WEB ディレクターやめよう。WEB ディレクターとは神様の仕事だった。
以前、こういう記事を書いた。確かに書いた。書いたのは私だ。
「WEB ディレクター スキル」とかで検索すると上の方に出てくる。私が書きました。はい、私です。
この記事の中で私は「WEB ディレクターは万能の神ではない」と言い切っている。言い切りました。あ、私です。私が言い切りました。
でも実は年末ぐらいかな、案件で色々あって考えたり、それなりの業界歴を持つ友達と話して盛り上がったりして、ちょっと私は考え方を改めようと思った。
正確には、前述の記事の内容を否定する・正しく改めるというニュアンスではなくて、もっと根本の、何というか、ああもうこれ面倒くさいわ誰か言語化して。
目次
- もうWEB ディレクターは万能の神でいいです
- WEB ディレクター、やめよう
- その実、何の仕事をしているのか
- まずは分野を二つに分けてみる
- コストの問題
- 軽視されがちなWEB ディレクターの専門性
- まとめ
もうWEB ディレクターは万能の神でいいです
結論から言うと、私はもうWEB ディレクターは万能の神で良いと思っている。
なれるもんならなってみやがれ。22個のスキルがどうした。全て習得してくれ。さすれば、そなたは神と呼ばれよう。
でもね、無理なもんは無理。前述の記事にも書いたけど、そんなスキルを持った人に実際に会ったことが殆ど無いです。そりゃ中にはいるんだろうけど、たぶんWEB ディレクター100人の中に1人もいません。私がストイックに考えすぎているだけ、という面もあるだろうけど、本当に何年かかるの。習得した頃には定年間近みたいな話なのでは?
じゃあWEB ディレクターいなくなっちゃうじゃん。全国のWEB ディレクターの皆さんはどうなるんだ。喧嘩売ってんのか、ああ?
みたいな話なので、私がこういう風にすればいいんじゃねえのと考えているという極めて無責任な話をします。
ちなみにこの話は引き続き、主に10〜30人前後ぐらいで構成される組織・WEB 制作の現場を主な対象としている。この規模の現場が最も多いんじゃないかと勝手に思っているので。
より大きな集団では既にこのような形を実現している現場もあるし、逆に実現できていなければ参考になる話でもある。(と思いたい。)
WEB ディレクター、やめよう
これはWEB ディレクターは退職しろと言いたいわけではないです。
もう「WEB ディレクター」という呼び方をやめたい。切に。切に、排除したい。
この呼び方があるから「WEB ディレクター」の定義や業務範囲がどんどん増えるわ会社によって違うわで、ろくなことが無いと思ってる。
名は体を現す、と言う。
「ディレクター」って「導く人・指導者・指揮官〜」なんですよね。英和辞典のようなやつによると。それって殆ど神様みたいなもんでしょ。
お客様・社内の制作メンバーをゴール(目的地)に導く人というわけだ。
そりゃあ万能なスキルが必要ですよね。
というか何か?ゴールに導くってことは「結果にコミットする」的なニュアンスに取れなくもないけど。そこまで言って良いのか。
やめよう。ぶっちゃけ結果にコミットしたくない。というか、できない。嫌だ。
怠惰な私は、まず見た目から入る。呼び方から変えたい。
その実、何の仕事をしているのか
現状、WEB 制作の業界でWEB ディレクターと呼ばれている方々の業務内容は、だいたい次の4つぐらいに大別される。
- 客対(アカウント)
- 企画 / 提案
- 制作進行管理
- 画面設計
まあ、こんなもん。会社によって「それはやってないよ・これもやってるよ」ということがあると思う。(個人的には、ここに画面設計が入ることに違和感があるが、いったん置いておく。)
この4つは各々が独立した専門分野と言える。各々に対して主に求められるスキルが異なってくる。例えば、
- 客対(アカウント)⇒ コミュニケーション・ビジネス・営業スキル
- 企画 / 提案 ⇒ マーケティング・プランニング・プレゼンスキル
- 制作進行管理 ⇒ コミュニケーション・工程 / 工数管理・WEB 制作スキル
- 画面設計 ⇒ ビジネス・プランニング・WEB 制作スキル
などなど、すごい適当だけど一例として。
制作進行管理を一つとっても、それをきっちりこなすために学ぶべきスキルと積むべき経験はけっこうある。他の分野にしても同様だ。
また別の視点から、これらは一般的なウォーターフローとかいう制作フロー上でも、各々が縄張りとする範囲が異なっている。例えば、
- 客対(アカウント)⇒ 案件発生から納品後まで永遠に
- 企画 / 提案 ⇒ 案件発生から受注確定まで
- 制作進行管理 ⇒ 受注確定から納品まで
- 画面設計 ⇒ 提案時からデザイン制作まで
こんな感じで、割とバラバラ。
だからこれらは本来、「ディレクター」という一つの言葉に全てを放り込むべきではない。
まずは分野を二つに分けてみる
前述の4つの分野をキリよく真っ二つにしてみてはどうだろうか。例えば、
- 客対+制作進行管理
- 企画 / 提案+画面設計
この二つに分けた上で、各々を、
- コントローラー
- プランナー
と呼び方を定義してやり、今まで「ディレクター」と呼ばれていた人材を得手・不得手や興味・関心に応じてコントローラーかプランナーのどちらかに振り分ける。
そして一つの案件に対して必ずタッグ・ツーマンセルで動かす。
これは分けることが重要なので、分野の組み合わせは二の次の問題だ。なので別の例として、
- 客対+企画 / 提案
- 制作進行管理+画面設計
とした上で、
- アカウント
- コントローラー
でも良いと思う。
それぞれの呼び方も「ディレクター」より少し具体的であれば割と何でもよい。 コントローラーって三秒で思いついたけど、まだ神っぽさが残ってる。もっと良い感じのやつが欲しい。
まあ何でもいいから呼び方を変えるのだ。そうすれば呼ばれている当人も段々と「俺ってコントローラーなんや」「コントロールするのが仕事なんや」と勘違いしてくれそうなものだ。まずは洗脳だ。
「ディレクター」という呼び方がカッコイイから変えたくないです、だと?それなら神様になってくれ。指導者として民衆を導くのだ。それができるなら全然かまわないのだけど。
コストの問題
さて、仮に前述のような形でディレクターをバッサリ二つに分けるとして、真っ先に思い浮かぶのはコストが増える問題である。
一人でやっていたディレクションを二人に分けてタッグ・ツーマンセルで動く時、一案件あたり稼働時間は10 やっていたものを5+5 に分けるのだから結局10、一見すると問題ないように見える。
しかし、一人が二人に別れた時点で二人の間にはコミュニケーションコストが発生する。一人であればEvernote 等に突っ込んでおけば良い類の頭の中の情報も、二人になると片方が片方に共有し、説明しなければならない。
そこでコストが多分、11 か12 ぐらいになってしまう。
これはさすがに二人を常に近い位置に置いてデスクを隣り合わせ会社に全泊を命じ寝食を共にさせたとことで限界がある。というか、そしたら退職しちゃう。
勿論「その分、見積り工数を上乗せします☆」という話が楽に通るならコスト的には問題ないわけだが、既に走ってしまっている運用案件、それも長い付き合いの客だったりすると簡単にはいかない話だと思う。
この問題の解決方法について私は現時点で明確な答えを持っていないし、ケースバイケースで対応するしか無い、徐々に変えていくしか無いよねーという話でしかないのかもしれない。
ただ、業務内容を二つに分けることで一人が色々なことをしなくてもよくなれば、その分それぞれの専門性は高まるだろう。と、期待しちゃうよ。
結果的に運用効率が高まったり、もともと10 かけていたコストが9 になったから、そこにコミュニケーションコストを入れて10 で抑えれる、という可能性を期待したいところではある。
軽視されがちなWEB ディレクターの専門性
ここから先は少し余談になるけど、WEB ディレクターというのはデザイナーやエンジニアと比べた時に専門性が低いポジションと見なされることが多いと感じる。
が、WEB ディレクションだって、デザインに負けず劣らずの専門職だ。
例えば画面設計時に求められがちなデバイスやブラウザの特性に対する知識・レイアウトデザインやインフォメーションアーキテクトの視点・実装時の課題に対する配慮など、こんなもんが本当にできる人は普通にWEB 制作の専門家であるはずだ。
企画 / 提案や制作進行管理だって同様である。
しかし何故かディレクターは「客の相手が仕事」「皆に指示を出すのが仕事」みたいな捉え方をされる場面が多く、はっきり言ってナメられているとすら思う。
これは周囲だけではなく、時にディレクター自身が、そう捉えている。
それは「コミュニケーション」で多くのことがカバーできてしまうからでもある。
たまにコミュニケーション能力が圧倒的に高いディレクターがいて、そういう人は危なげなく案件を捌いてしまうので、それが理想の一つと思われることもある。
ただそれってWEB ディレクターに限った話じゃないですよね。コミュニケーション能力が神レベルだったら、大抵の仕事は問題なくこなせるよ。(前に書いた自分の記事を追撃してしまった。)
個人的な実感でしかないけど、デザイナー・エンジニア・ディレクターとポジションを移してきた私には、現状のディレクターこそ最も難しく専門性が高い、かつ経験が求められるポジションだと思っているぞ。
まあ神様なんだから当然なんだけど。
まとめ
- 「WEB ディレクター」という呼び方をやめたい
- 役割をバッサリ二つに分けて二人で動かそう
- コスト問題なんとかしなきゃね
っていう感じの内容でした。
まとめると、もの凄い単純な話をしているのが分かる。
たぶん似たようなことを考えている人が、この業界には沢山いるはずで、何度も論じられているはずなんだけどな。