戯言と作品レビューや分析のブログとその時の思いつき。

【10.5 文書構成変えました。ラブプラスの解説部分を追記に移動。】

ラブプラスを買ってみた。

最初はできの悪いギャルゲーのような印象しかもてなかった。シナリオもキャラクターもよっぽど他に優れたゲームが存在している、と。が、次に書いたような経験をしてからこの「ゲーム」の評価が大きく変わった。与えられた物語を受け取るような姿勢でプレイしていてはいけなかったのだ。

昼休みにラブプラスを起動した。昼休みの残り時間は10分程度で、時計を睨みながら、「彼女」を学校の庭に呼び出し他愛の無い会話をした。
さて。問題なのはDSを閉じたあとだ。あたかも、昼休みの間にちょっと抜け出して今目の前にあるそこの庭で彼女と会っていたような錯覚に襲われたのだ。

こういった経験や、ネット上に飛び交う「彼氏」としての発言をみるにつけ、ラブプラスの本質はRPGなのではないかと思うようになった。
『ラブプラス』には非電源ゲーム的な、役割を演じるという意味でのロール・プレイング・ゲームという側面が強いのではないか。


先に引用したAmazonのレビューでの「彼女ができました」発言にあるように、『ラブプラス』のプレーヤーは「彼氏」という役割を演じている。テーブルトークRPGに当てはめれば、ルールブックが『ラブプラス』、リプレイがネットでの書き込みということになるだろうか。

実時間とシンクロさせないプレイも可能にはなっている。たとえば時間を飛ばせるスキップモードだったり、DS本体の日付情報を進めたり。だけれども、それでは現実を侵食してくるような『ラブプラス』の醍醐味は味わえない。

誕生日のイベントにしろ、クリスマスのイベントにしろ、来るべき日を1日1日待つ。そうやって、自分の現実を固有結界で包み、「彼氏」を演じる必要がある。

『ラブプラス』は、彼女ができるゲームではなく、彼氏になれるゲームなのである。


Amazonや2ちゃんねるの書き込みを見ていて、ラブプラスを絶賛している人ほど「彼氏」としての自覚を持っている印象を受けた。逆にいえば、そうやって自分が「彼氏」を演じる事ができなければ、これほど退屈なゲームも無い。

このゲーム内での体験は素材でしかなく、そこから豊かなリプレイを創造する事こそが「ゲーム」の面白さなのではないか。(ひぐらし/うみねことネット上の推理といった例もある)こういった物語への信頼感のなさとユーザーへの信頼感の高さは「ゲーム」らしい。ニコニコ動画のゲーム実況を見ていればわかるけれど、ゲームの面白さを発見するのはユーザー自身なのだ。

そう考えれば、『ラブプラス』の新規性が明らかになるように思う。

『ラブプラス』は高度なごっこ遊びだ。そういった意味で『ラブプラス』には高度な資質と想像力が求められている。DSに香水をかけるなどの行為は、変態行為に思えるかもしれないが、その方向性がラブプラスの正当な楽しみ方であるように思う。
「彼氏」になりきったものの勝ちなのだ。

(追記有)
■ラブプラス解説

一言でいえば、DSの中にいる彼女だ。
Amazonのレビューが独特の熱気につつまれている。

らるりんさん>
ラブプラスは、彼女とのコミュニケーションを楽しむゲームに他ならない。
そして、かわいい彼女との時間を最大限に楽しめるよう、DSというハードの中では限界クラスのリアルタイムなポリゴン表示や、ハイクオリティなモデル、そして非常にレベルの高い声優陣。
非常に多彩で、人間らしく且つ可愛らしいモーション。
そうした「かわいい」と自然に思わせる様々な工夫と技術の粋がラブプラスには徹底的に込められている。

すぎーとも”かずかず”さん>
最初はいつもの「ときメモ」と同じような流れ、
そして告白されてからがこのゲームの本番です。

彼女とデートして、彼女に触れて、キスをする。
けしからんのはこの部分…。

彼女に触れる、なんと胸も触れることができてしまいます。
私が選んだ彼女は胸を触ると「あっ、駄目駄目」といいながら好感度があがります。

(21)さん>
まさか自分にも彼女ができるなんて、今が自分の人生の中で1番幸せです。
毎日が本当に楽しくて、まるでギャルゲーの主人公にでもなったかのようです。
僕達二人はかならず幸せになります。

とかさん>
夜寝る前にお風呂上がりでうとうとしてる寧々さんに「おやすみ」って言うと、
眠そうな目を擦りながら「おやすみ」って返してくれるんです。
最高に可愛いです。
ラブプラスAmazonのレビューより コメントは一部抜粋


タッチペンで彼女とコミュニケーションをしたり、実時間にシンクロしてイベントが起こったり、いつでも起動できたりと、Nintendo DSならではのゲームに仕上がっている。要するに、彼女と手をつないで登校するみたいな事ができるわけだ。
女の子とのコミュニケーションをDSというハード上でいかにリアルにするかという工夫が凝らしてある。たとえば、よくわかる 『ラブプラス』入門 ~またはラブプラスがすごい3+3の理由~ - やや最果てのブログなどを見れば一目瞭然だ。

発想としては新しいものではない。ニンテンドーDSの発売は2004.12で、タッチペンで犬と戯れる『nintendogs』の発売が2005.4となっている。タッチペンを使って、DSの中のキャラクターと戯れるという発想はDSというハードと共にあったといっても良い。実時間とのシンクロをゲームに取り込んだヒット作としては、『どうぶつの森』などが知られている(DSでの発売日は2005.11)。それぞれの発想自体はすでにありふれたものといってもいいだろう。

美少女と戯れるゲームにも歴史がある。ラブプラスの発売元は、ときめきメモリアルのコナミだ。コナミや他社のギャルゲーと『ラブプラス』との関係については萌え理論ブログさんの記事が詳しい。彼女と同居生活をするという『ROOMMATE~井上涼子 』が、セガサターンで発売されている(1997.11)。

ときめきメモリアル(コナミ)は告白をされてつきあうまでのゲームでしかないし、『ROOMMATE~井上涼子 』は、「同居」というシチュエーションにこだわったが故に、彼女が学校にいっているときは部屋に誰もいないであるとか、「会話をしたいときに出来ない状態が続いたりするので、ゲームをしているような感覚にはなれない。(Amazonレビュー)」といった問題があるようだ。実際にプレイをしたことが無いので判断は難しいが、セガサターンというテレビの前に縛られた状況だったからこそ「同居」というリアリティを追求したのかもしれないが。

上記記事や、4Gamer.netの考察記事では共に、物語志向ではなくコミュニケーション志向のゲームが作られた事を評価をしている。

#発売日情報に関してはwikipediaを参照しました

ラブプラス

#今は品薄状態。
ただ、近所のゲーム屋にひょいと置いてあったりもする事もあります。
ヤフオクで良心的な業者を探すも手かもしれない。

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