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2005/08/10

投票に行こう(総選挙関係記事総合編)

先日来郵政民営化と衆議院解散総選挙の記事を書いて、いくつかのブログにトラックバックしたり、エキブロ・メディカルに投稿したりして、新しい読者さんがこられています。ただ記事が、それぞれに重要なことを書いてあって複雑になってしまいました。ここで今までの記事を再構成して、さらにいくつか加筆したものを完成版としてUPしようと思います。すでに読んだ記事とだぶる部分もたくさんありますが、興味がある方はお付き合いください。

この記事は、先日ご紹介した「べグライテン」鳩ヶ谷雑記: Begleitenについて.に投稿する為に書きました。終わりのほうである方の問いかけに対する返答の形になっているのはそのせいですのでご了解ください。


みなさん、こんにちは。なんちゃんと申します。Sさんの提案にのります。自分のブログで書いたことをつぎはぎしながら書いていきます。長くなりますがご関心があればお付き合いください。

まず総選挙の意味ですが、多くの人がこの解散にあたって議論をしはじめました。普通に選挙をしてもこれだけ大きな議論にならないでしょう。今回は争点がはっきりしています。みなが自分の考えを述べ合いながら議論するということがブログでもこうした場でも街中の飲み屋さんでも行われています。ある意味とても意義深いのではないでしょうか。
 
郵政民営化について、自分の考えは今まで揺れてきました。今年1月段階では反対論者でした。最近のブログ記事では賛成に回り、その後これは絶対やらなければならないことだと思うようになり現在に至ります。
 
反対だった時も賛成だった時も、着目点は一緒でした。郵貯230兆円、簡保120兆円という国民資産の行方です。反対論だった時は、民営化によってこのお金の政府保証がはずされて、計画倒産させるのではといううがった見方をしていました。過疎地の郵便局維持などと言う論点は議員が自分の地元の有権者に訴えるのに一番響く言葉ではありますが、それは大事な論点ではありませんでした。
 
今、郵貯と簡保の資産を守る為にこそ民営化が必要と考えています。このまま国営の金融機関を維持したとして、そのお金は国債と財政投融資あるいはそれにかわる財政投融資機関債で運用されていますが、結局それは税金で利息をつけているわけですから(財政投融資が使われている特殊法人や第3セクターの多くが赤字で、税金で利子補填をされたりしているし、地方自治体に貸し出されているお金は当然地域の税金で利息をつけて返す訳です)回りまわって税金で維持されることになるわけです。その仕組みはもう維持できないので民営化によってその資金運用をする役割をほかに託そうというのが趣旨だと考えるようになりました。それと民営化法案に反対するということは、政治家と官僚の持っているこの「財政投融資」と言う利権を手放さないという事です。これは国民の為ではなく政治家と役人の為のものです。小泉が郵政民営化を出来なかったら、ほかに出来る人間は無く(民主党はバックに労組が付いていますから無理でしょう)、公務員の人数は減らずに人口が減りだして、国は立ち行かなくなるということです。8月9日日経夕刊によると、民主党の岡田代表は「税金の無駄遣いをやめていく。3年間で10兆円の歳出削減を掲げたい」と述べたとか。歳出削減するなら郵政を民営化してください。今がチャンスです。
 
小泉は変人だと言われ続けたけれど、ここまで徹底しているとは思わなかったです。なんて分かりやすい政治だろう!小泉の公約は郵政民営化と自民党をぶっ壊すこと。忠実に実行したではありませんか。もちろん郵政民営化は選挙後に再討論ですが、ここで小泉をつぶしたら二度と自分たちの利権をつぶす法案を出そうなんていうことになりませんよ。小泉には後ろに利権が絡んでないのです。自分の政治信念をひたすら実行しようとしている。納税者の支持だけがバックボーンです。政治家が納税者の為に働いたことが今までありますか?国民と言う名前の支持団体、利権団体を守り、ひいては自分の地位を守ること以外何もしなかったのが政治家でしょう。そうでなかったら政治改革なんかとっくに出来ている。議員年金なんてものは廃止になっているはず。でしょう?
 
野党が与党のようなお茶濁しを言っているのがおかしいですよね。十八番をとられてますね、小泉。
 
小泉の政治手法は独裁的でヒトラーのよう・・・と言う人もいて。それは議員にとって、役人にとってはヒトラーかもしれませんが、その民意を問う為に解散したのだから、納税者に取っては全く逆です。ヒトラーなんていう人は永田町の「ムラ掟」に麻痺してしまったんじゃないかと思います。
 
安定とは先送りでしかありません。つねに変化し続けるのが本当の意味での安定だと思います。自分は京都の御室仁和寺でみて好きになった言葉があります。「古き泉は新しき水」。
 
安定を求めるのは革新が怖いから。誰だって未知の世界に船で漕ぎ出すのは怖いに違いありません。しかし、もうそうは言っていられません。泉の水か枯れてよどみだしています。出奔し、ぶつかりながら議論しなければならない。日経新聞で戦後60年の中で最も大きな事件はと問うたら「バブル崩壊」がトップだったそうです。そう。まさにあのとき社会秩序が大きく変わったのです。高度経済成長が完全に終わり、右肩上がりのものの発想が通用しなくなったのです。しかし政府はその幻想を続けて見させようとして、公共事業をばら撒き、国債だけで700兆もの借金をつくりました。これが「先送り安定」の代金です。誰が返すんでしょうか?
 
この資金運用役の第3者は外資にならざるを得ないでしょう。郵貯簡保が表向き運用しているように見せて、実際は外資系の投資機関が運用するなどというのは大いにありえると思います。それでもそうしなければ税金で利息をつけていたお金を、保証していた金利で国民に返すことは出来ないと思うのです。
 
2008年問題というものがあります。故小渕氏が総理の時に大量に発行した10年国債の満期がくるため134兆円も国債を借り替えなければなりません。それ以外にも短期の国債の借り換えはあるので180兆円近くになります。この事態を前におそらく国債は今後値段が下がり(金利は上がる)、国債を持っていることは資産が目減りすることになります。それでも保証した金利をつけて郵貯簡保はお金を返さなければなりません。無理でしょう。
 
外資は俗にハゲタカのようにおいしいところだけつまんでいるという見方がありますが、それは多くの場合偏見です。外資が収益に見合うだけのリスクをとっていること、ほかに国内の担い手の無い分野(あるいは手薄い分野)に出資し、多くは企業を、より有益なビジネス形態にすることで再生させて、雇用も生み出していることを知ってください。自分のお勧め本「セイビング・ザ・サン」(ジリアン・テット著 日本経済新聞社)をご覧ください。あるいは出版されたばかりの「日本買い・外資は何を狙っているのか」(中西享著、PHP研究所)をご覧ください。アメリカのユダヤ人が黄色いサルから収奪しているという考えに関しては暴論で、ホロコーストにつながる物があります。そんな考え方をお持ちの方は「ロスチャイルド家」(横山三四郎著 講談社現代新書)を読んでみてください。
 
さて、もうひとつ大事なことがあります。以前はあまり考えていなかったのですが郵便局員の雇用の問題です。今超低金利の中郵貯も簡保も魅力的な商品が無く、お金がよそへ流れ出しているといいます。郵便にいたっては電子メールの普及や宅配便、メール便の隆盛により先細り感は否めません。雇用維持のためにもそれぞれの分野で魅力的な商品を出していくことが絶対必要です。それと合理化も避けられません。無集配の特定郵便局は、徐々に特定の郵便局長が局長を務める形から、運営がローコストで済む簡易郵便局に転換せざるを得ないでしょう。郵便はすでに5000億円の債務超過です。殆ど世襲のような特定郵便局長が運営する特定局ではなく、簡易郵便局のような形に転換すれば過疎地の郵便局網は維持できると思います。簡易局はごく一部の特殊取り扱いが出来ないだけで、普通の用事は簡易局で済ますことが出来ます。それと民営化によって、かなり多くが局長の自宅に併設されている局舎の賃料もガラス張りになります。
 
国がもう公務員を雇えなくなってきているのではないかと予感させる話があります。現職の埼玉県志木市長が指摘するように、地方の税収32兆円に対し地方公務員の人件費だけで31兆円という話(穂坂邦夫著 「市町村崩壊」 スパイス刊)や、秋に40の独立行政法人を対象に1万人を非公務員化するための法律を提案し来年4月からの実現を目指す(日経新聞6月23日)と言う話などがあります。
 
以上のことを総合して、自分は、郵政民営化はしなければならないという考え方になりました。文中に挙げた書籍のほか(「郵貯崩壊」 仁科剛平著 祥伝社)を参考にしました。
 
ここで民主党に政権を渡そうものなら今までの自民党そっくりの派閥政治になりそうです。例の小沢氏が暗躍しているといわれています。旧民社党、旧自由党、旧社会党などがおのおの持論を展開して収拾が付かなくなりそうです。逆に今回の自民党は自分の利権を守る為に党議拘束を反故にして反対した連中が公認されないのですから素晴らしくわかりやすい。議員と役人の利権を取り上げるか、それとも温存するのかの二者択一です。自分の答えははっきりしています。単純化してはいけないという議論もあります。それも良く分かりますが、選挙でそんなにいろいろなことを問えない。むしろ二者択一のほうが投票しやすいと思います。
 
議員と役人の利権の為にどれだけの人が冷や飯食わせられたのだろう。諫早の干拓、川辺川ダム、吉野川可動堰、長良川河口堰、関西空港、整備新幹線、年金やそれを流用しての赤字保養施設建設、etc etc。諫早の干拓が典型ですが、本来同じ立場の弱者(漁民)が対立させられたりしてきました。(「諫早の叫び」 永尾俊彦著 岩波書店)年金もそう。受給世代と私の世代やもっと下の世代の対立の原因は年金制度にあります。ここにも利権が絡む。
 
今民営化しなければ郵政は国鉄と同じかそれ以上の国のお荷物になる可能性が高い。郵便はジリ貧、貯金・保険も低金利でジリ貧のうえ、財政投融資の焦げ付きや国債価格の下落等で致命的なダメージをうける可能性があります。雇用問題にも発展するでしょう。今民営化すれば、少なくとも雇用問題は回避できます。国鉄のような悲しい労働争議を起こさないためにも、郵政職員自身が民営化に歩み寄るべきです。
 
チャンスを生かすも殺すも私たちしだいです。まず知りましょう。そして議論しましょう。
 
郵政民営化に成功すれば、小泉は政府を小さくするための他の事案にも取り組む可能性が高い。皆がしなければならないとうすうす感じている大増税の前に、政府をスリム化できたら納税者は報われますよ。抵抗勢力がいないからひょっとすると道路公団の民営化もやり直しできるかも(すでにある幹線高速道路以外のこれから作るところは、高規格なので地元の建設業者は下請けしか出来ません。結局都市のゼネコンが潤い、そこにたかる議員が潤う構図になっています。完成しても使う人は高い高速料金を払わなければなりません。地元は国道の通行量が減って、商店やドライブイン、ガソリンスタンドは致命傷を負います。そして地元負担分といって借金までさせられます。だれも得しないのです)。
 
終戦の日に靖国参拝するかもしれない・・・それで近隣諸国と関係悪化するかもしれないけれど・・・デメリットよりメリットのほうが大きいと自分は思います。
 
最後にSさんのお考えに対して。
「健康保険を値上げしてくれました。介護保険を、改悪しています。年金を切り下げてくれました。税金を引き上げようとしています。一方で、巨大銀行には、手厚い保護行政を行い、巨額の投融資を行い、いわゆる不良債権問題を、ほぼ解決しました。8日の朝日新聞(9面)によれば、日銀による超低金利政策により、本来家計が受け取れた利息は、「154兆円」目減りし、その多くが金融機関の不良債権処理に使われています。」
 
健康保険を値上げせざるを得ない財政状況にしたのは小泉ではありません。介護保険もそう。年金切り下げは企業もやっています。そうしなければ自分たちの世代は年金保険料を払いませんよ。不公平ですもの。社労士試験の勉強をして分かったのは年金と言うのは若い人たちに制度そのものを内緒にしていて(調べれば分かるといわれるかもしれませんが、この制度を知る為に自分は専門学校に20万の授業料を払いました)40代くらいから徐々に意識されるように調整してきました。スウェーデンでは中学校の社会科で年金のことも教えてコンセンサスをとっています。日本がいかに制度のことを教えなかったか、その弊害がどれほどのものだったかは先日の国会議員の年金保険料未納問題ではっきりしたと思います。
 
不良債権問題はバブルのときに起こっていたこの国の構造転換に端を発しています。それまで優良企業も手持ちの資金が無いため銀行からお金を借りていましたが、バブルの頃から優良企業は大企業になり自分で資金調達できるようになったので、銀行資金を必要としなくなりました。銀行は困ってしまいました。そこに現れたのが不動産バブル。不動産投資をしようとする人々がお金を借りるようになり、銀行はこうした人々や企業に際限なくお金を貸しました。不動産が担保にありました。当時は不動産は値下がりしないという神話があって、銀行は担保さえあれば大丈夫と思ったのです。そこにバブル崩壊がやってきました。銀行は焦げ付きを処理しきれず、不良資産を隠しながら綱渡りの決算をしました。当時不良債権を全部計上したら多くの銀行は資本を食いつぶし債務超過に陥ったのではないでしょうか(この辺は簿記の知識が無いと分かりにくいかもしれません。ごめんなさい)。実際粉飾に近い決算であってもまだ自己資本不足で多くの銀行が貸し渋りをして沢山の中小企業が倒産しました。
 
バブルの発生はその当時の政権の失政です。もし銀行に資本注入しなかったら・・・債務超過の倒産しそうな銀行にお金を預けますか?むしろ取り付け騒ぎが起きて、戦前の金融恐慌のようなことが起こったのではないでしょうか。あのときは影響は限られましたが、今世界通貨がドルのほかにユーロなどあって、円も重要な通貨になっていますから(先日の中国の元切り上げに伴う通貨バスケット導入に当たり円もバスケットの中に入れられていると考えられています)、日本の金融がおかしくなったら全世界に影響が飛び火した可能性があります。あの時の政権は「日本から金融恐慌を引き起こさない」が合言葉でした。

今その問題が片付いて、そろそろ銀行のための低金利政策はやめたほうがよさそうですが、今度は国債や財投機関債、地方債などの1000兆円を超える借金がネックになっています。単純に1%金利を上げたら10兆円利払いが増えます。とても金利を上げられないという状況だと思います。
 
大変稚拙な考えだったかもしれませんが、よろしければたたき台にしてください。いろいろ議論しましょう。そのために選挙するのですから。
 

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