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ショートレビュー「I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ・・・・・評価額1650円」
2025年01月05日 (日) | 編集 |
誰だって“I like movies!”

2025年の映画初めは、世評の高いこれに。
田舎に住むナードっぽい映画好きの高校生、ローレンス・クウェラーのちょっと痛い日常。
カナダの映画制作者、チャンドラー・レイバックの10代の頃の記憶をもとにした自伝的作品なのだが、女性監督は女性の話しか描かない風潮に反旗を翻すために、あえて主人公の性別をチェンジし、男性キャラクターとした。
アイザイア・レティネン演じるローレンスは、映画が好きすぎて唯一の有人マットと変な自主映画を作り、毎週土曜の夜は二人でサタデーナイトライブを観て、「Reject's Night」と名付けた出演者なりきりパフォーマンスを楽しんでいる。
卒業後の進路は名門ニューヨーク大学の芸術学部ティッシュ校で、敬愛するトッド・ソロンズ監督から、映画を学ぶと決めている。
シングルマザーの母からは、そんな高額な授業料は出せないと言われ、国内の大学にも願書を出すように言われているのだが、ガン無視。

要するにローレンスは、典型的な「俺は凄い」系の子なのだ。
自分は才能ある人間で、自分に相応しい人生設計があり、そこから外れるなんてあり得ない、と何の根拠もなく思い込んでいる。
ぶっちゃけ彼のキャラクターは、半分くらい10代の頃の自分を見ているようで気恥ずかしかったのだが、映画やろうなんて奴は程度の差はあれど、こういう部分を持ってる。
ただローレンスの場合は、4年前の父親の自殺がトラウマになって、双極性障害を患っているっぽいのがポイント。
常に上から目線で、自分凄いアピールをするのは、裏を返せば過去のトラウマと自分の弱さから身を守る鎧という訳だ。

まあただ、このまんまのキャラクターだと周囲との衝突は必至。
バイト先で盛大にやらかした時も、自分のせいでクビになった同僚のことは1ミリも気にせず、従業員割引が効かなくなることを心配する。
またローレンスは心ない言葉で、マットやバイト先のレンタルビデオ店の上司、アラナを傷つけていることにも気づかない。
アラナは元女優で、過去にある事件をきっかけに映画界を去り、レンタルビデオ屋で店長をしているのだが、ローレンスは彼女に「何かやりたいことないの?キャリアを積むとか」と言う。
彼にとっては田舎のビデオ屋の店長は、“キャリア”ではないのだ。
いや世の中の仕事のほとんどは“本当の仕事”ではないのだろう。
「シュレック」が本当の映画ではなく、カナダ国内の映画学校が本当の映画学校ではないように。

こんな普通なら孤立しそう(実際孤立している)主人公なんだが、この痛さに身に覚えがあるが故に、私的にはどうしても感情移入してしまう。
ローレンスがアラナに放った言葉を聞いて、数年前にまだ高校生だった広瀬すずがテレビの番組で裏方の仕事について聞かれ「どうして大人になった時に照明さんになろうと思ったんだろう?なんで自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けてるんだろう?」と答えて炎上した事件を思い出した。
私も裏方の人だが、正直あの発言を聞いた時はドン引きするどころか「そうだよね。このくらいの年齢の時は私もそう思ってたよ。だって自分は何者にもなれると信じてたから」と逆に共感。
で、普通は才能が集まる大学生活、遅くとも社会人の最初の数年目あたりまでで、だんだんと現実を思い知ってゆく。

だがローレンスの場合はそのプロセスが大波になって、高校卒業までに来ちゃうのだな。
ビデオ屋のバイトはクビになり、失言が原因で親友も失い、ティッシュ校には不合格。
そして自分が作れなかった卒業記念の思い出ビデオを、疎遠になったマットと、見下していた同級生のローレンPが、憧れの16ミリフィルムで仕上げて、鼻をへし折られる。
2003年が舞台で、スタンダードの狭い画面もあいまって、ちょっとノスタルジックなムードが漂う。
映画じゃなくても、主人公の中にイタタな過去の自分を見て、青春のほろ苦さを思い出す人も多いのでは。
登場人物のリアリティは、彼らのその後を思わずにはいられない。
主人公の性別を男性に変えてるのも、やっぱりそのまんまだと自分的に辛すぎるからと言うのもありそうな(笑

今回はローレンスの憧れの地、「ニューヨーク」の名をもつカクテルをチョイス。
ライまたはバーボンウィスキー45ml、ライムジュース15ml、グレナデン・シロップ1/2tsp、砂糖1tspをシェイクしてグラスに注ぎ、オレンジピールを絞りかけて完成。
ウィスキーの濃厚さをライムの酸味と混じり合い、甘酸っぱくて適度にほろ苦い。
大人になったローレンスに、ぜひ飲んで欲しい一杯だ。

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