry Nautsの発売前後から散々話題になっていたので、メーカー側が認識していなかったということに驚いた。だけど考えてみれば、多くのメーカーの人は2chを見に行くことを避けるだろうし、とすれば知らなくても当然ですね。

さて、薄目の呪いについて。この呪いは本当に強力で、一度気づいてしまうと半永久的に効果が持続します。罹患の簡単さとは裏腹に、自分で解こうと思っても簡単に解けるものではない。Strawberry Nautsは薄目さえ無ければ買いたかった…。ともあれ今のところ、この呪いの治療法は確立されておらず、不治の病に近い。克服したという人の話を読み聞きしても、「気合」とか「愛」とか「慣れ」とか新聞広告に載ってるガンの治し方みたいな答えしか返ってきません。

そこでこの度、ある程度理論的な方法でなんとか8割方呪いを克服できたので方法を紹介します。ひとりでも多くの人がこの呪いから抜け出せますように。

錯視であることを認識する

薄目の呪いは錯視です。そのことをまずは認識しましょう。反転図形の一種と考えてよさそうです*1。有名な反転図形にはウサギとアヒルや、ルビンの壺などがあります。

しかし薄目の呪いはこれらと違って、ウサギに見えたりアヒルに見えたりするのではなく、「どんなに頑張っても薄目にしか見えない」という状態です。これはなぜかというと、おそらくウサギアヒルや壺の絵は視点を集中する場所によってどちらの図形を見るか操作できるのに対して、薄目はまつ毛と反射光(白目)の位置が密接しているためにそのような自由が効かないからではないかと思います。

薄目の呪いのように、一度そう見えてしまうと元の認識に戻りにくい性質を持つ反転図形として、このようなものや回るバレリーナの錯視などがあります。これらの錯視で意図的に認識を反転させる(グレーを抽象的な図形として見る*2、回転方向を逆にする)訓練を行うことは、薄目の呪いを解く上で役立つでしょう。

認識枠組みを書き換える

このような反転図形がなぜ成り立つかといえば、よく知られているように我々は網膜に映ったものをそのまま認識するのではなく、先行して持つ認識枠組み=スキーマに基いて解釈するからです。(∵)←これが顔に見えたり、火星で人面岩が発見されたりするのも、それらを「顔」という枠組みで解釈しているからですね。

薄目の呪いを治す上で書き換えなければならない認識枠組みとは、大半の人があの誇張された画像で刷り込まれたであろう「この白はまつ毛の反射光ではなく白目だ」というものです。これを元に戻すにはどうすればいいか。Strawberry Nautsの画像を「反射光…反射光…」などと呟きながら睨んでも恐らく呪いが再強化されるだけでしょう。なのでここでは、ある程度呪いから距離がありつつも目という枠組み上の共通点がある*33次元の画像を用います。Google画像検索で"closed eye"と検索して下さい。いくつかの画像ではまつ毛で光が綺麗に反射してますね。まつ毛では光が反射します。このことをいくつも画像を見てしっかり認識して下さい。まつ毛で光が反射するということを、知識として理屈として知っていても、じっくり見て確固たる認識にまで高めている人はほとんどいないと思います。この機会にしっかり認識して下さい。まつ毛では光が反射します。こうすることで、認識枠組みにおけるまつ毛の反射光の優先度を、我々が普段見慣れている白目のそれに近づけることを狙います。まつ毛では光が反射します。

おわりに

さて、ここまで済ませた人は>>72の画像を見てみてください(Strawberry Nautsの画像は難易度が高いので…)。このくらいなら気にならなくなっているのではないでしょうか。もしそうでなければ、反転図形の訓練と反射光の自分への言い聞かせを繰り返してみてください。

ここまで書いておいてアレですが、自分でもStrawberry Nautsの薄目を克服するまでには至っていません…。訓練を重ねていけばいつか克服できるのかもしれませんが、もし「この方法で呪いから抜けだした」等ありましたらぜひ教えてください。

追記(2/15 0:29)

ホッテントリ入りしてた…。ブクマ&ブコメでのアドバイス等ありがとうございます。

ここまで多くの人に読まれるとは思っていなかったので、エロゲをやったことがない人向けに補足を少し。エロゲの立ち絵がもつ特殊性のひとつは、動的でありながら静的であるという点にあります。クリックしてセリフを進めるごとに表情が変わるとも言えるし、逆に進めない限り表情が変わらないとも言える*4。これがどっちか片方に決まっていれば、こんなことで悩まずとも済むでしょう。例えばアニメでコンマ数秒薄目のカットが映っても気にする人はほとんどいないでしょうし、逆にエロゲーでもイベントCGの一枚絵やあるいはマンガのように完全に止まっていれば心を落ち着かせて対処することもできるでしょう。立ち絵の厄介さはここにあります。人の目には力があるので、立ち絵においてもプレイヤーは大抵の場合キャラクターの目に特に注意を向けています。キャラクターが目を開いている限りは問題なく安心して見ていられるのですが、ある時クリックした瞬間いきなり「薄目」が牙を剥きます。クリックして「あはは」等の文章が表示されるのと、立ち絵が笑うのは同時なので多くの場合予測不可能です。さっきまで普通に話していた彼女が突然キモい顔になるのは辛いんですよ…ほんとに…。

*1:反転図形を錯視に含めることに違和感がある人もいるかもしれませんが、素人の書くことなので軽く流してください…

*2:これは恐らく薄目の呪いから抜け出すよりも難易度が高いです。なぜならグレーの部分は、「白目-反射光」や「左回転-右回転」のような記号的意味を持たないからで、逆に言えばそれだけ練習に有用だということにもなります。

*3:目という認識枠組みさえも崩壊していれば白目か反射光かで苦しむこともないでしょう…

*4:これに当てはまらないゲームもありますが大半はそうです