響け!ユーフォニアム 10、11話

流し見したけどもう一周したくなったアニメシリーズ。


第10回 まっすぐトランペット



受かった黄前久美子と落ちた中川夏紀、ソロに指名された高坂麗奈と今年も吹けなかった中世古香織。

『アンタがいなければ、コンクールで吹けたのに!』


久美子は、中学のときも先輩が落ちたオーディションに受かっていた。
その時、人間の醜くもストレートな感情をぶつけられてしまった。
リアリストな久美子だから、先輩の気持ちも理解できて、けれどオーディションは「上手い人間が選ばれる」ものだということも正しく理解していた。
わからなかったのは、その先輩との関係の繋げかた。

今回の夏紀との顛末は、もう120%で夏紀がステキな女の子すぎました。
自分の実力も、相手の実力も理解していて、その結果に納得もしている。
そして、戸惑っている後輩の気持ちも汲んで、自分から歩み寄ることができる。
たしかに、演奏の技量は久美子より劣っているかもしれない。
けれど、確かに間違いなく彼女は先輩なのでした!

結果に納得できなかったのは、香織のほう。
自分の実力も、麗奈の実力も理解していて、それでも納得できないほど強い想いを秘めている彼女。
優子はそれを知っているからこそ、香織の表に立ち、滝先生へと噛み付くのだ。

「香織先輩、諦めないでください! 最後のコンクールなんですよ!? 諦めないで……!
 香織先輩の――香織先輩の夢は、絶対に叶うべきなんです!!」


---

「久美子……。私、間違ってると思う?」
「……ううん、思わない」
「ほんとに?」
「うん」


「ソロを譲る気は?」
「――ない。ねじ伏せる。そのくらいできなきゃ、特別にはなれない」
「……麗奈だね」



第11回 おかえりオーディション



トランペットソロ、再オーディション。神回。
前回はオーディションに落ちた夏紀がステキな女の子だった話をしたけれど、今回は優子が150%でステキな女の子だった話をします!

「私、どうしても――どうしても香織先輩にソロを吹いてほしいの。だから――お願い!」
「っ……わざと負けろって言うんですか……?」
「あなたには来年もある、再来年もある! 滝先生だったらもっと部はよくなる。
 香織先輩は最後なの。今年が最後なの! だから――」


プライドを捨てた優子のまさかの懇願に、さすがの麗奈も動揺せざるを得なかった。
上から脅されたのなら、はねのけてねじ伏せる覚悟も強さも持っていた。
けれど、情に訴えかけられ、頭を下げられるとは思いもしていなかったからだ。

「久美子は、もし私が負けたら……嫌?」


自分の歩もうとしている道は本当に正しいのか。
ふと不安が口をついてしまった麗奈に、しかし久美子は言うのだ。

「……嫌だ。嫌だ!」
「どうして?」
「麗奈は特別になるんでしょ!?」
「……そうね」
「麗奈は他の人とは違う。麗奈は誰とも違う! 他人に流されちゃだめだよ、そんなの馬鹿げてるでしょ!?」


これは8話での麗奈の告白に対する久美子の返事であり、このアニメで最もきれいなシーン。
二人が友達以上の存在となり、傍観者に徹していた久美子が初めて舞台に上がることを決意するシーンでもある。

「……そばにいてくれる?」
「うん」
「裏切らない?」
「もしも裏切ったら殺していい」
「本気で殺すよ」
「麗奈ならしかねないもん。それがわかった上で言ってる。だってこれは――愛の告白だから」


---

さて、麗奈を目の敵にしていた優子だけれど、彼女はただ上手な下級生を妬んでいたわけではない。
香織が自分を犠牲にしてまで部のために尽くしてきたのを見てきたから、その努力が実を結ぶことを願っていたのだ。

久美子が信じたように、能力がある人間が選ばれるのが正しい世界なのかもしれない。
しかしそれを言うなら、重ねた努力が報われる世界だって正しいに違いない。
麗奈が自分の正義を貫いたように、優子も自分の正義を貫こうとしていたのだ。

私たちが優子の涙に心を揺さぶられるのは、それが他人のために流されたものだから。
たとえ成し得なかったとしても、好きな人のためになにかができる彼女は、とってもステキな女の子なのです!
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