「銀行で投信買った人の末路」 金融庁の集計結果がおもしろい!
金融庁は7日、『「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取組方針・KPIを公表した金融事業者のリストの公表について』を公表した。
金融庁では「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、各金融機関における「顧客本位の業務運営」の取組みを「見える化」する観点から、「自主的なKPI(成果指標)」の策定と公表を要請している。
今回の金融庁の情報発信では特に、公表された各金融事業者のKPI を、傾向分析として資料にまとめていて面白い。
というわけで以下では、その分析結果を簡単に引用して紹介していく。(画像は拡大できます)
上昇相場の中でも手数料負けする人が4割
投資信託を保有している顧客の運用損益(手数料控除後)を算出した運用損益別顧客比率を見ると、数値を公表した36社合算ベースで、4割の顧客の運用損益率がマイナスだった。
信託報酬や手数料払うほど勝ちにくい…?
各販売会社の投資信託預り残高上位20銘柄のうち設定後5年以上の投資信託についてコストとリターンを検証したところ、コストの上昇に伴いリターンが低下する傾向が見られている。コストに見合ったリターンは必ずしも実現していない。
銀行と証券、売る銘柄の棲み分けハッキリ
業態別に見ると、銀行が売る投信よりも証券会社や投信会社の直販の方が、シャープレシオ(リターン÷リスク。詳しくは文末を参照)が高く、リターンのブレ幅が大きい傾向が鮮明。販売商品群の棲み分けが可視化されている。
地銀は見せたくない? 実態はもっと酷いかも
各社の運用損益別顧客比率(赤色が含み損を抱えている顧客の割合)。これが一番面白い。顧客の半数以上が含み損を抱えている金融機関は、とりわけ地方銀行が多い割には、そもそもKPI を公表している地銀自体が少ない。それ故に未公表の地銀のデータ開示が増えれば、もっと悲惨な実態が浮かび上がる可能性がある。
(画像は拡大できます)
以上、カンタンに紹介してきたが、『「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取組方針・自主的なKPI・共通KPIの公表を行った金融事業者のリスト(平成30年9月末時点)』を見ると、やはり地方銀行においてはKPI の公表状況がスッカスカである。
こんな有意義な面白資料のために、地銀はもっと頑張って数値を公表してほしい。…じゃなくって、むしろ各金融機関がこの指標を自ら公表したくなるくらい、顧客にやさしい商品販売に努めてほしいところである。*1
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*1:そうじゃなきゃ、あおぞら銀行が浮かばれないじゃない!