堀江貴文×加藤浩次 対談「フジテレビ買収の舞台裏」
2014.01.14 (Tue)
2014年01月12日放送のBS日テレの番組『加藤浩次の本気対談!コージ魂!!』に、堀江貴文がゲスト出演していた。そこで、2005年に行われたフジテレビへの敵対的買収に乗り出した舞台裏について語っていた。
ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく
堀江貴文(以下、堀江):実は最初、凄くイメージ良かったんですよ。
加藤浩次(以下、加藤):あぁ、そうか。
堀江:プロ野球の球団を買収しようとしていたとき、凄いイメージ良くて。フジテレビ一押しキャラだったんです。
加藤:うん、そうでしたよね。
堀江:テレビって、そういうところがあるんですよ。
加藤:言ったら、旧態然とした団体・組織に対して、一石を投じる人間としてね。
堀江:そうなんですよ。
加藤:「おお、イケイケ!」って部分はたしかにありました。その状態で、なんでフジテレビを買収しようとしたんですか?
堀江:僕、喜ばれると思ったんです、本気で。「もっと面白いこと、一緒にやろうぜ」みたいなノリだったんです。
加藤:あぁ、そうか。それだったら、分かるわ。
堀江:一緒にやってて、この人たち面白いなぁって思ってたから。ただ、テレビの未来って、ライブ・体験を売る時代になっていくだろうなって思ってて。テレビもそれに対応していかなければいけないって思ってたんですよ。
加藤:なるほど。
堀江:そのためには、インターネットを通じて、インタラクティブにエンゲージメント(契約)を結んで、テレビを通した体験に対してお金を払うようなことにしていかないと、お金を払わなくなりますよ、と。
加藤:うん。
堀江:ちゃんとネットを通じて、月500円でも、1,000円でも良いから、1千万人、2千万人の人から、お金を徴収するシステムを作っていかないと。
加藤:そういう思いをもって、一緒にやろうと思って買収しようと思ったんですね。
堀江:そうです。
加藤:でも、それ買収じゃない形でできたんじゃない?業務提携で。
堀江:それが出来ないって限界を感じてて、そうなったんです。
加藤:それで買収?
堀江:えぇ。トップダウンで、ネットと連携を全部やれ、と。
加藤:ニッポン放送があって、フジテレビが子会社としてあったわけじゃないですか。
堀江:はい。
加藤:そこを、「よっしゃ見つけた」みたいなのはあるでしょ?
堀江:アレは、誰も手を付けなかっただけなんですよ。
加藤:ケンカを売ってるって思われてもしょうがないなって思わなかったんですか?
堀江:そういう風に思わなかったんですよね。今は分かります、そういうメンタリティは。「なるほど、こういう風に反応するんだな」って分かりましたけど、僕はそこまで強く反対されるとは思いませんでしたね。
加藤:へぇ。
堀江:私自身は、買収されても構わないから。むしろ、面白いことできるんじゃないかって。
加藤:あぁ、そういう人だからね、堀江さんは。
堀江:はい。
加藤:あの当時の反応って、「そういうやり方すんのか?」って思いましたよ。僕を含めて。それって、単なる数字の論理で、「このパイをとったら、自分が意のままにできる」っていう。
堀江:そうですね。
加藤:「それはねぇよ」って。
堀江:でも、そうしないと、10年、20年経ってもできないんですよ。今もできてないじゃないですか。
加藤:そこまでやらないと?誰かが?
堀江:誰かがやるべきだと思ったし、そもそも、アレって1千億とか2千億くらいのカネが必要なんですよ。
加藤:うん。
堀江:それを持ってて、そういう意思決定ができる人間って、今まで居なかったんですよ。
加藤:うん。
堀江:できなかったからこそ、僕らがやったんですけどね。でも、やってみたらああいう結果になって。本当に最後まで買収をやってたら、コロって変わってたと思いますよ。
加藤:アレ、なんでできなかったんですか?
堀江:最後、途中で資金の締め付けがあって。
加藤:やっぱそうか。
堀江:銀行が、全然カネを貸してくれなくなりましたね。「フジテレビとケンカをしたくない」ってことで。
加藤:そこですかね。
堀江:そこです。だって、リースまで止められましたもん。
加藤:その時、どういう気持ちでした?
堀江:僕はやる気マンマンでしたけどね。
加藤:うん。それでダメになって。周りから締め付けられて。
堀江:いや、まだそれでもやれると思ってて。それでもカネを出資してくれる人がいたんで、それでやりたいと言ったんですけど、社内が全員反対して。
加藤:社内とは?
堀江:ファイナンス部門ですね。
加藤:ライブドアのファイナンスの人たちが。「これは焦げ付くぞ」と?
堀江:そうじゃなくて、それで全部他のM&Aの案件が止まってしまって。他の人達も引いちゃって。「これが終わるまで動けない」ってなって、仕事が無くなってるしまったんです。
加藤:うん。
堀江:全員反対ですね。
加藤:それでやめざるを得なかった?
堀江:僕がクビにされそうになりましたからね。「中止しないんだったら、取締役会で代表を降ろします」って。
加藤:それで断念?
堀江:そこで日和らなかったら…まぁ、難しかったでしょうね。
加藤:でもね、今の話を聞いてると、早いっていうのは受け入れられないっていうのあるじゃないですか?
堀江:早くやったところが勝つんです。
加藤:半歩早くやったヤツでしょ?
堀江:そうなんです。半歩早くやると、一番勝つんです。
加藤:2歩手前でやってしまうと、ダメでしょ?
堀江:反発を買うケースが多いです。
加藤:芸能でも、誰かの二番煎じの方が得していくことも多いんですよね。
堀江:でも、僕は別に得をしたいと思ってないんで(笑)得をするのは、半歩早くやれば簡単にできるんで。
加藤:何ですか、それ。金儲けなんか簡単にできるみたいなこと?
堀江:そうです。
加藤:らしいなぁ、おい!(笑)
堀江:そこだけ切り取られて、誤解を受けるんですけど、僕は金儲けに興味はないんです。
加藤:金儲けに、完全に興味がないってワケではないでしょ?
堀江:昔はありましたよ。
加藤:今はない?
堀江:月収が100万円を超えると、なくなりますね。
加藤:だって、ライブドアを作って社長になったとき、良いスーツ着たりしてたじゃないですか。
堀江:いや、してないですよ。それがやりたいわけではないんで。
加藤:それがお金ないと出来ないからね。
堀江:あえて、そこでみすぼらしい格好をする必要もないじゃないですか。あれば着るけど、だから、別にそれがやりたいってことでやってるわけではないんですよ。
加藤:でも、楽しい飲み会もあったでしょ?
堀江:ありましたよ。『ゼロ』って本でも書いたんですけど、23-4歳の頃は、仕事ばっかりでしたからね。そこで飲み歩く人間は、成功しないですよ。
加藤:まぁね。
堀江:成功しないです。そういう時期がないと、上手くいかないです。僕も会社でプログラミングやってたんですけど、プログラミングってめちゃくちゃ時間掛かるんですよ。会社に泊まりこんで、風呂も入れず、髪も切りにいけないんです。汚いロン毛で、汚い服で。
加藤:うん。
堀江:服を買いに行く時間もないし、飯を食うヒマもないから、コンビニ飯。だからブクブク太るんです。
加藤:うん。
堀江:飲みに行けるようになったのって、27歳くらいですよ。上場前後ですね。
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ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく
フジテレビ買収を機に、手のひらを返される
堀江貴文(以下、堀江):実は最初、凄くイメージ良かったんですよ。
加藤浩次(以下、加藤):あぁ、そうか。
堀江:プロ野球の球団を買収しようとしていたとき、凄いイメージ良くて。フジテレビ一押しキャラだったんです。
加藤:うん、そうでしたよね。
堀江:テレビって、そういうところがあるんですよ。
加藤:言ったら、旧態然とした団体・組織に対して、一石を投じる人間としてね。
堀江:そうなんですよ。
加藤:「おお、イケイケ!」って部分はたしかにありました。その状態で、なんでフジテレビを買収しようとしたんですか?
堀江:僕、喜ばれると思ったんです、本気で。「もっと面白いこと、一緒にやろうぜ」みたいなノリだったんです。
加藤:あぁ、そうか。それだったら、分かるわ。
フジテレビ買収を試みた理由
堀江:一緒にやってて、この人たち面白いなぁって思ってたから。ただ、テレビの未来って、ライブ・体験を売る時代になっていくだろうなって思ってて。テレビもそれに対応していかなければいけないって思ってたんですよ。
加藤:なるほど。
堀江:そのためには、インターネットを通じて、インタラクティブにエンゲージメント(契約)を結んで、テレビを通した体験に対してお金を払うようなことにしていかないと、お金を払わなくなりますよ、と。
加藤:うん。
堀江:ちゃんとネットを通じて、月500円でも、1,000円でも良いから、1千万人、2千万人の人から、お金を徴収するシステムを作っていかないと。
加藤:そういう思いをもって、一緒にやろうと思って買収しようと思ったんですね。
堀江:そうです。
加藤:でも、それ買収じゃない形でできたんじゃない?業務提携で。
堀江:それが出来ないって限界を感じてて、そうなったんです。
加藤:それで買収?
堀江:えぇ。トップダウンで、ネットと連携を全部やれ、と。
加藤:ニッポン放送があって、フジテレビが子会社としてあったわけじゃないですか。
堀江:はい。
加藤:そこを、「よっしゃ見つけた」みたいなのはあるでしょ?
堀江:アレは、誰も手を付けなかっただけなんですよ。
加藤:ケンカを売ってるって思われてもしょうがないなって思わなかったんですか?
堀江:そういう風に思わなかったんですよね。今は分かります、そういうメンタリティは。「なるほど、こういう風に反応するんだな」って分かりましたけど、僕はそこまで強く反対されるとは思いませんでしたね。
加藤:へぇ。
堀江:私自身は、買収されても構わないから。むしろ、面白いことできるんじゃないかって。
加藤:あぁ、そういう人だからね、堀江さんは。
堀江:はい。
フジテレビ買収を断念した理由
加藤:あの当時の反応って、「そういうやり方すんのか?」って思いましたよ。僕を含めて。それって、単なる数字の論理で、「このパイをとったら、自分が意のままにできる」っていう。
堀江:そうですね。
加藤:「それはねぇよ」って。
堀江:でも、そうしないと、10年、20年経ってもできないんですよ。今もできてないじゃないですか。
加藤:そこまでやらないと?誰かが?
堀江:誰かがやるべきだと思ったし、そもそも、アレって1千億とか2千億くらいのカネが必要なんですよ。
加藤:うん。
堀江:それを持ってて、そういう意思決定ができる人間って、今まで居なかったんですよ。
加藤:うん。
堀江:できなかったからこそ、僕らがやったんですけどね。でも、やってみたらああいう結果になって。本当に最後まで買収をやってたら、コロって変わってたと思いますよ。
加藤:アレ、なんでできなかったんですか?
堀江:最後、途中で資金の締め付けがあって。
加藤:やっぱそうか。
堀江:銀行が、全然カネを貸してくれなくなりましたね。「フジテレビとケンカをしたくない」ってことで。
加藤:そこですかね。
堀江:そこです。だって、リースまで止められましたもん。
加藤:その時、どういう気持ちでした?
堀江:僕はやる気マンマンでしたけどね。
加藤:うん。それでダメになって。周りから締め付けられて。
堀江:いや、まだそれでもやれると思ってて。それでもカネを出資してくれる人がいたんで、それでやりたいと言ったんですけど、社内が全員反対して。
加藤:社内とは?
堀江:ファイナンス部門ですね。
加藤:ライブドアのファイナンスの人たちが。「これは焦げ付くぞ」と?
堀江:そうじゃなくて、それで全部他のM&Aの案件が止まってしまって。他の人達も引いちゃって。「これが終わるまで動けない」ってなって、仕事が無くなってるしまったんです。
加藤:うん。
堀江:全員反対ですね。
加藤:それでやめざるを得なかった?
堀江:僕がクビにされそうになりましたからね。「中止しないんだったら、取締役会で代表を降ろします」って。
加藤:それで断念?
堀江:そこで日和らなかったら…まぁ、難しかったでしょうね。
加藤:でもね、今の話を聞いてると、早いっていうのは受け入れられないっていうのあるじゃないですか?
堀江:早くやったところが勝つんです。
加藤:半歩早くやったヤツでしょ?
堀江:そうなんです。半歩早くやると、一番勝つんです。
加藤:2歩手前でやってしまうと、ダメでしょ?
堀江:反発を買うケースが多いです。
加藤:芸能でも、誰かの二番煎じの方が得していくことも多いんですよね。
堀江:でも、僕は別に得をしたいと思ってないんで(笑)得をするのは、半歩早くやれば簡単にできるんで。
加藤:何ですか、それ。金儲けなんか簡単にできるみたいなこと?
堀江:そうです。
加藤:らしいなぁ、おい!(笑)
堀江:そこだけ切り取られて、誤解を受けるんですけど、僕は金儲けに興味はないんです。
堀江貴文「金儲けに興味はない」
加藤:金儲けに、完全に興味がないってワケではないでしょ?
堀江:昔はありましたよ。
加藤:今はない?
堀江:月収が100万円を超えると、なくなりますね。
加藤:だって、ライブドアを作って社長になったとき、良いスーツ着たりしてたじゃないですか。
堀江:いや、してないですよ。それがやりたいわけではないんで。
加藤:それがお金ないと出来ないからね。
堀江:あえて、そこでみすぼらしい格好をする必要もないじゃないですか。あれば着るけど、だから、別にそれがやりたいってことでやってるわけではないんですよ。
加藤:でも、楽しい飲み会もあったでしょ?
堀江:ありましたよ。『ゼロ』って本でも書いたんですけど、23-4歳の頃は、仕事ばっかりでしたからね。そこで飲み歩く人間は、成功しないですよ。
加藤:まぁね。
堀江:成功しないです。そういう時期がないと、上手くいかないです。僕も会社でプログラミングやってたんですけど、プログラミングってめちゃくちゃ時間掛かるんですよ。会社に泊まりこんで、風呂も入れず、髪も切りにいけないんです。汚いロン毛で、汚い服で。
加藤:うん。
堀江:服を買いに行く時間もないし、飯を食うヒマもないから、コンビニ飯。だからブクブク太るんです。
加藤:うん。
堀江:飲みに行けるようになったのって、27歳くらいですよ。上場前後ですね。
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