初当選の渡邉美樹氏「布教活動に歩いた」中学時代
21日、ワタミ創業者の渡邉美樹氏(53)は約10万4千票を集め、参院議員に初当選した。当確が出たのは深夜3時45分。自民党比例区の18人の当選者のうち16位での当選と危ない戦いだったが、選挙事務所の壇上の渡邉氏は白い歯をのぞかせ、満面の笑みでそう語った。経営者から政治家へ転身を果たした渡邊氏。彼の“理念”には、あるルーツがあった。
母親が亡くなるまで、母親の布団に潜り込んで寝ていたという渡邉氏。そんな彼の心の空洞を埋めたのは、宗教だった。渡邉氏は、近所の大学生が声をかけてくれたことをきっかけにクリスチャンとなり、布教活動をおこなっていたことを自著で認めている。だが、この記述は正確ではない。中学の同級生は「じつは彼が入ったのはキリスト教といってもちょっと違って、エホバの証人なんですよ。親友によると熱心に活動していたようです」と話す。
「エホバの証人」といえばキリスト教系の宗教だが、独自の聖書と教義を持ち、カトリックやプロテスタントなどの伝統的なキリスト教からは異端とされている新宗教だ。渡邊氏は「時間があれば、宣教に歩いた」というが、わたなべ美樹事務所に問い合わせると、「中学卒業時に脱退しております。(エホバの証人との関係は)それ以降はございません」という回答があった。宗教ジャーナリストの広橋隆氏はこう語る。
「エホバの証人は、かつて教義を理由に輸血を拒否して問題になった団体です。家族的な結びつきを大事にする団体で、信者同士の関係が濃厚になるので、母親を失った渡邉氏は、そうした関係を求めて入信したのではないでしょうか」
渡邊氏は、自著で次のように語っている。
「いまでも時折、懐かしく頁をめくるその聖書の教えは、後に会社を創業する際の理念の元になっています」
メディアで紹介されて話題となった、ワタミ創業時の理念をまとめた冊子『理念集』。「365日24時間死ぬまで働け」などの“福音”が書かれたこの冊子は全社員に配られており、ワタミにとっての『聖書』といっても過言ではない。そこでは自己犠牲や愛の大切さが渡邉氏自身の言葉で説かれている。
(週刊FLASH 8月6 日号)