皆さんが日頃あたりまえのように利用しているインターネット。このサービスはいったいどのように私たちのもとに届いているのか、ご存知でしょうか? 快適なネット生活を送る背景には、多くの人の努力が存在します。その実態に迫るべく、今回は、JCOM株式会社(以下J:COM)で技術職に携わっている稲木聡美さんにインタビュー。理系未経験からキャリアアップを実現させている稲木さんに、技術の裏側と想いについて伺いました!
――稲木さんは現在「ヘッドエンド」というJ:COMのサービスの心臓部で運用を行っています。ヘッドエンドとはどういう場所なのですか?
稲木さん 24時間365日稼働している受信と送信の基地局で、全国に92ヵ所あります。放送やインターネット設備の機械が数多く設置されていて、お客さまにサービスを届ける根幹の設備になります。
――ヘッドエンドで、稲木さんはどのような仕事をなさっているのでしょう。
稲木さん 大きく分けると二つの業務に携わっています。一つ目は、インターネット設備の増強の計画です。設備の増強とはいったいどういうことかわかりやすくご理解いただくために、インターネットの通信状況を自動車の交通に例えて説明しますね。たとえば、道路を走っている車が、皆さんが普段使っている情報量の通信だとします。このとき、利用者が少ないと車は当然スイスイと進みますよね。反対に、利用者が増えると渋滞が起こり、車はゆっくり走ったり、最悪の場合停まってしまいます。皆さんがネットを使っているときに「つながらないな、速度が遅いな」というのは、まさにこの混み合っている状態です。このような事態が起きた場合、私が在籍しているヘッドエンドでは、渋滞解消のために車線を増やす計画を行うのです。
――ユーザーが快適に通信できるように、設備そのものを見直して改善するということですね。それでは、稲木さんのもう一つの業務についても教えてください。
稲木さん 放送やインターネット設備の増強に応じて、電気設備の運用も検討しています。サービスの質向上のためにヘッドエンドに設置している機械を増やすと、機械の排熱の影響で部屋に熱がこもり、暑くなってしまいます。しかし、J:COMではカーボンニュートラルの目標も掲げていますので、環境への配慮のため消費電力を減らしながら設備の増強も並行させるよう策を練っています。
――通信のサービスを向上させるにあたり、具体的に掲げている目標はありますか?
稲木さん 通信事業界では、より良いサービスの提供を考える際、通信がつながっている状態という前提として機械の稼働率を指針にすることがあります。たとえば機械が100時間動いているうち、実際に動作しているのが90時間だとしたら「稼動率90%」と表現され、残りの10%は機械が稼働してない時間です。この割合が、一般の通信事業者の場合は「通信の稼働率99.99%」が基準で、通称「フォーナイン」と呼ばれています。しかし、J:COMでは「稼働率99.999%」。「ファイブナイン」をベースと考え、安定したサービスを提供できるようにと努めています。
――つまり、稼働していない0.001%の時間はインターネットの通信ができないということですね? ほんの0.001%であれば、利用者は不便に感じない気がしますが……。
稲木さん 「ファイブナイン」の場合、通信が止まる時間は年間で5分ほどのイメージです。「フォーナイン」になると30分ほど。ただし、J:COM側で止まるのは5分でも、そこから一つずつ設備が復旧していくので、お客さまのお宅が復旧するまで少し長く時間がかかります。 そう考えると、非稼働率は0に近いほど、お客さまには迷惑がかからないのです。
――たしかに。今は、インターネットは、生活基盤のインフラのような存在です。そのなかで、通信できない時間というのは、たとえ短くてもストレスを感じる人は多いかもしれません。
稲木さん 私も以前はインターネットの不具合があると、何でつながらないの?! という気持ちを抱いていました。ただ、入社後は見方が変わったと思います。インターネットで障害が起こると、本当に多くの人が一分一秒でも早く復旧させようと作業に尽力します。当たり前のように使えているインターネットは、多くの人に管理されているからこそ「あたりまえ」になっているんだなと感じることができるのは、この仕事の魅力だなと思います。
――稲木さんの、現在の業務の魅力を教えてください。
稲木さん 私は普段、さまざまな拠点に足を運び、現場の様子を見たり担当者と話をしたりすることで、自分にできることはないかと考えるようにしています。そのうえで、周りの先輩方に相談に乗っていただきながら、自分自身で施策を検討します。その施策が来年度から実際に全国の拠点で反映されることになりました。このような展開があると、より責任感をもって仕事に臨めるので充実感があります。
――ご自身が提案した施策とは、どのようなものですか?
稲木さん 各拠点の電源設備の構成変更です。現段階でも、機械に不備がある場合もう1台が稼働して電源供給が止まらないシステムを組んでいるのですが、その構成をシンプルに変更する方法を考えました。この仕組みが順調に進めば、会社の年間の投資金額や各拠点担当者の設備管理の負担軽減にもつながります。
――ところで稲木さんは、なぜJ:COMへの入社を決められたのでしょう。現在技術職をなさっているということは、理系出身なのですか?
稲木さん いえいえ、まったく。大学では理系と文系のどちらも勉強できる文理融合の学部に通っていました。そこでは統計学を専攻していて、現在の通信業務とは縁のない生活を送っていたのです。ただ技術職には興味があったので、就職活動中はIT企業も受けたのですが経験者を募集しているところが多く……。そのなかで、J:COMは珍しく「未経験でも大丈夫」と。J:COMの女性社員は私のような情報通信初心者が多いですよ。
――技術職に興味を持った理由を教えてください。
稲木さん 父親の影響かもしれません。単身赴任をしていた父は家に帰ってくると日曜大工をよくやっていて、私はその手伝いをしたり、飼っていた金魚の水槽を一緒に掃除したり。その時間がとても楽しかったんです。この経験がきっかけなのか、子どもの頃から手を動かすことが好きで、将来は技術系の仕事に就きたいと思っていました。
――お父様の影響だったとは。素敵なエピソードですね。入社後、最初に希望した業務はありますか?
稲木さん 私が新卒で入った頃は、OJT研修が1年間行われていました。1年かけて自分が配属されるエリアの各拠点をまわり、東京の本社では企画や技術の部署などでも研修を積みました。そのうえで、最終的に志望部署を聞かれるのでサービスエンジニア(SE)を希望したんです。SEとは、お客さまのお宅に伺い電柱に登ってご自宅まで線を引き、宅内にもインターネット機器の設置をさせていただく仕事です。さまざまな研修を経験したあとですし、社内の認定制度でカリキュラムを経てから業務に就くので、理系出身でない私でもこの仕事を行えるのです。
――SEとして、電柱に登っていたのですか! 初めにその仕事を希望するケースは、珍しいのでは?
稲木さん 子どもの頃から手を動かすのが好きなので、設備の設置をやってみたかったんです。それに、研修中にいろいろな部署の先輩方から「SEを経験すると、今後どのチームに行っても話を理解しやすいよ」と教えてもらっていたことも決め手でした。また、SEチームの皆さんがアットホームで、いつも楽しそうに仕事をしているのが印象的で雰囲気にも惹かれました。
――お客さま宅の工事の際、初めて電柱に登ったときはいかがでしたか?
稲木さん 登ったときもそうですが、工事を終えてサービスが使えるようになったときに「この1軒をケーブルの引き込みから宅内の機器設置まで一通りちゃんと担当できた!」という達成感は大きかったです。今でも外を歩いていて他の業者の方々がはしごに登っているのを見ると、懐かしくてちょっとやってみたいなと思います(笑)。
――現場SEからキャリアをスタートさせて、現在はヘッドエンド運用部で大きな仕事を担っていらっしゃいます。今後のキャリアプランや展望があれば教えてください。
稲木さん 近々の目標としては、来年度から行う各拠点の電源設備の冗長化について、責任を持って進捗管理を行いたいです。そのうえで、将来的には最初に在籍していた関西の拠点の拠点長、その先には役員などのポジションで仕事をしてみたいという理想があります。なれるかどうかは、さておきですが……(笑)。
――では、最後に。稲木さんにとって、J:COMとはどういう会社ですか?
稲木さん 「技術職」と聞くと理系大学の出身でなければ採用されなかったり、実務をこなせないイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが「J:COMの技術職」は本当にそんなことはなくて、初心者でも優しく育ててくれる会社です。いろいろと質問をしても丁寧に答えてくれる社員が多く、とても働きやすいです。私自身、いつも人に支えられて仕事をしているなと思うことばかりです。
情報通信については未経験でありながら、入社からわずか7年で「J:COMの心臓部」であるヘッドエンド運用部に在籍している稲木さん。充実したキャリア形成を叶えている背景には、ご本人の努力はもちろん、J:COMの丁寧な人財育成も存在します。企業のブランドメッセージ「あたらしいを、あたりまえに」を実現するため、社員同士が高め合う風土を持つJ:COM。さまざまな業種の社員インタビューは、以下のリンクにアクセスすると読むことができます。採用ページも、ぜひチェック!
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