日本人は決してへこたれない、立派な国民だ。
震災の映像がテレビで放映されるたびにこんなことがあっていいのかと目を覆いたくなるような心境である。
老婆が泥だらけになった孫のランドセルを手にしながら、孫の姿を懸命に探していたり、震災で親をなくした子供たちが里子に出されるなどという報道を聞くと、まさに戦後さながらの殺伐とした状況に戦慄さを覚えるのである。自ずと遠い昔、私が中学生であった当時の戦後に自然と思いは馳せる。
当時は日本政府なんてものはあってなきにしの如くで、アメリカ人の管理下に置かれた不甲斐ない状態で、当時の飢え、貧困をはじめ、不衛生、犯罪、人の安否、求職などの不満を一体どこにぶつければいいのかもわからなかった。
家も、食べ物も、親戚も、金もない、という人間がいたるところに溢れていた。あるのは命だけだった。
原爆を落とされ、戦争に負け、日本人としてのプライドをズタズタにされた。それでも日本人は経済大国と言われるまで成長し、医療、科学、経済等全てにおいてトップを争う位置にのし上がってきた。
現在被災地には各地からのボランティア、義援金、救援物資が届き、次第に復興の兆しが見え始めている。
体育館の端で、毛布に包まりながら、私は元気です、心配しないで、と家族を思いやる姿、家が流され、思い出諸共流されても、命が助かったんだから、自分たちよりももっと大変な人たちがいる、と数々の辛さをこらえ、自分よりも他人を気遣う心に日本人の謙虚さと美徳を感じずにはいられない。日本人は希望を失わない。決してへこたれない立派な国民だと思う。
戦後を見ている世代は必ず日本が復興することを信じて疑わない。その姿を目の当たりに見てきたのだから。それでもこれだけ迅速に立ち直ろうとする姿は想像できなかったのではなかろうか。世界各国からの支援や、米国自衛隊が「友達」の腕章をつけて救援活動を行っている姿など戦後では想像もできない心温まる話であった。
命しかない。けれど、命がある。これが希望である。この震災で多く尊い命を失ったがここにある命はそして経験は脈々と受け継がれ大河となるだろう。希望を絶やしてはいけない。
世間では各方面で自粛ムードが漂うが、私は元気な者は元気に過ごすことが今出来ることなのではないかと思う。野球、サッカー、大いにいいではないか。さくら祭りいいではないか。
こんなときだからこそ、楽しさがなければいけない。楽しさは生きる喜びであり、希望に繋がる、と快楽主義者の私は思うのである。生きていることを実感し、共に同じひとときを分かち合うことが出来る喜びを味わおうではないかと思う。下を向いているばかりでは何も始まらない。
東北にもこれから桜が咲くだろう。どんなに寒い冬でも必ず春が来るように、必ず桜は咲くように、どんなに辛い時でも、必ず日は昇る。津波や、放射能に侵された地にもやがて鳥が種を運び、花を咲かすだろう。
今東京は桜が満開である。桜は日本の心である。桜を愛でることは日本人を愛でることだと今年は一層強く感じるのである。
(4月10日記)
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コメント
希望を大切にしたいです。
東北にも桜が咲き暖かくなってきて、よかったなと思います。
桜の花は、日本に元気をくれる花だと感じます。
投稿: さちこ | 2011年4月18日 (月) 13時46分
人の心の本質は善であることを感じました。残念ながら全ての人とは限れないのが残念ですが。
このどさくさ紛れに相撲屋がなし崩し的に元に戻そうとしているようですけど…
投稿: 流太郎 | 2011年4月18日 (月) 15時01分
日本人はけっしてへこたれない、と言う言葉に大変感銘を受けました。
投稿: タディ | 2011年4月19日 (火) 18時24分
http://www.golfsupportsg.com/
頑張って下さい、応援しています^^
投稿: 札幌 ゴルフスクール | 2011年4月20日 (水) 13時10分
こんな時だからこそ、楽しいこと…ですよね。
早く被災地域の方が仕事を復活させられるといいなと思っています。
安定してこそ楽しい事も楽しめる様な気もします。
早くそんな日が訪れて欲しいです。
投稿: フレモン | 2011年4月22日 (金) 14時48分
先日、夙川沿いを散歩していたら、橋のところに西宮市香櫨園小学校が作った垂れ幕が掛けられていました。
それには『負けないで!東日本 こころは一つ』と、書かれていました。被災した方達は、負けないで!我々は、頑張って!応援、支援しなくては。
投稿: hachifuku | 2011年4月27日 (水) 23時17分
鬼六先生のこの日書かれたブログの文章を読んで涙が出ました。
先生は、ご自分のお身体が大変なのに、被災地の方へ、力強いメッセージを送って下さった。日本が今から変わる姿を、天から見守ってください。
本当に、ありがとうございました。
投稿: joeclash | 2011年5月 7日 (土) 00時48分
ありがとうございました
作家はいいですね。これからも書かれたものは読み継がれていく
投稿: まるこう | 2011年5月 7日 (土) 11時14分